情勢の特徴 - 2020年2月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「内閣府が17日発表した2019年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比1.6%減、年率換算で6.3%減だった。10月の消費増税や大型台風の影響が出て、内需の柱である個人消費が落ち込んだ。世界経済の減速で自動車や機械などの輸出低迷も続き、日本経済は5四半期ぶりのマイナス成長に沈んだ。マイナス幅はQUICKがまとめた民間エコノミストによる事前予測の中心値(前期比年率3.9%減)を大きく上回った。前回の消費税率引き上げ直後にあたる14年4~6月期(同7.4%減)以来の大きさに達した。GDPの半分以上を占める個人消費は前期比2.9%減り、5四半期ぶりのマイナスとなった。増税直前の8~9月に自動車や家電、化粧品などで駆け込み需要が発生した反動が出た。10月の台風19号やその後の暖冬などの天候要因も重なり、需要が伸びなかった。個人消費の落ち込みは前回増税直後(14年4~6月期)の4.8%減と比べると、小幅にとどまった。軽減税率の導入やキャッシュレス支払いへのポイント還元などの政策効果が一定程度消費を下支えしたとみられる。内需のもう一つの柱である設備投資は3.7%減と、3四半期ぶりに減少した。減少幅は18年7~9月期以来の大きさとなった。中国経済の減速に直面する製造業では、生産設備に過剰感が出た。オフィスや物流倉庫への投資にも一服感が出ている。住宅投資は一部で増税後の反動減が出て2四半期ぶりに減り、2.7%減となった。公共投資は底堅いが、個人消費と設備投資の落ち込みが響き、内需全体でGDPを2.1%分押し下げた。」(『日本経済新聞』2020.02.17)
●「47都道府県と20政令市の2020年度予算案が20日、出そろった。47都道府県の一般会計総額は前年度比4.5%増の52兆9883億円となった。このうち、普通建設事業費は1.6%増の7兆5124億円。また、政令市の一般会計総額は0.8%増加し、14兆4007億円、普通建設事業費は2.7%増で1兆6244億円となっている。普通建設事業費が増加したのは27県で、長野県、和歌山県は30%台の増加となった。一方、震災復旧事業が一巡した熊本県は4割近く、五輪施設整備が完了した東京都は2割以上減少している。」(『建設通信新聞』2020.02.25)
●2019年に休廃業した企業が7年ぶりに増加した。民間信用調査会社の帝国データバンクがまとめた。…19年の休廃業は1万2764件で前年比0.5%増だった。東日本大震災発生後に増加した12年以来、緩やかな減少傾向が続いていたが、19年は潮目が変わった。また、商業登記などで確認された解散は19年に1万870件で過去最多となった。解散が1万件を超えるのは4年連続。19年の休廃業と解散を合わせると2万3634件となり、法的整理である倒産の8354件の2.8倍に上る。(『しんぶん赤旗』2020.02.27より抜粋。)

行政・公共事業・民営化

●「国土交通省は、建設業の働き方改革の推進に向け、適正な工期設定のために取り組むべき一連の手続きを示す『直轄工事における適正な工期設定指針』の案をまとめた。指針では工期設定の前提となる余裕期間や施工に必要な実日数、不稼働日、準備・後片付け期間などを具体的・定量的に示すことを明確化。指針に基づき、公告段階で施工条件の明示や概略工程表の公表などを行い、直轄工事において先導的に適正工期での発注を実施する。」(『建設通信新聞』2020.02.19)
●「国土交通省は公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の運用指針が1月に改定されたことを受け、新たな全国統一指標を設定する。運用指針の重要な事項の中から全国統一指標を選定。工事だけでなく業務を含め取り組みを強化する。地域でのこれまでの取り組み状況を踏まえブロックごとに『地域独自指標』を設定。地域の実情に応じた取り組みを推進する方針だ。…2019年6月施行の改正公共工事品確法に基づく新しい運用指針には▽災害時の緊急対応の充実強化▽働き方改革への対応▽生産性向上への取り組み▽調査・設計の品質確保―の4点に関する事項が追加・強化された。国交省は従来の重要な事項も含め運用指針に記載された取り組みを『必ず実施すべき事項』『実施に努める事項』『災害対応』に整理。このうち、すべての発注者へ普及・促進段階にある事項を、新たな全国統一指標として設定する。地域発注者協議会を通じて、さらなる推進を図る考えだ。地域発注者協議会では県単位の推進会議を設けたり、発注関係事務に関する支援メニューを作成したりなど、地域の実情に応じた独自の取り組みを進めている。独自に目標値を設定している地域もある。こうした状況を踏まえ、地域ブロックごとに地域独自指標も設ける方針だ。」(『建設工業新聞』2020.02.20)
●「政府の有識者会議は、コンセッション(公共施設等運営権)事業の範囲を広げるよう求める提言をまとめた。PFI法を改正し、運営事業に密接に関連する『建設』や『改修』などが実施できるよう要請。民間事業者の創意工夫を生かしやすい環境整備も求めた。政府の未来投資会議(議長・安倍晋三首相)でも範囲を拡大する考えが示され、内閣府が関連法の改正を視野に方向性をまとめる。現行のPFI法でコンセッションは、運営権者が行う維持管理業務の範囲を『資本的支出または修繕(増築、大規模修繕を含む)』と規定。新設や全面除却による再整備は対象外とされている。有識者会議はこれまでの議論を踏まえ、コンセッションは契約が長期間にわたるため、運営期間中に運営事業と密接に関わる施設の新設や大規模改修などが必要になる可能性が高いと指摘。PFI方を改正し、公共施設の維持管理に限定されている業務範囲を、新築や建て替えにも広げるよう提言した。」(『建設工業新聞』2020.02.27)

労働・福祉

●「国土交通省は14日、3月から適用する『公共工事設計労務単価』を発表した。全国の全職種平均(単純平均値)の伸び率(2019年3月比)は2.5%。法定福利費相当額の加算などで大幅な引き上げを実施した13年度から8年連続での上昇となる。全職種の平均金額(加重平均値)は2万0214円で、単価の公表を開始した1997年度以降で最高値となった。」(『建設通信新聞』2020.02.17)
●「日本建設業産業労働組合協議会(鈴木誠一議長)は17日、昨年11月に実施した『4週8閉所ステップアップ運動』の結果を公表した。平均閉所日数は『6.07閉所』(土木工事=6.25閉所、建築工事=5.91閉所)。裏を返せば、『4週6閉所』に一定の広がりがみられている一方で、依然として『4週8閉所』へのハードルの高さが浮き彫りになっている状況だ。加盟34組合のうち、33組合の計4133作業所(土木1990作業所、建築2143作業所)を対象に昨年11月の現場閉所の日数を集計した。平均閉所日数は、2018年11月の実績値(=5.46閉所)と比較して、0.61ポイント増となる『6.07閉所』。閉所日数別でみると、6閉所の作業所が最多となる21%を占める一方で、すべての土日・祝日を閉所したと思われる10閉所以上が12.1%、逆に0閉所が2.8%と現場ごとのばらつきが目立つ。昨年11月に4日あった日曜日以外に『プラス何日』閉所できているかを切り口に比較していくと、第1回(18年11月)が『1.46日』、前回(昨年6月)が『1.47日』、今回(昨年11月)が『2.07日』と順調に増加。データからは少なくとも第2・第4土曜日の現場閉所が浸透してきていることが見て取れる。実際に多くのゼネコンが『4週6閉所』を目標にしている現状からすれば、全体感として取り組みに一定の浸透が見られていると言えそうだ。」(『建設通信新聞』2020.02.18)
●「国土交通省は、社会保険の加入の徹底・定着へ、これまでの企業単位でのアプローチを発展させ、労働者一人ひとりに焦点を当てた新たな対策を講じる。10月から施工体制台帳に作業員名簿の添付が義務化されることを契機に、未加入者の確認を強化。今後、『社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン』を改正し、建設キャリアアップシステムを活用して効率的・効果的に確認作業を実施する考えだ。…国交省はこれまで、『社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン』に基づき、適切な保険への加入が確認できない作業員の現場入場を認めないよう指導してきた。さらに、10月から施行する改正建設業法では社会保険加入を建設業許可・更新の要件化、段階的に加入促進策を講じ、企業単位での加入率は100%に近い水準まで向上した。他方、労働者単位では公共事業においても企業に比べて、加入率の進捗に遅れが見られる状況にある。そこで新たな段階の対策として、労働者単位での未加入者の確認強化に乗り出す。建設業法改正により、施工体制台帳の書類の1つとして作業員名簿が位置付けられたことから、同ガイドラインによる取り組みを強化。作業員名簿による保険加入の確認には、建設キャリアアップシステムを活用することで、情報の真正性を担保するとともに、確認作業の効率化を実現する。社会保険の加入の徹底に伴い懸念される、労働者として働いている人を一人親方として独立させる“社員の一人親方化”については、2020年度に対策検討会を立ち上げる。偽装請負の疑いがある一人親方の基準を明確化した上で、抑制対策を検討する。21年2-3月に具体的な施策としてとりまとめる。」(『建設通信新聞』2020.02.19)
●「国土交通省は、建設業退職金共済制度において労働者の就労実績を確実に掛金充当につなげるため、公共発注での履行強化策と電子申請方式の利用促進策をあわせて講じる。公共発注において元請けに対し、証紙交付の根拠提出を求めることで、掛金充当を徹底。他方、建設キャリアアップシステムを活用した完全な電子申請方式を構築し、元請け・下請けや労働者の負担を軽減しながら、就労実績をもれなく建退共制度に反映させる。両施策を進めながら最終的に完全電子申請方式の原則化を目指す。」(『建設通信新聞』2020.02.20)
●「民間調査会社の帝国データバンクが2月17日に発表した『2020年度の賃金動向に関する企業の意識調査』によると、2020年度の賃金改善が“ある”と見込んでいる企業は4年連続で5割を超えた。業界別では『建設』が57.9%でトップとなった。賃金改善の理由としては、『労働力の定着・確保』が8割を超えており、建設業界の人手不足がここでも浮き彫りになっている。自社の総人件費が『増加』すると答えた企業は、業界別では『建設』のほか、『サービス』『運輸・倉庫』で7割を超え、人手不足が顕著な業界が上位を占める結果となった。調査は1月20~31日に全国2万3665社を対象に実施。1万405社から回答を得た。2019年度実績では、『建設』は71.6%が賃金改善が『あった』と回答。2019年度実績全体では、賃金改正が『あった』企業は68.3%で、『建設』はこれを上回る水準となっている。2020年度の企業の賃金動向は、正社員の賃金改善(ベースアップや賞与、一時金の引上げ)が『ある』と見込む企業は53.3%で、4年連続で5割を上回っている。ただし、前年調査(2019年1月)での2019年度見込みは55.5%で、2.2ポイントの減少となった。一方、賃金改善が『ない』と回答した企業は20.2%で、前年調査から1.1ポイント増加した。2割を超えたのは3年ぶり。ただし、賃金改善が『ある』が『ない』を上回ったのは10年連続。その差も33.1ポイントと非常に大きい状態が続いていることから、帝国データバンクでは『賃金動向は概ね改善傾向』と分析している。」(『日本住宅新聞』2020.02.25)
●「厚生労働省は2019年(1~12月)平均の毎月勤労統計調査の結果(確報値)をまとめた。産業別の内訳で建設業を見ると、常用雇用労働者総数は前年比2.8%増の274.9万人だった。就業者に支払われた現金給与総額(1人当たり平均)は2.7%増の41万6315円となり、7年連続で増加した。月間総実労働時間は1.1%減の168.2時間となった。」(『建設工業新聞』2020.02.26)
●「国土交通省は、建設キャリアアップシステムを活用した能力評価制度を技能者の賃金の上昇に結び付けるための今後の方針を示した。登録機関技能者制度がある35職種で2019年度内に能力評価基準が整備されることを受け、6月をめどに専門工事業団体がレベルごとの年収目標を設定。目標に基づく見積もりの促進と元請けによる見積もり尊重の取り組みを合わせて進めることで、年収目標に応じた賃金上昇の実現を目指す。建設キャリアアップシステムを活用した建設技能者の能力評価制度は、各専門工事業団体などが務める能力評価実施団体が策定する能力評価基準を基に4段階のレベル分けを行うもの。建設キャリアアップシステムに蓄積された就業日数や保有資格などの経験や技能から客観的に評価される。登録基幹技能者制度があるすべての職種(35職種)で、今年度内に能力評価基準の申請手続きを完了させることが決定しており、現在、▽鉄筋▽型枠▽機械土工▽左官▽内装仕上▽防水施工▽切断穿孔▽サッシ・カーテンウォール▽建築大工▽トンネル▽圧接▽電気工事▽コンクリート圧送――の計13職種が国交相から認定を受けている。能力評価基準の策定後、各専門工事業団体においてレベルごとの年収目標を設定。専門工事業は実際にレベルに応じた賃金を支払うために、その目標に基づいた見積もりを実施。元請けに下請けから出された見積もりを尊重してもらうことで、適切に請負価格を支払うことでスキルアップした技能者の賃金上昇につなげるという好循環を描く。」(『建設通信新聞』2020.02.27)
●「堅調だった雇用情勢に変調の兆しが出始めた。厚生労働省が28日発表した1月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.08ポイント下がり、1.49倍だった。企業の新規求人数が前年同月に比べ16%減った。同省は『求人票の記載項目を拡充した影響が出た』とみるが、製造業で契約社員のライン工が減るなど生産低迷が影を落としており、情勢判断を下方修正した。有効求人倍率は仕事を探す人1人に対し、企業から何件の求人があるかを示す。1.50倍を下回るのは2017年5月以来だ。0.08ポイントの低下は公表時ベースで09年2月以来。正社員の有効求人倍率は1.07倍で前月から0.06ポイント低下した。厚労省は雇用情勢について『改善が進む中、求人が求職を大幅に上回っている』とした。前月までは『着実に改善』としており、今回から『着実』を削除した。判断の下方修正は7年3カ月ぶり。雇用の先行指標となる新規求人は主要産業全てで減った。特に落ち込みが大きいのは製造業で26.1%減だ。宿泊・飲食サービス業も20.6%減った。」(『日本経済新聞』2020.02.28)
●「在留資格『特定技能』について、建設分野で2020年度から受け入れが可能となる新たな7職種が決定した。対象はとび、建築大工、建築板金、配管、保温保冷、ウレタン断熱、海洋土木工。政府は28日に特定技能の分野別運用方針の改正を閣議決定する予定だ。」(『建設通信新聞』2020.02.28)

建設産業・経営

●「建設業情報管理センター(CIIC)は17日、同センターに経営状況分析の申請があった約5万社を対象に実施した。2018年度『建設業の経営分析』を公表した。収益性を示す代表的な指標である『総資本経常利益率』は前年度比0.14ポイントの上昇となる4.87%。3年連続の上昇で、同センターが分析を行ってきた過去31年間で、1991年度(5.04%)に次ぐ高水準となった。建設業の経営分析は、経営状況分析で使用している8つの財務比率(経営事項審査の8指標)を含む計26の財務比率(指針)を用いて、『収益性』『健全性』『生産性』などを業種別、売上高別、地域ブロック別に分析している。総資本経常利益率を地域別にみると、1.2ポイント上昇した北陸ブロック(5.41%)を筆頭として、0.43ポイント上昇の近畿ブロック(4.21%)、0.25ポイント上昇の中部ブロック(5.25%)など全国的に上昇傾向が継続している。一方で、東北ブロック(4.57%)は東日本大震災からの復興需要の収束に伴い低下が続いている。健全性を示す『自己資本比率』は前年度から2.35ポイント上昇して32.91%。7年連続の上昇となり、過去最高を3年連続で更新している。生産性を示す技術職員1人当たりの完成工事高は、4173万6000円。微増ながらも2年連続で増加した。」(『建設通信新聞』2020.02.18)
●「国土交通省は建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用促進に向け、経営事項審査(経審)を改正する。4月に本格運用するCCSCのレベル判定を活用して優秀な技能者を雇用している企業を評価する仕組みを取り入れる。技術力(Z点)の評価対象にCCUSで最高評価のレベル4と職長クラスの同3の技能者を追加し加点する。改正案は17日に『建設業法施行規則の一部を改正する省令案等』として意見募集を開始した。3月下旬まで受け付け、4月1日に施行する。現行制度では技術職員数(Z1)の評価として登録基幹技能者に3点、技能士1級で2点を加点している。この仕組みを活用し、省令案では『登録基幹技能者講習を修了した者に準ずる者として国土交通大臣が定める者』にCCUSの能力評価制度でレベル4、3の技能者を位置付け、評価対象に追加。それぞれ3点、2点を付与するとした。」(『建設工業新聞』2020.02.18)
●「世界的に感染が拡大している新型コロナウイルス感染症について、建設業界へも影響が広がりつつある。熊本市と千葉県は建設現場の作業従事者の感染が確認されたことを発表。熊本市の事例では現場で感染が拡大した。また、中国で製造・加工されているトイレ関連商品や石材といった一部製品・資材の生産や輸入に既に滞りが生じていることも分かった。流行収束への見通しが立たない中で、発注者や建設企業からは不安の声が上がっている。」(『建設通信新聞』2020.02.26)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「不動産経済研究所(東京・新宿)が17日に発表した1月の首都圏の新築マンションの平均価格は前年同月比47.9%上昇の8360万円と、1973年の調査開始以降過去最高だった。…1月の首都圏の平均価格は、これまでの過去最高額だったバブル期の1990年11月(7497万円)を上回った。エリア別では東京都区部は前年同月比38.7%上昇の1億511万円。1億円を超えたのは92年11月(1億260万円)以来。」(『日本経済新聞』2020.02.18)
●「不動産経済研究所が20日発表した2019年の全国新築マンション発売戸数は前年比12%減の7万660戸となった。1976年(4万9955戸)以来43年ぶりの低水準で、減少は3年ぶり。価格の上昇で購入に慎重な消費者が増えており、業者も発売戸数を絞り込んだ。20年の発売戸数も7万戸と横ばいで推移すると予測している。」(『日本経済新聞』2020.02.21)
●「東京五輪・パラリンピック組織委員会と国土交通省は24日までに、大会期間中、首都圏郊外でマイカーから鉄道に乗り換える人を対象に、駐車料金の割引を適用する方針を明らかにした。通勤、買い物を目的とする都市へのマイカー流入を減らし、道路渋滞を抑制するのが目的。JR東日本や私鉄各社、駐車場運営会社などに協力を求め、割引内容の調整に入る。マイカーから電車への乗り継ぎは『パーク・アンド・ライド』と呼ばれる。ただ駐車場に長く止めると料金が高額となったり、逆に割引適用で利用者が増えると駐車スペースが足りなくなったりすることも想定される。このため、都心から約40~60キロを環状に結ぶ首都圏中央連絡自動車道(圏央道)と、都心から約15キロに位置する東京外郭環状道路(外環道)に挟まれた地域を『促進エリア』に指定。ここに位置する駅周辺の駐車場に車を止め、鉄道に乗り換える人を増やす。」(『日本経済新聞』2020.02.25)
●「国土交通政策研究所は、空き家の所有者不明問題に関する調査研究の結果をまとめた。所有者調査を実施した地方自治体の7割で所有者不明の物件が確認されたが、このうち財産管理制度や行政代執行など何らかの方法で対応したのは1割にとどまっており、財源の問題などから多くの自治体が所有者不明物件の対応に苦慮している実態が明らかになった。一方で、積極的に財産管理制度を利用して対応するなどの先進事例があり、こうした知見を自治体間で共有することが業務の円滑化につながると結んでいる。」(『建設通信新聞』2020.02.27)
●「築30年超などのマンションの老朽化対策が一歩進む。政府が28日に閣議決定したマンション管理適正化法などの改正案は、適切な管理をしている物件を認定する制度の創設や、敷地の売却をしやすくする。住民などの区分所有者で組織する管理組合に、修繕積立金の備えや円滑な建て替えを促す狙いがある。国土交通省の推計ではマンションは2018年末時点で全国に約655万戸あり、国民の8人に1人にあたる約1500万人が住むとされる。そのうち築40年を超える物件は12%程度の約81万戸だが、20年後には約367万戸へと4.5倍に膨らむ。一方で滞納や空き部屋による修繕積立金の不足は深刻で、計画に比べて不足するマンションは35%に達する。管理組合の機能不全も課題だ。501戸以上の大規模マンションでは総会の実際の出席割合が14%にとどまるほか、高齢化による役員のなり手不足も深刻だ。マンションを人生の終末期まで過ごす住まいと考える人は増えており、国交省は再生に向けた対策を拡充する。柱の一つが『管理計画認定制度』の創設だ。適切な修繕計画の策定や積み立ての状況、管理組合の活動などを評価する。認定基準は国交省が作成し、認定は自治体が実施する。認定制度も含めて自治体はマンション管理への関与を強めることになる。必要に応じて管理組合に対して指導や助言を実施し、総会を開けていなかったり、積立金が著しく少なかったりする場合は改善を勧告する。」(『日本経済新聞』2020.02.29)

その他