情勢の特徴 - 2020年5月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「内閣府が18日発表した2020年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.9%減、年率換算で3.4%減だった。マイナス成長は2四半期連続。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で2月ごろから輸出や消費、設備投資などが軒並み急減した。19年度の実質GDPは前年度比0.1%減と5年ぶりのマイナス成長となった。…1~3月期はGDPの半分以上を占める個人消費が前期比0.7%減り、2四半期連続のマイナスとなった。増税前の駆け込み消費からの反動減で大幅マイナスを記録した19年10~12月期(2.9%減)から一段と落ち込んだ。外出自粛などの影響で、外食や旅行、レジャー関連の消費が急減した。消費とともに内需の柱である設備投資も0.5%減と2四半期連続で減少した。世界経済の先行きの悪化懸念から企業に設備投資を先送りする動きが広がった。特に増産につながる生産用機械への投資が減ったという。住宅投資は4.5%減。19年10~12月期の2.5%減からマイナス幅は拡大した。消費税率引き上げによる影響で弱い動きが続いた。これまで底堅かった公共投資も0.4%減り、5四半期ぶりのマイナスとなった。内需全体でGDPを0.7%分押し下げた。輸出は6.0%減と2四半期ぶりのマイナスだった。マイナス幅は東日本大震災直後の11年4~6月期(7.5%減)以来の大きさだった。モノの輸出は感染拡大が先行していた中国向けを中心に低迷し、2.3%減った。サービスの輸出は19.1%減。GDP上はサービスの輸出に区分されるインバウンド(訪日客)消費が急減した。輸入は4.9%減で2四半期連続のマイナスに沈んだ。原油や天然ガスの輸入減に加え、日本人の出国が減り海外での支出も減った。新型コロナでサプライチェーン(供給網)が寸断されたことも響いた。外需全体のGDPへの寄与度はマイナス0.2%だった。GDPの外需は輸出から輸入を差し引いて算出する。1~3月期は輸入の落ち込みも大きかったため、GDPへのマイナス寄与度は小幅にとどまった。生活実感に近い名目でみた1~3月期のGDPは前期比で0.8%減、年率換算では3.1%減だった。総合的な物価の動きを示すGDPデフレ一ター前期比プラス0.1%だった。4~6月期のGDPマイナス幅は年率で20%を超え、戦後最大に達するとの見方が多い。」(『日本経済新聞』2020.05.18)
●「政府は大企業と中小間の望ましい取引関係(新たなパートナーシップ)の構築を進める。18日に開いた官民会議で、大企業が無理なコスト低減を要請しないことなどを約束する『自主行動宣言』を策定することで合意。取引適正化を実現していく観点から、建設や建設機械など幅広い業種を対象に、宣言を踏まえた取り組みを求める。8月までに宣言してもらい、中小企業庁がホームページで企業名や宣言内容を公表する。中小企業の取引条件改善を巡っては、政府の要請を受け、元請の業界団体が下請取引適正化に向けた『自主行動計画』を2017年春にまとめた。建設関係では、日本建設業連合会(日建連)と日本建設機械工業会(建機工)がそれぞれ行動計画を策定している。業界団体が作った自主行動計画では、個社の取り組みが比較できない。このため、個社に自主行動宣言してもらい取り組みを『見える化』するのが狙い。行動宣言は、下請中小企業振興法に基づく『振興基準』の順守が柱。取引適正化に関する▽価格決定方法▽型管理の適正化▽現金払いの原則徹底▽知財・ノウハウの保護▽働き方改革に伴うしわ寄せ防止―の重点5分野の取り組みについて、業界の取引形態に合わせて盛り込む。」(『建設工業新聞』2020.05.20)
●「政府は27日夕の臨時閣議で2020年度第2次補正予算案を決定した。一般会計からの追加歳出は31兆9114億円で、補正予算では過去最大となる。事業規模は117兆1干億円程度を見込んでおり、このうち民間金融機関などと組む企業の資金繰り支援が94兆円に上る。4月の第1次補正に続く対応で、新型コロナウイルスの影響が長期化する事態に備える。…一般会計や特別会計の歳出など『真水』と呼ばれる国費は約33兆2千億円、政府系金融機関による投融資は39兆3千億円程度に上る。最も力を入れるのは新型コロナで打撃を受けた企業の資金繰り支援だ。事業規模は財政支出に加え、政府と協力する民間融資なども含むため膨れ上がった。」(『日本経済新聞』2020.05.28)
●「公正取引委員会が2019年度に指導・勧告した下請法違反は8023件で、12年連続で過去最多を更新したことが27日、分かった。発注企業が自社の働き方改革に伴って生じた費用を下請けに肩代わりさせるケースが目立ち、公取委は警戒を強めている。公取委が指導・勧告した発注企業の業種は製造業が3496件(43.6%)で最も多く、卸・小売業1679件(20.9%)が続いた。下請け企業に不利益が及ぶ違反行為(6919件)の内訳は、支払い遅延が52.8%を占め、他には代金の減額(16.6%)、買いたたき(10.4%)が多かった。 19年度の指導・監督の結果、発注側268社が計約27億円を下請けの7469社に返還した。」(『日本経済新聞』2020.05.28)
●「建設経済研究所と経済調査会は27日、建設経済モデルによる建設投資の見通し(5月推計)を発表した。2020年度は各目建設投資を前年度比1.7%減の60兆7500億円と見込み、1月推計の1.8%増、63兆2700億円から下方修正した。19年10月の消費増税と新型コロナウイルス感染症の影響で民間建設投資が落ち込み、全体を押し下げるとみている。 20年度名目建設投資見通しの内訳は、政府建設投資が2.8%増の22兆4800億円、民間住宅投資が6.0%減の15兆7000億円、民間非住宅投資が4.2%減の16兆2700億円、民間建築物リフォーム・リニューアルが1.0%増の6兆3000億円。」(『建設通信新聞』2020.05.28)
●「新型コロナウイルスの感染拡大を受け、中小企業の経営が急速に悪化している。2020年の休廃業や解散は、推計で5万件にのぼりそうだ。中小企業は日本の雇用の7割を占めており、5万社がなくなれば失業への懸念も高まる。雇用や資金面での政府・自治体の支援策を、中小・零細の企業に早急に行き渡らせることが必要だ。調査会社の東京商工リサーチによると、新型コロナによる直接的な影響で倒産した企業が29日までに192社となった。20年の倒産合計は、7年ぶりに1万件を超える見通しだ。だがこの数には、支払いの遅れなどがないまま事業をたたむ休廃業や解散は入っていない。経営者の高齢化や人手不足で事業承継問題が深刻化し、16年から休廃業と解散は年4万件以上の高水準で推移している。そこにコロナによる需要減が追い打ちとなり、20年の休廃業と解散は19年比15%増の5万件に膨らむと推計する。00年の調査開始から最多だ。景気回復時期も見通しにくく『廃業や解散がさらに増える可能性もある』(同リサーチの原田三寛氏)。」(『日本経済新聞』2020.05.31)

行政・公共事業・民営化

●「国土交通省は、建設キャリアアップシステムの活用促進を目的に、直轄工事での取り組み状況を工事成績で評価する『義務化モデル工事』と『活用推奨モデル工事』の実施内容をまとめた。2020年度からすべての地方整備局などで試行を開始し、21年度以降段階的に対象を拡大する予定。あわせて、建設キャリアアップシステムに蓄積されるデータなどを基に、ICTやBIM/CIMの活用効果に関する調査研究にも着手し、モデル工事を技能者の処遇改善に加え、生産性向上にもつなげていく方針だ。」(『建設通信新聞』2020.05.18)
●「PPP/PFI事業で、建設業を中心とする地域企業の参画が進んでいる。地域企業が持つ地域社会の存続に対する責任感や企業間のネットワーク、有事の即時対応力は住民サービスの向上に寄与するため、その強みを生かしながら、産業育成につなげたいと考える自治体が増えたことが要因だ。一方、地域企業の同事業への参画拡大に向け、ノウハウ・提案力不足などが課題となっている。」(『建設通信新聞』2020.05.20)
●「国土交通省は、公共工事品質確保促進法(品確法)で規定された取り組みの状況を各発注者が客観的・相対的に確認できる『全国統一指標』について、昨年の同法改正を受け、新指標として工事3項目、業務2項目を決定した。22日の中部ブロックを皮切りに各地域で開催する発注者協議会の場で、新指標の基準値・目標値や、地域ごとに設定できる独自指標などの検討をスタート。今秋の発注者協議会で内容を決定し、毎年度指標の実績値を公表していく。」(『建設通信新聞』2020.05.21)
●「新型コロナウイルスの緊急事態宣言がすべての都道府県で解除されたことを受け、国土交通省は直轄事業で講じている円滑な発注と施工体制の確保に向けた対策を継続し、公共事業の執行に万全を期す。直轄の工事・業務でこれまで講じてきた一時中止などの措置も継続。工事・業務を再開、継続する際は、3密(密閉・密集・密接)回避といった感染拡大予防対策を徹底する。政府は25日の解除宣言とともに基本的対処方針を改定した。解除後も人との接触を低減する取り組みを推進。『新しい生活様式』が定着するまで、おおむね3週間ごとに感染拡大リスクなどを評価し、外出自粛などの要請を段階的に緩和するとした。解除宣言は一つの通過点で感染症が収束したわけではないことから、国交省は新型コロナの影響を踏まえた特例対応などを継続。直轄発注部局に対し、7日付で通知した『国土交通省所管事業の執行における円滑な発注および施工体制の確保に向けた具体的対策について』に基づき、引き続き新規の対策と既存の対策を推進する。…国交省は建設現場の実態に即した感染予防対策のガイドライン(5月14日版)を策定。日本建設業連合会(日建連)や全国建設業協会(全建)もガイドラインを作成している。内閣官房のホームページで公表している業種別ガイドラインを参考に、感染予防に万全を期す。直轄工事・業務で講じている一時中止などの措置も継続する。受注者から一時中止などの希望がある場合は受注者に責任のない事由として、費用負担を含め適切に対応。22日時点で工事約7500件のうち約110件(1%)、業務約8000件のうち約620件(8%)の申し出があった。件数は徐々に減少しており、一時中止していた現場が再開している。」(『建設工業新聞』2020.05.27)

労働・福祉

●「日本建設産業職員労働組合協議会(鈴木誠一議長)は15日に『2019時短アンケート』の結果を公表した。所定外労働時間(月平均)は前年の47.5時間から43.7時間に減少。全体として着実に労働環境の改善が進みつつあるが、目標としている『月30時間以内』には達していない。長時間労働の是正へ、今後も継続した取り組みが求められることになりそうだ。調査は昨年11月に実施。1万5519人(内勤者=6953人、外勤者=8565人)から回答を得た。所定外労働時間(月平均)は外勤が前年の64.2時間から59.2時間、内勤も26.5時間から24.5時間に減少。全体でも前年比3.8時間の減少となる43.7時間と着実な減少傾向を示す。それでも外勤建築が61.7時間、外勤土木は59.5時間と、いわゆる外勤技術者の所定外労働は依然として高い水準のまま。月100時間以上の所定外労働を行っている割合も外勤建築が12.4%、外勤土木が8.4%と一層の改善が求められている状況に変わりない。実際に残業した理由として挙げられているのは『書類等の業務』。発注者への提出書類の削減や簡素化が時短への重要なポイントになっている。労働時間の短縮に『発注者による適正な工期設定』を求める声が多い実情からも、労働環境の改善に発注者が果たすべき役割は大きい。時間外労働に対する上限規制の適用を見据える中で、産業全体として時短への意識は浸透してきているが、会社や上司からの『仕事の状況を考慮しない時短の指示』や『勤務時間の申告に自主規制の圧力がある』など“時短ハラスメント”とも言える状況も見え隠れしている。休日の取得日数も4週8閉所の作業所が9.2日であるのに対して、4週3閉所以下で6.4日と作業所の閉所設定が休日の取得日数を左右していることは明らか。外勤者にとって作業所の閉所設定が休日取得へのキーポイントになっている状況からすれば、ここでも適正な工期設定など発注者の理解と協力が不可欠であることが浮き彫りになっている。一方、有給休暇の取得日数は全体で6.6日、内勤が8.4日、外勤が5.2日だった。『5日付与』の義務化もあってか、かつて2日にも満たなかった外勤が5日を超えたのは調査を開始して以来初めてだという。」(『建設通信新聞』2020.05.18)
●「新型コロナウイルスの影響による解雇・雇い止めが1万人を超えた。首都圏などで緊急事態宣言にともなう休業が長引き、職を失う人が急速に増えてきた。特に景気悪化時に契約を打ち切られやすい派遣社員などの非正規雇用への懸念が高まっている。厚生労働省は非正規の解雇・雇い止めの実態をつかめていなかったが、調査に乗り出す方針だ。厚労省が全国の労働局を通じてまとめた解雇・雇い止めは21日時点で1万835人となった。このうち5月だけで7064人と大半を占めている。宿泊業や道路旅客運送業、飲食業など、コロナの影響が直撃している業種で解雇などの動きが広がっているという。ただ厚労省では正規か非正規かといった区分もできておらず、実態を把握しきれていない。」(『日本経済新聞』2020.05.23)
●「2019年(1-12月)の建設業での労働災害による死亡者数は、2年連続して減り、休業4日以上の死傷者数も3年ぶりに減少に転じたことが、厚生労働省が27日にまとめた19年の労働災害発生状況(確定値)で分かった。死亡者数は前年比12.9%減(40人減)の269人と過去最少になった。これまで16年の294人が死亡者数の最小で、さらに25人下回った。死傷者数は1.2%減(191人減)の1万5183人だった。18年比では0.4%増(54人増)。建設業の死傷者数は5年続けて1万5000人台となったことから、13、14年の1万7000人台と比べ、中長期的には減少している。」(『建設通信新聞』2020.05.28)
●「厚生労働省は27日、労働災害統計の死亡災害発生状況には含まれない建設業での『一人親方』の死亡者数が、2019年(1-12月)は前年比5人増の60人だったことを明らかにした。労働者扱いとはならない中小事業主や役員、家族従事者も含めた『一人親方など』の19年死亡者数は4人減の92人だった。中小事業主の死亡者数が前年の34人から7人減の27人となった。 19年の『一人親方』の死亡者数60人を事故別にみると、『墜落・転落』が全体の3分の2を占める40人と突出して多かった。ほかは『はさまれ・巻き込まれ』と『高温・低温の物との接触』で各5人が亡くなっている。」(『建設通信新聞』2020.05.28)
●「新型コロナウイルスの感染拡大による影響が雇用や生産を直撃している。総務省が29日発表した4月の休業者数は597万人と過去最多だった。非正規の職員・従業員数(実数ベース)は前年同月比で97万人減少した。経済産業省が29日発表した4月の鉱工業生産指数速報(2015年=100、季節調整済み)は前月比9.1%低下し87.1と大幅に低下した。…4月の完全失業率(季節調整値)は2.6%で前月から0.1ポイント悪化した。完全失業者数は178万人で6万人増えた。就業者数は非正規労働者を中心に前月に比べ107万人減少した。1963年1月以来の下げ幅となった。景気の悪化が長引けば、企業は休業者を雇い続けるのは難しくなる。失業していても感染拡大の影響で求職活動をしていない人も多い。2.6%にとどまっている失業率は今後、跳ね上がる可能性がある。厚生労働省が29日発表した4月の有効求人倍率(季節調整値)は1.32倍で前月から0.07ポイント低下した。16年3月以来、4年1カ月ぶりの低水準となった。景気の先行指標となる新規求人は前年同月比で31.9%減と09年5月以来、10年11カ月ぶりの下げ幅となった。」(『日本経済新聞』2020.05.29)
●コロナ禍が女性の命と暮らしを直撃していることが、国の調査ではっきり示された。総務省が29日に発表した4月の「労働力調査」によると、非正規雇用労働者は前年同月比で97万人減少し、比較可能な2014年以降で最大の下げ幅を記録。そのうち女性が71万人を占めた。業種ごとの前年同月比の減少幅は、「宿泊業、飲食サービス業」が最大で46万人。同業種は女性の占める割合が高い分野です。女性の非正規労働者は2カ月連続で減少し、2月の1487万人から1379万人へと、減少幅は108万人に上った。同期間の女性の正規労働者は46万人の増加にとどまった。(『しんぶん赤旗』2020.05.31より抜粋。)

建設産業・経営

●「新型コロナウイルスの感染防止対策を徹底しながら、建設現場が稼働を続けている実態が明らかになった。日本建設業連合会(日建連、山内隆司会長)が会員企業を対象に実施した調査によると、請負金額3億円以上の公共土木工事1487現場のうち、『工事を一時中止している』と回答したのは56現場だった。5月の大型連休後に現場を再開したところもあり、全国の現場の95%以上が稼働していることになる。」(『建設工業新聞』2020.05.18)
●「国土交通省は、建設工事受注動態統計調査の2019年度の貧計結果をまとめた。全体の受注高は前年度比5.2%減の82兆4209億円。19年10月1日以降の引き渡しでも消費税率8%が適用できる消費税特例の期限が18年度末までであったことから、19年度に入って民間からの受注が減少した。公共受注は前年比で増加したが、民間のマイナスが大きく、全体として減少となった。内訳は元請受注高が9.5%減の54兆5400億円、下請受注高が4.4%増の27兆8809億円となっている。業種別では、総合工事業が7.8%減の49兆5733億円、職別工事業が6.0%増の11兆3255億円、設備工事業は4.3%減の21兆5222億円となった。」(『建設通信新聞』2020.05.19)
●「発注者の工期設定は短すぎる―。日本建設業連合会(日建連、山内隆司会長)が会員企業を対象に実施したアンケートで、発注者の工期設定に対して5割近くの現場が『短すぎる』と回答した。『施工条件が不確定』『現場状況から工事着手できない』といった理由から、工期の確保に苦労している現場の窮状を訴える意見が目立った。短すぎる工期によって休日確保へのしわ寄せや効率的な施工に支障が生じるなど、現場運営を円滑に行う上で発注者の工期設定の在り方が問われている。…受注した工事の工期設定について41社を対象に調査し、1286現場から回答を得た。発注者別にみると、工期が『短すぎた』と回答した割合は▽国(河川・道路)52%▽国(港湾・空港)38%▽道路関係会社47%▽機構・事業団64%▽地方自治体46%。全体の48%が発注者の工期設定に不満を持っている実態が浮き彫りになった。」(『建設工業新聞』2020.05.22)
●「上場大手ゼネコン4社の2020年3月期の決算が出そろった。各社とも手持ち工事の順調な進捗で売上高は好調で、大林組と鹿島が2兆円を超えた。21年3月期業績予想は、大林組と清水建設が発表を見送った。新型コロナウイルス感染拡大による国内での影響は限定的とみられるものの、海外を中心に売上・利益とも打撃を受ける見込み。今後は、社会変化に伴う建設需要の変化への対応が重要になる。20年3月期決算は、4社とも増収を確保し、大林組は売上高で過去最高を記録した。利益面では、一部で損失引当金を計上するなど厳しさもみられた。20年3月期での新型コロナウイルス感染拡大による売上・利益の影響は、ほとんどみられなかった。」(『建設通信新聞』2020.05.26)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「国土交通省の有識者会議は25日、広域的な幹線道路網の機能強化に向けた提言で中間報告案をまとめた。都市間の連絡状況や新技術の開発・普及、災害対応などの現状を踏まえ、効果的なネットワークの構築に向け『ブロック都市圏の形成』など五つの基本戦略を立案。一般国道や地方道などのうち、重要な拠点間を連絡する『広域道路網』の定義や役割も明確化した。『新たな広域道路ネットワークに関する検討会』(座長・朝倉康夫東京工業大学環境・社会理工学院教授)の第3回会合をウェブ会議システムで開き、中間報告案を議論した。中間報告案では広域道路網の機能強化に向けた基本戦略として▽中枢中核都市などを核としたブロック都市圏の形成▽大都市圏の競争力や魅力の向上▽空港・港湾などの交通拠点へのアクセス強化▽災害に備えたリダンダンシー(多重性)の確保と国土強靭化▽国土のさらなる有効活用や適正な管理―の五つで方向性を提示した。」(『建設工業新聞』2020.05.26)
●「国土交通省は頻発する激甚な水災害を踏まえ、全国の1級水系(99水系)を対象に『流域治水プロジェクト(仮称)』を立ち上げる。河川整備計画を基に、治水分野で早急に講じるべき事前防災の対策メニューを地方自治体と連携して検討する。流域ごとに取り組みの全体像や効果を明示し、国民の理解促進や事業展開の加速に結び付けたい考え。台風19号で被災した7水系で展開する再度災害防止対策と、気候変動を考慮した抜本的な対策と3本柱で治水対策の実効性を高める方針だ。流域治水プロジェクトでは、水系ごとに河川整備計画の情報を洪水の流下目標や対策に落とし込む。事前に実施すべき▽堤防整備や河道掘削、ダム再生といった河川対策▽土地利用規制・誘導など流域対策▽ソフト対策―などのメニューをまとめる。情報提供の方法は、台風19号で決壊した阿武隈川(宮城、福島県)など7水系で取り組む『緊急治水対策プロジェクト』をモデルにする。検討作業には河川管理者だけでなく、都道府県や市町村も参加。情報を自治体主導の防災街づくりなどに生かしてもらう。」(『建設工業新聞』2020.05.28)

その他