情勢の特徴 - 2020年11月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●総務省が6日発表した9月の家計調査によると、1世帯(2人以上)当たりの消費支出は26万9863円となり、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比10.2%減少した。マイナスは12カ月連続。引き続き新型コロナウイルスの感染拡大が響いたほか、昨年10月の消費税増税前の駆け込み需要の反動もあり、前月(6.9%減)より下げ幅が拡大した。(『しんぶん赤旗』2020.11.07より抜粋。)
●「中小企業庁は、さまざまな業種の企業が下請中小企業振興法の振興基準順守などを表明する『パートナーシップ構築宣言』で、3回目となる公表企業をまとめた。今回は8月7日から10月29日の公表分で、企業数は337社に上る。うち建設業は49社で、鹿島、大成建設、大林組、清水建設の大手ゼネコン4社が宣言した。中企庁は、宣言企業に対するインセンティブ(優遇措置)の充実を進めており、加点措置を講じる補助金を追加した。大手4社の宣言内容をみると、振興基準を順守する姿勢を明確化している。独自の取り組みとして、鹿島は魅力ある建設業の実現に向け、次世代の担い手確保と機械化・ロボット化などによる生産性向上と安全・安心な作業環境の実現に努めると表明した。大林組は、『働く人の安全と健康を確保し、快適な職場環境を形成するとともに、調達先と公正な取引を行い、ともに成長発展するパートナーとして信頼関係の強化に努める』と明記した。清水建設も『取引先と互いの立場を尊重し、良きパートナーとしての関係を構築していくため、調達基本方針を定め、徹底する』とした。パートナーシップ構築宣言には、『サプライチェーン全体の共存共栄と規模・系列などを越えた新たな連携』に関する項目もある。4社は、『日本建設業連合会の定める「下請取引適正化と適正な受注活動の徹底に向けた自主行動計画」を踏まえ、適正取引を実行するとともに、協力会社などに対して適正取引の普及啓発と人材育成などの支援に努める』との姿勢を示した。」(『建設通信新聞』2020.11.09)
●「菅義偉首相は10日の閣議で、2020年度第3次補正予算案の編成を指示した。『新型コロナウイルス感染症の拡大防止策』『ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現』『防災・減災、国土強靭化の推進などの安全・安心な暮らしの確保』を柱に追加の経済対策を策定し、21年度当初予算案と一体的な『15カ月予算』として打ち出す。新型コロナの影響による景気の落ち込みや雇用情勢の悪化に対応する。」(『建設通信新聞』2020.11.11)
●「テレワーク(在宅勤務)の浸透・拡大は、本社機能を東京都内に置いていた企業の『東京離脱』を加速しかねないことが国土交通省の調査で浮き彫りになった。国交省が東京都内に本社を置く上場企業を対象に実施したアンケートの結果(速報)によると、本社に所在する部門・部署の配置見直し(移転、縮小)を具体的に検討している企業の割合は26%となる。このうち14%が2020年に検討を始めた。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、多くの企業がテレワークを経験した影響とみられ、国交省は『賃料が高い東京都心に必ずしも立地しなくてもよいという認識が広がりつつある』と分析している。12日に開いた『企業等の東京一極集中に関する懇談会』の第4回会合に報告した。8、9月に2024社を調査し、19%の389社から有効回答を得た。経営企画部または人事部の管理職を調査対象としている。」(『建設通信新聞』2020.11.13)

行政・公共事業・民営化

●「大阪市を廃止して特別区を設置する『大阪都構想』の是非を問う住民投票が1日投開票され、反対多数で否決した。2015年の前回の住民投票に引き続き僅差で、大阪市は政令指定都市として存続することが決まった。10年間続いた都構想の議論が事実上、決着した。…開票結果は反対が69万2996票、賛成が67万5829票。反対が賛成を約1万7000票上回った。」(『日本経済新聞』2020.11.02)
●「都道府県で建設キャリアアップシステム(CCUS)の普及・活用に向けた取り組みが広がっていることが、国土交通省の調査で分かった。10月時点で、公共発注の企業評価にCCUSを導入または検討と回答したのは42都道府県(前回7月調査39都道府県)。うち年度内実施を含め導入済みが10県(前回8県)だった。国交省は自治体職員向けのCCUS活用促進相談窓口の開設や、推奨モデル工事の実施要領ひな型の促成など、自治体のCCUS活用を後押しする。国交省は4月に都道府県など公共発注団体に対し、国交省直轄のCCUS義務化モデル工事や、総合評価で加点など先行自治体の取り組みを踏まえ、活用・促進や理解・協力を要請。CCUSの活用促進が公共工事入札契約適正化法(入契法)の適正化指針に明記されたことを受け、公共発注者に適切な対応を求めた。…CCUSの活用が市にも広がり始めている。郡山市は競争入札参加資格審査で、浜松市と神奈川県茅ヶ崎市は総合評価方式で加点評価している。国交省は入契法に基づく実態調査などで、政令市や市区町村を含めた自治体の導入状況をフォローアップしていく方針だ。」(『建設工業新聞』2020.11.04)
●「国土交通省は、小規模な自治体など地方の公共発注者が抱える体制上の課題改善に向け、建設プロジェクトで発注者を支援するCM方式のさらなる活用拡大を後押しする。町や村など小規模自治体を中心に、技術系職員の不足による発注体制の脆弱化が顕在化しており、地元の中小建設企業にも影響を及ぼすことになりかねない。同省は解決策に向けガイドラインの策定やモデル事業などを通じた取り組みを展開する。」(『建設通信新聞』2020.11.09)

労働・福祉

●「2017年3月卒業者で建設業に就職した4万626人のうち、就職後3年以内に仕事を辞めたのは1万5199人で、卒業後3年以内離職率が37.4%となったことが、厚生労働省が10月30日にまとめた新規学卒就職者の離職状況から明らかになった。前年(16年3月)の卒業者と比べ離職率は1.0ポイント増えた。このうち高卒者は1万4968人の就職に対し、6853人が仕事を辞めたことから、3年以内離職率は0.5ポイント増の45.8%だった。前年と比べ離職率が若干高くなり、建設業への定着がわずかに後退した。離職率が上がったのは5年ぶりで、2人に1人弱が離職する状況が続いている。全産業の高卒離職率39.5%と比べ、建設業の離職率は6.3ポイントも高い。来年以降、コロナ渦を経てどういう変化を見せるかが注目される。大卒者の17年3月卒業者は2万976人が就職し、3年以内に6191人が離職、離職率は1.7ポイント増の29.5%となった。3年ぶりに離職率が高くなったものの、全産業の大卒離職率32.8%と比べ、建設業の離職率は3.3ポイント低い。大卒建設業の3年以内離職率が30%を下回ったのは3年連続となる。」(『建設通信新聞』2020.11.02)
●「全国鉄筋工事業協会(全鉄筋、岩田正吾会長)は、技術研さんを目的に他社の施工現場への在籍出向が効率的に行えるようにする『技術研さんマッチング支援システム(MSI)』を2021年1月から本格運用する。すでにシステム開発を終えテスト運用に入っている。全会員企業を対象に運用を始める。各企業間での技能者の在籍出向体制をシステム化し、合法的な仕組みを整える。」(『建設工業新聞』2020.11.02)
●「鉄筋工事業界の5人に1人は外国人就労者で、業界には欠かせない存在となっている。全国鉄筋工事業協会(岩田正吾会長)のまとめた2020年度就労人口調査結果によると、就労人口4万32人のうち外国人就労人口(実習生プラス就労者)は7287人で18%を占めることが分かった。会員外を含めた全国の鉄筋工を4万7524人と想定する。調査は傘下の43組合1053社に対して887社から回答を得た。回答率は84%。4万32人の就労者数のうち、1次下請企業は1万7139人、2次下請企業以下が2万2893人。1社当たりの平均就労者数は45人。回答社数が異なり、回答率も89%から84%となっているため前年度と単純に比較できないが、前年の4万2090人から2000人超の減少となっている。直用比率は43%で、大都市圏ほど低く、北陸など地方ほど高い。これを地域別に見ると、関東地区が47%を占め、次いで関西地区17%、九州地区9%、東海地区、北信越地区の6%と続く。これを現場作業員に限ると、3万1492人(1次下請企業9713人、2次下請企業以下2万1779人)で、1社当たり平均36人。直用比率は31%に低下し、特に、関東、関西、中部が低く、ほかの地域は50%を超えている。会員外を含めた現場就労者数は3万5201人と推定する。」(『建設通信新聞』2020.11.04)
●非正規労働者を取り巻く雇用情勢が悪化している。とりわけ女性雇用への打撃が深刻だ。役員を除く非正規の職員・従業員数は9月、前年同月比で123万人減少した。3月から7ヵ月連続でマイナス圏に沈み、回復基調には至っていない。…特に大きな打撃を受けているのが、女性の非正規労働者だ。1月から9月までで、約54万人の雇用が失われた。男性の16万人減に対し、3倍以上だ。前年同月と比較しても、非正規雇用の減少に占める女性の割合は、およそ6~7割と半数以上を占める。(『しんぶん赤旗』2020.11.05より抜粋。)
●「建設キャリアアップシステム(CCUS)のカードタッチ数(就業履歴数)が徐々に伸びてきた。月別の就業履歴数を見ると▽8月=62万735回▽9月=81万3568回▽10月=89万3377回―と3ヵ月連続で増加。試行を開始した2019年1月からの累計タッチ数は626万397回となった。20年度にカードタッチ総数720万回という目標の達成が近づいてきた。」(『建設工業新聞』2020.11.06)

建設産業・経営

●「国土交通省が10月30口に発表した建設大手50社の工事受注動態統計調査によると、2020年度上半期(4~9月)の受注総額は前年同期比9.0%減の5兆4899億円となった。公共工事は増加したものの民間工事の落ち込みが響いた。海外での受注も伸びなかった。受注総額の内訳は、国内が6.7%減の5兆4194億円、海外が68.4%減の705億円。国内受注額の内訳を見ると、民間工事が15.0%減の3兆7208億円、公共工事が22.9%増の1兆4391億円だった。」(『建設工業新聞』2020.11.02)
●「日本建設業連合会(日建連、山内隆司会長)がまとめた会員企業95社の2020年度上期(4~9月)の総受注額は、5兆4896億円となり前年同期の実績を10.1%下回った。上期の総受注額が6兆円に届かなかったのは8年ぶり。新型コロナウイルスの流行によって民間工事で発注手続きの中止や延期が相次いだ年度当初の落ち込みが響いた。ただ下期に大型案件を控え期初の受注目標が射程圏にある会員もいる。通期では例年並みの水準に回復する可能性もある。」(『建設工業新聞』2020.11.05)
●「地域建設業の約9割が人員、機材を3年間変わらずに維持している――。全国建設業協会(奥村太加典会長)が傘下団体の会員企業を対象に実施したアンケートの結果から地域建戯業の大半が、“施工余力”を十分に確保していることが分かった。一方、定年に伴う人員の『自然減』とそれを補う若年層の新規採用難は現実味を帯びており、体制維持に対する危機感は年々高まっている。」(『建設通信新聞』2020.11.10)
●「上場大手ゼネコン4社の2021年3月期第2四半期の決算が出そろった。建設需要が端境期となり4社すべてが減収となり、鹿島を除く3社が減益となった。ただ、過去着工分における新型コロナウイルス感染拡大の国内の影響は限定的で、海外でも一定の影響にとどまった。一方で、受注環境は厳しく、建築の受注高が4社いずれも前年同期を下回り、通期予想に対する進捗率も3割程度となった。下期にかけて巻き返しが必要になるため、国内建築を中心とする競争のさらなる激化が予想される。」(『建設通信新聞』2020.11.12)
●「戸建て住宅各社の業績が好調だ。オープンハウスは13日、2021年9月期の連結営業利益が前期比11%増の690億円になりそうだと発表した。9期連続で過去最高を更新する。飯田グループホールディングスも21年3月期は4期ぶりの最終増益を見込む。新型コロナウイルス禍による在宅勤務の拡大で、都心や郊外で部屋数の多い住宅を求める人が増えている。オープンハウスの今期の連結売上高は同10%増の6340億円、純利益は同16%減の500億円を見込む。前期に、プレサンスコーポレーションを持ち分法適用会社にしたため負ののれん発生益137億円を計上した反動が出る。売り上げの先行指標になる仲介契約件数は7~9月で前年同期比48%増えた。テレワークの普及などで在宅時間が増え、部屋数の多い広い住宅を求める動きが強まっている。戸建て人気は郊外にも広がる。郊外の住宅分譲が中心の飯田GHDは、21年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比8%増の580億円になるとの見通しを9日に発表した。従来予想は未定としていた。17年3月期以来の最終増益を見込む。足元では戸建て分譲の販売棟数と価格がともに伸びている。」(『日本経済新聞』2020.11.14)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「東京都の中央卸売市場が築地(中央区)から豊洲(江東区)に移転して10月で2年。豊洲市場は新たな流通基地として定着したが、築地の跡地開発は新型コロナウイルスによる東京五輪・パラリンピック延期や観光産業などの業況悪化で先行きが不透明。跡地を保有する都は市場移転に続いて難題を抱える。築地市場の跡地23ヘクタールは、都心と湾岸をつなぐ幹線道路『環状2号線』で大きく2区画に分けられる。全体の面積の約7割を占める北側の区画は地面が舗装され、無数の白線が引かれている。今年3月に完成した五輪・パラリンピック用の車両基地だ。最大でパス830台、乗用車1500台が駐車できる。湾岸にある選手村から、各競技場へ選手らを送迎する車両の待機場所として活用される予定だ。南側の区画では環状2号線と平行するようにトンネル建設が進む。実はこのトンネルが環状2号線の本線で、現在地上を走っている道路は暫定路線。本来は五輪前にトンネルを開通させる予定だったが、小池百合子知事が豊洲市場への移転を約2年延期した影響で、工事が間に合わなかった。その本線も2022年度中には完成し、築地や汐留近辺の大きな交差点を避けて新橋・虎ノ門方面に直通できるようになる見通しだ。10月からは環状2号線を通って虎ノ門と湾岸を結ぶバス高速輸送システム『東京BRT』の試験運行も開始。築地は都心と湾岸を結ぶ重要な結節点になりつつある。交通インフラの整備が進む一方で、築地市場跡地の街づくりの方向性は見えてこない。五輪延期による開発業者選定の遅れや、新型コロナの影響で不動産市場に先行き不透明感が出てきたためだ。都は19年3月、市場を運営する会計に属していた築地の土地を一般会計で引き取った。当時の時価評価に基づく価格は約5600億円。都はこの一等地を数十年単位で民間に貸し付け、民間資金による再開発を計画している。…ところが、跡地開発は足踏みを強いられている。都は20年度、敷地の東側の一部について開発業者を先行募集する予定だったが、9月に方針を撤回。22年度に跡地全体の開発業者を公募する方針に切り替えた。跡地には船着き場やバスターミナル、ホテルなどの建設を想定していたが、五輪延期で着工時期がずれ込んだうえ、新型コロナによる観光業の業況悪化で事業見通しが立たなくなったためだ。今後の開発の方向性はどうなるのか。都は19年3月にまとめた『築地まちづくり方針』に基づき、開発業者の公募要領を1年ほどかけてまとめる方針だ。詳細な計画は民間の提案に委ねるが、隅田川の河口に位置し、浜離宮恩賜庭園や銀座に隣接する好立地を生かし、国際的な交流拠点にするという基本コンセプトを守ってもらう。都の『まちづくり方針』では、跡地利用の具体例として国際会議場、展示施設、大規模集客施設、上質なホテルなどが挙げられている。地元の中央区幹部も『大規模な国際イベントの関係者が丸ごと宿泊できるよう、3000人が宿泊できる規模のホテルが必要だ』と話す。だが、目下のところ新型コロナが収束する気配はなく、訪日外国人客の回復も見通せない。民間事業者の間では国際的な施設を整備する機運はしぼみつつある。」(『日本経済新聞』2020.11.02)
●「国土交通省は10月30日、2020年度上期(4-9月)の建築着工統計調査報告を発表した。新設住宅着工戸数は前年同期比11.3%減の41万4039戸となった。60年ぶりの低水準が続く持家をはじめ、2年超減少が継続している貸家などを中心に着工戸数が落ち込んだことから、年度上期としては直近10年間で最低となった。」(『建設通信新聞』2020.11.02)
●「長く活況を呈していたオフィス市場が転換局面に入った。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気の後退と働き方の見直しで、オフィス需要が減退するのではないかとの見方は多い。東京都心では過去最低水準だった空室率が急上昇、2008年のリーマン・ショック前の高値を超えた賃料にも下落圧力が強まりつつある。日本経済新聞社のオフィスビル賃貸料調査によると、20年下期の東京の新築ビル(築後1年未満)の賃料を示す指数(1985年2月=100)は、前年同期に比べて24.89低い167.39だった。20年に竣工した大規模物件はほぼ満室で開業するなど、空室の募集自体が少ないのも指数が下がった一因とみられる。既存ビル(築後1年以上)の指数は、同5.74ポイント上昇し159.33だった。ここにきてやや賃料を下げる動きも出ているが、相場水準が昨年よりも高くなっており、前年同期比では上がる結果になったとみられる。」(『日本経済新聞』2020.11.04)
●東京外かく環状道路(外環道)工事との関係が注目されている東京都調布市の陥没事故(10月18日)。陥没現場付近でトンネル掘削していたシールドマシン(掘削機)に、掘進困難となる重大トラブルが起きていたことが編集部の調べで分かった。トラブルについて事業者の東日本高速道路は専門家に相談。国士交通省も報告を受けたにもかかわらず、住民に隠したまま工事が進められていた。関係者によると、鹿島建設を幹事社とする共同企業体(JV)のシールドマシンが陥没地点付近を通過した9月中旬、地盤の礫層(砂利の層)の影響でシールドマシンの掘削断面のカッターが重くて回らなくなり、掘り進めなくなった、という。…東日本高速は9月下旬から10月上旬、この事態を専門家に伝え、対策を相談。専門家は「ベントナイト」という添加剤を使用するようアドバイスした、と関係者は明かす。潤滑油の役目を果たす土の細かい粒子が少ない地盤では、起泡剤やベントナイトなどの添加剤が用いられる。「専門家に相談に行くというのは相当深刻な事態だ」と指摘するのは、シールドマシンに詳しいゼネコン関係者。「その時期に振動を訴えた住民が多いのは、掘り進めなくなり、カッターを無理に正逆回転や空回しさせたからと推測される。砂や粘土など土の細かい粒子が少なく礫の割合が高いところでは、振動が大きく伝わる。この時に土砂を取り込み過ぎて陥没をもたらした可能性がある」と解脱する。トンネル施工等検討委員会の小泉淳委員長も10月23日の会見で、「カッターを回そうとしても重くて回らない」「土が取り込めなければ前に動かせない(中略)そんな状況があったのはJVのヒアリングだと事実」と説明している。…陥没現場付近ではボーリング調査が始まり、12月中旬まで合計8カ所で実施予定。ゼネコン関係者は「地表付近の調査だけでは不十分だ。陥没の原因として考えられるのがシールドマシンによる土砂の取り過ぎだ。掘進データや土量のデータこそ公表すべきだ」と指摘する。…前出の小泉委員長は「土量のデータの平均値は見たが、問題ないという印象だ。詳細なデータはまだ見ていない」と話しているが…。ゼネコン関係者は指摘する。「土砂の取り込み過ぎを判別するには、あくまでも陥没箇所付近のトンネル断面の1周分(1リング)ごとの土砂量を見る必要がある。10とか20リングの平均値では判別はできない」。なぜ、東日本高速は施工にかかわる調査を最初からやろうとしないのか―。外環道工事は、「大深度地下法」(大深度地下の公共的使用に関する特別措置法)に基づいて行われている。地下40メートルより深いところでの掘削工事は、地上に影響が及ばないので、用地買収や地権者の同意がいらないとするものです。しかし土砂の取り込み過ぎなど施工ミスが地表に影響を及ぼしたとなれば、その前提が崩れることになる。(『しんぶん赤旗(日曜版)』2020.11.08より抜粋。)
● 7月の豪雨で氾濫した熊本県の球磨川流域の治水対策として、同県が支流の川辺川ダムの建設を容認する方向で調整していることが11日わかった。浦島郁夫知事は県議会などの意見を聞いたうえで、11月中にも表明する見通し。(『日本経済新聞』2020.11.12)

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