情勢の特徴 - 2021年2月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「政府は地方自治体の歳入・歳出見込み額を示す2021年度の地方財政計画を決定した。東日本大震災の復旧・復興事業分を除く通常収支分の歳出総額は前年度比1.0%減の89兆8060億円。このうち全額が公共事業費に充てられる投資的経費は6.5%減の11兆9273億円となる。投資的経費として21年度知財計画に計上された自治体の公共事業費の内訳は、国庫補助負担金を伴わない自治体単独事業が1.6%増の6兆2137億円。国直轄事業への自治体負担分が10.9%減の5725億円、国庫補助事業が14.4%減の5兆1411億円となった。」(『建設工業新聞』2021.02.02)
●「政府は2日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて発令していた緊急事態宣言の延長を決めた。栃木県を除く10都府県は3月7日まで1カ月延ばす。午後8時までの飲食店の時短営業の要請などこれまでの対策は続け、新たに日中も不要不急の外出は自粛するよう求めた。宣言を延長するのは東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知、岐阜、大阪、京都、兵庫、福岡の10都府県。多くは病床の逼迫度などが4段階の感染状況で最も深刻な『ステージ4』にある。栃木県は状況が改善したため7日で解除する。…宣言の解除は『ステージ4』からの脱却が条件になる。『直近1週間の人口10万人あたりの新規感染者数』など6指標で総合的に判断する。」(『日本経済新聞』2021.02.03)
●「東京商工リサーチは2日、新型コロナウイルスに関連した全国企業倒産件数が1千件になったと発表した。関連の失業も8万4773人に達した。営業時間の短縮や外出自粛などで売上高の低迷が続き、外食で行き詰まる企業が増えている。コロナ倒産1千件のうち業種別では外食が182件で最も多い。コロナ失業(8万4773人)でも、外食が1万1463人と全体の13%を占めサービス業で最大だ。…資本金1千万円以上の企業を対象とする財務省の法人企業統計によると、2020年7~9月期の飲食サービス業の経常損益は1094億円の赤字だった。上場する外食企業23社の20年11月末の有利子負債総額は1年前に比べて4割増えた。緊急事態宣言の再延長は外食に追い打ちをかけるが、宣言解除後も営業自粛が続く可能性がある。」(『日本経済新聞』2021.02.03)
●「新型コロナウイルス禍で日本の人口減少が加速している。総務省がまとめた2020年の減少数は概算で42万人と過去最大だった19年の32万9千人を上回った。少子高齢化による自然減少を補ってきた外国人の入国が7月までの前年同期比で6割も減少している。コロナ禍で企業活動が打撃を受けても、産業全体をみれば人手不足感がなお残っている。21年初めの外国人を合わせた日本の総人口は概算で1億2557万人。1年間で42万人減り、12年連続のマイナスとなった。減少幅が最大になるのは2年連続だ。…新型コロナの感染拡大を防ぐ入国制限などにより、外国人入国者(滞在3カ月超)が187万5千人から円万5千人に減ったことが響いた。近年の日本の人口は大幅な自然減の一部を外国人入国者が補う構図が続いてきた。飲食店やコンビニエンスストア、製造業や建設業などの人手不足を和らげてきた。…人手不足感はコロナ下でも残っている。日銀の12月の全国企業短期経済観測調査では、雇用が『過剰』と答えた企業の割合から『不足』の割合を引いた雇用人員判断指数が全規模・全産業でマイナス10だった。最初の緊急事態宣言期間後の6月はマイナス6だったが、再び不足感が高まった。…21年は日本の出生数の急減も見込まれる。厚生労働省がまとめた20年1~10月の妊娠届は72万7219件と前年同期から5.1%減った。1~11月の婚姻件数は前年比12.8%減少した。妊娠届が顕著に減り始めたのは20年5月だった。出生数に影響するのは12月ごろからとみられる。第一生命経済研究所と日本総合研究所はそれぞれ、19年に86万5千人と最少だった日本人の出生数が21年に70万人台に落ち込むと推計する。婚姻の減少は翌年以降の出生数に響きやすい。22年に入っても人口の大幅な減少が止まらない可能性がある。」(『日本経済新聞』2021.02.04)
●「感染拡大が続く新型コロナウイルスが、ひとり親世帯の家計を直撃している。非正規雇用の親も多く、出動シフトが減るなどしてコロナ前と比べて6割が減収か無収入になったとの調査結果もある。緊急事態宣言の延長で窮状はさらに深刻化する恐れがあり、現場からは継続的で取りこぼしのない支援を求める声が上がる。ひとり親世帯を支援するNPO法人『しんぐるまざあず・ふぉーらむ』(東京・千代田)に深刻な生活困窮の相談が急増している。2020年度の相談件数は21年1月時点で1300件を超え、すでに19年度の5倍にあたる。ひとり親世帯向けフードバンクを運営するNPO法人『グッドネーバーズ・ジャパン』(東京・大田)の20年12月の調査では、コロナ前と比べて収入が『減った』『なくなった』と答えた人が6割を超えた。解雇やシフト減を理由に挙げる回答が85%に達した。10都府県で緊急事態宣言が延長されたことで、飲食店などで働くひとり親の減収リスクは高まっている。厚生労働省の全国ひとり親世帯等調査(16年度)によると、約142万のひとり親世帯のうち、約86%が母子世帯で、その4割超が非正規就労だった。同省の国民生活基礎調香(18年)では、世帯別の相対的貧困率はひとり親世帯が48.3%で、ふたり親世帯(11.2%)を大幅に上回った。」(『日本経済新聞』2021.02.06)
●「家計の消費余力が高まっている。総務省が5日発表した2020年の家計調査によると、2人以上の勤労者世帯で収入から支出に回さなかった貯蓄額は月平均で17.5万円だった。比較可能な00年以降で最大だ。新型コロナウイルス禍による外出自粛で大幅に支出が減る一方、1人10万円の特別定額給付金で収入が増えた。コロナ禍の行方によるが、21年以降には抑えられていた需要が喚起される可能性がある。20年の消費支出は2人以上の世帯で月平均27万7926円で、物価変動の影響を除いた実質で前年から5.3%減った。下げ幅は比較可能な01年以降で最大になった。コロナ禍で外出の機会が減り、交通費(49.8%減)、宿泊料(43.7%減)などが大きく落ち込んだ。一方、収入は2人以上の勤労者世帯の月平均で60万9535円と前年比4.0%増えた。上げ幅は01年以降で最大だ。1人当たり一律10万円の特別定額給付金も寄与した。総務省は『収入は増えたのに、コロナで必要なところ以外にはお金を使えない状況だった』と分析する。この結果、収入の多くが貯蓄にまわった。可処分所得は前年から4.6%増の月平均49万8639円。このうち消費の割合が61.3%と前年から6.6ポイント低下し、貯蓄の割合は35.2%で前年から3.8ポイント上昇した。」(『日本経済新聞』2021.02.06)
●「日銀が2020年12月時点で初めて最大の国内株保有者になったことがわかった。日銀は金融政策として上場投資信託(ETF)の買い入れを実施しており、昨年12月末時点で保有するETFが年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を上回った。収入面でETFへの依存度が高まるなか株安時の備えが必要になっている。GPIFが5日、発表した20年12月時点の国内株保有額は約45兆2700億円だった。野村証券の試算では日銀の保有するETFは時価で約46兆5600億円で、約1兆円上回った。GPIFは資産全体の25%を目安に国内株を売買する。20年12月時点で25.28%に達した。野村証券の西川昌宏氏は『GPIFは国内株を推計で20年10~12月に8795億円を売り越した。株高局面では売り、株が下がれば買うという行動を取るようになっている』と分析する。日銀は2%の物価安定目標を達成するため、原則6兆円で年12兆円を上限にETFを買い入れている。売却はしないとみられるためGPIFとの差は今後さらに開いていく見通しだ。日銀はETFの保有額の増加に伴い、分配金収入も増えている。20年度上期は6759億円で初めて国債の利息(5524億円)を抜いた。日銀は最終利益にあたる剰余金を準備金や配当を除いて国庫に納付する。株価が大きく下がれば、保有するETFの減損処理が必要になって赤字が生じる恐れがある。国庫納付金が減れば、その分だけ国の財源が減って国民にも影響がおよぶ。日銀の持つETFの損益分岐点は『日経平均株価の水準で2万1000円程度』(黒田東彦総裁)だ。直近は株高で12兆~13兆円程度の含み益が生じている。ただ、今の枠組みでは2%物価目標が遠いなかでETFの買い入れは毎月実施せざるを得ない。この結果、損益分岐点は上がり続けている。」(『日本経済新聞』2021.02.06)

行政・公共事業・民営化

●「『防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策』の初年度分の経費を盛り込んだ、2020年度第3次補正予算の成立を受け、国土交通省は今後の事業執行に万全を期す。強靭化投資の円滑かつ着実な執行のため、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて20年5月にまとめた入札契約・設計積算での対応策の継続を基本に、一部内容を拡充して施策を実施する。直轄と歩調をあわせて円滑な執行が求められる地方自治体に対しても新たな対応策を示すことで、徹底的な施工確保策を講じていく。」(『建設通信新聞』2021.02.01)
●「国土交通省は、公共工事の執行情報を一元的に管理するための環境整備に乗り出す。電子入札や電子契約、工事実積憤報などの各システムで保有する情報について、一元的に管理できる『公共工事執行状況把握システム(仮称)』を構築する。各種データを総合的に分析できるようになり、迅速な不調・不落対策の検討に活用できる。2021年度から要求事項の整理に着手し、22年度半ばごろに同システムの構築を開始する。現状、電子入札システムや新土木工事積算システム、電子契約システム、契約管理システム、工事完成図書保管管理システム、工事実績情報システムは、それぞれが独立したシステムとして運用・管理されており、入札、契約、完成後などの各段階の情報が連携していない。そのため、公共工事の執行に関連する各種データを即座に把握・活用することは難しく、不調・不落対策の検討などに時間を要している。そうした課題への対応策として、新たに構築する公共工事執行状況把握システムでは、電子入札、電子契約など各システムで付与している認識番号を一元的に管理する。システム間の情報連携を図ることで、すべての工事の積算条件や工事費、応札率などの統合的なデータを簡易に把握できるようになる。必要なデータが取得できれば、分析作業が効率的になり、不調・不落対策が必要な場合にはいままで以上に迅速に講じることが可能となる。職員の生産性が向上し、作業に要していた時間を住民への社会資本整備に関するきめ細かな説明などに充てられる効果も期待できる。」(『建設通信新聞』2021.02.04)
●「国土交通省は、大規模災害の被災地で適用している復興係数と復興歩掛かりについて、2021年度も全地域で継続することを決めた。昨年12月に赤羽一嘉国交相が継続を表明していた岩手と宮城、福島3県に加え、熊本県、広島県の復興係数・歩掛かりも継続。東北3県のコンクリート工の歩掛かり低減補正と熊本の阿蘇・上益城地域の補正係数の割り増しは廃止する。」(『建設通信新聞』2021.02.08)
●「国土交通省は公共工事の施工確保に万全を期す観点から、地方自治体と地域の建設業団体の意見交換を後押しする。両者の緊密な連携を通じ受注環境の把握に努め、工事の円滑な発注や入札契約の適正化などにつなげるのが目的。2020年度第3次補正予算に『防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策』(21~25年度)の初年度分が措置されていることを踏まえ、自治体に対しできるだけ早期の開催を求める。」(『建設工業新聞』2021.02.09)
●「政府は9日の閣議で、行政デジタル化の司令塔と位置付ける『デジタル庁』設置法案を含むデジタル改革関連6法案を決定した。このうちデジタル社会形成関係整備法案では押印と書面の手続きを見直し、国土交通等関係で17本の法律を一括改正する。民間事業者などの負担軽減を図るため、建設業法や建築士法などを改正。民間同士の手続きで押印を不要にするとともに、電磁的方法での書面交付を可能にする。」(『建設工業新聞』2021.02.10)

労働・福祉

●「国と主要業界団体で構成する建設キャリアアップシステム運営協議会の運営委員会は、1月29日に会合を開き、システムの登録・利用状況をフォローアップした。2020年度の事業者、技能者、就業履歴(カードタッチ)の登録数は目標値(低位推計ベース)を達成できる見通しとなった。一方、2次以下の下請業者、地方圏の事業者、小規模現場での普及や技能者登録後の利用促進など解決すべき課題は山積しており、年度内に開催する運営協議会の総会で、次年度の事業計画とともに対応策をまとめる方針だ。建設キャリアアップシステム(CCUS)の値上げを決めた20年9月の同協議会総会では、23年度からの単年度黒字化を目指す『低位推計』をベースに取り組みを進めることを確認済み。同推計の20年度の目標値は累計で登録事業者数7万社、技能者数50万人、カードタッチ720万回となっている。20年度の事業者登録数は4-12月までで3万902社となり、累計すると6万7225社。1-3月も同程度の登録数で推移すれば目標の7万社を突破できる。技能者数も同様で20年度(4-12月)は22万2668人が新規登録して、累計は44万3368人。年度内に50万人超となる見通しだ。事業者、技能者登録と比例して、カードタッチ数も増加している。12月には初めて単月で100万タッチを達成。12月までで583万641タッチとなっており、こちらも残り3カ月で目標値(720万回)を上回る計算だ。20年度の目標値をクリアしても単年度の収支黒字化にはほど遠い。低位推計の試算では、20年度の収支は21億5800万円の赤字となる。21、22、23年度とさらに3段階の目標を達成して初めて単年度黒字化が見込めるが、21年度以降のハードルは高い。例えば、カードタッチ数の目標値をみると、20年度の720万回から、21年度は2000万回、22年度は3800万回、23年度は6000万回と、3年間で8倍超としなければならない。そうした状況を踏まえ、運営委員会で議論の中心となったのは、CCUSの浸透の課題だ。現状、一部の大手ゼネコンとその協力会(1次下請け)を中心に登録が進んできたが、2次以下にはいまだ浸透できていない。多くの技能者を直接抱える2次下請けなどの登録が進めば、技能者登録数の増加も見込める。登録後のシステム利用段階でも、課題が浮き彫りとなった。既に登録が済んでいる技能者約44万人のうち、12月にカードをタッチしたのは8万7544人と全体の2割にとどまった。残る8割は12月中に一度も就業履歴を蓄積していない。就業履歴を蓄積した2割(8.7万人)も月間でその半数が1-10回しかタッチしておらず、大手の現場も含め、現場で適切に利用してもらうための実施体制を構築する必要がある。」(『建設通信新聞』2021.02.03)
●「厚生労働省がまとめた2020年10月現在の外国人雇用届出状況によると、外国人労働者を雇用する建設業の事業所数は3万1314カ所となり、3万力所を超えた。前年比20.5%増で、産業別で増加率が最も高い。建設業の外国人労働者数は19.0%増の11万898人に上り、10万人を超えた。人数の増加率は医療・福祉に次いで2番目に高い。全産業に占める建設業の割合は、外国人労働者を雇用する事業所数が1.0ポイント上昇の11.7%、外国人労働者数が0.8ポイント上昇の6.4%。」(『建設通信新聞』2021.02.03)
●厚生労働省が3日公表した2020年上半期の雇用動向調査によると、就職や転職などで新たに仕事に就いた人が労働者全体に占める割合を示す「入職率」は8.5%となり、前年同期と比べ1.2ポイント低下した。上半期としては、比較可能な04年以降で最大の低下幅。新型コロナウイルスの影響で企業が採用を絞り込んだ影響が表れた。業種別では、旅行などの生活関連サービス・娯楽が6.5ポイント低下、宿泊・飲食サービスが4.2ポイント低下と、落ち込みが大きくなった。男女別で見ると、男性が0.5ポイント低下の7.5%にとどまる一方、女性は2.0ポイント低下の9.7%。就業形態別では、短暗闇労働のパートタイム労働者が3.1ポイント低下し、一般労働者(0.4ポイント低下)の低下幅を上回った。(『しんぶん赤旗』2021.02.05より抜粋。)
●「厚生労働省が9日発表した毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、2020年の1人あたりの現金給与総額は月平均で31万8299円だった。前年に比べ、1.2%減り、リーマン危機の影響があった09年(前年比3.8%減)以来の下げ幅になった。残業代などの所定外給与が1万7352円と12.1%減った影響が大きい。」(『日本経済新聞』2021.02.09)
●「日本建設産業職員労働組合協議会(鈴木誠一議長)は8日、『4週8閉所ステップアップ運動』に基づく、2020年11月の閉所調査結果を発表した。土日祝日の日数を踏まえて補正した閉所指数は5.04閉所、平均閉所日数は6.93閉所だった。閉所指数は前年同月に比べて0.18ポイント改善し、7閉所の作業所が最多の16.3%だった。」(『建設通信新聞』2021.02.09)
●新型コロナウイルスの影響で、「実質的な失業状態にある」パートやアルバイトの女性は90万人になるとの推計を、野村総合研究所がこのほど発表した。同研究所は「パート・アルバイトの女性の実態に関する調査」を12月18~21日にインターネットアンケートで実施。全国の20~.59歳のパート・アルバイトに就業する女性5万5889人が回答した。調査はパート・アルバイトで働く女性のうち「シフト5割以上減」かつ「休業手当なし」に該当する人を「実質的失業」と定義。総務省の「労働力調査」を使用し推計した。「実質的失業者」の58.6%が世帯年収400万円未満で、うち200万円未満は37.5%。多くが低収入世帯であることが浮き彫りになった。「実質的失業者」の8割以上で世帯収入が減少。5割以上減った人は48.1%だった。(『しんぶん赤旗』2021.02.09より抜粋。)
●「日本建設産業職員労働組合協議会(日建協、鈴木誠一議長)が加盟組合を対象に実施したアンケートによると、昨年4月に発令された新型コロナウイルスの緊急事態宣言期間中に『閉所の必要性を感じた』という建築現場が52.2%あったことが分かった。実際に閉所した建築現場は21.3%。現場担当者が感染の不安を抱えながら、作業に従事していた実態が明らかになった。」(『建設工業新聞』2021.02.12)
●「勤労者退職金共済機構の建設業退職金共済事業本部(建退共、稗田昭人本部長)は、建退共制度の掛け金納付の電子申請システムについて本格運用を開始する。3月1日から電子申請専用サイトの利用申し込みを受け付ける。…電子申請方式では、インターネットを利用し掛け金を納める。現金を電子化し、建退共の掛け金納付以外に利用できない退職金ポイントとして管理する。共済契約者は従来の証紙に代えて、ペイジー(電子決済)か口座振替で退職金ポイントを購入。月に一度、電子申請専用サイトで労働者の就労日数を報告し日数に応じてポイントを納める。大手・中小ゼネコン119社(公表分)が昨年10月からの試行に参加した。ペイジー収納サービスを使用した掛け金納付や電子申請による就労実績報告の受け付けなどを実施。1月末時点の電子利用の申し込みは164件。就労実績報告による退職金ポイントの充当が9社で行われた。対象は223人、就労日数は延べ1918日。利用者からは『証紙に比べやりやすくなった』といった声が寄せられているという。」(『建設工業新聞』2021.02.15)

建設産業・経営

●「国土交通省が1月29日発表した2020年(1~12月)の建設大手50社の受注総額は前年比8.5%減の14兆3169億円で、前年の増加から再び減少に転じた。国内は公共工事が4年ぶりに増加したものの民間工事の大幅減が響き、7.4%減の13兆8130億円と再びの減少。海外は31.2%減の5039億円。4年ぶりに減少した。民間工事の受注額は14.7%減の9兆7458億円。発注者別では電気・ガス・熱供給・水道業や鉱業、採石業、砂利採取業、建設業、金融業、保険業などが増加し、サービス業、製造業、運輸業、郵便業などは減少した。公共工事の受注額は18.3%増の3兆5448億円、2桁の増加となった。内訳は、国の機関が16.6%増の2兆3373億円、地方の機関が21.8%増の1兆2075億円。国の機関は独立行政法人が減少した一方、国、政府関連企業は増加。地方機関では市区町村、地方公営企業などが前年を上回った。」(『建設工業新聞』2021.02.04)
●「2020年度補正予算と21年度予算の公共工事の円滑な施工に向け、全国建設業協会(奥村太加典会長)は国土交通省と連携し、47都道府県建設業協会と地方自治体との意見交換会を20年度内にも実施する。防災・減災、国土強靭化、コロナ禍で停滞する国内経済の下支えに限らず、中長期的な予算確保の観点からも着実な事業執行の意義は大きく、その重要性と円滑施工への課題を受発注者間で改めて共有し、施工体制の確保、事業量の安定化につなげる。会合では、自治体側が施工体制確保の取り組みや発注予定工事を説明した上で、建協側が要望する適切な発注時期や工期、積算、ロットの設定、再入札の対応などについて意見を交わす。受注者側の施工余力が十分に発揮できないような入札・契約方式は『不要な不調・不落』を誘発し、円滑施工の妨げとなるため、特に焦点を当てて議論する。…全国中小建設業協会(土志田領司会長)も8日、全建と同じ内容の文書を会員団体に送付した。採算基準に適合しない案件や施工時期が平準化されていない発注などを避け、円滑な施工を達成するために地方自治体との意見交換会の早期開催、意見交換会での議論の集約、国交省への報告などを実施する。」(『建設通信新聞』2021.02.09)
●「国土交通省は10日、建設工事受注動態統計調査の2020年(1-12月)の集計結果を公表した。全体の受注高は前年度比7.0%減の79兆6578億円。公共受注は治山・治水など国土強靭化投資の増加により、現在の推計方法で算出した過去8年間で最高となった。他方、民間受注は前年から1割の減少。新型コロナウイルス感染症の影響による在宅需要の増加で好調な倉庫・流通施設や感染症の影響を受けにくい電気・ガス・熱供給・水道事業を除けば軒並み減少している。」(『建設通信新聞』2021.02.12)
●「ゼネコン各社にとって厳しい経営の舵取りが続くことになりそうだ。12日までに開示された大手・準大手ゼネコン25社の2021年3月期第3四半期の連結決算は、全体の8割に相当する20社が減収となった。業績の先行指標となる単体の受注高も総じて減少が目立つ。新型コロナウイルスによる影響が続く中で、依然として〝市況回復〟への出口は見えていない。」(『建設通信新聞』2021.02.15)
●「主要ゼネコンの2020年4~12月期決算が12日に出そろった。決算発表日が流動的となっている大豊建設を除く26社では、民間建築を中心に苦戦が続き、連結ベースで21社が減収となった。本業のもうけを示す営業利益も16社が減少した。単体の完成工事総利益(粗利益)率は公表している23社のうち10社が前年同期比で低下。一方でコロナ禍の影響で中断していた海外工事の再開や、国内大型工事の採算改善などで15社が10%台の高水準を維持した。」(『建設工業新聞』2021.02.15)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「国土交通省がまとめた2020年(1-12月)の建築着工統計調査報告によると、新設住宅着工戸数は前年比9.9%減の81万5340戸で4年連続の減少となった。リーマン・ショック直後の09年のように80万戸こそ下回らなかったが、新型コロナウイルス感染症の影響により、10年以来の低水準となった。20年の着工床面積は10.8%減の1億1374万平方メートルで3年連続で減少。企業が設備投資を控えていることから工場が3割超減少した半面、在宅需要の増加に伴うEコマースの普及で好調な倉庫は約3割上昇するなど非住宅でも新型コロナの影響が顕著に表れている。」(『建設通信新聞』2021.02.01)
●「国土交通省は、2020年7月豪雨で甚大な被害が発生した球磨川水系と最上川水系で、緊急治水対策プロジェクトに着手する。20年度からの10年間にわたり、流域治水の考え方に沿って国、県、市町村などが連携したハード・ソフト一体の対策を推進する。河川区域内のハード対策は、事業費が両水系合わせて総額2196億円に上る。特に被害が大きかった球磨川は、河道掘削や堤防整備などハード対策のほか、貯水型で計画されていた川辺川ダムに代わる流水型ダムの調査・検討を始める。流域治水の考え方を取り入れ、▽氾濫をできるだけ防ぐ・減らすための対策▽被害対象を減少させるための対策▽被害の軽減、早期復旧・復興のための対策――の3つの柱ごとに、河川区域、集水域、氾濫域の取り組みを明示した。国交省は全国の1級水系で20年度末に流域治水プロジェクトをまとめる方針を示しており、両水系の緊急治水対策プロジェクトは流域治水プロジェクトの一部となる。」(『建設通信新聞』2021.02.01)
●「国土交通省は、人口や企業などの東京一極集中の是正策をまとめた。若年層が就学や就職を契機に東京へ流入してくること、終身雇用制度など東京から地方に移住しにくい状況などの要因を分析。それを踏まえ、テレワークの一層の普及促進や、交通ネットワークの整備などリアルで対面する際の移動利便性の向上などの是正策を打ち出した。日本の成長を先導する東京の国際競争力の維持・向上とのバランスをとる重要性も指摘した。国交省は『企業等の東京一極集中に関する懇談会』(座長・増田寛也東京大学公共政策大学院客員教授)で是正策を検討し、成果をまとめた。東京圏の人口は全国の約3割を占め、他国の首都圏と比較して比率が高い。東京圏への転入超過数の大半は10~20代の若者で、男女別は女性が男性を上回っている。こうした現状から過度な集中の要因として、大学や企業本社の東京への偏在などから就学や就職のために若者が流入すると指摘。生まれ育った地元に不便さや閉塞感を覚え、東京に魅力や利便性、自由度の高さを求めて転入してくる傾向なども列挙した。是正策は▽企業の東京都心集中などの緩和▽地方で学び、働ける環境整備▽新たな価値観と生活様式への転換―の3本柱でまとめた。」(『建設工業新聞』2021.02.02)
●「南海トラフ地震の津波で大きな被害が予想される全国14都県139自治体のうち、4割近い55自治体の主要庁舎が浸水区域に立地していることが日本経済新聞の調査で分かった。このうち、高台などへの移転を計画または検討しているのは11自治体だった。住民の利便性の問題や用地確保の難しさから移転を断念する自治体も少なくない。」(『日本経済新聞』2021.02.08)
●「東京五輪・パラリンピックの選手村として使用後、分譲されるマンションの引き渡しが大会延期で遅れたことを巡り、一部購入者が売り主側に補償を求める調停を申し立てている。売り主側は新型コロナウイルスによる影響を予測できなかったと主張するが、購入者側は『追加負担が生じる』などと訴えている。購入者24人が今月1日、東京地裁に調停を申し立てた。三方を海に囲まれた東京・晴海の人工島南側に、20棟余りのマンション群が立ち並ぶ選手村。今後、小中学校や商業施設も新設され、約1万2千人が暮らす街『晴海フラッグ』となる見通しだ。分譲予定の4145戸のうち既に940戸販売されている。三井不動産など売り主の企業グル-プは延期を踏まえ、2023年春の引き渡し時期を1年ほど遅らせると決定。購入者には昨年6月、契約解除を希望する場合は手付金の返済に応じると通知した。『売り主に説明会を開くよう求めても、一切応じない』。不満を口にしたのは購入者の40代の女性会社員。東京都は昨年11月、延期に伴う選手村の賃料として売り主側に41億8千万円を支払う契約を結んでおり、女性は『なぜ私たちには何の補償もないのか』と憤る。現在居住するマンションの家賃が余分にかかり、住宅ローンの開始時期が遅れ月々の支払額が増えることが心配だという。購入者側代理人の轟木博信弁護士によると、売買契約は『売り主側の故意・過失ではない事由、または予見できない事由により引き渡しが遅れる腸合は承諾しなければならない』と規定している。轟木弁護士は『入居遅れによって発生する損害の補償を免責する条項はない』と強調。三井不動産の担当者は『申し立ての内容を確認し、適切に対応する』としている。」(『日本経済新聞』2021.02.08)
●「政府は5日の閣議で、長期優良住宅普及促進法改正案を閣議決定した。良好な住宅ストックの形成に向け、長期優良住宅の認定対象を拡大。共同住宅の管理組合が住棟単位で認定を受けられる仕組みを導入する。災害リスクが特に高いエリアを認定対象から除外する。一部規定を除き、公布から9カ月以内の施行を目指す。」(『建設工業新聞』2021.02.08)
●「東京電力福島第1原子力発電所事故に伴う除染作業で集めた土壌を巡り、国の費用が膨らんでいる。除染や土壌の中間貯蔵にすでに5兆円超を投じており、最終財分まで含むと費用はさらに膨らむ見通しだ。国は土壌の再生利用や県外への最終処分の道筋も示せていない。福島県大熊町と双葉町に広がる1600ヘクタールの中間貯蔵施設では、県内各地の除染作業で生じた土壌が次々と運び込まれる。2015年の開始から21年1月末時点ですでに1037万立方メートルが搬入された。除染中の帰遼困難区域から今後発生する土壌を除けば、21年度内に総量1400万立方メートルの搬入をおおむね終える見通しだ。11年3月の原発事故では、セシウムなどの放射性物質が環境中に放出した。国は表面の汚染された土壌などを集めており、福島県内の中間貯蔵施設にためた後、県外に最終処分する。30年以内の県外への最終処分を法律に明記したが、最終処分地も処分方法も未定だ。費用は膨らんでいる。国は16年に除染や中間貯蔵の費用を6兆円と試算したが、21年度までにすでに5兆円超を投じた。これには最終処分にかかる分は含まれていない。日本経済研究センターの19年の試算では、除去した土壌を全て最終処分すれば、除染と合わせた費用は20兆円にもなるという。環境省は費用低減に向けて、土壌の再生利用を目指す。全国で道路工事などの公共事業や農地造成などに使用すれば、最終処分が必要な土壌の量は格段に減るからだ。放射線塞が土壌1キログラムあたり8千ベクレル以下であれば、被曝リスクは無視できるほど小さく、再生利用できる。環境省は土壌の約8割を公共工事の再生資材などに活用できると試算する。30年間保管すれば放射線量がさらに下がる。減容化などの技術も活用すれば、最終処分量を数%以下まで削減できるとしている。」(『日本経済新聞』2021.02.11)
●「東京都調布市の東京外郭環状道路(外環道)トンネル工事現場付近で起きた道路陥没事故で、東日本高速道路は12日、特殊な地盤下で掘削機(シールドマシン)に支障が生じ、土砂を取り込みすぎる施工ミスが原因との調査結果をまとめた。土事で緩んだ地盤の補修を進めるほか、家賃の減収分の補填など通常よりも幅広く補償対象にする方針。」(『日本経済新聞』2021.02.13)
●「13日午後11時8分ごろ、宮城県南部、福島県中通りと浜通りで震度6強の地震があった。気象庁によると、震源地は福島県沖で震源の深さは約60キロメートル、地震の規模を示すマグニチュード(M)は7.1と推定される。津波の心配はない。各地の消防などによると、宮城県や福島県で20人以上の負傷者が確認された。気象庁ホームページによると、東北沖を震源とする最大震度6強の地震は、2011年4月7月以来約l0年ぶり。13日午後11時半ごろ、福島県相馬市大野の常磐自動車道で土砂崩れがあったとの通報があった。地元消防が詳細を確認している。東日本高速道路によると、同自動車道は現在通行止めとなっており、状況を確認中という。東京電力パワーグリッドによると、地震による影響で14日午前0時34分現在、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、静岡の1都8県で約80万9千軒が停電。東北電力によると、14日午前0時現在、福島、岩手、宮城、新潟の4県で計約9万1干軒が停電している。」(『日本経済新聞』2021.02.14)

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