情勢の特徴 - 2021年12月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「2021年度の補正予算案が20日の参院本会議で可決され、成立した。一般会計の歳出総額35兆9895億円を新型コロナウイルス感染症の拡大防止や新しい資本主義に基づく成長・分配戦略、国土強靭化対策などに充てる。22年度が2カ年目となる『防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策』には約1.5兆円を措置し、風水害・大規模地震対策や老朽化対策など国土強靭化の取り組みを着実に推進する。」(『建設通信新聞』2021.12.21)
●「政府は23日、2022年度の国内総生産(GDP)成長率を物価変動の影響を除いた実質で3.2%とする経済見通しを閣議了解した。7月に示した年央試算の2.2%から上方修正した。大規模な経済対策の効果に加え、新型コロナウイルスの感染拡大で出遅れていた個人消費を中心に民需主導で経済が回復するシナリオを描く。…22年度は新型コロナの感染状況が落ち着き、GDPの5割強を占める個人消費の回復が鮮明になると予想する。国内需要のうち民需の寄与度が3.0ポイントと大半を占める一方、公共投資など公需は前年度も経済対策を講じていたため0.0ポイントとほぼ横ばいになる。輸出から輸入を差し引いた外需は0.2ポイントを見込む。民需の内訳をみると、個人消費が21年度に大きく落ち込んだ反動で4.0%増を見込む。半導体や海外から調達する自動車部品の供給不足などが解消し、民間企業の設備投資は5.1%増を予測する。11月に決めた財政支出が55.7兆円に上る経済対策も景気を下支えすると分析する。18歳以下の子どもを対象にした1人10万円相当の給付などの施策で、対策がなかった場合に比べてGDPを5.6%押し上げると試算する。このうち22年度は3.6%程度の効果があると説明する。」(『日本経済新聞』2021.12.23)
●「政府は24日、一般会計総額が過去最大の107兆5964億円となる2022年度予算案を決定した。高齢化で膨らむ社会保障費と、巨額借金の返済でかさむ国債費の合計は初めて60兆円を超えた。なかなか減らせない『固定費』ともいえる社保・国債費が予算全体に占める比率は6割に迫り、予算の硬直化が進む。新規事業は全予算の1%に満たず、成長分野に予算が回っていない。項目別にみて最も支出規模が大きいのが歳出総額の3割を占める社会保障費だ。36兆2735億円と21年度当初予算に比べて4393億円(1.2%)増えた。 22年からは人口の多い団塊の世代が医療費が膨らむ75歳以上になり始め、高齢化で支出が自然に増えていく圧力が強まっている。薬の公定価格(薬価)の引き下げや繰り返し利用できる処方箋による通院抑制で自然増を2000億円程度抑えたが、膨張は止まらない。 新型コロナウイルス禍対策で積み上がった債務の返済が歳出規模を押し上げる構図も鮮明だ。22年度末の建設国債と赤字国債などの残高は計1026.5兆円と過去最高になる見通し。償還や利払いに充てる国債費は24兆3393億円と5808億円(2.4%)増え、2年連続で過去最高を更新した。社会保障費と国債費の合計は60.6兆円に達する。20年で7割増え、総額の56%を占める。ほかの政策に予算を振り向ける余力が狭まっている。国の政策に使う一般歳出のうち社会保障費以外は計26兆1011億円。この10年の伸びは1割に満たず、伸びた要因も防衛費の影響が大きい。」(『日本経済新聞』2021.12.25)
●「内閣府が24日発表した2020年度の国民経済計算年次推計によると、国別の豊かさの目安となる1人当たり名目GDPは20年(暦年)で4万48ドル(約428万円)となり、経済協力開発機構(OECD)加盟38力国中19位だった。日本経済研究センターの予測では日本の1人当たり名目GDPは27年に韓国、28年に台湾を下回る。高齢者人口の増加に加え、デジタル化の遅れに起因する労働生産性の伸びの弱さが主因だ。22位の韓国との差は19年に比べ縮まっており、日本の低迷が続けば日韓逆転が現実となる。」(『日本経済新聞』2021.12.25)
●「国土交通省の2022年度予算案は、一般会計が前年度比1%減の5兆8508億円となった。公共事業関係費は22億円増の5兆2480億円。公共事業の中心となる防災・減災、国土強靭化関連予算は867億円増の3兆3574億円を確保した。一般会計の内訳は一般公共事業費が5兆1911億円、災害復旧などが569億円。非公共事業では行政経費に5597億円、その他施設費に430億円を充てる。一般会計外では、高速道路の暫定2車線区間の4車線化や空港の脱炭素化の推進を目的に財政投融資1兆6683億円を活用する。」(『建設通信新聞』2021.12.27)
●「日本、中国、韓国や東南アジア諸国連合(ASEAN)などが参加する東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が2022年1月1日に発効し、国内総生産(GDP)で世界の約3割を占める巨大経済圏が誕生する。日本にとっては中韓と初めて結ぶ自由貿易協定(FTA)で、日本の域内向け輸出を19年比で5%超押し上げるとの試算もある。」(『日本経済新聞』2021.12.30)
●「2021年は世界的な株高の一年となった。新型コロナウイルス下でも経済活動の再開が進み景気回復期待が高まった。世界の株式時価総額の年間増加額は約18兆ドル(約2000兆円)と過去最大。22年は米連邦準備理事会(FRB)の総資産の縮小など金融引き締めが視野に入り、変調を懸念する声も増えている。東京株式市場では30日の大納会で、日経平均株価が前日比115円17銭(0.4%)安の2万8791円71銭で取引を終えた。年末終値としては1989年のバブル期のピーク以来32年ぶりの高値水準となった。世界全般に『財政出動・金融緩和・経済再開という3つの要因が重なり力強い株高となった』(JPモルガン・アセット・マネジメントの前川将吾氏)。『MSCI全世界株指数(ACWI)』を構成する48カ国・地域のうち21カ国で株価指数が最高値を更新した。米国株の上昇が目立ち29日にはダウ工業株30種平均が最高値を更新した。低金利が住宅などの資産価格を押し上げ消費の力強い回復につながっている。フランス、オランダなど欧州や、インドや台湾といったアジアでも最高値が相次いだ。コロナ後もデジタル化の波や医薬への高い関心が続くとみて半導体やIT(情報技術)、医薬株にマネーが集中している。下落はインフレに悩むブラジルや、中国政府による統制強化でIT株が下落した香港など8カ国・地域にとどまる。」(『日本経済新聞』2021.12.31)

行政・公共事業・民営化

●「国土交通省は、2020年度の直轄工事と建設コンサルタント関係業務の契約件数や金額、落札率などの実績を示す『直轄工事等契約関係資料』をまとめた。各部局を統合した全体の工事件数は前年度から205件増えて1万5176件、契約金額は3190億円増の2兆3920億円だった。19年度から本格化した『防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策』に関連した発注が継続していることを背景に、金額ベースで15%増加した。」(『建設通信新聞』2021.12.17)
●「東京都北区は20日、公契約条例骨子案を公表した。予定価格9000万円以上の工事、予定価格2000万円以上の委託、年間の支出計画金額2000万円以上の指定管理協定を対象とする。労働報酬下限額は公契約審議会を設置して定める。区民意見などを募集した上で、2022年6月議会に条例案を提出する予定だ。…骨子案では、労働報酬下限額以上の支払いを義務付ける工事、委託、指定管理協定の範囲を明記した。労働報酬下限額は、最低賃金や公共工事設計労務単価、区職員の給与などを参考に決定する。受注者には下限額以上の賃金の支払いに加え、確認書(チェックシート)の提出も義務付ける。区は条例の順守状況を確認するため立ち入り調査をするほか、報告書の提出も求める。違反があった場合には、措置命令や契約解除、公表といった罰則措置を講じる。公契約審議会は、区長の付属機関として労働報酬下限額を定めるほか、条例の趣旨達成に必要な事項を審議する。(『建設通信新聞』2021.12.21)
●「7月に静岡県熱海市で発生した土石流災害への対応を検討するため内閣府が設置した有識者会議は、20日に対策を取りまとめた。盛り土造成を規制する法制度を創設し、厳格な罰則規定を設ける。建設発生土に関しては『資源有効利用促進法』を改正する方針。受発注者双方にさらなる取り組みを求め、適正な処分を確保させる。政府は来年度通常国会への関連法案提出を見据えて作業を開始する。」(『建設工業新聞』2021.12.21)
●「国土交通省が国の基幹統計『建設工事受注動態統計』を書き換えていた問題で、同省は23日、第三者による検証委員会を設置した。書き換えの指示やデータの二重計上が始まった経緯や原因を詳しく調べ、再発防止策をまとめる。来年1身中旬までの報告をめざすが、短期間でどこまで実態を解明できるかが問われる。」(『日本経済新聞』2021.12.24)

労働・福祉

●「日本で外国人技能実習生が最も多いベトナムの送り出し機関を巡り、これまでに日本側が、高額な手数料の徴収疑いなど79件の不適切事例をベトナム政府に通報したものの、同国側が認定を取り消したのは2件にとどまることが20日までに、法務省と厚生労働省が所管する『外国人技能実習機構』が作成した内部資料で分かった。…資料は、制度を監督する機構が受け入れ状況をまとめ、今年4月に作成。2月時点で427の送り出し機関がベトナム政府から認定されている。日本側が実習生の聞き取りなどを基に、問題があると判断し通報対象としたのは63機関。禁止されている、実習契約が履行されなくなった場合に備えた保証金の徴収や、ブローカーの存在が疑われるケースなどがあり、資料では、ほとんどの例で『(ベトナム側で)証拠が見つからないとして処分に至らず、調査完了になっている』と指摘している。」(『日本経済新聞』2021.12.20)
●「建設業振興基金は17日、建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録された技能者に対するアンケートの結果を公表した。若い技能者を確保するためには、賃金と同等以上に週休2日の確保が重要であることなど現場の生の声が集まった。技能者に対する大規模な意向調査はこれまで例がなく、国土交通省も『施策に対して求められていることが明確になった』(建設キャリアアップシステム推進室)と期待を示す。同基金は調査を定期的に継続してく考えだ。アンケートは10月1日から11月5日までの期間で、CCUSにメールアドレスが登録されている約20万人を対象に実施した。3万4878人から回答を得た。年代ごとの回答割合は20代以下が10%、30代が15%、40代が34%、50代が30%、60代以上が11%となっている。CCUSに登録するメリットとして期待すること(複数回答可)で最も多かったのは『就業履歴が蓄積され、自分の技能・経験が評価されること』で回答者の54%が選択。次いで、『技能者としての客観的な評価(レベル)に応じた手当が支払われること』(35%)や『転職などの時に技能や働いた実績が証明できること』(27%)の順に回答が多かった。一方、『特に何も期待していない』とする回答も24%あった。…若い技能者を増やしていくために必要なこと(単一回答)は『週休2日の休暇の確保』が35%で、『経験・技能に応じた賃金の支払い』(31%)を抑えて最多となった。」(『建設通信新聞』2021.12.20)
●「建設キャリアアップシステム(CCUS)の能力評価を活用し、レベル別に手当を支給する動きがゼネコンや道路舗装会社で出てきた。これまでは自社の優良技能者認定制度で『登録基幹技能者』などを評価する取り組みが主流だった。評価基準をCCUSのレベルに応じて再編するといった事例が増えている。国土交通省は優良事例を水平展開し、CCUSを活用した技能者の賃金アップにつなげたい考えだ。」(『建設工業新聞』2021.12.22)
●「厚生労働省は22日、建設アスベスト(石綿)訴訟の最高裁判決などを受け、一人親方など労働者以外の者も保護措置(安全衛生対策)の対象に加える安全衛生関係省令の改正方針・内容を固めた。改正方針などを議論している労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)の安全衛生分科会が同日の会合で、改正内容をおおむね了承した。改正内容は、一人親方など『作業の一部を請け負わせる請負人』が石綿発散抑制設備などを使う際に、配慮義務を事業者に課すことや、作業方法や保護具使用の必要性を周知させる義務も関係省令に規定することなどが柱。改正する省令は、労働安全衛生規則(安衛則)や高気圧作業安全衛生規則(高圧則)、石綿障害予防規則(石綿則)など11省令におよぶ。」(『建設通信新聞』2021.12.23)
●「日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は、2022年度以降に推進する建設現場の週休2日確保に向けた新たな活動方針を決めた。全現場で4週8閉所以上を目指す、現行の『週休二日実現行動計画』(17~21年度)で定める目標を継続。建設業に時間外労働の罰則付き上限規制が適用される24年度までに達成を目指す。公共発注機関との連携や工期の適正化など週休2日確保のさらなる環境整備に力を注ぐ。」(『建設工業新聞』2021.12.23)
●「日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は、現場の週休2日で取り組み状況(2021年度上半期実績)をまとめた。会員会社が施工する1万2159現場で『4週6閉所以上』を達成した割合は74.0%、『4週8閉所以上』が40.8%となり、前年度同期に比べ1.6~2.9ポイント上昇した。」(『建設工業新聞』2021.12.23)

建設産業・経営

●「建設経済研究所は15日、売上高上位40社の全国ゼネコンを対象とした『2022年3月期(21年度)第2四半期主要建設会社決算分析』を発表した。受注高は建築を中心に前年度の落ち込みから持ち直して5兆円台に回復。ただ、営業利益は2年続けて全階層で減少し、直近5年間で最も低い水準となった。調査は、直近3年間の連結売上高の平均が上位の40社(大手5社、準大手11社、中堅24社)を対象に実施した。各社の決算短信などから判明する22年3月期(一部21年12月期)第2四半期決算の財務指標を分析している。分析結果によると、受注高(単体)は、前年同期比16.3%増の5兆1318億1700万円だった。減少が続いていた建築(19.9%増、3兆5000億3300万円)が増加に転じ、土木(8.3%増、1兆4643億1800万円)も増加した。企業別でみると、増加したのは、大手が5社中4社、準大手は11社中8社、中堅は24社中13社だった。適期予想に対する達成度は39.1%。売上高(連結)は、0.3%増の7兆0524億5300万円。大手の3社、準大手の5社、中堅の11社が増加となった。21年度通期の売上高は大手の5社すべてと準大手の10社が増収予想。一方、中堅は15社が減収を見込む。売上総利益(連結)は13.3%減の7450億9300万円だった。利益率は1.6ポイント低下し、直近5年間で最低の10.6%となった。利益額、利益率ともにすべての階層で減少・低下した。本業のもうけを示す営業利益(連結)は、34.6%減の2710億3600万円。営業利益率は3.8%で前年同期から2.1ポイントの低下となった。40社中37社が営業黒字を確保したものの、30社が通期での減益を見込んでいる。経常利益は31.1%威の3009億4400万円。経常利益率は1.9ポイント低下して4.3%だった。」(『建設通信新聞』2021.12.16)
●「西松建設は15日、伊藤忠商事と資本業務提携契約を結んだ。同日に西松建設の株主であるシティインデックスイレブンス(シティ社)と、その共同保有者である2人の株主が保有している西松建設株を伊藤忠商事が市場外での相対取引によって取得。この株式取得により伊藤忠商事が第3位の主要株主となった。保有割合は10.16%。総合商社として建設・建材事業で国内トップクラスの資機材ビジネスのバリューチェーンを構築していることや、国内外で資産の回転と運用を軸に住宅分譲・賃貸などの不動産事業を展開する伊藤忠商事との協業が、これまでにない建設業の在り方を模索する西松建設の企業価値の向上につながるものと判断した。異業種である両社が持つ経営資源やノウハウを結集することで、これまでになかった新しいシナジーを創出。双方にとっての企業価値の最大化を目指す。」(『建設通信新聞』2021.12.16)
●「建設関連分野の調査研究や提言活動を行う建設政策研究所は、定期総会を11日にオンラインで開き、役員改選で新理事長に松丸和夫中央大学教授を選出した。2022年度の活動計画も決めた。定期総会後、松丸理事長は『研究所も33年目を迎えた。新役員体制では若手研究者を増やすなど体制を強化した。建設産業が抱える諸課題に対応する研究活動を進めていく』と抱負を述べた。22年度は全建総連の首都圏4組合の基礎調査、賃金アンケート分析などの受託調査に取り組む。シンポジウムやセミナーの開催なども計画している。」(『建設工業新聞』2021.12.21)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「内閣府の有識者検討会は21日、岩手県沖から北海道沖にまたがる『日本海溝・千島海溝』を震源域とするマグニチュード(M)9クラスの最大級の地震が起きた場合、最大19万9000人が死亡するとの被害想定を公表した。北海道や東北で甚大な被害が見込まれており、国や自治体、個人を挙げた防災対策の徹底が求められる。最大級の地震は発生頻度は極めて低いものの、起きれば北海道や東北を中心に大きな被害が及ぶとされる。内閣府は2020年4月、日本海溝、千島海溝それぞれを震源域とする2モデルの地震規模や津波想定高を公表した。今回公表したのは、それを基に作成した被害のシミュレーション結果。両海溝での地震が連動して同時に起きるとの前提は置いていない。死者が最悪となるのは、冬の深夜に日本海溝を震源域とする地震が起き、すぐに避難する人が少なかった場合。逃げ遅れが多数発生すると想定し、1道8県で計19万9000人と試算した。東日本大震災の死者・行方不明者(約1万8千人、関連死除く)の10倍以上になる。犠牲者の7割近い13万7000人が北海道に集中する。青森県で4万人超、若手県で1万人超と推計した。ほぼ全員が津波によって死亡するとしている。一方、津波避難ビルやタワーの活用・整備、早期避難の徹底などにより、死者は3万人まで減らせるとも試算した。」(『日本経済新聞』2021.12.21)
●「7月に静岡県熱海市で起きた土石流災害を受け、各自治体は実施する盛り土の総点検で、政府は20日、全国657カ所で災害防止などの安全措置が確認できなかったとする暫定結果を発表した。大雨などで崩落する恐れもあり、詳細な調査を進める。同日開催の有職者検討会で報告した。検討会は危険な盛り土造成を包括的に規制する法制度の創設を求める提言案をまとめた。政府は提言を踏まえ、来年の通常国会で関連法改正案を提出する方針。政府は8月、都道府県に対し、総点検を実施するよう要請した。対象の約3万6千カ所のうち、11月末までに約2万8千カ所で終了。計657カ所で水抜き対策など必要な安全対策が確認できなかった。造成許可の手続きがなかったり、手続き内容と相違点が見つかったりするケースも確認された。何らかの問題が見つかったのは、安全措置が確認できなかった場所を含めると、1375カ所に上った。」(『日本経済新聞』2021.12.21)
●「首都圏の新築マンション市場が活況だ。不動産経済研究所(東京・新宿)は21日、2022年の発売戸数が21年比4.6%増の3万4000戸になる見通しだと発表した。新型コロナウイルスの感染拡大前の19年(3万1238戸)を2年連続で上回る格好だ。ただし、販売の実態をつぶさにみると、消費者と開発事業者それぞれが抱える懸念が浮かび上がる。 不動産経済研究所は、21年の首都圏の新築マンション発売戸数は20年比19.4%増の3万2500戸を見込む。20年は新型コロナの影響で2万7228戸に落ち込んでいた。不動産助言会社トータルブレイン(東京・港)が不動産各社にマンションの売れ行きを『好調』『まずまず』『苦戦』の3段階で聞いた21年1~11月の首都圏マンション調査では、完売も含む『好調』物件の割合が56%となり、前年同期と比べ12ポイント増えた。コロナ下で落ち込んだ需要の回復が鮮明だ。ただし、都心部の物件は高額化が進み、一般消費者にはますます『高根の花』になっている。富裕層しか手を出せない物件が増えていることが1つ目の懸念だ。…マンションの平均価格と会社員の平均年収の推移をみると、21年l~11月の平均価格は6476万円と20年前から2000万円超上がった。一方で平均年収は433万円(20年)で増えていない。東京23区内の平均価格は8327万円だった。平均年収は国内全体の数字だが、単純計算すると23区内のマンションは年収の19倍だ。それでも、東京の物件価格は世界的には高くない。日本不動産研究所(東京・港)によると、東京都港区元麻布地区の高額物件の単価を21年10月時点で100とした場合、香港が211.6、ロンドンが181.4だった。ニューヨークやシンガポールも東京より高い。国内所得水準が伸びない現状の深刻さが際立つ。2つ目の懸念は、若年層が主な購入主体となる郊外のファミリーマンションの住戸面積が狭くなってきていることだ。トータルブレインによると、郊外マンションの価格は上がっていない。21年1~10月の埼玉県の新築マンションの平均価格は4704万円で、20年の4715万円から微減だった。神奈川県の横浜・川崎エリアは5428万円で、20年の5749万円から下がった。郊外でも用地取得費がかさみ、建築コストが上昇する事情は変わらないが、それを価格転嫁してマンション価格が上がってしまうと、売れ行きに響きかねない。このため、開発事業者は住戸面積を縮小することで販売価格を抑えている。土地取得費がかさんだ際などに開発事業者が採る一般的な販売戦略だ。…3つ目の懸念は、開発事業者にとって、コスト高が収束するめどが立っていないことだ。マンション用地は、特に東京23区内ではマンション適地の『出物』が少ない。開発業者が入札などでしのぎを削っており、取得費は今後も増加が予想される。建築コストを巡っては資材費だけでなく、高齢化による人手不足で職人など人件費も上がっていく見通しだ。」(『日本経済新聞』2021.12.22)
●「今夏に開催された東京五輪・パラリンピックの運営経費を巡って大会組織委員会は22日、総額が1兆4530億円の見通しになったと発表した。新型コロナウイルス禍でほぼ無観客開催となり1年前に作成した予算からは1割強減ったものの、招致段階の計画からは2倍に膨らんだ。東京大会でも五輪の肥大化は止まらず、今後立候補を検討する都市の萎縮にもつながりかねない。」(『日本経済新聞』2021.12.23)
●「東京都が今夏開催された東京五輪・パラリンピックの選手村用地を不当に安く売却する契約を結んだのは違法だとして、都民32人が小池百合子都知事らに適正価格との差額を請求するよう都に求めた住民訴訟の判決で、東京地裁(清水知恵子裁判長)は23日、『売却価格が適正を欠くものとは言えない』として住民側の訴えを退けた。」(『日本経済新聞』2021.12.24)

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