情勢の特徴 - 2022年5月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「新型コロナウイルス禍で家計に貯蓄が積み上がっている。日銀の試算では消費されずに貯蓄に回った額は2021年末時点で約50兆円と、わずか1年で2.5倍に膨らんだ。貯蓄が物価高の痛みを和らげ、個人消費を押し上げるという日銀が描くシナリオ通りにはいかず、将来不安からさらに貯蓄が積み上がる可能性がある。日銀はコロナによる移動制限などを受け、可処分所得のうち半ば強制的に貯蓄に向かった金額を推計している。21年4月の『経済・物価情勢の展望(展望リポート)』で初めて言及し、20年末時点で約20兆円だった。日銀は『感染症が収束に向かう過程でその一部が取り崩され、個人消費を押し上げる可能性がある』と分析していた。この展望リポートから1年。日本は断続的なコロナの感染拡大に見舞われた。21年春の第4波に始まり、夏にはデルタ型が主流となった第5波、22年初めにもオミクロン型が猛威を振るう第6波が襲った。度重なる緊急事態宣言や長期にわたるまん延防止等重点措置で『コロナ貯蓄』は3月末時点で55兆円程度まで膨らんだとみられる。…貯蓄が消費に回りにくい構造問題も横たわる。大和証券の末広徹シニアエコノミストはコロナ貯蓄が将来不安に備える『予備的貯蓄』に回っている可能性を指摘する。金融工法中央委員会が21年に実施した調査では、2人以上の家計の金融資産残高の平均目標が初めて3000万円を突破した。金融資産保有の目的のトップは『老後の生活資金』で、社会保障への不安などを背景に家計は貯蓄志向を強めた。賃上げの動きが鈍いことも逆風だ。ロシアのウクライナ侵攻に伴う原材料やエネルギー価格の上昇に円安も加わり、消費者物価の上昇率は年内に2%を超えるとの見方が多い。一方、連合がまとめた22年春季労使交渉の平均賃上げ率は2.1%にとどまる。物価上昇に賃上げが追いつかなければ、消費意欲は鈍る。積み上がった預金が銀行を通じて企業への貸し出しに回れば、日本経済にはプラスに働く。ところが日銀によれば、預金と貸し出しの差を示す預貸ギャップは4月時点で344.2兆円とコロナ禍で80兆円以上も増えた。都市銀行の場合、預金に対する融資の割合を示す預貸率はコロナ前は50%を超えていたが、足元で48%まで落ち込み、過去最低の水準にある。企業への貸し出しが伸び悩むなか、欧米のリベンジ消費と同じように日本も個人消費がいつ戻るかが経済成長の鍵を握る。」(『日本経済新聞』2022.05.18)
●「政府は17日、ガソリン補助金などにあてる総額2兆7009億円の2022年度補正予算案を閣議決定した。財源はすべて赤字国債の発行でまかなう。ガソリン補預金は一般会計に約1兆2000億円が計上され、特別会計だった開始時に比べると受益者負担が崩れる。ガソリンの目標価格を段階的に上げる措置は凍結され、脱炭素に逆行する施策がなし崩し的に続く。」(『日本経済新聞』2022.05.18)
●「政府は20日、『新しい資本主義実現会議』の第7回会合を開き、人への投資、取引適正化、競争当局の唱導機能をテーマに議論した。中小企業の賃金引き上げに向け、取引慣行や規制によって競争が働いていない分野を調査し、取引慣行の改善と規制の見直しを公正取引委員会が提言する『アドボカシー(唱導)』機能を強化する方針を示した。中小企業がコストを価格に転嫁できる環境整備を進めることが狙い。」(『建設通信新聞』2022.05.23)
●「米国が主導する『インド太平洋経済枠組み(IPEF)』が23日、日本などインド太平洋地域の13カ国が参加して発足した。クリーンエネルギー・脱炭素化・インフラ、サプライチェーンなど4つの分野で協力する。ジョー・バイデン米大統領の訪日に併せて、日本で『インド太平洋経済枠組みの立ち上げに関する首脳級会合』を同日に開き、IPEFに関する共同声明をまとめた。協力分野は、▽貿易▽サプライチェーン▽クリーンエネルギー・脱炭素化・インフラ▽税・腐敗防止――の4つ。」(『建設通信新聞』2022.05.025)
●「公正取引委員会は、独占禁止法に規定する『優越的地位の濫用』に関する執行体制の強化を目的に『優越Gメン』を創設した。公取委は『総合工事業』など22業種を対象に、労務費や資材・燃料費の転嫁拒否事例の実態把握に向けた緊急調査を6月に開始する。法令違反が疑われる行為があれば、優越Gメンが実務を担う形で夏以降に個別の立ち入り調査を行う方針だ。公取委が2月に新設した『優越的地位濫用未然防止対策調査室』の人員を増強した。現時点の優越Gメンは16人体制。今回の緊急調査に加え、大企業とスタートアップ、荷主と物流事業者の取引関係の調査に基づく立ち入り調査に当たる。緊急調査では22業種の10万社程度に調査票を送付する。年内にも調査結果を報告書にまとめ公表。その結果を踏まえ転嫁拒否が疑われる案件は立ち入り調査で対応し、関係事業者に具体的な懸念事項を明示した文書を送付する。各業種に発注者側と受注者側の両面の立場があることを踏まえ調査に当たる方針。22業種の川上・川下に位置する関連業種にも必要に応じ調査範囲を広げる。総合工事業では受発注者関係と元下関係の両方に踏み込むことになる。」(『建設工業新聞』2022.05.25)
●「公正取引委員会は、荷主と物流事業者との取引に関する調査を実施した結果、荷主である総合工事業の21社を含む641社に対し、独占禁止法上の問題につながる恐れがあったとして、具体的な懸念事項を明示した注意喚起文書を送付した。25日に公表し、総合工事業の企業は、代金の支払い遅延や代金の減額が問題につながる恐れがあるとの指摘を受けた。」(『建設通信新聞』2022.05.27)

行政・公共事業・民営化

●「国土交通省は、直轄の一般土木工事で建設キャリアアップシステム(CCUS)モデル工事の対象を拡大する。原則としてモデル工事を実施する範囲をこれまでのWTO対象工事から本官工事(整備局発注)まで広げる。7月1日以降に公告する工事に適用する。それ以外の分任官工事(事務所発注)でも地元建設業界の要望・理解を前提に対象工事、件数、発注方式を積極的に検討してモデル工事を実施する方針を示した。」(『建設通信新聞』2022.05.20)
●「政府は公共工事入札契約適正化法(人契法)に基づく適正化指針の一部変更を20日に閣議決定した。建設発生土の適正処理を含む災害対応力の強化やダンピング対策の徹底、建設キャリアアップシステム(CCUS)活用推進への方策を拡充。適切な契約変更が必要となる事例として資材などの著しい価格変動や納期遅延を明記し、受発注者間で適切な価格転嫁が行われるよう働き掛けを強める。」(『建設工業新聞』2022.05.23)
●「内閣官房は国土強靭化施策の効果を高めるため、官民連携を拡大する。民間主導の取組みを引き出すため、補助金や税制措置などの支援を手厚くする方針。既存の措置でカバーできていない分野への対応、民間の自由な発想や行動を引き出す仕掛けを検討する。国土強靭化施策の根幹となる『基本計画』を変更し、民間の投資促進策などを反映する。次期基本計画は2023年末の閣議決定を目指す。」(『建設工業新聞』2022.05.25)
●「国土交通省官房官庁営繕部や都道府県、政令指定都市の営繕担当などで構成する全国営繕主管課長会議は、『官公庁施設の設計業務に関する実態調査(2021年度)』の結果をまとめた。前回(17年度)調査に比べ都道府県・政令市はプロポーザル方式の活用割合が増加した一方、市町村は減少した。『競争入札の方が設計にかかる費用を低く抑えられる』という意見が市町村で根強く、必要な事業でプロポーザル方式を採用するという改正公共工事品質確保促進法(品確法)など十分に対応し切れていないことが浮き彫りになった。」(『建設通信新聞』2022.05.30)
●「国土交通省は建築設計・工事監理の業務報酬基準の改定に向け、建築士事務所の業務内容や業務量を把握する実態調査を30日に始める。建築設計関係団体を通じて選定した数百社の建築士事務所へアンケートの協力を要請。現行基準の課題を踏まえ複合難易度や複合建築物、省エネ計算の取り扱い方などを反映させるためのデータを収集。8~9月に回答を締め切り、基準改定の議論に入る。遅くとも2023年度までに新基準を告示する予定だ。」(『建設工業新聞』2022.05.30)

労働・福祉

●「厚生労働省は、労働災害統計の死亡災害発生状況には含まれない建設業での『一人親方』の死亡者数が、2021年(1—12月)は前年比6人減の51人だったと明かした。労働者扱いとはならない中小事業主や役員、家族従事者も含めた『一人親方など』の21年死亡者数は3人減の94人だった。中小事業主の死亡者数が前年の34人から4人増の38人となった。21年の一人親方の死亡者数51人を事故別にみると、『墜落・転落』が全体の74.5%を占める38人と突出して多かった。ほかは『飛来・落下』で3人、『はさまれ・巻き込まれ』で2人が亡くなっている。…また、死亡者のうち、労働者災害補償保険特別加入者は29人、不明を含む未加入者が22人だった。加入者の元請・下請別は元請けが4人、下請けが23人、不明が2人。未加入者は元請けが10人、下請けが9人、『自社』が1人、未加入者2人となっている。」(『建設通信新聞』2022.05.16)
●「厚生労働省は13日、建設現場などで働く一人親方の安全衛生対策を一段と強化するための検討を開始した。保護内容の充実に向けた有害物質だけでなく、機械や器具の使用、掘削・高所作業などで適切な危険防止措置の実施を目指す。災害発生の実態を把握する仕組みや実効的な災害防止対策も模索する。一人親方だけでなくフリーランスや中小企業が安全衛生対策を適切に講じられるように支援策も打ち出したい考えだ。労働安全衛生法(安衛法)の改正も視野に、一人親方にも危険防止策の順守を罰則付きで義務付けることも議論する。…厚労省は2021年5月のアスベスト訴訟最高裁判決を踏まえ、労働安全衛生規則など関係省令を見直す。有害物質からの保護対象に一人親方や材料・資材搬入業者などを追加。改正省令を4月に公布。23年4月1日の施行を予定している。検討会では機械の使用や高所作業などでも、保護対象に一人親方を追加するため議論していく。建設業の一人親方に限らず、IT分野のフリーランスなども対象に労働災害の実態を把握する仕組みや報告制度も検討。実効的な労災防止対策の立案につなげる。」(『建設工業新聞』2022.05.16)
●「政府は企業に対し、男女の賃金差の公表を義務付ける方針を固めた。上場・非上場を問わず、301人以上を常時雇用する企業を対象とする。6月に決める『新しい資本主義』の実現に向けた計画に盛り込み、早ければ年内の施行をめざす。男女の賃金格差は女性登用の遅れなどを映す。男女の対等な評価を通じて人材の多様性を高め、企業の成長につなげる。」(『日本経済新聞』2022.05.20)
●「トヨタ自動車などが共同で運営する外国人労働者の相談・救済機関が23日に始動した。セブン&アイ・ホールディングスや味の素なども加わり、参画した事業者は計8社となった。国や企業に人権侵害防止の取り組みを求める国連の原則に準拠し、自社や取引先で働く外国人を巡るトラブルなどに多言語で一元的に対処。外国人が安心して働ける環境を整える。参加企業はほかに三井不動産や良品計画があり、残る3社は公表していない。国際協力機構(JICA)を事務局とする『責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム(通称JP—MIRAI)』の会員企業を中心に一般社団法人を設立し、23日から相談受け付けを始めた。2022年は最大2万人が対象で、年間2千件の相談・救済を想定する。23年に20万人、24年には100万人に対応できる体制を目指す。8社が共同で相談・救済機関を設置する背景には、多言語対応が可能で法手続きにも詳しいスタッフを企業ごとに確保するのが難しいことがある。国連は『ビジネスと人権に関する指導原則』で企業に対し、従業員らが苦情を訴えられる仕組みの整備を求めている。…相談・救済にあたっては本人の了承がない限り、内容を企業に共有しない。個人が特定されない範囲で相談発生状況などを企業側に伝える予定だ。ある参加企業の担当者は『相談者本人の悩みを解決するだけでなく、企業側としても何が問題だったか把握することで受け入れ体制の改善につなげられる』と期待する。」(『日本経済新聞』2022.05.24)
●「2021年(1—12月)の建設業での労働災害による死亡者数は、4年ぶりに増え、休業4日以上の死傷者数も3年ぶりに増加したことが、厚生労働省が30日にまとめた21年の労働災害発生状況(確定値)で分かった。死亡者数は前年比11.6%増(30人増)の288人となった。4年ぶりに増加に転じたものの、3年連続して300人未満は維持した。死傷者数は7.4%増(1102人増)の1万6079人だった。15年から6年続いた1万6000人未満が途切れた。建設業の労災発生数は、中長期的に減少傾向が続いていたものの、その減少傾向に歯止めがかかったといえる。」(『建設通信新聞』2022.05.31)
●「出入国在留管理庁は、2021年度末時点の在留資格『特定技能』に基づく外国人の受け入れ状況を公表した。建設分野の特定技能1号在留外国人は6360人で、20年度末時点(2116人)から3倍に増えた。全国初となる特定技能2号の取得者が建設分野から誕生するなど、今後も建設業の新たな担い手として活用拡大が見込まれる。全産業に占める建設分野の割合は9.8%だった。飲食料品製造業、農業、介護に次いで4番目に受け入れ人数が多い。」(『建設通信新聞』2022.05.31)

建設産業・経営

●「大手・準大手ゼネコン25社(単体26社)の2022年3月期連結決算が出そろった。ここ数年にわたる受注競争の激化の中で受注時採算が悪化した案件の売上計上期に入った上に資材価格上昇の影響も加わり、19社(営業損失2社含む)の営業利益が前期比減となった。需要は堅調だが、各社とも手持ち工事が積み上がっており、資材価格の動向も不透明という状況で、23年3月期は各社が受注の抑制傾向に入る可能性がある。この動きが結果的に競争環境の緩和につながることが期待される。」(『建設通信新聞』2022.05.16)
●「国土交通省は13日、建設工事受注動態統計調査の2021年度の集計結果をまとめた。全体の受注高は前年度比4.5%増の107兆7032億円。公共機関からの受注は減少したが、前年度にコロナ禍で落ち込んでいた民間受注が復調し、全体として前年度水準を上回った。受注高の内訳は元請受注高が4.3%増の70兆3734億円、下請受注高が5.0%増の37兆3298億円となっている。業種別では、総合工事業が3.7%増の64兆8587億円、職別工事業が4.5%増の15兆8752億円、設備工事業は6.5%増の26兆9693億円となった。」(『建設通信新聞』2022.05.16)
●「上場ゼネコン大手4社(鹿島、大林組、大成建設、清水建設)の2022年3月期決算が13日に出そろった。全社が増収営業減益。手持ち工事の進捗で売上高は確保したものの、国内建築工事の採算性低下などが利益を押し下げた。業績の先行指標となる単体受注高は、清水建設と大林組が前期比でプラスを確保。大型案件中心に厳しい競争が続いている模様だが、『受注時採算は前期より好転』(大成建設)との見方もある。資材価格高騰などが続く中、利益率をどう回復するかに注目が集まる。」(『建設工業新聞』2022.05.16)
●「建設物価調査会(北橋建治理事長)の調査結果(10日時点)によると、建設資材の価格動向を示す4月の『建設資材物価指数』(2011年全国平均=100)は128.0だった。21年1月から18カ月連続で最高値を更新し続けており、前月に比べ1.3ポイントのアップ。前年同月比では17.4ポイント上昇した。価格動向を資材別に見ると鋼材や木材、電線、燃料油といった原材料を輸入産に頼っている資材の上伸が目立った。」(『建設工業新聞』2022.05.19)
●「海外建設協会(相川善郎会長)は、2021年度の海外建設受注実績をまとめた。新型コロナウイルス感染症のまん延による景気低迷で落ち込んだ20年度から回復し、受注総額は前年度比60.2%増の1兆7855億円となった。過去10年間で5番目に高い水準。世界的な経済活動の再開を背景に現地企業からの受注が伸びるなど、過去最高額だった19年度の86.8%まで回復した。」(『建設通信新聞』2022.05.26)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「官民で組織する『民間建築物等における木材利用促進に向けた協議会(ウッド・チェンジ協議会)』は、建築主を含む民間事業者向けに、店舗、事務所、ビルなど建築物の木材利用に関する普及資料を5つ作成した。木造化・木質化の事例や木造建築物の標準モデル、メリットなどを整理。建設事業者向けには、低層小規模建築物木造化の手引きをまとめた。協議会の事務局を担当する林野庁のホームページで公開している。作成した普及資料は、▽低層小規模建築物の木造化▽中規模ビルの木造化▽高層ビルの木造化▽内装での木材利用▽建設事業者向けの木造化の手引き――の5つ。協議会の下に設置している5グループの検討成果としてまとめた。」(『建設通信新聞』2022.05.18)
●「ロシアのウクライナ侵攻が世界の木材市場を揺らしている。経済制裁の影響でロシア産の供給が急減。木造住宅の壁や床に使う国産合板は過去最高値で推移する。2021年から続く世界的な木材不足にロシア発の『ウッドショック』が追い打ちをかけた形だ。コスト上昇を吸収しきれず、値上げを考える住宅会社も出てきた。ロシアは有数の木材輸出国だ。国連食糧農業機関(FAO)によると、新型コロナウイルス禍前の19年に輸出した製材の量は世界の21%を占め、国別で最多だった。寒冷地で育つので木目が細かく『価格の割に質が良い』(木材商社)とされる。3月にロシアは米欧や日本を『非友好国』に指定。合板原料の単板や木材チップの輸出を禁じた。日本の合板メーカーは輸入単板の8割を同国に頼っていたため国産への変更を急いでいる。木材市場では21年、米国の住宅人気などで木材が世界的に不足する『ウッドショック』が発生。国産合板は同年に35%値上がりしていた。ウクライナ危機後、国産合板は一段と値上がりしている。指標品(厚さ12ミリメートル)の価格は5月中旬時点で1枚1900円。侵攻前から過去最高値だったがさらに19%上昇した。」(『日本経済新聞』2022.05.22)
●「専門家らで構成する東京都の防災会議地震部会(部会長=平田直・東京大学名誉教授)は25日、首都直下地震の新たな被害想定を公表した。被害が最大の『都心南部直下地震』は23区の約6割で震度6強以上に達し、死者は最大6148人、帰宅困難者は452万5949人と想定。タワーマンション増加など、インフラの変化に合わせた被害イメージも示した。都の想定公表は10年ぶり。前回想定で被害が最大だった『東京湾北部地震』から対象を見直した。耐震・免震構造の建物の増加などを根拠に想定上の最大は前回想定と比べて死者が3400人、帰宅困難者は64万人減少するとみている。」(『日本経済新聞』2022.05.25)
●「産業廃棄物が処分場を求めて日本列島を移動している。2020年度に1都6県で出た産廃のうち約363万トンが関東地方を離れ、北海道から沖縄までの各地で処分された。環境省は30日、山梨県を含む首都圏の処分場が残り約6年で満杯になるとした推計を発表。処分場の新設数が減少する中、産廃とどう向き合うか。日本は切迫した課題に直面している。…環境省によると、20年度に関東地方で発生した産廃はおよそ1億トン。このうち約363万トンが関東地方の外へ運ばれて処分された。新型コロナウイルスの感染拡大によって経済活動が停滞した影響で、前年度からは6%ほど減ったものの増加傾向になっている。脱水や焼却、リサイクルなどの中間処理を経てなお処分できない約84万トン分が最終処分場に埋め立てられた。輸送コストなども考慮し、産廃はできる限り発生場所の近郊で処分されるのが一般的だ。だが、首都圏では最終処分場の埋却容量が限界に近づいている。環境省は30日、20年4月1日時点で、首都圏の最終処分場が残り6.1年分となっていると明らかにした。同省によると、20年度は関東地方の外に運ばれた約363万トンのうち、約102万トンが北海道・東北地方へ、約54万トンが九州地方・沖縄へと処理施設を求めて移動した。自治体に処理責任がある家庭ごみなどと異なり、産廃の処理責任は排出した事業者にある。発生から最終処分まで民間の取引だが、千葉県の産廃会社は『新設される処分場が減り、遠方に運ぶしかない』とこぼす。環境省によると、18年度に新設が認められた最終処分場は全国12カ所。産廃の不法投棄が社会問題となったことなどを背景に登録制から許可制に移行し、1998年度(136カ所)の1割以下に減った。」(『日本経済新聞』2022.05.31)

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