情勢の特徴 - 2022年12月後半
●「自民党税制調査会は15日、防衛費増額の財源確保に向け増税案の骨格をまとめた。法人税は納税額に4.4~4.5%を上乗せする付加税を課す。実施は『2024年以降の適切な時期』として決定を先送りした。税目ごとの増税規模も明示を見送った。…今後5年間の防衛費は43兆円程度で、大綱の原案によると27年度時点で1兆円強を増税でまかなう。法人税と所得税、たばこ税の3つを組み合わせる。複数年で実施する方針を示した。法人税の実効税率は現在29.74%。本来の税率を変えず特例で上乗せする付加税方式をとる。法人税額から500万円を引いた金額に4~4.5%の税率をかける。課税所得2400万円以下の中小企業は法人税額が500万円以下のため負担が増えない。課税所得1000万円以下の中小企業の負担を増やさない設計だった当初案から控除を広げた。所得税は『当分の間、税率1%の新たな付加税を課す』と記した。現行2.1%の東日本大震災の復興特別所得税は1%引き下げ、負担が増えないようにする。…と述べた。たばこ税は1本あたり3円相当上げる。段階的に進める。」(『日本経済新聞』2022.12.16)
●「日本経済が海外で稼ぐ構図が強まっている。配当や利子などの収益額は7~9月期に年換算で50兆円を超えた。10年間で2.8倍に膨らみ、国内総生産(GDP)比で1割に迫る。企業が世界で進めてきたM&A(合併・買収)などが実を結んでいる。こうした所得の一部は現地子会社にとどまる。国内への還流や家計への分配が進まなければ内需が細り、成長力の底上げにつながらない懸念がある。…財務省・日銀によると日本の対外投資の資産は21年末に1249.9兆円。このうち海外企業への出資など直接投資は228.8兆円と10年間で3倍に増えた。負債を差し引いた対外純資産は411.2兆円で31年連続で世界最大だ。GDP統計のもとになる国際収支統計で、配当や利子などの受け取りと支払いをまとめた第1次所得収支をみると21年は26.6兆円の黒字だ。国際通貨基金(IMF)によると日本の黒字額は20年、21年と続けて世界最大だった。黒字を手放しで喜べるわけではない。海外からの対内投資が少ないために支払いが少なく済んでいる事情もある。…『投資会社日本』の海外収益の行き先も問題だ。日本経済研究センターの斎藤潤研究顧問は『必ずしも国内に還流していない』と指摘する。21年の受取額38.0兆円のうち20.8兆円は直接投資分。うち配当金などとして日本に回っているのは9.1兆円だ。11兆円あまりは海外子会社の内部留保になっている。」(『日本経済新聞』2022.12.18)
●「自民、公明両党が16日に決定した2023年度の税制改正大綱に、消費税の仕入税額控除の新方式『適格請求書等保存方式(インボイス制度)』の導入に伴う負担軽減策が盛り込まれた。これまで納税義務が原則免除されてきた『免税事業者』が新制度への対応の必要性から『課税事業者』に転換した場合、納税額を売り上げ税額の2割に軽減する3年間の時限措置を設ける。」(『建設工業新聞』2022.12.20)
●「日銀は19~20日の金融政策決定会合で大規模緩和を修正する方針を決めた。長期金利の変動許容幅を従来の0.25%程度から0.5%程度に広げた。長期金利は足元で変動幅の上限近くで推移しており、事実上の利上げを意味する。アベノミクスの象徴だった異次元緩和は10年目で転換点に差し掛かった。…日銀は21年に長期金利の変動幅を0%からプラスマイナス0.25%にすると明確にしていたが、今回の会合でプラスマイナス0.5%に上げた。10年物国債を無制限に毎営業日購入する『連続指し値オペ』の利回りも、これまでの0.25%から0.5%に上げた。決定を受け10年物金利は20日、一時0.460%と7年5カ月ぶりの高水準に急騰した。20日は0.395%で取引を終え、前日比の上昇幅(0.145%)はYCC導入以来、最大だった。これまで黒田総裁は許容幅の拡大について『明らかに金融緩和の効果を阻害する』として否定的な考えを示してきた。しかし、20日の記者会見では『景気にはまったくマイナスにならない』と、従来の見解を転換した。」(『日本経済新聞』2022.12.21)
●「政府は23日、一般会計総額が過去最大の114兆3812億円となる2023年度予算案を決めた。新型コロナウイルス禍で拡張した有事対応の予算から抜けきれず、膨らむ医療費などの歳出を国債でまかなう流れが続く。米欧で1~2割前後に下がった借金への依存度はなお3割を超す。超低金利を前提にしてきた財政運営は日銀の緩和修正で曲がり角に立つ。23年1月召集の通常国会に予算案を提出する。一般会計で当初から110兆円を超えるのは初。歳出は社会保障費が36兆8889億円。高齢化による自然増などで6154億円増えた。国債の返済に使う国債費は9111億円増の25兆2503億円。自治体に配る地方交付税は一般会計から5166億円増の16兆3992億円を計上した。切り込み不足で増大するこうした経費をまかなう歳入は綱渡りだ。税収は企業業績の回復で69兆4400億円と過去最大を見込む。それでも追いつかず、新たに国債を35兆6230億円発行して穴埋めする。うち29兆650億円は赤字国債だ。歳入総額に占める借金の割合は31.1%と高水準。00年代半ばまでは2割台だったのがリーマン危機後の09年度に4割近くに跳ね上がって以降、3~4割台で推移する。」(『日本経済新聞』2022.12.24)
●「内閣府が23日発表した国民経済計算年次推計によると、豊かさの目安となる1人あたりの名目国内総生産(GDP)が日本は2021年に3万9803ドルとなった。経済協力開発機構(OECD)加盟国38カ国中20位と、20年の19位から低下した。日本では1人あたりの所得が伸び悩み、個人消費の低迷が経済全体を下押ししている。」(『日本経済新聞』2022.12.24)
●「日本経済新聞社がまとめた2022年度の設備投資動向調査(修正計画)は、全産業の投資額が前年度実績比25.1%増の30兆8048億円となった。リーマン・ショック前の好況を背景に投資が増えた07年度以来、15年ぶりに過去最高を更新する。伸び率も00年度以降で最も大きい。景気後退懸念がある中でも自動車や精密機器の脱炭素や半導体関連の投資増が目立った。円安と資源高も額を押し上げた。」(『日本経済新聞』2022.12.25)
●「政府は23日、2023年度予算案を閣議決定した。一般会計は前年度比6.3%増の114兆3812億円。11年連続で過去最大を更新し、5年連続で100兆円超えとなっている。公共事業関係費は0.04%増の6兆0600億円となった。社会保障関係費と防衛関係費が全体を押し上げた。」(『建設通信新聞』2022.12.26)
●「世界的な原油・原材料価格の高騰が、建設関係各社に重くのしかかっている。東京商工リサーチの調査によると、今後の見込みを含め建設業の98%で調達コストが増加と回答したが、価格転嫁できている割合は48%にとどまった。ゼネコン各社は民間工事で価格転嫁に難航している状況があり、『一部で価格転嫁を認めてもらえるケースもあるが、全額ではなく負担せざるを得ないことが多い』(ゼネコントップ)との声も上がる。選別受注を目指す向きも強まりそうだ。」(『建設工業新聞』2022.12.28)
●「国土交通省は各地方整備局で試行している総合評価方式のさまざまな評価形式の標準化や改善、廃止などを検討するPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを導入する。担い手確保や工事品質向上などの試行目的に応じた高い効果を確認できれば、整備局単位から全国展開に試行範囲を広げ、さらには継続的な本運用に移行する流れ。先行的に効果検証に当たった試行8類型のうち、直轄工事の受注実績がない企業を評価する『新規参入促進型』を新たに本運用に位置付ける方針も示した。」(『建設工業新聞』2022.12.16)
●「国土交通省は15日、2021年度の直轄工事等契約関係資料を公表した。地方整備局や地方運輸局など全発注機関を集計対象とした全体の直轄工事契約実績は、件数が前年度比11.0%減の1万3511件、金額が14.1%減の2兆0552億円だった。臨時・特別の措置として『防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策』の最終年度分を当初予算に計上した影響で、件数と金額が高水準だった20年度の反動減が主な要因となっている。」(『建設通信新聞』2022.12.19)
●「国土交通省は、公共工事の品質確保や働き方改革などに向けた公共発注者の取り組み状況を見える化する『新・全国統一指標』について、2021年度実績値(一部は20年度)をまとめた。五つある指標のうち、『週休2日対象工事の実施状況』が大きく改善した。…新・全国統一指標は、公共工事品質確保促進法(品確法)が発注者に求めている施工・履行時期の平準化やダンピング(過度な安値受注)対策の状況を数値化することで、進捗を客観的・相対的に確認できるようにし、実効性のある取り組みの推進に役立てる統一的な基準。指標は、工事が『地域平準化率(施行時期の平準化)』『週休2日対象工事の実施状況(適正な工期設定)』『低入札価格調査基準または最低制限価格の設定状況(ダンピング対策)』の三つ、業務が『地域平準化率(履行期限の分散)』『低入札価格調査基準または最低制限価格の設定状況(ダンピング対策)』の二つ。地域ブロック単位や県域単位で、指標ごとに取り組み状況を公表している。」(『建設通信新聞』2022.12.28)
●「国土交通省は27日に開かれた有識者会議『持続可能な建設業に向けた環境整備検討会』の第6回会合で、建設工事の契約金額と技能者賃金の価格決定構造を転換する方向性を提示した。公共工事設計労務単価などをベースに適正年収を明示した上で、賃金の支払いに必要となる労務費を見える化。そこから必要経費を積み上げていくステップを図解し、委員らに意見を求めた。最低限の工事原価や技能者賃金を確保する方策も必要との考えから、法制度上の検討課題も例示した。」(『建設工業新聞』2022.12.28)
●「政府は14日、『技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議』の初会合を開き、建設関係が受け入れ対象となっている技能実習制度と特定技能制度の見直し議論を本格的に始めた。人材育成を通じた国際貢献を目指しているものの、実際は国内での人材確保・育成に活用され、制度目的と実態に禿離(かいり)が生じているとの指摘があることなどを踏まえ、存続や再編を含めた技能実習制度の在り方を中心に検討する。…政府は論点として、存続や再編を含む技能実習制度の在り方、両制度の対象職種の在り方を含めた外国人のキャリアパス構築、受け入れ見込み数設定の在り方、技能実習制度における転籍の在り方、管理監督や支援体制の在り方、外国人の日本語能力向上に向けた取り組みを挙げた。外務省は、問題点の一つとして、技能実習制度下で強制労働や人身取引が発生していると指摘する意見が国際社会から上がっていることを紹介した。」(『建設通信新聞』2022.12.16)
●「住宅工事などの小規模現場をターゲットとした建設キャリアアップシステム(CCUS)の利用環境が整ってきた。CCUS登録技能者の就業履歴を蓄積するカードリーダーの設置が難しい現場状況に対応したサービスを拡充。CCUSとAPI連携するシステムとして新たに『ANDPAD』を追加し、スマートフォンのGPS(衛星利用測位システム)機能の活用で現場の入退場を管理できるシステムが利用可能となった。ANDPADはスマホなどで現場の写真や図面、資料といったデータを一元管理し、工事関係者で共有できるクラウド型の建設プロジェクト管理サービス。アンドパッド(東京都千代田区、稲田武夫代表取締役)が運営しており、住宅工事などを手掛ける建設会社で利用が広がっている。GPSを活用した入退場管理システムでは技能者のスマホ画面に、そこから約1キロ圏内にある現場を一覧表示。技能者は一覧表示された中から入場する現場を選択し、ボタンをクリックするだけで現場の入場日時・退場日時を登録することができる。CCUSとAPI連携している別システムで、カードリーダーなどの機器設置が必要ない就業履歴の蓄積手法としてコムテックス(富山県高岡市、後藤敏郎社長)が提供する『キャリアリンク』がある。携帯電話の発信やスマホの顔認証で現場の入退場を管理できる。」(『建設工業新聞』2022.12.21)
●「厚生労働省は22日、『個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会』(座長・土橋律東大大学院工学系研究科教授)を開き、これまでの議論を踏まえた対策の方向性を示した。労働者と同じ場所で就労する者は、労働者以外の者でも同じ安全衛生水準を享受すべきとの方針の下、作業場所の管理者(事業者)がその場所で就労する者を保護し、労働者と同じ場所で就労する個人事業者やその他の作業者も自身の安全衛生確保とともに、同じ場所で就労する者に危害が生じないよう、必要な対策を実施するとした。また、個人事業者が労働者とは異なる場所で就労する場合は、個人事業者自らが作業に伴う安全衛生や自身の心身の健康を確保する。これは労働安全衛生法の枠組みを超えることから、ガイドラインなどで推奨していく。注文者が注文した仕事に関わる作業場所や作業方法が個人事業者の安全衛生に影響を及ぼす場合は、安衛法の既存枠組である発注者、注文者の対策で対応する。このほか、統括管理の対象拡大、機械など貸与者による措置での対象機械拡大など、安衛法での枠組みを広げることやガイドラインの策定も検討する。検討会では、こうした大枠での個人事業者安全衛生対策検討の方向性に大きな異論はなかった。」(『建設通信新聞』2022.12.23)
●「日本建設業連合会(宮本洋一会長)は、会員企業による建設キャリアアップシステム(CCUS)の取り組み状況について、2022年度上期(9月末時点)のフォローアップ調査結果をまとめた。日建連としての『CCUS普及の新目標』における事業者登録率の22年度コミットメント(最低目標)は68%で、その達成率は42%となった。21年度はコミットメントが52%で、前回調査の21年度下期(3月末)の達成率は81%だった。事業者、技能者登録などは着実に増えているものの、目標達成という観点からは、年度ごとに上昇していくコミットメントを改めて会員各社が認識し、普及を一層加速させていく必要がある。」(『建設通信新聞』2022.12.27)
●「日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は会員企業の現場を対象に、週休2日の取り組み状況をまとめた。2022年度上期の調査によると、1万2205現場のうち4週8閉所以上を達成したのは45.2%となり、前年同期に比べて4.4ポイント上昇。今回初めて調査した現場社員の休日取得状況では、対象5万3866人の80.1%が4週8休以上となり、交代制などで休日を取得できる環境整備が進んでいるようだ。」(『建設工業新聞』2022.12.27)
●「建設経済研究所は15日、連結売上高上位40社のゼネコンを対象に、2023年3月期(22年度)の第2四半期決算を分析した終果を発表した。連結の売上高は大手、準大手、中堅の全3階層で増え、2年連続の増加になった。本業のもうけを示す営業利益は前年同期の大幅減からの反動で増加に転じたが、売上総利益率と営業利益率は過去5年で最も低い水準となっている。」(『建設通信新聞』2022.12.16)
●「生コンクリートの東京地区の取引価格が2割上昇し、最高値を更新した。生コンメーカーがセメント高を背景に打ち出した値上げが建設業界に浸透した。生コンメーカーは2023年春に向けた追加値上げも既に表明しており、価格上昇圧力はなお強い。東京都心の再開発などの建設コストを押し上げる一因になる。」(『日本経済新聞』2022.12.17)
●「国土交通省は16日、与党が同日に税制改正大綱を決定したことを受け、2023年度税制改正の概要を発表した。高経年マンションの適切な長寿命化を促すため、長寿命化につながる大規模修繕工事(屋根防水、床防水、外壁塗装など)を実施したマンションの固定資産税額を減額する特例措置を創設する。期間は24年度までの2年間。対象要件は、▽築後20年以上が経過している10戸以上のマンション▽長寿命化工事を過去に1回以上適切に実施している▽長寿命化工事の実施に必要な積立金を確保している――の3点。これを満たすマンションが長寿命化工事を実施した場合、工事翌年度に各区分所有者に課される建物部分の固定資産税額を減額する。減額割合は6分のlから2分の1の範囲内とし、市町村が条例で定める。」(『建設通信新聞』2022.12.19)
●「東京電力福島第1原子力発電所事故を巡り、文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会(原賠審判)は20日、賠償の基準となる『中間指針』を9年ぶりに見直し、故郷が変容したことへの慰謝料1人250万円などを新たな項目に加えた。対象拡大によって賠償額は5000億円規模で増える見込みで、10兆円を超えた東電の賠償額はさらに膨らむ。新基準は既に東電から賠償を受けたケースも原則として遡って適用される。東電は少なくとも148万人が追加賠償の対象になるとみている。原賠審は原子力損害賠償法に基づき事故後に設置された第三者機関で、研究者や弁護士らで構成する。福島第1原発事故では賠償の範囲や額の基準となる中間指針を2011年8月に初めてまとめ、これまでに第1~4次の追補を策定した。22年3月に避難者らの集団訴訟で基準を上回る賠償命令が確定したことを受け、第5次追補として指針を見直した。柱は生活基盤が一変したことによる精神的損害への賠償だ。現在も立ち入り制限のある帰還困難区域の住民には『故郷喪失』の賠償として1人700万円が支払われている。原賠審は同区域以外でも事故で様変わりした環境への帰還や長期避難の中で移住を余儀なくされた苦痛は大きいとして『故郷変容』の慰謝料を新設した。賠償額は避難指示が解除された『居住制限区域』『避難指示解除準備区域』で1人250万円とした。」(『日本経済新聞』2022.12.21)
●「政府は全国で増える空き家について、壁に亀裂が入るなど管理が不十分な建物の税優遇を見直す検討に入った。住宅用地を対象に固定資産税を軽滅する特例から外す方向で、事実上の増税となる。実施されれば平均的な宅地の税額は4倍程度に増える。建て替えや売却を促して倒壊などの危険のある住宅の増加を抑え、中古住宅市場の活性化につなげる。」(『日本経済新聞』2022.12.21)
●「危険な盛り土を全国一律の基準で包括的に規制する『盛土規制法』の施行日が2023年5月16日に決まった。規制対象となる盛り土や土石の堆積の規模要件や関連工事の技術的基準、中間検査・定期報告の規模要件など施行に必要な事項を定める政令と合わせ、政府が20日に閣議決定した。これに基づき都道府県知事などが盛り土行為の許可などに当たってもらう。同法では規制区域を『宅地造成等工事規制区域』と『特定盛土等規制区域』に分け、従来の宅地造成規制法から範囲を拡大。両規制区域内での『土地の形質の変更(盛り土・切り土)』と『土石の堆積(一時堆積)』を規制対象行為と位置付け、工事の許可基準も強化した。許可基準に沿った安全対策の確認手段として既存の完了検査に加え、施工中の中間検査・定期報告制度を新設した。」(『建設工業新聞』2022.12.21)
●「政府は22日、GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議を開き、脱炭素社会の実現に向けた基本方針をまとめた。原子力について『将来にわたって持続的に活用する』と明記した。廃止が決まった原子力発電所を建て替え、運転期間も現在の最長60年から延長する。東日本大震災以来、原発の新増設・建て替えを『想定しない』としてきた政策を転換するが、実現には課題が多く実行力が問われる。」(『日本経済新聞』2022.12.23)
●「スポーツ庁は28日、国立競技場(東京・新宿)の運営に関する新方針を公表した。2024年度に民営化し、維持管理の費用について年間約10億円を上限に公費で負担する。現状では収益の確保に難しさがあると判断した。球技専用に改修するとした従来の計画も正式に見直し、陸上トラックを存続させることも決めた。国立競技場は東京五輪・パラリンピックで新たにできた施設で最も規模が大きく、整備費は1569億円に上った。スポーツ庁によると、運営主体である独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)の22年度予算では国立競技場関係の収入約5億5千万円に対し、維持管理費は約18億4千万円。13億円近い赤字となっている。政府は大会後に運営権を売却する方針を決めていた。収益性に課題があるなかで事業者の参画を促すため、24年度の民営化に向け、年10億円を上限に維持管理費をJSCが負担することを公募要項に盛り込む。JSCが所有権を持ったまま民間が運営する『コンセッション方式』を採用し、事業期間は30年。本格的な意向調査を経て23年度に公募を始める。」(『日本経済新聞』2022.12.28)