情勢の特徴 - 2023年7月後半
●消費税インボイス制度の登録取り下げ・失効件数が累計で6600件(7月3日現在)を超えた。4~5月に取り下げ・失効した件数は、前月の倍以上、過去最大の1898件に急増した。「インボイス制度を考えるフリーランスの会」が、国税庁が公表したデータを基に分析したもの。国税庁が公表しているインボイス制度適格請求書発行事業者公表サイトのデータを基に、当月と前月のデータを比較し、インボイス制度の登録取り下げ・失効件数をカウントした。4~5月の比較で5月分の取り下げ・失効件数は1898件となり、昨年6月分(5~6月の比較)からの累計で6633件となった。取り下げ・失効件数の中には、廃業、合併、企業統合などにより登録番号を失効したと考えられる件数も含まれている。国税庁の発表によると、5月末時点のインボイスの登録件数は約316万件。(『全国商工新聞』2023.07.17より抜粋。)
●「内閣府が24日発表した2023年の『満足度・生活の質に関する調査』で、家計や賃金といった物価上昇の影響を受けやすい分野の満足度が前年調査より低下した。『家計と試算』は満足度が前年比0.07ポイント下がった。22年の調査では0.01ポイント上昇していた。『雇用環境と賃金』は0.06ポイント低下した。22年は前年と同水準だった。内閣府は『物価上昇の影響などを受けた分野で満足度が下がったのではないか』と説明している。調査は2月10日から3月5日までで、全国の約1万人からオンラインで回答を得た。生活全体の満足度のほか、家計やワークライフバランスといった13分野の満足度を0~10点で評価する内容の調査だった。生活全体の満足度は5.79ポイントだった。前年から0.03ポイント上昇した。新型コロナウイルス禍から経済社会活動の正常化が進み、マインドが改善した。19年の5.78ポイントもわずかに上回った。満足度は39歳以下の若年層で上昇する傾向がみられた。」(『日本経済新聞』2023.07.25)
●「内閣府は25日、2025年度の国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)が1.3兆円の赤字になるとの試算をまとめた。物価高で税収が上振れし、1月の試算から赤字幅は0.2兆円縮んだものの、政府がかかげる黒字化は達成できない形となる。黒字化は26年度になるとの見通しを据え置いた。25日の政府の経済財政諮問会議で示した。資産は例年1月と7月の年2回公表している。PBは社会保障や公共事業といった政策に必要な経費を借金に頼らず、税収でどのくらい賄っているのかを表す。PBは22年度の27.8兆円の赤字から改善を見込むが、歳出増加が予想される少子化対策などは未反映で、収支改善に課題は残る。国内総生産(GDP)が20年代後半に実質で2%弱、名目で3%程度のペースで伸びる。『成長実現ケース』で、25年度のPB赤字が1.3兆円となった。1月の試算から0.2兆円ほど圧縮したものの、赤字額のGDP比ではマイナス0.2%で横ばいにとどまった。成長実現ケースは企業の技術革新などを反映する『全要素生産性』がバブル期並みの1.4%ほどで伸びる前提に立つ。楽観的過ぎて前提が甘いとの批判は以前からある。このため生産性を過去40年平均の1.1%とした試算も初めて示した。成長率は実質・名目とも1%台半ばとなる。25年度のPBはGDP比で0.2%マイナスと成長実現ケースと同じだった。名目・実質ともゼロ%台の『ベースラインケース』では25年度のPB赤字は2.3兆円となった。より現実的な試算と言え、赤字額は成長実現ケースより1兆円膨らむ。赤字額の見通しが縮小したのはインフレが主な要因だ。22年度の名目成長率は実績で2.0%と、1月時点の1.8%見通しから上振れした。22年度の税収は物価高を受けた消費税収などの伸びで71兆円超と過去最高を更新。試算の税収見通しを押し上げた。」(『日本経済新聞』2023.07.26)
●「人口減が進む日本で外国人の重みが増している。2023年1月1日時点の日本人人口は1973年の調査以降初めて全都道府県で前年より減った。出生率が高い沖縄も初めて減少に転じた。外国人の人口は過去最多の299万人に増え、経済や社会の担い手として日本を底支えしている。」(『日本経済新聞』2023.07.26)
●「各省庁が8月末までに財務省に提出する2024年度予算概算要求で、国土交通省の基本方針案が明らかになった。▽国民の安全・安心の確保▽持続的な経済成長の実現▽個性を生かした地域づくりと分散型国づくり―に重点を置き、めりはりを付けて要求を行う。『防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策』の推進や、防衛力の抜本的強化につながる公共インフラ整備など重要政策は、予算編成の過程で必要額を検討する。基本方針案は26日に東京都内で開かれた自民党、公明党の国土交通部会で示された。同案によると、24年4月に厚生労働省から移管される水道整備・管理行政について、上下水道一帯で取り組む体制を構築し、総合的な水行政を推進するとした。同4月に迫る建設業や運輸業への時間外労働の罰則付き上限規制の適用を見据え、担い手の確保・育成や生産性向上に取り組み、物流の革新や建設業の環境整備に力を注ぐ。公共事業全般について、中長期的な見通しの下で必要十分な予算を安定的に確保する方針が盛り込まれた。『資材価格の高騰を踏まえて、必要な事業量を確保する』とも強調した。」(『建設工業新聞』2023.07.27)
●「国土交通省は、入札契約適正化法(入契法)に基づく『入契調査』と、公共工事品質確保促進法(品確法)の発注関係事務の運用に関する指針(運用指針)に基づく『業務に関する運用指針調査』を始めた。調査結果を踏まえた改善要請の文書などを2023年度内に通知し、公共発注者が24年4月に制度改正できるようにするため、23年内の結果公共を目指す。結果公表時期は22年度調査に比べて3カ月の前倒しとなる。」(『建設通信新聞』2023.07.19)
●「政府の国土強靭化推進本部(本部長・岸田文雄首相)の下部組織『国土強靭化推進会議』が発足し、20日に東京都内で初会合を開いた。国土強靭化政策の根幹となる『基本計画』の改定案や『年次計画2023案』について審議し、了承した。年次計画案では『防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策』の3年目(23年度)までの進行状況を事業費ベースで提示。全体の事業規模15兆円の3分の2に当たる9.9兆円が予算措置されたとした。次期基本計画は7月末の国土強靭化推進本部での決定と閣議決定を目指す。年次計画は今夏の同本部決定を予定する。国土強靭化を『国家百年の大計』として安定的に継続実施していくため、先の通常国会で成立した改正国土強靭化基本法によって、ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会を法的根拠を持つ推進会議に格上げした。」(『建設工業新聞』2023.07.21)
●「国土交通省は27日、中央建設業審議会と社会資本整備審議会の下に設置している基本問題小委員会の2023年度第3回会合を開き、賃金の行き渡りに向けた措置として新たに作成する方向で議論している標準労務費について、中建審の下にワーキンググループ(WG)を設置し、具体の範囲や内容などを検討する考えを示した。工種によっては、金額に幅を持たせた形で標準労務費を明示することも提案した。…第3回会合では、▽請負契約の透明化による適切なリスク分担▽賃金引き上げ▽働き方改革――の三つの論点ごとに、国交省が前回の会合で方向性として示した制度改正の運用面を中心に議論した。『賃金引き上げ』の論点で検討中の標準労務費は、国交省が提示した考え方によると、トンや平方メートルなど単位施工量当たりの標準的な労務費として定め、中建審が勧告する。具体的には、東京の標準的な仕様・条件(規格)で公共工事設計労務単価に歩掛かりを乗じたものと想定し、工種ごとに作成する。東京以外の地域や標準以外の規格は、標準労務費の補正によって対応する考え。標準労務費に基づく請負代金が設定されれば、受注者はその工事で設計労務単価相当の賃金支払いが可能になるとしている。」(『建設通信新聞』2023.07.28)
●「政府は28日、新たな国土強靭化基本計画と国土形成計画を閣議決定した。自然災害の激甚化・頻発化や人口減少といった課題の克服に向けて両計画を一体で推進し、安全・安心で活力のある国土づくりを目指す。新たな国土強靭化基本計画は、基本方針に『防災インフラの整備・管理』『ライフラインの強靭化』『デジタルなど新技術の活用』『官民連携強化』『地域の防災力の一層の強化』の5本を定めた。新たな柱の新技術活用については、線状降水帯や台風、豪雨などの予測精度の向上や建築・都市のDX(デジタルトランスフォーメーション)による防災まちづくりや老朽化対策などを進める。もう一つの新規方針となる地域の防災力強化では、地元企業やNPOなどの防災の取り組みを積極的に支援するほか、行政と住民が地域コミュニティーの強化に向けた方策を議論できる体制を整える。防災インフラ整備では国土保全につながる河川やダムなどの充実・強化に取り組むとともに、インフラ老朽化対策として予防保全型メンテナンスの取り組みを本格化する。」(『建設通信新聞』2023.07.31)
●リニア中央新幹線のトンネル工事で4月に起きた長野県飯田市の労働災害を隠したとして、長野労働局は14日、労働安全衛生法違反容疑で下請け業者らを書類送検したと発表した。リニア工事では初めて。…同労働局によると4月20日、飯田市の「中央アルプストンネル松川工区」で掘削作業中の成豊建設(東京)作業員に落下してきたコンクリート片があたり、頚椎(けいつい)を捻挫(全治4週間)した。工事を請け負う共同企業体(JV)から飯田労働基準監督署に連絡があったのは約3週間後の5月12日。同社の長野作業所長から報告書が提出されたのは5月15日だった。JR東海から飯田市に連絡があったのは1カ月以上たった5月22日だった。同労働局は記者会見で、「重大かつ悪質」な労災隠しだと指摘し、「故意に隠す意図があったかの観点で捜査に着手する」と述べた。(『しんぶん赤旗』2023.07.16より抜粋。)
●「国土交通省は18日、トラック運転手の不足が懸念される『2024年問題』を巡り、総勢162人の『トラックGメン』を配置すると発表した。物流業務の依頼側である荷主と運送業者の取引を監視し、運転手の長時間労働につながりやすい『荷待ち』などの行為があれば是正を促す。」(『日本経済新聞』2023.07.19)
●「厚生労働省が18日にまとめた2023年上期(1-6月)の労働災害発生状況(速報、7月7日時点)によると、労働中の新型コロナウイルス感染による労災を除き、建設業の死亡者数は、前年同期と比べ18.5%減(20人減)の88人となった。建設業の休業4日以上の死傷者数は5732人で1.7%減(102人減)だった。」(『建設通信新聞』2023.07.19)
●「建設キャリアアップシステム(CCUS)に積極的に取り組む元請企業を評価する動きが、市区町村発注工事に広がってきた。国土交通省による2022年10月末時点の調査によると、工事成績評定で加点するモデル工事は3団体、総合評価方式での加点は39団体、入札参加資格での加点は23団体が導入。こうしたインセンティブ措置は国交省直轄工事、都道府県発注工事で先行してきたが、より小規模な市区町村発注工事でも講じられることでCCUS活用の裾野がさらに広がりそうだ。」(『建設工業新聞』2023.07.20)
●「総務省が21日に発表した2022年の就業構造基本調査によると、25~39歳の女性のうち働く人の割合が81.5%と初めて8割を超えた。共働き世帯の増加を踏まえ、育児との両立可能な働き方や『年収の壁』を意識して女性が働く時間を調整している問題などの解消が急がれる。女性の有業率(仕事をしている人の割合)は53.2%と17年の前回調査から2.5ポイント上昇の過去最高だった。働く女性の数も3035万4000人で最多だった。15歳から64歳までの生産年齢人口でみた女性の有業率も4.3ポイント上昇の72.8%で最高を更新した。働き盛りにあたる25~39歳の女性の有業率は5.8ポイント高まり、20代後半から30代にかけて落ち込む『M字カーブ』は改善した。伸び率は前回の5.9ポイントから鈍化したものの、頭打ちは近いとの見方がある。」(『日本経済新聞』2023.07.22)
●「日本建設業連合会(宮本洋一会長)は、2022年度の会員企業労働時間調査報告書をまとめた。24年4月から適用される時間外労働の上限規制(特例条項)の達成状況は、規制対象となる非管理職の22.7%が未達成だった。特例条項の四つの条件別に見ると、『月45時間超は年6カ月まで』をクリアするのが特に難しいことが判明した。会員企業に勤める労働者(非管理職・管理監督者)について、22年度の1年間の労働時間と年次有給休暇の取得状況を調べた。140社中113社から回答を得た。対象労働者数は14万1408人。日建連が独自に掲げた22年度の自主規制目標の一つ『年840時間以内』は、非管理職の97.3%(8万1139人)がクリアし、超過は2.7%(2216人)だった。自主目標はほぼ達成できた形だ。一方、当面の焦点となる上限規制の『特例条項』は、非管理職の77.3%(5万5069人)が達成したものの、22.7%(1万6153人)は未達成となった。上限規制超過者の割合は、21年度の28.6%から5.9ポイント減少したものの、楽観視できる状況にはない。超過割合は、理事・監事会社が23.5%(1万3747人)、非理事・監事会社が19.0%(2406人)で、規模の大きな会社ほど苦労していることが分かる。」(『建設通信新聞』2023.07.25)
●「日本建設産業職員労働組合協議会(日建協、角真也議長)は25日、4月から実施していた国土交通省本省と各地方整備局、北海道開発局、内閣府沖縄総合事務局への政策提言活動を総括した。今年は2024年度から適用される時間外労働の罰則付き上限規制を見据え、特に4週8閉所の実現や長時間労働の是正を訴え、活発に意見を交わした。提言活動は4月20日の近畿地方整備局を皮切りにスタートし、6月20日に終了した。提言内容は▽時間外労働の上限規制適用への対応▽民間工事の請負契約適正化▽発注、施工、竣工時期の平準化▽国交省の各種施策の普及▽建設DXの推進▽建設キャリアアップシステム(CCUS)のさらなる普及▽単身赴任者の帰宅旅費非課税化―の7テーマ、9項目で構成する。4週8閉所の実現に向けては国が進める発注者指定型週休2日制適用工事の拡充や地方自治体と連携した統一土曜閉所日の設定など、取り組みが加速していることを評価。さらなる拡大に期待を寄せた。長時間労働の是正では地方整備局が工事版のウィークリースタンスに取り組んでいる現状を理解しつつ一層の普及促進を訴えた。」(『建設工業新聞』2023.07.26.)
●「日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は建設キャリアアップシステム(CCUS)のさらなる普及促進に向け、新たな推進方策を決定した。会員企業やその協力会社、下請も含め10月に開始する事業者登録の更新手続きを周知徹底し促進。CCUSの目的である技能者の処遇改善を後押しするため、協力会社や下請に対し能力評価(レベル判定)制度の申請も促す。『CCUS普及に係る目標達成のための日建連の推進方策(2023)』として決定した。2021年3月に設定したCCUS普及の新目標を達成するため、17年12月にまとめた『CCUSの普及促進のためのロードマップ』に代わる指針として活用。22年7月に策定した推進方策(2022)の改定版となる。」(『建設工業新聞』2023.07.26)
●「中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)は28日、2023年度の最低賃金の目安を全国平均で時給1002円にすると決めた。1000円を超えたのは初めて。現在の961円から41円増え、上げ幅は過去最大となる。物価上昇への対応を重視した。」(『日本経済新聞』2023.07.29)
●「北海道、東日本、西日本の公共工事前払金保証事業会社3社は19日、4~6月期の建設業景況調査の結果を公表した。地元建設業界の景気に関するBSI値(景況判断指数=『良い』と『悪い』の回答差)はマイナス9.0で依然として『悪い』状況だった。前記(1~3月期)よりもマイナス幅が2.5ポイント縮小。受注総額のBSI値もマイナス9.0と『減少』傾向にあるものの、前期よりも2.0ポイント改善した。景気、受注いずれもマイナス傾向がやや弱まっている。」(『建設工業新聞』2023.07.20)
●「日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は21日、2024年4月に適用される時間外労働の罰則付き上限規制を順守するための『適正工期確保宣言』を発表した。公共発注者や土木工事に比べ適切な工期設定が遅れている民間建築工事で全面的に展開。会員企業が元請の立場で民間建築の発注者に見積書を提出する際、同宣言に基づき4週8閉所や法定労働時間の週40時間稼働を原則とする『真に適正な工期』を提示していく。」(『建設工業新聞』2023.07.24)
●「建設職人を中心とする労働組合『全国建設労働組合総連合』(全建総連)は7月3日、住宅の建材・設備の価格高騰・納期遅延の影響に関する工務店アンケート調査の結果を公表した。工事原価の上昇が大きな課題となっている昨今の建築業界だが、調査では92.3%が1年前と比較して『増加した』と回答。お客様に提示する見積価格についても95.6%が『影響が出ている』と回答した。これは物価・建材価格の高騰が組合員にどのような影響を与えているかを把握し、行政などに対策を要望するため、一人親方を含む工務店を対象にアンケートを行ったもの。今回が3回目で期間は今年4月17日~5月31日まで、回答は33都道府県の877社から寄せられた。」(『日本住宅新聞』2023.07.25)
●「日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は27日、会員93社の6月の建設受注調査結果を公表した。2023年度第1四半期(4~6月)の受注額は前年同期比10.2%増の3兆7585億円と過去10年間で最高水準。民間工事が引き続き好調に推移し、民間工事、国内全体でも過去10年間で最高水準となった。受注額の内訳は国内が3兆6058億円(13.6%増)、海外が1526億円(35.4%減)。国内は民間が2兆7427億円(11.9%増)、官公庁が8483億円(18.7%増)、その他が148億円(52.4%増)だった。」(『建設工業新聞』2023.07.28)
●「日本建設業連合会(宮本洋一会長)は、法人会員110社の回答を集計した2022年度決算(単体)状況調査結果をまとめた。完成工事高の合計は、前年度比6.5%増の16兆0250億円となった。一方、完成工事総利益は5.2%減の1兆4200億円、完工総利益率は1.1ポイント低下の8.9%となり、増収減益の傾向が鮮明となっている。売上高の合計は7.1%増の17兆0840億円。調査対象のうち、73社が増収で、減収は37社だった。増収企業の対前年度伸び率の分布を見ると、『10%以上』と『0-5%未満』がそれぞれ26社で、『5-10%未満』が21社となっている。完工総利益率の過去5年間の推移を見ると、18-20年度は11-12%台だったが、21年度に10.0%に下降し、22年度はさらに低下して1桁台になった。…東京五輪以降の競争激化や近年の資材高騰などの影響で、利益面の悪化傾向が続いている。営業利益の合計は14.2%減の6330億円、売上高営業利益率は0.9ポイント低下の3.7%。経常利益も同様で、額は12.4%減の7430億円、率は0.9ポイント低下の4.4%となった。純利益は7.6%減の5670億円で、純利益率は0.5ポイント低下の3.3%となっている。」(『建設通信新聞』2023.07.31)
●「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の会場(大阪市此花区夢洲)内に、参加国が自ら整備するパビリオン『タイプA』の準備が遅れていることを受け、関係省の大臣が14日の閣議後会見で、円滑な施設整備を支援する方針を示した。建設行政を担う斉藤鉄夫国土交通相は、予算と設計の乖離(かいり)や工期の厳しさなどを課題に挙げ、『適正な金額、工期での発注が行われるよう、経済産業省、2025年日本国際博覧会協会(十倉雅和会長)を通じて(参加国に)求めていきたい』と力を込めた。」(『建設工業新聞』2023.07.18)
●「全国の太陽光発電設備(500キロワット以上)の2割が土砂災害リスクの高いエリアに立地していることが分かった。適切な管理がされていない開発は土地の保水力を低下させ、崩壊を招く恐れが増す。持続可能性を高めるには事業者による点検・管理、行政の監視強化など、防災対策が欠かせない。日本経済新聞が国立環境研究所の500キロワット以上の9250件のデータ(2020年時点)を基に、22年10月時点の警戒区域などの国土数値データと比較、地図上で重なる設備数を数えた。土砂災害(特別)警戒区域、土砂災害危険箇所、急傾斜地崩壊危険区域、地すべり防止区域のいずれかに、全体の18%にあたる1658カ所が立地していた。」(『日本経済新聞』2023.07.19)
●「工業用水の水道管が老朽化している。法定耐用年数の40年を超える水道管は全国で48.3%と半数に迫り、老朽管の長さは東京-ベトナム(ホーチミン市)間に相当する計4275キロメートルに上る。水道管を管理する自治体は10年前と比べ予算を2倍近くに増やし、改修を急いでいる。工業用水はパルプや化学など様々な工場に水を供給し、『産業の血液』とも呼ばれる。2022年5月に愛知県豊田市で起きた取水施設の漏水事故では自動車関連への給水が止まり、全面回復に3カ月を要した。工場の操業停止は企業の生産活動だけでなく雇用にも悪影響を及ぼしかねない。経済産業省によると工業用水の運営事業者149者のうち148者は自治体主体だ。各自治体が総務省に報告した導水管と送水管、配水管の全水道管延長に占める法定耐用年数の超過割合(老朽化率)を集計すると、21年度時点で48.3%だった。5年前より約10ポイント上がり、上水道(22.4%)の2倍を超す水準だ。」(『日本経済新聞』2023.07.20)
●「不動産経済研究所(東京・新宿)が20日発表した2023年1~6月の新築分譲マンションの平均価格は、東京23区内が前年同期に比べ約6割高い1億2962万円だった。上半期では1973年の調査開始以来初めて1億円を突破した。資材高や人手不足などで建築コストが膨らんでいる。首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の平均価格も、前年同期比1.4倍の8873万円だった。20年(6671万円)を大きく上回って過去最高を更新した。東京都下(前年同期比3.5%高)や神奈川県(同7.6%高)など23区の周辺部も上昇した。」(『日本経済新聞』2023.07.21)