情勢の特徴 - 2023年8月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「国土交通省は24日、2024年度予算の概算要求を発表した。国費は一般会計が前年度比19.1%増の7兆0389億円。公共事業関係費が19.0%増の6兆2909億円、非公共事業が20.4%増の7480億円となる。24年4月に厚生労働省から水道整備・管理行政が移管されることを受け、水道の予算を初めて要求する。このほか、『防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策』、資材価格高騰を踏まえて公共事業の実施に必要な経費などを事項要求する。…『国民の安全・安心確保』『持続的な経済成長の実現』『個性を生かした地域づくりと分散型国づくり』の3本柱を設定し、それに沿った施策の予算措置を求める。一般会計のうち、『経済財政運営と改革の基本方針2023』(骨太の方針)で示された重要政策課題などに対応する予算を要求できる重要政策推進枠は1兆6149億円。防災・減災、国土強靭化、グリーントランスフォーメーション(GX)・デジタルトランスフォーメーション(DX)などの予算を計上している。公共事業関係費の内訳は、一般公共事業費が19.2%増の6兆2333億円、災害復旧等が横ばいの575億円。公共事業関係費のうち、初めて要求する水道は12.6%増の419億円となっている。一般会計のほか、東日本大震災復興特別会計で15.2%増の465億円、財政投融資で3.8%増の2兆4156億円を要求する。」(『建設通信新聞』2023.08.25)
●「円の実力が下がっている。ドルやユーロなど様々な通貨に対する円の総合的な購買力を示す指標は、53年ぶりの低水準に沈む。要因はデフレや金融緩和だ。エネルギーなど輸入価格の上昇につながり、2022年度から2年間の家計の負担増は20万円に迫る。円の購買力を取り戻すには、物価と賃金の上昇の好循環を軌道に乗せる必要がある。円の実力は『実質実効為替レート』に表れる。様々な通貨の相対的な価値を物価変動と貿易量などを考慮して算出する。日銀によると、最新の7月のレートは74.31と、1970年9月以降の最低値をつけた22年10月(73.7)の水準にほぼ並んだ。1ドル=360円の固定相場制だった時代と同水準になる。物価が伸び悩んでいるほか、日銀の金融緩和による円安進行が影響している。購買力低下の影響が目立つのが輸入だ。円ベースの輸入物価指数は前年比では下落に転じたものの、円安が本格化する前の21年末と比較するとなお1割高い。ガソリン高などエネルギー価格に加えて、食品や飲料価格の上昇が目立つ。」(『日本経済新聞』2023.08.30)
●「中小企業庁は29日、3月の価格交渉促進月間の取り組み成果を確認するフォローアップ調査の追加結果をまとめた。10社以上の受注側中小企業から『主要な取引先』として挙げられた発注側企業の119社について、受注企業側から寄せられた価格交渉や価格転嫁の回答状況を整理した。建設産業関連は、ゼネコンや設備工事など50社程度を掲載している。また、価格交渉や価格転嫁に関する発注側企業の好事例集も作成した。」(『建設通信新聞』2023.08.30)

行政・公共事業・民営化

●「市街地再開発で整備する公共施設が巨大化している。日本経済新聞の調べで、再開発ビルの一部を自治体が購入して建てる市民会館などの面積が旧施設の2~3倍に膨らむケースが相次いでいることが分かった。人口減少が進む中、国は自治体に公共施設の統廃合などを促しており、規模ありきで進む計画の見直しが欠かせない。市街地再開発は、地権者の取得権利部分を除く『保留床』を開発業者が販売し事業費を捻出する。地方を中心に採算が見込めない再開発が目立ち、国や自治体が補助金を投じたうえ、自治体が保留床を買い取り、公共施設を新設する『官製再開発』が相次ぐ。日経の調べでは、2022年度までの5年間に国の社会資本整備総合交付金などを受けた市街地再開発198事業のうち27%(54事業)で自治体が保留床を買い取っていたことが判明している。新たに見えてきたのが大型イベントの誘致などを狙った公共施設の大型化だ。新旧施設の延べ床面積が比較できる市民会館は5件あり、いずれも1.03~3.3倍に拡大。図書館は6件で1.04~3.5倍に膨らんでいた。」(『日本経済新聞』2023.08.16)
●「建設取引の関係者全体のパートナーシップの構築を目指し、中央建設業審議会(中建審)と社会資本整備審議会(社整審)合同の基本問題小委員会で法制度の整備・改正を見据えた議論が大詰めを迎えている。主要テーマの一つに『請負契約の透明化による適切なリスク分担』を挙げ、民間工事の受発注者関係や契約形態の改善策を提示する。予測不能な物価変動に加え、現場従事者の処遇改善や働き方改革など、既存の商慣習ではカバーできない課題があらわになってきた今こそ、長期的な視野で取引関係をアップデートすることが求められる。」(『建設工業新聞』2023.08.21)
●「国土交通省は、自治体のインフラの維持管理業務に新技術の導入を進めていくため、専門家による支援に乗り出す。公募で選んだ市区町村に対し、専門家が現場適用する新技術などを助言するほか、自治体職員の技術力向上のための研修などを後押しする。新技術の活用を促すとともに、その導入に必要となる技術力を備えた自治体職員の育成体制の構築につなげる。9月22日まで対象自治体を公募する。」(『建設通信新聞』2023.08.22)
●「国土交通省は、気候変動の影響を踏まえて河川と流域の対策の方向性を示す『流域治水プロジェクト2.0』について、先行して策定が完了した1級河川8水系のものを公表した。降雨量の増加に伴い増大する水害リスクを流域ごとに示した上で、河川整備と流域対策の新たな目標を設定。その達成に必要となる追加対策を新たに盛り込んだ。…気候変動の影響により、2度上昇シナリオでも2040年ごろに降雨量は約1.1倍、流量は約1.2倍、洪水発生頻度は約2倍の増加が見込まれ、現行の治水対策が完了しても治水安全度は目減りしてしまうことから、流域治水の取り組みを加速化・深化するため、『量』『質』『手段』の三つの強化を念頭にプロジェクトの更新を進める。」(『建設通信新聞』2023.08.23)
●「国土交通省は2024年度から所管する水道行政の効率的な運営に向けて、新たな施策を打ち出す。人員不足や資源の有効活用など、下水道分野と共通する課題の解決に向けた支援を充実。地方自治体や研究機関を対象とした補助制度を立ち上げる。テックフォース(緊急災害対策派遣隊)の水道に対する被災対応も強化し、給水車の派遣による支援を新たにできるようにする。」(『建設工業新聞』2023.08.28)
●「国土交通省は、民間調査会社が物価資料で公表している材工一式の市場単価を直轄営繕工事の積算単価に適用している工種を対象に、材工分離で積算する方法へ見直すための検討を始めた。歩掛かりを調査した結果に基づいて積算する方向で検討を深め、労務費や材料費などの見える化を目指す。型枠工事などの市場単価適用工種で積算方法が変わることになる。官庁営繕関係の統一基準を2024年度以降に改定し、国交省だけでなく、国全体の営繕工事に新たな積算方法を導入する。」(『建設通信新聞』2023.08.29)

労働・福祉

●「国土交通省は建設業の賃金のもとになる労務費の目安を設ける。とび職や鉄筋工などを念頭に職種ごとに標準的な水準を示す。ゼネコンなどが下請け企業に著しく低い単価を設定している場合に国が勧告など行政指導する仕組みも検討する。…建築現場で働く技能者の業務の種類ごとに『標準労務費』を提示する。現在、国や地方自治体が発注する公共工事は労働市場の実勢価格などを反映した労務単価を職種別、都道府県別に公表している。毎年実施する全国調査に基づいて水準を決める。こうした仕組みを念頭に、工事の受注業者と下請け業者間など民間の受発注の基準についても定める方向だ。」(『日本経済新聞』2023.08.21)
●「建設業振興基金は、建設キャリアアップシステム(CCUS)の就業履歴登録アプリ『建レコ』の新バージョンを31日にリリースし、就業履歴の蓄積に当たって同日から約3500円の安価なカードリーダーを利用可能にする。これまで対応していたカードリーダーの価格帯は1万円から3万円だったため、カードリーダーの設置コスト低減につながり、CCUSの登録が少ない住宅建設工事現場などでの利用が期待される。」(『建設通信新聞』2023.08.31)

建設産業・経営

●「省エネ性能の高い窓に交換する世帯が急増している。大手メーカーの高断熱や複層ガラスの売り上げは前年比2倍の伸びで、冬場に向けて増産の動きもある。背景には冷暖房コストが増すなか、断熱性に優れた窓に交換して電気代を抑えたい需要の高まりがある。」(『日本経済新聞』2023.08.17)
●「戸建て住宅大手のオープンハウスグループは16日、同業の三栄建築設計を買収する方針と発表した。TOB(株式公開買い付け)などを通じて完全子会社化する。買収金額は約430億円。三栄建築は反社会的勢力に金銭を供与したとして、東京都公安委員会から暴力団排除条例に基づく勧告を受け、実績が悪化する恐れがでていた。オープンハウスのもとで経営を立て直す。」(『日本経済新聞』2023.08.17)
●「豊富な手持ち工事や資材価格の高騰、人件費の上昇を背景に、ゼネコン各社の売上高が増えている。大手・準大手ゼネコン26社(単体27社)の2024年3月期第1四半期決算が10日までに出そろった。26社のうち、売上高が前年同期を上回ったのは21社(構成80.8%)を占める。このうち、8社が過去最高を記録した。一方、本業のもうけを示す営業利益では、増益13社、減益13社と明暗が分かれる結果となった。鹿島と大林組、清水建設、長谷工コーポレーション、奥村組、東亜建設工業、ピーエス三菱、東鉄工業の8社は、連結の売上高が過去最高を記録した。コロナ禍を経て停滞していた民間投資の回復基調が継続するとともに、堅調な公共投資の影響もあり、全体感は『好調』との認識を示す声は多い。一方、損益は資材価格が依然として影響を及ぼしている。鋼材などを中心に『高止まりしている』との認識を示す企業が多い。」(『建設通信新聞』2023.08.17)
●「主要ゼネコン26社の4~6月期決算は、手持ち工事の順調な進捗(しんちょく)などで21社が増収となった。本業のもうけを示す営業利益は黒字会社のうち13社が前年同期に比べ増益となった。単体受注高は地方都市を含めて再開発案件が活況で半数以上が前年同期比で増加。資材価格の高騰や労務費上昇に対し新規受注案件で価格転嫁を契約に盛り込むなど好採算案件の受注に努めている。」(『建設工業新聞』2023.08.17)
●「日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は施工段階の二酸化炭素(CO₂)排出量削減に着目した『カーボンニュートラル(CN)実現に向けた推進方策』をまとめた。2030~40年度の早い時財に施工高1億円当たりの原単位で13年度比40%削減を目指していた従来目標を変更。幅を持たせていた目標期限を30年度に繰り上げ、削減目標の考え方も実効性が高い総量に見直した。車両や重機の燃料として軽油に代わる低炭素型の燃料またはCO₂を排出しない革新的建機の普及を前提に、新たに施工段階で13年度比40%の総量削減を目指す。」(『建設工業新聞』2023.08.17)
●「建設資材の取引価格に下げ圧力が強まっている。住宅の柱に使う木材の流通価格は約1年前の最高値の半額となった。ビル向けのH形鋼も鉄鋼大手が5カ月連続で値上げを見送った。住宅は価格高騰で需要が落ち、ビルやマンションは人手不足で工事が進まない。荷動きが鈍り、安値取引も広がっている。」(『日本経済新聞』2023.08.22)
●「注文住宅各社が価格を抑えた戸建て住宅の販売を増やす。住友林業は.3000万円台前半の住宅を発売。大和ハウス工業は注文住宅よりも安い分譲住宅の販売を3倍に増やす。資材価格の高騰で住宅価格が上昇するなか需要は落ち込んでいる。中間所得層が手の届きやすい価格帯を出すことで需要を喚起する。…ハウスメーカー各社が規格住宅の拡充や分譲シフトに動く背景には、資材費や人件費上昇に伴う住宅価格の高騰がある。東京カンテイ(東京・品川)がまとめた首都圏における新築戸建ての平均価格は7月に4498万円と5年前から720万円上昇した。土地代が高い東京23区は同8304万円で上昇幅は2100万円に達する。21年に米国で起きたウッドショックによる木材価格の上昇は落ち着いたものの、鋼材やガラス、樹脂サッシといった資材コストは軒並み高止まりしている。注文戸建ては間取りや見積もりを決める商談から施工、引き渡しまで時間がかかる分、人件費も膨らみやすい。…住宅市場ではマンションも注文住宅同様、価格の高止まりが続いている。都市部で高騰するマンションを購入できない層の関心も戸建てにシフトしており、分譲戸建ての需要は足元では底堅い。ただ、物価高で個人消費が弱含むなかで、分譲戸建て市場の先行きを懸念する声も業界関係者からは出ている。これまで注文住宅メーカーは、低価格の分譲戸建てを販売する『パワービルダー』と呼ばれる企業と市場をすみ分けてきた。需要が弱含むと、今後は飯田グループホールディングスやオープンハウスグループなどのパワービルダーとの競争が厳しくなる。」(『日本経済新聞』2023.08.23)
●「2024年春に適用される時間外労働の上限規制をにらみ、建設大手で受注を絞り込む動きが強まっている。大林組や清水建設は受注で週休2日が確保できる工事を原則とする方針だ。現状では新たな規制に2割が対応できていない。労働時間の縮小で今後は工期の長期化は避けられない。」(『日本経済新聞』2023.08.26)
●「群馬県建設業協会(青柳剛会長)は25日、ガソリンなど燃料価格の値上がりについて、会員企業を対象とした緊急アンケート結果を公表した。5月以降のガソリンや軽油の価格高騰の影響について、9割以上の企業が影響が出ていると回答した。アンケート結果では、ガソリンなどの価格高騰は『影響が大きく出ている』が38.4%、『ある程度影響が出ている』が54.3%を占めた。特に山間部の地方では、ガソリン価格が高く、現場への移動だけではなく企業が負担する車通勤費にも大きな影響が出ている。具体的には『自社で使用するガソリンや軽油の代金が増加』が96.1%で、『購入する資材の価格が高騰』も67.0%だった。値上げがさらに進むことで懸念されることは、ほとんどの企業が燃料費、資材運搬費、資材価格高騰を挙げた。今後、国や自治体に望むことは『政府のガソリンなどの補助金の延長』『設計単価の速やかな改定』が8割を超え、『スライド変更の速やかな対応』も6割弱を占めた。」(『建設通信新聞』2023.08.28)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「福岡、大分両県で40人が犠牲となった2017年の九州北部の豪雨による甚大な被害で住民が戻れず、地域の活動を断念して地区の解散に踏み切った集落が福岡県朝倉市にある。流れ込んできた土砂や流木で家を失い、住民たちは昨春、『子や孫に迷惑をかけたくない』と苦渋の決断に至った。地区の足跡を残すため、今秋にも跡地に石碑を設置する考えだ。」(『日本経済新聞』2023.08.18)
●「住宅の水没リスクがある地域への人口流入が止まらない。河川の洪水で住宅1階部分がすべて水につかる可能性がある市街化区域の人口が過去20年間で約60万人増えたことが、日本経済新聞の調査で分かった。水害時に命にかかわる被害が出る恐れがあるが、居住誘導を続ける自治体もある。豪雨が頻発する中、被害を最小限に抑える対策が求められる。…3メートル以上の浸水が想定される区域は2020年時点で全国約790万人で00年から8%増えた。人口の増加幅が最も大きかったのは東京都江戸川区と足立区の約4.5万人で、埼玉県川口市の約3.5万人が続いた。千葉県流山市など首都圏のベッドタウンでも人口が増えていた。こうした危険な地域は開発を抑制する必要がある。だが市街化区域は公共施設や交通網が整っており、人口減少が進む中、行政効率を上げるため『居住誘導区域』を設けてコンパクトシティー化を進める自治体も多い。」(『日本経済新聞』2023.08.24)
●「国産木材の供給が増えている。林野庁によると、国内で流通した量は最近20年で約2倍になった。新型コロナウイルス下では輸入木材の流通が乱れ価格が高騰。為替などに影響されない国内資源を活用しようと機運が高まっている。国産材は合板や柱や梁(はり)といった材木、チップにする燃料材などに利用される。林野庁によると2021年には3372万立方メートル使われ、20年比で約1割増加。01年比では9割多い。輸入品を含めた流通量全体に占める国産の自給率は約4割。過去最低だった02年の2倍以上に伸び、輸入品が増え始めた1970年代以来の水準に回復している。『ウッドショックを境に国産木材の取引量はコロナ前より2割増えた』。長野県の製材会社経営者は話す。同社は国産原木を仕入れて製材している。ウッドショックは2021年に起きた世界的な木材不足だ。コロナ下の米国で、在宅勤務の広がりとともに住宅需要が伸びた一方、欧米で供給が減少。物流も停滞し、世界的に木材価格が上がった。円安もあり、国産木材シフトが強まった。」(『日本経済新聞』2023.08.29)
●「首都直下地震の被害を減らすため木造住宅密集地域(木密=もくみつ)の解消が急務だ。東京都内の密集地は10年で半減したが、なお約8600ヘクタールと23区の1割強に相当する面積が残る。住民の高齢化や建て替え費府などが壁となっている。都は住民の移転促進や老朽化した建物の解体費補助の対象拡充など解消を急ぐ。」(『日本経済新聞』2023.08.31)
●「『2階建ての仮設住宅は建設できますか』。数年前、災害時の仮設住宅整備を担当する東京都職員は建設事業者に尋ねた。2階以上の仮設住宅を導入できれば、都心の限られた土地で多くの住居を用意できる可能性があるためだ。事業者側の回答は厳しいものだった。日照の問題や建設期間の長期化に加え『階段を建てるために想定より広い土地が要るかもしれない』という。都はいまも導入の決断に至っていない。国が想定する首都直下地震の家屋被害は全壊と半壊はあわせて最大で約314万戸。東日本大震災の状況を踏まえ、このうち7割ほどは住人が修理するなどして自宅に住み続けると見込み、約3割(94万戸分)の仮設住宅が必要になる計算だ。災害時には公園や運動場に8万戸の『建設型』の仮設住宅を整備できる見込み。さらに賃貸の空き物件を自治体が借り上げて被災者に供給する『賃貸型』の仮設住宅を86万戸を用意し、94万戸分を確保できると想定する。こうした国の見通しに対し、仮設住宅不足に関して都とワークショップを開催した経験がある専修大の佐藤慶一教授(都市防災学)は『現実的ではない』と指摘する。発災後の混乱の中で電気やガスといったライフラインなどの損壊部分の修理が円滑に進むとは限らない。自治体が賃貸型の仮設住宅として期待する空き物件が使えない状況に陥る恐れがある。佐藤教授らが国の統計や民間の賃貸物件データを用いて試算したところ、住居を確保できないなど、仮設住宅の不足分は最大で154万戸に達した。」(『日本経済新聞』2023.08.31)

その他