情勢の特徴 - 2023年10月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●全商連青年部協議会(全青協)はこのほど、2017年以来、6年ぶりに実施した「2023年全国業者青年実感調査」の結果をまとめた。調査期間は3月~6月末で、40歳未満の業者青年1925人が回答した。22年度の売り上げは、コロナ禍の影響を把握するために、21年度比だけでなく、19年度比も調査。21年度比は「伸びた」25.7%、「横ばい」36.3%が、前回調査から減少し、「減った」26.2%が増加した。19年度比では「伸びた」19.2%、「横ばい」27.6%、「減った」36.7%となり、回復傾向は見えつつも、コロナ禍前に戻り切っていない実態が見えた。「仕入れ値・工賃単価の状況」では、「上がった」が67.7%と物価高騰の影響があらわに。「価格転嫁状況」では、「転嫁ゼロ」29.4%、「2割未満」37.5%と満足に転嫁できていないことも明らかになった。そうした背景から、「商売での課題・困りごと」(上位五つまで回答)で最も多かったのが「収入確保」54.8%だった。「経営努力していること」でも「収入確保」が最も多く、次いで「技術・技能習得」や「顧客満足」が続いた。「事業見通し」では「拡大したい」が50.4%と過半数になった一方、「資金繰りについて」は「余裕がない」が46.1%に上った。資金繰りや事業展開のために「制度融資を利用している人」27.0%(前回19.1%)や「補助金制度を利用している人」24.8%(前回8.2%)が大幅に増え、「今後参加したい企画」では、「補助金学習会」や「経営計画づくり」が上位になった。(『全国商工新聞』2023.10.09より抜粋。)
●「政府が月内にまとめる新たな経済対策に盛り込まれる国土交通省関係施策の案が明らかになった。対策実施の裏付けとなる2023年度補正予算の編成を念頭に、『防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策』の4年目となる24年度分の財源確保を目指す。建設業関係では持続的な賃上げを実現するための『賃金行き渡り』の担保策や、『建設業の2024年問題』の解決に向けた措置を講じる方向で検討する。」(『建設工業新聞』2023.10.10)
●「東京商工リサーチが10日発表した2023年度上半期(4~9月)の企業倒産(負債額1000万円以上)件数は前年同期比37%増の4324件だった。上半期としては新型コロナウイルス感染拡大前の19年度以来、4年ぶりに4000件台になった。政府の手厚い資金繰り支援が切れた影響が出ている。」(『日本経済新聞』2023.10.11)

行政・公共事業・民営化

●「中央建設業審議会の総会が3日に開かれ、2024年4月から建設業に時間外労働の上限規制が適用されることなどを見据え、適正な工期確保の実効性を高めるために『工期に関する基準』を見直すべきとの意見が複数の委員から上がった。国土交通省は今後検討すると回答し、次回以降の中建審総会で審議される見通しだ。…工期に関する基準は、適正な工期の設定や見積もりに当たって発注者と受注者(下請負人を含む)が考慮すべき事項の集合体で、公共工事、民間工事を問わず、あらゆる建設工事を対象とする。工期設定で受発注者双方が果たすべき責務を定めており、発注者は『受注者の長時間労働の是非や建設業の担い手一人ひとりの週休2日の確保など、建設業への時間外労働の上限規制の適用に向けた環境整備に対し協力する』、受注者は『建設工事に従事する者が長時間労働や週休2日の確保が難しいような工事を行うことを前提とする、著しく短い工期となることのないよう、受発注者間と元下間で、適正な工期で請負契約を締結する』としている。しかし、勧告から3年が経過した現在でも、受注者が工期不足に時間外労働で対応している状況は大きく変わっていない。国交省が5月に公表した『適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査』の22年度結果によると、工期不足への対応方法は『休日出勤』が24%、『早出・残業』が17%で、この二つで全体の4割を占める。建設業が上限規制に対応するためには、適正な工期の確保が不可欠で、その確保に当たってはこれまで以上に発注者の協力が欠かせない。こうした背景から堀田委員は、より実効性の高い基準への見直しを求めたとみられる。総会で岩下泰善不動産・建設経済局建設業課長は『より実効性のある書き方ができるかどうか、検討させてほしい』と答えた。」(『建設通信新聞』2023.10.04)
●「国土交通省は、業務報酬基準の改正案をまとめた。建築士事務所を対象とした実態調査の結果を踏まえ、業務量の確認に使う略算表を全21類型中14類型で見直した。特殊な建築物で業務量を補正する際に使う難易度係数は、戸建て住宅とそれ以外で新たに設定したほか、補正対象建築物に複数該当する場合は係数の掛け算ができるようにした。12月に中央建築士審査会で審議し、2024年1月に公布・施行する。」(『建設通信新聞』2023.10.06)
●「政府は6日、トラック運転手の不足が懸念される『2024年問題』に備え、緊急対策をまとめた。荷主や消費者の意識改革など、一連の施策により24年度に見込まれる14万人の運転手不足を解消できるとみる。トラック事業者は中小企業が多く、対策が浸透するかは課題も多い。政府は6日に関係閣僚会議を開き『物流革新緊急パッケージ』を決めた。①物流の効率化②荷主・消費者の行動変容③商慣行の見直し――を3本柱に据えた。10月中にまとめる経済対策にも反映し財政面で支援する。長時間労働を解消するため、24年4月からトラック運転手の時間外労働は年960時間の上限が設けられる。人手不足が続く物流業界はこの措置により運転手14万人分に相当する輸送量が足りなくなるとみられている。政府の試算によると①荷待ち・荷物の積み下ろし時間の削減で4万5000人分②荷物の積載率向上で6万3000人分③モーダルシフトで5000人分④再配達削減で3万人分――を補填できる。合計14万3000人分になるという。」(『日本経済新聞』2023.10.07)
●「国土交通省は、建設業退職金共済制度(建退共)の証紙貼付方式で、地方自治体による履行確認の実施状況調査を近く始める。2022年度に続く2回目。11月10日を回答期限とし、23年内の結果集計を目指す。公共工事の運用として契約時と完成時に発注者が掛け金の購入・納付状況を確認すると定めているが、運用どおりに確認していなかったり、確認自体していない自治体が存在することが前回調査で分かっている。確認方法が不適切な自治体へのヒアリングや、未実施自治体名の公表を視野に入れながら、結果を踏まえて運用徹底に向けた対応を行う。」(『建設通信新聞』2023.10.13)
●「東日本建設業保証(東保証、原田保夫社長)が12日発表した公共工事の動向によると、2023年度上半期(4~9月)に前払金保証を扱った工事の請負金額は前年同期比0.4%増の4兆8224億円となった。20年度以来3年ぶりに前年同期比で増えたものの、上半期の請負金額が5兆円を下回るのは21年度以降3年連続。取扱件数は0.5%増の7万4904件、保証金額は1.3%増の1兆8588億円だった。」(『建設工業新聞』2023.10.13)

労働・福祉

●「全国建設業協会(奥村太加典会長)は、働き方改革の推進に向けた取り組み状況などに関するアンケートの結果をまとめた。全建が2021年度にスタートさせた『目指せ週休2日+360時間運動』は、6割以上が取り組みを実施・検討中で着実に普及拡大していることが分かった。全建など建設業4団体と国土交通省が申し合わせた技能労働者のおおむね5%賃上げ目標については、8割弱が前向きな姿勢を示した。4週8休は拡大傾向にあるものの、現場レベルではいまだ約3割にとどまっている。」(『建設通信新聞』2023.10.02)
●「全国建設業協会(奥村太加典会長)が実施した会員企業アンケートによると、建設キャリアアップシステム(CCUS)は、6割強が事業者登録を完了し、技能者登録も全員・一部を合わせて5割強となった。しかし、登録が進む一方で、CCUSの活用はほぼ進展していない状況が明らかになった。事業者は、登録済みが63.0%となり、前年調査より12.4ポイント上昇した。検討中も18.3%あった反面、登録予定なしも17.1%を占めた。雇用している技能者の登録状況は、全員が30.3%、一部が26.9%となり、ともに10ポイント前後上昇したが、未登録が42.7%と最多となっている。事業者登録企業に就業履歴を蓄積できる体制を尋ねたところ、80%以上の現場で蓄積可能との回答は17.3%、50%以上79%以下は9.6%、20%以上49%以下は10.7%、19%以下は16.5%となった。最多を占めた45.9%は『蓄積できる現場はない』という状況だった。それを裏付けるように、CCUSの活用状況も、約7割が『活用していない』と回答した。CCUSに登録しない理由でも、『カードタッチをできる現場が少ない』が目立っている。『カードタッチを現場管理に活用している』は約2割にとどまった。CCUSの普及に有効な手だてとしては、経営事項審査や工事成績評定、総合評価での加点といったインセンティブ(優遇措置)に加え、申請の簡略化や必要経費の削減を求める意見が多かった。CCUSに登録した理由を見ても、『インセンティブがある』や『受注機会を得るため』が多くを占め、本来の目的である『技能者の処遇改善・担い手確保』や『現場管理の効率化』は約2割しかない。」(『建設通信新聞』2023.10.02)
●「国土交通省は9月29日、総合建設業と設備工事業の大手企業53社を対象に、人員、多角化、国際化、技術開発、企業集団の各状況を調べる建設業活動実態調査の2022年結果を公表した。常時従業者数は、設備工事業が下支えして9年連続で増えたものの、総合建設業は2桁の減少率となった技能職の減りが響き、13年以来9年ぶりに減少した。」(『建設通信新聞』2023.10.02)
●「国土交通省は2日、『安全衛生対策項目の確認表及び標準見積書に関するワーキンググループ(WG)』の第4回会合を開き、下請けが直近上位の注文者に提出する見積書で総額に含まれている安全衛生経費を内訳明示するための『標準見積書』について、検討を始めた。型枠と左官の2工種を先行して検討し、それぞれの専門工事業団体が2023年度内に作成する。並行して国交省が標準見積書の作成手順書を23年度内にまとめ、他工種の専門工事業団体に作成を促す。」(『建設通信新聞』2023.10.03)
●「厚生労働省は2日、『個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会』(座長・土橋律東大大学院工学系研究科教授)の最終会合を開き、報告書案を議論した。焦点となっていた個人事業者に休業4日以上の業務上災害が発生した際の労働基準監督署への報告主体は、建設業の一人親方自身が災害発生の伝達ができる場合、一人親方は『特定注文者』に報告する義務があり、特定注文者に労働基準監督署への報告義務を課す。特定注文者が存在しない場合は、災害発生場所(建設現場など)を管理する災害発生場所管理事業者が労基署に報告する。一人親方が死亡や入院により災害発生を伝達できないときは、特定注文者らに労基署への報告義務があるとした。こうした仕組みに対し、建設産業界の検討会メンバーは、一人親方が希望するなどの場合、一人親方自らも労基署に直接情報提供や報告できる仕組みの整備などについて、報告書への追記を求めた。検討会の最後に土橋座長は『報告書の仕組みでスタートさせ、改善が必要なら不断の見直しを行いたい』と述べた。検討会で座長預かりの確認を得たことから、同日の検討会で出た意見や提案、要望を踏まえ『早急に報告書をまとめていく』とした。厚労省は報告書を基に、労働安全衛生法改正の手続きに入るとみられる。」(『建設通信新聞』2023.10.03)
●「厚生労働省は9月29日、建設業での一人親方を含むフリーランスの就業環境整備に向けた有識者検討会を開き、関係4団体への聞き取りを実施した。建設業は全国建設労働組合総連合(全建総連)が、建設業でのフリーランス(一人親方)の定義、主な建設現場の種類と一人親方の取引形態・就業実態などを説明した上で、『特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律』(フリーランス・事業者間取引適正化等法)に対する意見を表明した。全建総連は、一人親方(個人請負者)の権利保障や保護について、それぞれの就業実態に基づき、請負(事業者性)・雇用(労働者性)の適正な判断に基づくべきとした。募集情報(建設業は工事発注)の表示は、建設現場作業員の派遣・供給が禁止されており、原則請負契約となるが、建設業の仕事紹介サイト・アプリでは『1日何円』という、いわゆる常用請負・労務請負が多く、労働者性の問題や事業者としての適正な経費確保の課題があると指摘した。ハラスメントは、『主に大規模現場で、元請けや上位取引企業の現場監督者からのパワハラ行為』『災害防止関連で不安全行動などを理由としたハラスメント』の相談が多いと説明した。また、建設現場は元下関係が強く、一人親方が直接元請や取引先に相談することは『非常に困難な状況下にあり、仕事発注への影響も懸念されるため、労働組合に相談が寄せられるケースが多い』とした。相談によって、仕事の発注がなくなったケースがあることも明かした。育児・介護と業務の両立へ配慮は、育児を意識した商慣習・環境がほぼ皆無の状況であり、介護も同様と説明している。契約の中途解除などは、口頭による契約が多く、金額や期間などの契約内容が不明確なことを要因とした中途解除のトラブルが多いと説明。一方的な現場施工能力(技術・技能)不足を理由にした中途解除もあるとした。全建総連はこのほか、建設業では一人親方が増加傾向にあり、2024年4月からの働き方改革関連法全面適用によって、事業者が雇用関係経費を確保できないことによる建設技能者の一人親方化が懸念されると訴えた。建設業の一人親方は労務請負が多く、請負と雇用の明確化が課題とした。」(『建設通信新聞』2023.10.04)
●「東京都中央区八重洲のビル建設現場で鉄骨が落下し男性作業員2人が死亡した事故で、仮留めしていた鉄骨を支える『支保工』という構造物の強度が不足していた可能性があることが4日、捜査関係者への取材で分かった。捜査関係者によると、工事を請け負っていた大林組側が支保工について、鉄骨の重さに耐えられる強度が十分でなかった恐れがあることを警視庁に伝えた。同庁は業務上過失致死傷容疑を視野に捜査を進める方針だ。」(『日本経済新聞』2023.10.05)
●「建設経済研究所は、地域の公共土木工事を請け負う地場ゼネコンを対象に、建設現場で複数職種の仕事を行う技能者『多能工』の実態調査を始めた。国土交通省が調査内容・項目などを監修し、2023年度内に結果をまとめる。建設キャリアアップシステム(CCUS)の能力評価基準で多能工を適切に評価できないことから、専用の能力評価基準作成を見据え、まずは土木工事での実態を把握・分析する。技能や経験に応じた形で、多能工を含むあらゆる技能者の処遇改善を実現することが狙い。」(『建設通信新聞』2023.10.12)

建設産業・経営

●「国土交通省は建設工事の安全衛生経費の適切な支払いに向けた取り組みの一環で、安全衛生対策項目の確認表の検討状況を各専門工事業団体に聞き取り調査した。確認表の検討・作成を各団体に依頼した8月9日から1カ月後の対応を聞いたところ、作成済みか『参考ひな型』を使用する団体が計18団体、作成中が13団体だった。」(『建設工業新聞』2023.10.10)
●「東京商工リサーチが10日発表した2023年度上半期(23年4~9月)の建設業の倒産件数は、前年同期比41.0%増の852件だった。上半期としては2年連続で前年同期を上回った。負債総額は13.8%増の757億7600万円となり、3年連続で前年同期を上回った。負債10億円以上の大型倒産件数は4件(前年同期比1件減)と減少したものの、『1億円以上5億円未満』や『5000万円以上1億円未満』などが増加し負債総額を押し上げた。倒産件数の内訳を見ると、業種別は総合工事業351件(33.4%増)、職別工事業317件(60.9%増)、設備工事業184件(27.7%増)。原因別は『受注不振(販売不振)』が611件(48.3%増)と全体の7割超を占めた。次いで『既往のしわ寄せ(赤字累積)』が135件(32.3%増)、代表者の病気や死亡を含む『その他(偶発的原因)』が31件(47.6%増)だった。これらの原因とも一部重なっている『新型コロナウイルス関連』が228件(84件増)、『人手不足関連』が76件(28件増)、『物価高』倒産が71件(47件増)あった。」(『建設工業新聞』2023.10.11)
●「全国建設業協会(奥村太加典会長)は、9月14日に都内で開いた理事会で、『適正工期見積り運動』の実施を決議した。国土交通省の中央建設業審議会が勧告した『工期に関する基準』に沿った見積もり提出を会員一丸で徹底する。同運動は公共・民間を問わず、工期の見積もりや提案を求められた全ての工事が対象。メインのターゲットは、公共工事よりも見積もり徴集が多く行われる民間工事となるが、そもそも工期に関する基準を知らない民間発注者が大多数占める。まずは、受注者側から発注者側にそのたび丁寧に説明し、理解を獲得することが先決となる。」(『建設通信新聞』2023.10.12)
●「関東鉄筋工事業団体連合会(新妻尚祐会長)は、元請け企業に対して施工価格引き上げを要請する。持続可能な鉄筋工事業を目指し、若手技能者の育成に向けて処遇改善を進める。公共工事設計労務単価に経農を加えた人工単価を労務費の基礎とし、加工費と組立費を設定する。施工価格については、30%程直の上昇を目指していくという。上部団体の全国鉄筋工事業協会は、技能者の賃上げを実現するための活動を全国的に推進している。これを受け、同連合会を構成する関東地区1都6県の鉄筋工事業8団体は、処遇改善に向けて要望することを申し合わせ、施工価格の見直しを強く求める。」(『建設通信新聞』2023.10.13)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「岸田文雄首相は9月29日、改正福島復興再生特別措置法に基づく『特定帰還居住区域』の初弾区域として、福島県大熊、双葉両町の一部地域(計110ヘクタール)を認定した。今後、避難指示解除に向け区域内で除染や家屋解体、道路や上下水道といったインフラの復旧事業を推し進める。」(『建設工業新聞』2023.10.02)
●「東京電力ホールディングス(HD)は2日、福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出を巡り、風評被害を受けた漁業者らへの賠償手続きを始めた。中国による水産物の輸入禁止で風評被害が全国に及び、現時点で影響額は100億円規模になったとみられる。事態が長期化し、賠償額は大きく増える恐れがある。東電は2日から賠償に必要な請求書の申請を受け付け始めた。輸出への依存度が高く資金繰りが厳しくなった事業者については、通常の手続きとは別に緊急対応を行った。40カ所に請求書を送り、うち数カ所については賠償金を支払った。東電は1000人体制で賠償対応にあたる。」(『日本経済新聞』2023.10.03)
●「2025年国際博覧会(大阪・関西万博)の会場建設費が最大2350億円と従来計画より500億円増えることがわかった。資材高や人件費の高騰が主因で、政府、地元自治体、経済界で最大167億円ずつ追加負担する。運営主体の日本国際博覧会協会(万博協会)が来週、関係閣僚や大阪府・市に伝える。岸田文雄首相は6日、首相官邸で西村康稔経済産業相や自見英子万博相と会談した。万博の準備状況の報告を受けた。会場建設費の上限をめぐっては18年の誘致決定時で1250億円だった。会場デザインの設計変更などで20年に1850億円に増額した。2度目の計画修正で当初より8割超上昇する。政府は月内に決める経済対策の財源を裏付ける2023年度補正予算案に万博関連経費を計上する。会場建設費の増額分のほか、韓国での雑踏事故を踏まえた警備強化費や関西以外の自治体による機運醸成に向けた取り組みの経費を盛る。」(『日本経済新聞』2023.10.07)
●「国土交通省は、災害に備えて安全な場所に移り住む『防災集団秒転』の条件を半世紀ぶりに大きく見直す。2024年度中にも近隣5戸の同意があれば移転費補助の対象とする。従来は区域内の全世帯の同意が必要で、災害が起きる前に移転が完了したケースはなかった。南海トラフ巨大地震や豪雨災害に備え、合意形成しやすくすることで人命確保につなげる。」(『日本経済新聞』2023.10.08)
●「国土交通省はマンションの修繕積立金を巡り、積み立て途中での過度な引き上げにつながらないよう目安を設ける。負担金の増額幅が大きすぎて支払いが困難になるケースが生じているため、引き上げ幅に一定の制限をかける。管理組合に計画的な積み立てを促す。管理組合が修繕計画をつくる際に参考にする国交省の指針を改める。マンションの規模ごとに積立額の基準を示すガイドラインなどにも負担金の目安を盛り込む方針だ。国交省によると、指針に強制力はないものの、ほとんどの管理組合は指針をもとに計画を立てているという。一般的なマンションは築年数の経過に伴い、壁面や柱などを大規模に修繕工事する。現在、多くのマンションで修繕のための積立金の増額幅が大きすぎて住民合意ができないトラブルが相次ぐ。2001年に竣工したあるマンションでは計画当初に比べ、最終段階で積立金が5.3倍になる徴収計画をたてた。13年に管理組合の総会で値上げを決めようとしたところ、一部から強い反対を受けて断念。資金不足で修繕工事は延期された。国交省によると、計画当初から最終年までの増額幅は平均3.6倍。10倍を超える事例もある。 国交省が5年に1度実施するマンション総合調査では、18年度に修繕計画に対して積立金が不足するマンションは34.8%に上った。前回調査の13年度の16%から倍増した。足元では資材費や人件費の上昇でさらに増えている可能性がある。古いマンションほど修繕積立金などの滞納割合が高い。1969年以前に竣工したマンションのうち42.9%で滞納があった。2015年以降の物件よりも27.5ポイント高い。計画通り集金できなければ、修繕工事の遅延などが相次ぐ恐れがある。こうした問題を受け、国交省は積立金の引き上げ幅の目安を示す必要があると判断。上げ幅について管理組合の決議が成立した範囲などを調査し、妥当な水準を探る。」(『日本経済新聞』2023.10.09)
●「2025年国際博覧会(大阪・関西万博)の海外パビリオンを巡り、ゼネコンとの交渉や発注を日本が代行する『タイプⅩ』の建設費用を日本側が一時的に『肩代わり』することが12日、分かった。複数の関係者が明らかにした。運営主体の日本国際博覧会協会が発注するメイン会場などの工事費は従来計画を500億円上回る最大2350億円となる見通しだ。政府、大阪府・市、経済界が均等に負担し、増額分には肩代わり費用も含まれるとみられる。」(『日本経済新聞』2023.10.13)

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