情勢の特徴 - 2023年10月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「政府が月内にも策定する経済対策と財源の裏付けとなる2023年度補正予算案の編成を巡って、直近の物価高騰に見合った規模の公共事業予算の確保を求める声が業界内外から挙がっている。建設資材の価格急騰後に編成された22年度第2次補正予算や23年度当初予算は前年度と比べて予算規模が横ばいだった。価格高騰分の必要経費が目に見える形で反映されたとは言い難かっただけに、必要とされる公共事業のボリュームをこれ以上、減らさないための予算措置が求められている。」(『建設工業新聞』2023.10.19)
●とどまることのない物価高騰で、国民の暮らし向きが急速に悪化している。日本銀行が13日に結果を発表した「生活意識に関するアンケート調査」で、1年前と対比した現在の暮らし向きについて「ゆとりがなくなってきた」の回答が57.4%に達した。日銀の調査は年4回、3カ月ごとに行っている。この10年間の推移を見ると、3~4割台だった数値は2022年9月では50.7%と21年9月の36.3%から実に14.4ポイント急増した。今年9月も前年比で6.7ポイント上昇した。この2年間で約1.6倍の伸び率だ。今回「ゆとりがなくなってきた」と回答した理由(複数回答)は「物価が上がったから」が88.7%と最も多く、2番目に多い「給与や事業などの収入が減ったから」(34.5%)を大きく引き離した。急激な円安、ロシアによるウクライナ侵攻などで資源や食料の価格が上昇したことが、家計を圧迫していることを示している。(『しんぶん赤旗』2023.10.20より抜粋。)
●「建設経済研究所と経済調査会が20日発表した建設投資予測の最新推計によると、投資総額の名目値は2023年度に前年同比3.9%増(71兆4800億円)、24年度に1.1%増(72兆2400億円)となった。物価変動の影響を取り除いた実質値で見ても、2年続けて落ち込んだ21、22年度から持ち直し、23年度は2.0%増、24年度には0.9%増と回復基調を予測する。各分野ごとに投資額の名目値を見ると、建築補修を除く政府投資は23年度に4.8%増の23兆4200億円、24年度に0.2%増の23兆4700億円。前年度との比較で足元の出来高が増加しており、23年度は実質値ベースでも微増と予測。24年度は名目値・実質値ともに同水準と見通す。民間住宅投資は23年度に2.1%増の17兆2700億円。建設コストの高止まりや住宅ローンの金利上昇の影響で着工戸数は伸び悩み、特に持ち家やマンションは近年で最低水準にある。ただ住宅の高付加価値化や建設コスト上昇による単価アップを要因に投資額は実質値も含めて微増。24年度は1.4%増の17兆5200億円と予測する。民間非住宅建設投資は23年度に2.5%増の19兆1500億円、24年度に0.4%増の19兆2300億円。実質値も含めて前年度を下回る水準ではないが、足元の着工床面積が減少しているなど企業の建設工事への投資には慎重姿勢がうかがえると分析する。」(『建設工業新聞』2023.10.24)
●「岸田文雄首相は24日の衆院代表質問で、政府が11月初旬ごろにまとめる経済対策に関し『所得税減税を含め早急に検討を進める』と答弁した。政府・与党内では所得税などを定額で4万円減税し、住民税が課税されない低所得者世帯に7万円を給付する案が浮上している。減税と給付で総額5兆円規模になる見通しだ。減税は扶養家族にも1人あたり4万円実施する方向で調整する。納税者が家族2人を扶養している3人世帯の場合は計12万円の減税となる。減税は2024年夏ごろに1回に限って実施する方向で調整している。具体的な制度設計は年末までに与党税制調査会で検討し決める。24年の通常国会に税制改正法案を提出する予定だ。減税の対象にならない住民税非課税世帯向けには1世帯あたり7万円を給付する。首相は23日の所信表明演説で、3月に決定した物価高対策でも3万円を配った経緯に触れながら『追加的に拡大する』と語っていた。」(『日本経済新聞』2023.10.25)
●「日本のドル換算での名目GDP(国内総生産)が2023年にドイツを下回って4位に転落する見通しであることが国際通貨基金(IMF)の予測で分かった。足元の円安やドイツの高インフレによる影響も大きいが、長期的な日本経済の低迷も反映している。23日までに公表した経済見通しで示した。名目GDPはモノやサービスの価格変動を含めた指標で、国・地域の経済活動の水準を示す。一般的な経済規模を示す場合に用いられることが多い。23年は日本が前年比0.2%減の4兆2308億ドル(約633兆円相当)、ドイツは8.4%増の4兆4298億ドルとなる見込みだ。1位の米国は5.8%増の26兆9496億ドル、2位の中国は1.0%減の17兆7009億ドルだった。」(『日本経済新聞』2023.10.25)

行政・公共事業・民営化

●「公共工事前払金保証事業会社3社(東日本建設業保証、西日本建設業保証、北海道建設業信用保証)は9月の公共工事前払金保証統計をまとめた。2023年度上半期(4~9月)に前払金保証を扱った工事などの総請負金額は前年同期比4.6%増の9兆0737億円となった。発注機関別に見るとウエートの大きい都道府県や市区町村が増え全体を押し上げた。保証の取扱件数は0.7%減の13万1882件、保証金額は3.9%増の3兆4965億円。」(『建設工業新聞』2023.10.17)
●「人口10万人以上の地方自治体で、調査基準価格・最低制限価格の算定式水準を公表していないことなどから、ダンピング(過度な安値受注)対策の遅れが懸念されていた27団体のうち、22団体の算定式が2016年中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)モデル以前の低い水準だったことが、国土交通省のヒアリングで分かった。人口10万人以上の全自治体(263団体)でダンピング対策の実施状況が判明したことになる。その22団体は、最新(22年)のモデル水準への改定を23年度に検討する意向を国交省に示している。」(『建設通信新聞』2023.10.25)
●「国土交通省は、資材価格高騰と労務費上昇が直轄営繕の工事価格に与える影響を試算した結果をまとめた。2019年度と23年度の積算単価を基に、同じ条件で庁舎新築に要する工事価格を算出・比較したところ、2割近く上がっていた。資材価格高騰の影響が特に大きい。工事価格が上昇する中、予算額は横ばいであれば実施可能な事業量が目減りすることになる。事業量を確保するためには予算を増額確保する必要がある。」(『建設通信新聞』2023.10.27)

労働・福祉

●「あらゆる現場で建設キャリアアップシステム(CCUS)の就業履歴を蓄積できるようにするため、建設業振興基金が準備してきた三つのツールが本格始動する。三つ目として、コムテックス(富山県高岡市)の入退場管理システム『キャリアリンク』で、基金が導入費用を支援する簡易プランの申し込みが16日に始まる。7月に提供を始めた『カードリーダーのロギング機能追加』、8月から利用可能にした『安価なカードリーダー』と合わせた三つのルーツ展開により、就業履歴が蓄積しにくいとされていた小規模現場へのCCUS普及を目指す。」(『建設通信新聞』2023.10.16)
●「日本の男女の賃金格差が2022年までの四半世紀で15ポイント縮小し、21.3%の差まで縮まったことが経済協力開発機構(OECD)のデータで分かった。企業の待遇改善で差は狭まったが、なお先進国平均の約2倍ある。さらに差を縮めるには、男女が平等に働ける環境整備が欠かせない。…OECDが男女の週当たり総収入額の差を比べた調査によると、米国では22年で17.0%、英国は14.5%、フランスは21年で11.6%と日本よりも差が小さかった。OECD平均は11.9%だ。日本で格差が大きい要因には、女性はパートなどの非正規雇用が多いことに加え、管理職割合の低さや勤務年数の短さがある。賃金構造基本統計調査による月額ベースの賃金は、22年は男性が34万2000円で女性は25万8900円。25年前は約12万円の差があった。格差のさらなる是正に向けては、女性管理職の割合増加が鍵になる。労働政策研究・研修機構によると、日本の管理職に占める女性の割合は21年に13.2%だった。スウェーデンの43.0%、米国の41.4%とは開きがある。厚生労働省による男女間の賃金格差の分析では、女性全体でみると男性の76%弱の水準だったが、部長や課長などなどの役職についた女性は男性の88%弱だった。管理職になる女性が増えれば賃金格差は緩和される可能性が高い。そのためには勤務年数や労働時間の長さが、昇進や給与水準を左右する現状を見直す必要がある。現状では女性の勤続年数は男性より短い傾向がある。男女間の平均勤続年数の差は1985年の5.1年から2022年には3.9年に縮んだが、女性には出産など特有の事情もある。厚労省の分析では、管理職割合と勤続年数の双方で男女間格差をなくした場合、女性の賃金水準は男性の89%強に改善する。これはフランスやドイツなどと同水準だ。」(『日本経済新聞』2023.10.18)
●「出入国在留管理庁の『技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議』は18日、今秋にまとめる最終報告書の提言部分について、たたき台を公表した人権侵害の指摘があった技能実習制度を廃止し、代わって人材確保・育成に主眼を置いた制度を創設する。新制度の下、未熟練労働者として受け入れた外国人を基本的に3年間で特定技能1号の技能水準まで育てる。育成した外国人材を特定技能1号へ移行させるため、受け入れ対象分野は特定技能の特定産業分野に合わせる。建設分野が対象になる。」(『建設通信新聞』2023.10.19)
●「出入国在留管理庁は、技能実習制度に代わって創設する外国人受け入れの新制度で、有識者会議が容認する方向性を18日に示した『本人の意向による転籍』に、待遇改善を目的とした受け入れ企業の変更を含むことを明らかにした。新制度の在留期間中(基本3年間)に同一の受け入れ企業で就労を続けて特定技能1号への移行に必要な水準の技能を身に付けることが望ましいとしつつ、人権保護の観点から一定の条件を満たせば自由意志での転籍を認める方針。新制度で外国人を受け入れる企業は、待遇への配慮が強く求められそうだ。」(『建設通信新聞』2023.10.20)
●「国土交通省は一人親方の適正な働き方を周知する説明会を11月にオンライン形式で開く。地方整備局などでの会場形式では現場で働きながらの参加が難しいことから、夜間や休日の開催日程を用意し、一人親方本人へのアプローチを強化する。自らが適正な一人親方かどうか判断するツールとなる『働き方自己診断チェックリスト』の活用を促し、企業の規制逃れを目的とした『偽装一人親方』の抑制につなげる。」(『建設工事新聞』2023.10.20)
●「2020年3月卒業者で建設業に就職した4万0249人のうち、就職後3年以内に仕事を辞めたのは1万4533人で、就職後3年以内離職率が36.1%となったことが、厚生労働省が20日にまとめた新規学卒就職者の離職状況から明らかになった。建設業全体の3年以内離職率は、前年(19年3月)卒業者と比べ0.9ポイント上昇した。このうち高卒者は1万4529人の就職に対し、6167人が仕事を辞めたことから、3年以内離職率は前年卒業者に比べ0.2ポイント上昇の42.4%だった。離職率は3年ぶりに上がった。全産業の高卒離職率37.0%と比べ、建設業の離職率は5.4ポイントも高い。建設業への定着は進まず、高卒者の4割超が離職する状況が続いている。」(『建設通信新聞』2023.10.23)
●「全国建設労働組合総連合(全建総連)は、建設業の魅力向上と持続可能を目指し、『持続可能な建設業の実現に向けた100万人国会請願署名』を行う。建設労働者の雇用改善、担い手確保・育成に関する請願を主としたもので、衆参両院にそれぞれ50万筆以上、計100万筆以上の署名を目標としている。取り組み期間は11月~来年3月末、来年5月上旬に署名提出集会を開催予定だ。今回、署名運動を行う背景として同団体は『建設業は国民生活に不可欠な基幹産業だが、現場では従事者の処遇改善が遅れており、減少・高齢化が進んでいる』ことを挙げる。さらに2024年4月からの働き方改革関連法全面適用を受け、長時間労働の是正や週休2日制の推進、適切な賃金水準の確保などが急務となっている点を指摘。『社会資本の維持管理・更新や災害復旧等を適切に行うためにも、建設労働者数の減少に歯止めをかける必要がある』と訴える。その上で具体的には以下の3点を要望。①建設労働者の雇用改善、能力開発の推進及び向上を図るとともに、高い水準の賃上げに向けた環境整備に努めること、②建築大工をはじめとした若年者等の入職・定着を促進し、建設業の担い手確保・育成を推進すること、③建設キャリアアップシステム(CCUS)の普及促進を図ること――ことを求めている。」(『日本住宅新聞』2023.10.25)
●群馬県高崎市で開かれていた全建総連定期大会は27日、インボイス見直し、賃金・単価引き上げや長時間労働是正で持続可能な建設業をつくろうと呼びかけた運動方針を採択し、閉会した。中西孝司委員長は、「激甚化がすすむ自然災害の復旧や社会資本の維持管理など、私たち建設労働者の役割は高まっている。しかし、仕事がきつく、賃金が安いため、若者が入ってこない。国会請願署名を成功させ、持続可能な建設業をめざそう」と訴えた。(『しんぶん赤旗』2023.10.28より抜粋。)
●「厚生労働省は27日、『個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会』(座長・土橋律東大大学院工学系研究科教授)の報告書を公表した。建設業の一人親方など個人事業者の業務上災害防止に向け、災害の実態を網羅的に把握するため、休業4日以上の死傷災害を対象に、労働基準監督署への報告を義務付ける制度の創設を提言した。個人事業者の災害防止対策、個人事業者への注文者(発注者)による措置なども示し、労働安全衛生法で企業(事業場)などに義務付けている災害防止対策を個人事業者にも広げる。」(『建設通信新聞』2023.10.30)

建設産業・経営

●「建設資材の上昇が止まらない。建設物価調査会(北橋建治理事長)と経済調査会(森北佳昭理事長)がそれぞれまとめた『建設資材価格指数』の全国平均値を見ると、直近の9月10日調査時点で過去最高を更新した。依然として高止まりが続くセメントや生コンクリートなどが指数を底上げしたようだ。建設資材価格指数は建設資材の全般的な価格動向を数値化している。同日調査時点の指数を調査機関別に見ると、建設物価調査会の建築・建築補修・土木総合の全国平均(15年度=100)は前月調査から0.9ポイント上昇の『134.5』となり、5カ月連続で増加した。1990年の指数作成以来、134を超えるのは初めて。前年同月と比べると7.3ポイント上昇した。建設物価調査会指数の建築・建築補修・土木別内訳は、建築134.9(前月比0.6ポイント上昇)、建築補修129.6(0.7ポイント上昇)、土木136.2(1.4ポイント上昇)。いずれも過去最高を更新した。経済調査会の土木・建築合わせた全国平均指数(15年度=100)は1.8ポイント上回る『153.1』となり、3カ月連続で過去最高値を記録。前年同月比では2.7ポイント上昇した。建築・土木別に見ると、建築が1.7ポイント上回る155.7と2カ月ぶりに上昇。木材市況下落の影響でやや落ち込んでいた今春から再び上昇基調にある。土木が1.9ポイント上回る149.3で過去最高となった。」(『建設工業新聞』2023.10.19)
●「日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は、現場の生産性に関する2022年度追跡調査結果をまとめた。指標に用いる技術者・技能者1人に対する1日当たりの施工高は土木・建築の平均が前年度比1.2%減と3年連続で低下した。建築分野で資材高騰分を十分転嫁できていないことが主な要因と見られる。『25年度までに20年度比で10%の生産性向上』の目標達成が厳しい状況にあることから、生産性向上推進本部長名で会員各社に一層の活動展開を求める通知文を20日付で出した。…22年度の生産性指標は土木・建築を合わせた平均で前年度比1.2%減の9万3285円。土木が2.1%増の9万3537円と前年度の微減から上昇に転じる一方、建築が2.9%減の9万3160円と3年連続で低下した。完成工事原価をベースにした利益控除後は、土木・建築平均で8万5021円(前年度8万5004円)と横ばいで推移している。土木は完工高が前年度から増え、延べ労働時間が減り、生産性向上が進んだ。一方、建築では完工高が増えた以上に、延べ労働時間の増加幅が大きかったため生産性が低下。その要因として『完工高が思ったほど伸びていないことが問題。資材高騰などによる価格転嫁が十分できておらず、利益の部分が減っている』と分析している。」(『建設工業新聞』2023.10.24)
●「国土交通省は20日、建設関連3業種(測量、建設コンサルタント、地質調査)の2022年度末の登録業者数の調査結果を公表した。測量が1万1477業者(前年度比0.9%減)、コンサルは3931業者(0.7%減)、地質調査が1257業者(0.9%減)と、いずれも減少した。」(『建設工業新聞』2023.10.25)
●「全国生コンクリート工業組合・協同組合連合会(全生連、斎藤昇一会長)のまとめによると、2023年度上半期(4~9月)の生コン総出荷量は3526万2727立方メートル(前年同期比4.7%減)と6年連続でマイナスとなった。斎藤会長は『昨年あたりから職人の確保が困難になっている。人手不足で1日当たりの工事量が減少し、これが出荷量減少の大きな要因だ。下期に向けても同様の傾向が続くのではないか』との見方を示した。26日に東京都内で開いた記者会見で出荷実績を発表した。内訳は官公需が1096万9380立方メートル(7.9%減)と6年連続減少、民需が2429万3347立方メートル(3.2%減)と3年ぶりに減少となった。地域別では10地域すべてで減少した。北海道新幹線建設工事で遅れが出ている北海道、出荷が好調だった反動減のある関東二区、公共事業が減少し大型の民間プロジェクトが少なかった中国などで減少幅が大きかった。」(『建設工業新聞』2023.10.27)
●「日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)が30日発表した会員93社の2023年度上半期(4~9月)の建設受注額は、前年同期比4.6%増の7兆9072億円となった。官公庁では九州地方の防衛・港湾施設設備、民間では東京都心の都市再開発などがけん引。これら1件当たり100億~1000億円台の工事が全体を押し上げた。建設受注額の内訳は国内が8.5%増の7兆6567億円、海外が50.3%減の2504億円だった。国内は民間が7.2%増の5兆6879億円、官公庁が12.4%増の1兆9239億円、その他が27.6%増の450億円。年度上半期ベースで過去20年の推移を見ると、総額はそれまで最高だった前年度(7兆5585億円)をさらに上回り最高額を更新した。」(『建設工業新聞』2023.10.31)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「2023年度上期(4-9月)に東京23区内で計画された延べ1万平方メートル以上の建築物は、件数が前年同期比1件減の36件だったことが日刊建設通信新聞社の調べで分かった。総延べ床面積は17.3%増の181万3684平方メートル。三井不動産など10社が東京都千代田区に計画する『内幸町一丁目街区開発プロジェクト』をはじめ、市街地再開発事業や建て替えなど大型事業の増加が総延べ床面積を押し上げた。」(『建設通信新聞』2023.10.16)
●「環境省は17日、東京電力福島第1原子力発電所事故の除染に伴う除去土壌などの福島県外最終処分に向け、早ければ2024年秋にも、これまでの技術開発や再生利用など取り組みの成果案と、最終処分に向けた25年度以降の新計画案をまとめると明らかにした。減容化・再生利用・最終処分に適用可能な技術とその組み合わせや最終処分場の構造・必要面積などの選択肢、最終処分埋立処分基準省令案などを一括して示す予定。一般意見を募るなどの手続きを経て、25年3月末をめどに最終処分地選定の調査検討、最終処分方式具体化といった最終処分場整備に向けた新計画を策定する。」(『建設通信新聞』2023.10.18)
●「マンションの維持管理コストが人件費や資材費の高騰が膨らんでいる。東京カンテイ(東京・品川)によると、2022年の中古マンション管理費・修繕積立金の平均合計額は、築10年の物件が東京23区で70平方メートル当たり月2万9782円。12年当時に比べ29%高い。専有面積30平方メートル以上の分譲マンションを対象に調査した。管理費の水準が異なるリゾートマンションやケアマンションは除いた。首都圏の築10年物件は2万7746円だった。12年に比べて30%増えた。近畿圏は同28%高い2万332円。中部圏は同36%高い2万2025円だった。マンションの修繕費用はデベロッパーなどが販売時に試算する。将来の正確な見積もりは難しいため、実態とかけ離れることも多い。深刻な人手不足で人件費が膨らみ、管理費が上昇。資材高による工事費の上昇が修繕積立金を押し上げた。」(『日本経済新聞』2023.10.21)
●2025年4月から大阪市此花区の人工島・夢洲で開く予定の大阪・関西万博の会場建設費をめぐり、日本国際博覧会協会は20日、建設費の精査結果を政府と大阪府市、財界に報告した。建設費は、当時見積もりの約1.9倍の約2350億円に膨れ上がった。建設費は、国と大阪府市、経済界で3分の1ずつ負担することになっており、3分の2は国や府市の公金だ。負担は2倍近くになり、カジノ誘致と一体で万博を推進してきた維新に対し、「万博は『身を切る改革』の例外なのか」などの批判が起きている。建設費は、18年の誘致決定時は1250億円を見込んでいたが、資材費高騰や施設計画の変更などを理由に20年12月に1850億円の増額。今回、精査の結果、資材費や人件費の高騰などを理由にさらに約500億円の増額となった。(『しんぶん赤旗』2023.10.21より抜粋。)
●「国土交通省は緑地の開発を促すための施策を強化する。官民で一体となって緑地の整備を推進するため、緑化の目標や取り組みの方向性を示す新たな国の方針を定める。都市計画上で、緑地を含む『自然的環境』の整備や保全の位置付けも高める考え。まちづくりの計画段階から緑地の明確な方針を固めることで質と量の両面を確保する。」(『建設工業新聞』2023.10.27)

その他