情勢の特徴 - 2024年1月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「独占禁止法に基づく『優越的地位の乱用』の取り締まりを強化している公正取引委員会(公取委)は、総合工事業など39業種を主な対象としたコスト上昇分の価格転嫁に関する特別調査の結果を公表した。総合工事業では書面調査に回答した2656者のうち325者に注意喚起文書を送付。元下間の価格交渉の場で協議せずに工事単価を据え置く行為などを確認した。公取委は総合工事業で価格転嫁が円滑に進んでいない背景を分析する中、多重下請構造の存在を指摘している。」(『建設工業新聞』2024.01.05)
●全国商工団体連合会付属中小商工業研究所は、今年4月からトラックドライバーの時間外労働の上限が年間960時間以内になり、人手不足や物流の停滞に直面する「物流2024年間題」で運送事業者の実態アンケートをまとめた。回答したトラック運送事業者、軽貨物運送事業者の各70%超が、燃料費の負担増や最低賃金引き上げによる人件費の上昇分を運賃に転嫁できていない現状がわかった。調査期間は昨年10月27日~11月20日。民主商工会会員の81のトラック運送事業者、42の軽貨物運送事業者が回答した。トラック運送事業者は今年4月以降、ドライバー確保(61.6%)を懸念、ドライバー不足による減収、人件費の捻出がともに53.4%だ(複数回答可)。全商連研究所は、回答者の76.4%が燃料費・人件費増を運賃に転嫁できず、66.7%が前年同時期比で減益であること、84.1%が国土交通省が定める「標準的な運賃」を十分得られていないこと、長時間労働の要因である荷待ち・荷役について71.2%が運賃に反映されていないことなどが背景にあると分析。「経営上の困難を解消することがトラック運送事業者の経営改善とドライバーの待遇改善につながる」としている。一方、トラック運送事業者の53.3%が燃料費・人件費増を踏まえ荷主と運賃交渉し、そのうち67.5%が運賃引き上げにつなげたことがわかった。(『しんぶん赤旗』2024.01.06より抜粋。)
●「9日の東京株式市場では日経平均株価が8万3763円で終え、バブル経済崩壊後の高値を2023年7月以来ほぼ半年ぶりに更新した。企業の稼ぐ力やガバナンスの向上、デフレ脱却に向けた日本経済の好転を期待した買いがけん引役だ。投資家は賃上げなど経済の好循環を24年以降に保てるか注視している。」(『日本経済新聞』2024.01.10)
●「民間有識者でつくる『人口戦略会議』は9日、人口減少下の日本がとるべき戦略『人口ビジョン2100』を発表した。政府は2100年に人口が半減し、6300万人程度になると見込む。同会議は少子化対策などで8000万人台で安定させる目標をかかげた。人口が減っても成長できる社会をめざす。」(『日本経済新聞』2024.01.10)
●「経済産業省中小企業庁は12日、2023年9月の価格交渉促進月間のフォローアップ調査結果をまとめた。10社以上の受注側中小企業から『主要な取引先』として挙げられた発注側企業の220社について、回答企業数(主要な取引先として回答した受注側中小企業数)を示した上で、受注側中小企業からの価格交渉と価格転嫁それぞれの回答状況(評価結果)を整理して公表した。建設産業関連は、建設コンサルタントやゼネコン、設備工事など75社程度が公表されている。企業リストの公表は、下請中小企業振興法に基づく。発注側企業による一層の自発的な取引慣行の改善につなげることが狙い。価格交渉と価格転嫁の回答状況は、受注側中小企業からの回答を点数化。個別受注企業からの回答を点数化し、その合計を回答企業数で割った『平均値』を、『ア(回答の平均が7点以上)』『イ(同7点未満4点以上)』『ウ(同4点未満ゼロ点以上)』『エ(同ゼロ点未満)』の4区分に分類・整理した。点数の基準は、価格交渉が、発注側企業から交渉の申し入れがあり交渉したが10点、発注量の減少や取引中止を恐れ受注側企業が交渉を申し出なかったがマイナス5点など。価格転嫁は、コスト上昇分に対する価格転嫁割合について1割ごと1点とし、5割だと5点、10割で10点とした。減額はマイナス3点にした。220社の状況は、価格交渉が『ア』33社、『イ』133社、『ウ』、53社、『エ』1社。価格転嫁は『ア』10社、『イ』141社、『ウ』69社、『エ』ゼロとなっている。取引適正化の取り組みが良い悪いの明確な線引きはなく、相対的に見て『ア』に区分された企業は望ましい状況にあり、『ウ』や『エ』に区分されると芳しくないと見ることができる。220社のうち、交渉と転嫁の評価が芳しくなかった約20社に対しては、今月中に産業を所管する大臣名で取引の改善を求める指導、助言を実施する。建設業の企業の評価結果を見ると、大手5社の評価は同じで価格交渉、価格転嫁とも『イ』だった。評価がいずれも『ウ』となった企業は、評価が芳しくない企業とみることができ、33社あった。うち3分の1が建設産業関係の企業だった。評価がいずれも『ア』の企業は日立建機など5社。」(『建設通信新聞』2024.01.15)

行政・公共事業・民営化

●「公共工事の適正な予定価格と工期の確保に向け、市区町村で一層の取り組みが必要な実態が明らかになった。国土交通省の調査によると、予定価格の積算時に使用する資材単価を最新の物価資料に基づき全資材の単価を毎月更新している団体は約7割で、1年前の調査時点とほぼ同水準。時間外労働の罰則付き上限規制の適用を踏まえた工期を設定している団体は約3割に過ぎなかった。物価変動や上限規制という建設業が直面する喫緊の課題への適切な対応が各団体に求められる。」(『建設工業新聞』2024.01.09)
●「国土交通省は9日、建築設計、工事監理の業務報酬基準を5年ぶりに改定した。業務量の確認に使う略算表や難易度係数を見直した。同日付で改正告示を公布、施行した。改正基準では業務量の確認に使う略算表を全21類型中14類型で建築物の床面積の範囲と業務量を見直した。運動施設と商業施設の第1類・第2類、物流施設、宿泊施設、医療施設の第2類の計7類型は、実態調査でサンプル数が少なかったことや工事監理業務が著しく減少していたことから改正を見送った。特殊な形状や構造の建築物などで業務量の補正に使う難易度係数は戸建て住宅とそれ以外で新たに設定した。現行基準では戸建て住宅以外のサンプルを使って算出した難易度係数を戸建て住宅にも適用していたため見直した。総合、構造、設備の各業務分野で設定している補正対象建築物に複数該当する場合は、全ての係数を乗じられる基準とした。これまで補正対象建築物に複数該当する場合は最も適切な係数を略算表の業務量に乗じており、一つのみ該当する場合と同じ係数が適用されていた。」(『建設通信新聞』2024.01.10)
●「埼玉県は県発注工事や業務の質を確保し労働環境を良好にするため、公契約条例の制定に向けた検討を進めている。関係部署からメンバーを集めた『公契約条例に関する庁内研究会』が2023年7月に発足。他地域の事例や労働団体との意見交換を基に、理念型条例とする案などを中心に議論してきた。今後は『事業者団体からの聞き取りなどを進めたい』(産業労働部雇用労働課)考えだ。」(『建設工業新聞』2024.01.15)

労働・福祉

●「仕事を探す65歳以上のシニア層が急増している。ハローワークで職を探す有効求職者は25万人と10年間で2.2倍になった。長い老後を過ごすために働かざるをえない面もある。労働人口の減少を踏まえ、人手不足の解消につなげる工夫が欠かせない。…シニア向け窓口には、毎日100人を超す求職者が相談に訪れる。『70歳代や80歳代の人も目立つ』と担当者は話す。ハローワークで仕事を探す人は徐々に高齢者にシフトしている。有効求職者を年齢別にみると、01年か18年は25~29歳が最多でフリーター対策など若者の雇用先確保が重視された。現在は65歳以上が逆転した。有効求職者について23年1~11月の平均値を10年前と比べると、25~29歳は10万人減って19万6000人となった。一方で65歳以上は14万人増の25万6000人だった。求職者全体に占める65歳以上の割合は13%と、10年前の5%から8ポイント上昇した。55歳以上まで含めると求職者全体の3分の1に達する。高齢化で人口の年齢構成が変わったことに加え日本の雇用ルールの影響もある。日本の企業は高年齢者雇用安定法で、希望があれば65歳まで雇用する義務が課されている。65~70歳は努力義務にとどまる。働き続けるには別の職種や業種への転向が必要なケースもあり、希望する仕事内容とのミスマッチの解消が必要だ。仕事を探す人が就職した割合を指す就職率を巡っては、高齢者は低い傾向にある。直近11月をみると全年齢の合計は27%だが、65歳以上は21%どまりだった。」(『日本経済新聞』2024.01.04)
●「国土交通省は建設工事の安全衛生対策項目の『確認表』の検討・作成状況をフォローアップした。2023年12月時点で作成済みは14団体。この3カ月で足場や左官などの工種の4団体が新たに作成した。確認表は各専門工事業団体が工種ごとに作成し、必要な安全衛生対策をチェックし、元下間でどう実施・費用分担するか認識を共有するのが目的。安全衛生対策に関する元下間の認識のズレを解消し、安全衛生経費の適切な支払いにつなげる。学識者や建設業団体で構成する『安全衛生対策項目の確認表及び標準見積書に関するWG』での議論を経て、国交省は全工種の共通事項を整理した『参考ひな型』を23年8月に作成。同時に工種ごとの対応を各団体に依頼していた。検討・作成状況のフォローアップは23年9月に続き2回目で、同12月時点で▽作成済み=14団体(23年9月時点10団体)▽参考ひな型を使用=7団体(7団体)▽作成中=16団体(16団体)▽作成するか対応を検討中=17団体(25団体)▽作成しない=6団体(5団体)▽その他=13団体(8団体)―だった。先行的に確認表の検討に当たった型枠、管、住宅、足場、内装仕上げの5工種以外に、日本左官業組合連合会などが新たに確認表を作成。参考ひな型は日本タイル煉瓦工事工業会や日本ウエルポイント協会、日本造園建設業協会などが使用を始めている。」(『建設工業新聞』2024.01.11)
●厚生労働省が10日発表した2023年11月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、現金給与総額(名目賃金)に物価の変動を反映させた実質賃金は、前年同月比3.0%減となった。物価の高騰に賃金上昇が追い付かず、20カ月連続で前年を下回った。基本給と残業代などを合わせた11月の名目賃金は、労働者1人当たり平均で0.2%増の28万8741円だった。このうち基本給が中心の「所定内給与」が1.2%増、残業代を含む「所定外給与」が0.9%増えた。賞与など「特別に支払われた給与」は13.2%減った。実質賃金の算出に用いる23年11月の消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)は3.3%上昇。鶏卵など広範な食料のほか、宿泊料や携帯電話の通信料も上がり、実質賃金が目減りした。(『しんぶん赤旗』2024.01.11より抜粋。)

建設産業・経営

●「2024年は、建設業の最重要課題である担い手確保に向けた制度改正の年となる。担い手不足が深刻さを増し、時間外労働の上限規制が適用される4月も目前に迫る中、国土交通省などは建設業の持続可能性を確保する観点から、建設企業が処遇改善と働き方改革に一層取り組める環境を整備する。その中には商慣習を大きく変える施策もある。業界が一丸となって新3K(給与・休暇・希望)を実現し、将来にわたって担い手を確保し続けられる持続可能な建設産業に生まれ変われるか。24年がその分岐点となる。担い手確保は待ったなしだ。」(『建設通信新聞』2024.01.09)
●「日本型枠工事業協会(日本型枠、三野輪賢二会長)は、国土交通省が昨年6月に公表した建設キャリアアップシステム(CCUS)レベル別年収を基に、仮定の施設規模や施工条件などに基づき型枠工の標準単価を算出した。マンションや事務所ビルなど対象8施設別に平均値(東京地区)として明示。レベル別年収の中程度の収入を得るためには、現行の単価から3~4割のアップになるという。」(『建設工業新聞』2024.01.11)
●「日本建設業連合会(宮本洋一会長)は、民間発注の建築工事を対象に、4週8閉所・週40時間稼働を原則とする初回見積書の提出に足並みをそろえる『適正工期確保宣言』について、会員企業の実施状況に関する初めてのフォローアップ調査を行った。本格実施から2カ月ほどの2023年11月末時点で、半数を超える企業が『既にアクションを起こした』と回答。完工高割合で補正した事業費ベースでは、9割近くの案件で同宣言に基づく活動が展開されていた。39社は原則全てのプロジェクトで取り組みを進めているという。同宣言は23年7月の理事会で機関決定し、各社内の周知・準備期間や発注者向け説明資料の作成などを経て、9月下旬から本格実施のステージに移った。調査は日建連会員141社を対象に実施し、110社から回答を得た。土木専業の16社を除く94社のうち、58社(62%)が『既にアクションを起こした』と答えた。さらに、『23年度内に開始』が11社(12%)、『24年4月から開始』が7社(7%)あり、これらを合わせると、94社中76社(81%)が24年4月までに行動を起こす予定となっている。建築現場で働く人々への影響度合いを測る事業費ベースにすると、アクション済みが88%、23年度内開始が5%などとなり、24年4月までには96%に達する見込みだ。また、アクション済み58社の実施状況を見ると、39社が『原則全てのプロジェクトで進めている』と回答し、事業費ベースでは86%に上っていた。18社は『段階的に進めている』とした。未実施の企業でも、26社は『準備中』としており、このうちの18社は23年度内または24年度からの開始を目指している。日建連は『適正工期確保宣言の取り組みは順調に開始されている』との認識を示す。今後も、半年後をめどに、次回のフォローアップ調査を行う見通しだ。今回は本格実施から日が浅く、取り組み開始の状況のみを調べたが、次回以降は順次、契約への反映状況や実際の施工時の状況も把握していく。」(『建設通信新聞』2024.01.12)
●「建設経済研究所と経済調査会は12日、2024年度建設投資見通しの1月推計を発表した。3回目となる今回は、物価変動を含む名目値で前年度見通し比0.7%増の72兆4100億円、物価変動を含まない実質値で0.1%増の58兆6075億円と予測。前回推計(23年10月)から、名目値は1700億円の上方修正、実質値は3965億円の下方修正となっている。政府の公共事業関係費と地方単独事業の24年度予算が前年度並みで、民間は新設住宅着工戸数などが低水準と予想し、全体としては微増になるとした。」(『建設通信新聞』2024.01.15)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「1日午後4時10分ごろ、石川県志賀町で震度7を観測する地震が発生し、北海道から九州にかけて広く揺れた。気象庁は一時、能登地方に大津波警報を発令。同県輪島港で1.2メートル以上の津波を観測するなど、日本海側の沿岸部に津波が到達した。建物の倒壊が相次ぎ石川県で57人が死亡し、輪島市では大規模火災で約200棟が燃えた。震度7を観測したのは2018年の北海道胆振東部地震以来で、石川県では初めて。地震による直接死としては、16年の熊本地震(50人)を上回った。大津波警報は11年の東日本大震災以来の発令となった。津波は金沢市で90センチ、富山市と山形県酒田市で80センチを観測したほか、北海道から長崎県にかけてみられた。石川県珠洲市などの沿岸部で住宅被害が出た。輪島市ではビルが倒壊、各地で家屋の倒壊も相次いだ。逃げ遅れた人がいる可能性もあり、被害の全容は判明していない。石川県などによると、死亡したのは輪島市24人、珠洲市22人、七尾市5人、穴水町2人、能登町2人、羽咋市1人、志賀町1人。総務省消防庁によると各地のけが人は計100人以上だが、調査中の自治体が多いとみられる。」(『日本経済新聞』2024.01.03)
●「羽田空港で2日夕、日本航空機が着陸直後に海上保安庁の航空機と衝突し炎上した。幼児8人を含む乗客367人と乗員12人の計379人は全員機体から脱出し、いずれも命に別条はない。海保機に搭乗していた職員6人のうち機長は脱出して負傷、ほかの5人が死亡した。運輸安全委員会が航空事故として調査を始めた。」(『日本経済新聞』2024.01.03)
●「1日に発生した能登半島地震で、石川県輪島市で約200棟が燃える火災が起きた。現場は狭い範囲に木造の古い建物が並び、地震で大規模火災を引き起こしやすい木造住宅密集地(木密)だった。同様の地域は全国に点在し、東京都内にも8600ヘクタールと23区の1割強に相当する面積が残る。緊急車両が通れる道の確保や建て替え促進などリスク解消策は急務だ。地震発生後、輪島市中心部の『朝市通り』周辺で出火。2日午前にほぼ消し止められるまで約200棟に延焼した。現場は狭いエリアに店舗や家屋が集中。都市防災に詳しい東京大の広井悠教授は火災が広がった要因について『古い木造の建物が密集し、延焼しやすかった』とみる。…国土交通省は大規模な延焼の危険性や避難の難しさを踏まえ、全国の『地震時等に著しく危険な密集市街地』を集計。2022年度末時点の対象地域は12都府県で計1875ヘクタールに及ぶ。石川県内に該当地域はなかったが、国の定義に該当しなくても古い住宅の密集地は各地に点在し、木密の火災リスクが改めて浮き彫りになった。都は12年、木密解消に向けプロジェクトに着手。鉄筋コンクリートの建物や、延焼を防止する一定の広さがある公園などが占める比率(不燃領域率)を指標とし、同地域が60%未満など高リスクのエリアを木密と定義。広い道路の整備や、建て替えを促す支援を進めてきた。国の集計とは対象地域の定義が違うため面積は異なるが、20年時点の都内の木密は8600ヘクタール。10年時点からほぼ半減したものの、23区面積の14%にあたる地域が残る。」(『日本経済新聞』2024.01.04)
●「能登半島地震の被災地となった石川県で、多くの避難所が物資不足に悩まされている。民間調査によると、地震が発生した元日の滞在人口は1カ月前の休日と比較して3割多かった。帰省シーズンと重なり、住民以外が大勢巻き込まれたことで、避難者は想定以上に膨らんだ。8日で発生から1週間。心身への影響が懸念される。ソフトバンク子会社のアグープ(東京・渋谷)が甚大な被害が出た同県輪島市や珠洲市、能登町の3市町についてスマートフォンの位置情報データを分析し、滞在者数を推計した。最大震度7の地震に襲われた1日午後4時台の滞在者は計約6万5000人。約1カ月前の日曜日にあたる2023年12月3日の同時間帯より33%多かった。増加要因とみられるのが正月休みを利用した帰省者や観光客だ。各自治体の外からの来訪者数を同様に比較すると、1月1日(計約2万人)は4.2倍に増えていた。…石川県によると7日午後2時時点で404の避難所が開設され、約2万8000人が避難生活を余儀なくされている。…今回の調査対象とした3市町は能登半島北部に位置し、他の自治体と比較しても揺れが大きく倒壊した家屋数は不明のまま。観光地でもあるため、地震発生時は滞在人口が平時より多く、避難所で過ごす人々の数は行政の想定を大幅に上回ったとみられる。水や発電機などの物資を届けるために震災発生直後から石川県入りした『被災地NGO協働センター』(神戸市)のスタッフは『道路が寸断され、通信も断絶した「陸の孤島」となり、食料が尽きかけている避難所もあった』と危機感を募らせた。」(『日本経済新聞』2024.01.08)
●「最大震度7を観測した『令和6年能登半島地震』。1日から対応に力を尽くすゼネコン各社は、発災直後に災害対策本部を立ち上げるなどして情報収集を開始した。役職員の安否とともに、施工中の工事の異常や完成施設の被災状況を確認した。大動脈となる国道249号では大規模な崩落が複数発生。国土交通省北陸地方整備局と災害協定を結ぶ日本建設業連合会経由の要請などに基づき、道路啓開を最優先に復旧を始めた。」(『建設通信新聞』2024.01.09)
●「政府は11日、石川県で最大震度7を観測した能登半島地震の『激甚災害』指定を閣議決定した。復旧事業に対する国の補助率を引き上げ、早期復旧を後押しする。地震発生から11日目となる11日までに確認された死者は213人で、うち8人は震災後の体調悪化に起因する災害関連死とされる。被災地の医療や生活環境の改善が急務になっている。岸田文雄首相は11日、政府の非常災害対策本部の会合で『暮らしの再建に向けて被災自治体をしっかりと支援していく』と強調した。農地や道路の再建にかかる費用の援助や中小企業の資金借り入れ支援などを厚くする。激甚災害は被害状況の調査に基づき政府が基準に該当するかを判断する。能登半島地震では発生から政府や地方自治体が被害額などの算定作業を進めていた。支援の対象地域を限定せず災害そのものを対象とする『本激』と定めた。首相は能登半島地震を行政手続き期限の延長などの特例を設ける『特定非常災害』にも指定したと明言した。運転免許証や飲食店営業許可の有効期間延長などの措置を適用する。企業が債務超過になったとしても破産手続きの開始を留保する。」(『日本経済新聞』2024.01.11)

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