情勢の特徴 - 2024年2月前半
●「政府は、地方自治体の財政運営の指針となる2024年度の地方財政計画を6日に閣議決定した。自治体の歳入・歳出見込額を示すもので、通常収支分は高齢化に伴う社会保障費の伸びなどに伴い、前年度比1.7%増(1兆6038、億円増)の93兆6888億円となり、3年連続で拡大した。このうち投資的経費は0.1%増の11兆9896億円、維持補修費が0.7%増の1兆5344億円だった。」(『建設通信新聞』2024.02.08)
●「東京23区の2024年度予算案が13日に出そろった。一般会計の総額は前年度比5.5%増の4兆7351億円。投資的経費(一部は普通建設事業費)の総額は8.0%増の6891億円で、16区が前年度を上回った。庁舎や小中学校といった施設の更新や再開発事業への補助などが要因。能登半島地震で大規模震災への危機感が高まる中、防災対策の備えを固める動きも目立った。」(『建設工業新聞』2024.02.14)
●「2023年のドル建ての名目国内総生産(GDP)は日本がドイツに抜かれ、世界4位に後退した。内閣府が23年のGDP速報値をドル換算したところ、日本は4兆2106億ドルで、ドイツは4兆4561億ドルだった。外国為替や物価などの要因で逆転された。」(『日本経済新聞』2024.02.15)
●「総務省は、地方自治体の公共事業予算について、2023年4~9月の施行状況をまとめた。22年度からの繰り越し分(6兆0484億円)と23年度予算分(16兆8218億円)を合わせた予算額は22兆8701億円。うち、契約済み額は14兆3919億円で、契約率は前年同期(22年4~9月)から0.1ポイント高い62.9%となった。支出済み額(4兆1811億円)の割合は18.3%で、前年同期と同じだった。」(『建設工業新聞』2024.02.06)
●「自民党の『公共工事品質確保に関する議員連盟』(会長・根本匠衆院議員)は、議員立法による公共工事品質確保促進法(品確法)、入札契約適正化法(入契法)、測量法の改正骨子を固めた。党内の法案作成プロセスや他党との調整を今後進め、今通常国会に3法改正案を提出する。政府は建設業法・入契法改正案の提出を予定していることから、建設業と建設関連業に直接影響する4法の改正が審議される見通し。政府と自民党は6月23日までとなっている会期中での一体的な成立を目指す。担い手確保に主眼を置いた施策を追加する。」(『建設通信新聞』2024.02.08)
●「自民党の『公共工事品質確保に関する議員連盟』(会長・根本匠衆院議員)は7日、公共工事設計労務単価と設計業務委託等技術者単価の12年連続引き上げなどを求める要望書を斉藤鉄夫国土交通相に提出した。建設業に時間外労働の上限規制が適用される4月以降、働ける時間が減ることに伴って賃金が減少しないよう、両単価の引き上げが必要と訴えた議連に対して、斉藤国交相は『実質的な賃下げにならないようにしたい』と答えた。国土交通省は2月中に新たな両単価を発表する予定だ。」(『建設通信新聞』2024.02.09)
●「政府は13日、トラック運転手が不足する『2024年問題』に対応する物流関連2法の改正案を閣議決定した。事業者に運転手の荷待ち時間を減らす計画の作成を義務付け、違反すれば最大で100万円の罰金を科す。運輸業務の委託を重ねる『多重下請け』も是正する。4月から長時間労働を改善する働き方改革関連法がトラック運転手にも適用される。これに合わせ物流総合効率化法と貨物自動車運送事業法の改正案を今国会に提出する。物流総合効率化法は名称を『流通業務総合効率化法』に改める。多重下請けの対策として、元請け業者となるトラック事業者に、下請けの状況が分かる取引管理簿の作成を義務付ける。荷造りや仕分けなど付帯業務にかかる料金についても、契約書への明記を求める。物流業界は元請けが仕事を下請けや孫請けの事業者に回すことが常態化し、トラック運転手の低賃金の要因となってきた。国土交通省の調査によると、全国のトラック事業者の74%が下請けを利用していた。荷主側には一定規模以上の貨物を扱う企業を『特定事業者』にし、運転手の負担軽減のために計画策定と定期報告を求める。自社には『物流統括管理者』を置き、責任の所在を明確にする。国交省は関連する告示なども改正する。トラックの車種や距離別に1回の輸送あたりの料金を示す『標準的な運賃』について、現行水準から平均8%引き上げる方針。中小企業が荷主との価格交捗を進めやすくする。」(『日本経済新聞』2024.02.13)
●「2024年の春季労使交渉では賃上げの裾野を広げるため、非正規雇用の待遇改善や最低賃金の引き上げが重要な論点となっている。雇用者の4割弱を占める非正規の賃金水準は正社員の7割にとどまる。労使トップは1日に会談し、全体の賃金底上げに向けて足並みをそろえた。…女性の社会進出や規制緩和を通じ、雇用者数に占める非正規の比率は02年の29.4%から22年に36.9%まで伸びた。業種別では飲食で8割近く、食品スーパーなどの飲食料品小売業で7割強を占める。23年12月の有効求人倍率をみると、介護サービスが4.98倍、運輸・郵便事務が3.99倍といずれも正社員より高い。政府は正社員と業務内容に差がない非正規社員の給与などの待遇格差を解消するため、20年から『同一労働同一賃金』制度を導入した。とはいえ、厚生労働省によると22年の1時間あたりの給与は正社員が平均1976円、非正規が1375円と隔たりはなお大きい。23年11月の毎月勤労統計によると、パート労働者の時間あたり給与は前年同月比で4.2%増えた。正社員の所定内給与の伸びの1.6%を上回り、改善はみられるものの道半ばといえる。正社員への転換を希望する非正規への対応も進んでいない。帝国データバンクの23年調査で正社員不足と答えた企業は52%だった。一方でリクルートワークス研究所によると、正規雇用を希望している非正規のうち22年に実際に正社員になったのは7.4%にとどまる。経団連は24年の方針で非正規雇用について『企業の人事戦略上、重要性が高まっている』と指摘している。」(『日本経済新聞』2024.02.02)
●「国土交通省は、一人親方本人に対して初めて実施した実態調査の結果をまとめた。雇用労働者になることを望みながら、取引先から一人親方として働くよう求められている一人親方の存在を一部で確認した。社会保険加入の規制逃れを目的にした建設企業による偽装一人親方化の疑いがあるとみている。1月31日の第7回『建設業の一人親方問題に関する検討会』に、23年11月から24年1月まで実施した『一人親方の働き方に関する調査』の結果を報告した。一人親方本人を対象とする調査は初めて。3244件の回答があり、うち集計作業が完了した中間データから従業員を雇用する一人親方と法人格を持つ一人親方を除く1612件の結果として示した。雇用労働者として働くことを希望する一人親方は6.6%で、うち18.7%が一人親方として働く理由に『取引先から一人親方で働くように言われている』ことを挙げた。また、雇用労働者として働くことを希望する一人親方の9.3%は『時間外労働規制の適用を受けないため』を一人親方として働く理由に選択した。一人親方は労働基準法の適用外であることから、時間外労働の上限規制が建設業に適用される4月以降、一人親方になる技能者が増える恐れがある。国交省は社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインで、『実態が雇用労働者であるにもかかわらず、一人親方として仕事をさせていることが疑われる例』として、▽10代▽経験年数3年未満▽働き方自己診断チェックリストで確認した結果、雇用労働者に当てはまる働き方をしている――の三つを挙げている。」(『建設通信新聞』2024.02.05)
●「厚生労働省が6日発表した2023年の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)によると、1人あたり賃金は物価を考慮した実質で前年比2.5%減った。2年連続で減少した。マイナス幅は1.0%減だった22年からさらに大きくなった。20年を100とした指数で見ると97.1で、唯一100を下回った22年からさらに低下した。比較可能な1990年以降で最も低かった。実際に支払われた額を示す名目賃金はすべての月で増えたが、実質賃金は減った。マイナス幅が広がったのは、物価の変動を示す消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)の上昇率が3.8%と42年ぶりの高水準だったことが影響した。」(『日本経済新聞』2024.02.06)
●「東京労働局がまとめた2023年10月末時点の外国人雇用状況によると、管内の建設業の外国人労働者数は前年同月末比21.3%増の2万2423人となった。2年続けての増加となり、データを公表している19-23年(5年)の中では労働者数が最も多い。産業別の前年増加率では建設業が最も伸びた。建設業で外国人を雇用している事業所数は、8.9%増の5210カ所。事業所数の伸び率も建設業が産業別で最も高かった。東京局管内全体の外国人労働者数は、8.6%増の54万2992人。外国人労働者を雇用している事業所数は4.6%増の7万9707カ所だった。07年に事業主に対して届け出を義務化して以降、労働者数、事業所数とも過去最高を更新した。全産業のうち、建設業の外国人労働者数が占める割合は4.1%で、事業所数では6.4%となっている。」(『建設通信新聞』2024.02.07)
●「政府は9日、技能実習制度に代わる外国人受け入れ制度として、今通常国会での法改正によって創設を目指す育成就労制度の対応方針を決めた。建設など特定技能制度の特定産業分野に受け入れ対象分野を限定。一定の条件を満たせば、技能実習制度で不可としていた外国人本人の意向による転籍を認める。経過措置として、当面の間は受け入れ対象分野ごとに一年から2年の間で本人意向の転籍を制限する期間を設定する。」(『建設通信新聞』2024.02.13)
●「国土交通省は時間外労働の罰則付き上限規制の適用を目前に控え、建設会社へのアンケートで上限規制の基準超過の現状を調査する。民間工事の工期設定の実態や現場従事者の働き方改革の進捗(しんちょく)状況を聴取する『適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査』を開始し、ウェブ上での回答を3月1日まで受け付けている。3年目となる今回は追加の設問として、工事に携わる技術者と技能者のそれぞれで上限規制の特別条項を含めた超過割合を聞く。」(『建設工業新聞』2024.02.15)
●「国土交通省と中小企業庁は、建設企業を対象にした2023年度下請取引等実態調査の結果をまとめた。雇用している技能者の賃金水準を『引き上げた(引き上げる予定がある)』と回答した割合は89.6%で、前年度に比べて5.4ポイント上昇した。元請け、1次下請け、2次下請け、3次下請け以降の全区分で上がっている。賃上げをしなければ人手を確保できないとの理由が最も多く、他の理由との間で差が見られた。22年7月1日から23年6月30日までの調査対象期間に技能者の賃上げを実施した(予定を含む)と答えた建設企業の割合を区分別で見ると、元請けは4.5ポイント上昇の89.2%、1次下請けが5.3ポイント上昇の90.8%、2次下請けが9.9ポイント上昇の87.1%、3次下請け以降が21.1ポイント上昇の86.3%だった。3次下請け以降の伸びが目立つ。引き上げた理由(複数回答可)は、『周りの実勢価格が上がっており、引き上げなければ必要な労働者が確保できないため』が55.9%で最も多く、その後を『若者の入職促進など、業界全体の発展に必要と考えたため』の43.1%、『技能労働者の技能と経験に応じて給与を引き上げ(建設キャリアアップシステムの活用など)、技能労働者の処遇を改善する必要があると考えたため』の36.7%が続いた。…元請け・下請け間の工期と請負代金額の変更交渉状況を見ると、下請けから交渉の申し出があった際、工期の変更を認めている元請けは0.2ポイント上昇の90.5%、請負代金額の変更を認めている元請けは0.3ポイント上昇の95.2%で、どちらもわずかに上がった。下請けに聞くと、受注者の責によらない事由で工事の完成が難しくなったことにより、工期の延長を求めて元請けと変更交渉をしたことがあるのは1.0ポイント上昇の83.1%。交渉の結果、変更が認められなかったのは5.9%で、工期の延長幅はさまざまあるものの、大半は延長が認められている。請負契約締結後に生じた資材価格高騰などの状況変化から、元請けと価格変更を交渉し、認められたのは87.2%だった。工期と同様、交渉によって認められるケースが多い。」(『建設通信新聞』2024.02.01)
●「国土交通省がまとめた建設大手50社の工事受注動態統計調査によると、2023年の受注総額は17兆2093億円(前年比4.0%増)だった。3年連続の増加となった。民間、公共ともに好調で、過去10年で最高水準となった。国内の民間工事は過去10年で最高の12兆1778億円(1.6%増)。製造業からの受注額は3兆1098億円(5.9%減)と減少したが、非製造業が9兆0690億円(4.4%増)に増加した。不動産業や鉱業、金融・保険業からの受注額が増えた。国内の公共工事は4兆0060億円(19.8%増)。過去10年で2番目の高水準だった。うち国の機関は2兆6417億円(16.8%増)、地方の機関は1兆3643億円(26.1%増)だった。海外工事は4885億円(29.2%減)。工事種類で分けると建築が2418億円(36.4%増)、土木が2466億円(51.8%減)だった。」(『建設工業新聞』2024.02.05)
●「建設業で資材や労務費などのコスト上昇分を取引価格に転嫁するため元下間などで交渉する動きが一定程度進展していることが、国土交通省と中小企業庁、公正取引委員会がそれぞれ実施した調査で明らかになった。主に下請の立場で元請と『価格交渉した』と回答した割合は、各調査ともに1年前より数%上昇した。一方、実際に価格転嫁が認められたかどうかは調査ごとにばらつきがある。業界内で適切な転嫁への理解醸成が一層求められる。」(『建設工業新聞』2024.02.07)
●「清水建設は8日、2024年3月期の連結営業損益が330億円の赤字(前期は546億円の黒字)になりそうだと発表した。従来予想の575億円の黒字から905億円下振れする。営業赤字は株式上場以来初めてとなる。建築事業の完成工事利益率が大幅に悪化する見込みとなったことが響いた。国内の複数の大型の建築工事で契約・着工から資材調達までの期間が長期化している間に資材が高騰した。今後も労務費上昇が響き多額の工事損失の発生が見込まれるという。24年3月期の建築工事の完成工事損益率(単体ベース)は、マイナス3.3%を見込む。プラス4.1%だった前期から大幅に低下する。売上高は大型工事の完成により、前期比2%増の1兆9800億円と前回予想から350億円上方修正した。純利益は前期比80%減の100億円。従来予想比400億円の下ぶれとなったが、政策保有株の売却で黒字は確保する。業績悪化を受けて、24年3月期の年間配当を従来予想から7円引き下げて、前期比1円減の20円にする。」(『日本経済新聞』2024.02.09)
●「大成建設が8日発表した2023年4~12月期の連結決算は、純利益が前年同期比40%減の197億円だった。資材高や工期の遅れなどにより建築工事の利益率が低下した。売上高は4%増の1兆1463億円、営業利益は58%減の175億円だった。資材高や東京都世田谷区役所の本庁舎建設工事での工期の遅れなどにより、建築工事の利益率が低下した。人件費や研究開発費も増えた。経常利益は49%減の250億円だった。」(『日本経済新聞』2024.02.09)
●「大和ハウス工業が9日発表した2023年4~12月期連結決算は、純利益が前年同期比30%増の2162億円だった。戸建て住宅事業は成長市場の米国が住宅ローン金利の高騰で不調が予想されていたが、想定以上に復調した。物流施設などを開発する事業も物件の売却が多く利益を押し上げた。売上高は10%増の3兆7564億円と過去最高を更新した。各事業の売上高で見ると、工場の建設や物流施設の開発などを担う事業施設事業は28%増の9652億円と大きく伸びた。受注工事が堅調だったほか、物流施設などの物件の売却が好調だった。ビジネスホテルの稼働率が高まり、商業施設の建設や運営事業は8541億円と6%増えた。米国を中心に展開する海外の戸建て住宅事業は9%増の3392億円だった。住宅流通の多くが中古住宅だが、金利上昇を受けて金利が高いローンの借り換えを避けるため既存住宅の売却が減り、大和ハウスの手がける新築需要が相対的に高まった。23年後半にかけて住宅ローン金利が低下したことも奏功した。一方、国内の戸建て住宅事業の売上高は3289億円と2%増にとどまり、営業利益は37%減の37億円だった。資材価格の高騰が響いた。」(『日本経済新聞』2024.02.10)
●「国土交通省がまとめた建設工事受注動態統計調査によると、2023年の受注総額は前年比2.7%減の111兆0681億円となった。元請受往高73兆2197億円(前年比2.7%減)のうち、公共工事は5.4%増の22兆4869億円、民間工事は5.8%減の50兆7327億円。先に発表された大手50社の調査では受注総額が4.0%増で、公共工事と民間工事ともに前年比増となっており、民間工事を中心に大手が受注する大規模案件が増加した一方、中小規模案件が減少したとみられる。」(『建設工業新聞』2024.02.13)
●「上場大手ゼネコン4社の2024年3月期第3四半期決算が13日までに出そろった。連結の売上高は第1、2四半期と同様に鹿島、大林組、清水建設の3社が同期比で過去最高を継続。一方、損益は清水建設が営業赤字に転じるなど、厳しい状況は変わらない。大型案件で従前の資材上昇に加えて、設備工事価格の高騰が影を落としている。」(『建設通信新聞』2024.02.14)
●「政府は能登半島地震で住宅などが被災した高齢者や障害者の世帯に最大600万円を支給する。現行の被災者生活再建支援金に加え、被害が大きい能登地域6市町を中心に福祉ニーズが高い場合に最大300万円を給付する新制度を設ける。発災から1カ月となる1日、政府は首相官邸で復旧・復興支援本部の初会合を開いた。本部長の岸田文雄首相が支援策を指示した。追加給付は国の交付金を使って石川県が事業主体となる。自家用車を含む家財の破損や住宅半壊以上の被災者が対象だ。家財に最大100万円、住宅に最大200万円を支援する。」(『日本経済新聞』2024.02.02)
●「能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県輪島市で3日、被災者向けの仮設住宅への入居が始まった。地震から1カ月が過ぎ、完成は同市の18戸のみ。県は3月末までに県内で約1300戸の入居が可能になるとするが、応急的な住まい需要の9千戸には追いついていない。…輪島市ではこの日、4千件以上の申請の中から選ばれた住民が、観光施設『輪島キリコ会館』東側の多目的広場にできた仮設住宅へ入居を開始した。55人が住む予定。同市では3日までに548戸着工した。…珠洲市では3月までに456戸着工し、6日に40戸が初めて完成する予定。入居の1次申し込みは1478件だった。担当者は『建設業者や資材が十分ではない。現地に業者が寝泊まりできる施設もない』と漏らす。2日時点で県内の住宅被害は4万9440棟。県は3月末までに仮設住宅約3千戸の着工を予定している。県は賃貸住宅を借り上げる『みなし仮設』と公営住宅で住まい確保を急ぐ。」(『日本経済新聞』2024.02.04)
●「事業終了後の太陽光パネルの撤去積立金が少なくとも災害リスクがある斜面に立地する全国1600施設(500キロワット以上)で不足する恐れが浮上している。放置や不法投棄につながる可能性もあり、適正処理へ向けた仕組み作りが不可欠だ。2012年に始まった固定価格買い取り制度(FIT)による買い取り期間は10キロワット以上で20年間。32年には各地の施設で買い取り期間が終了し始め、売電価格が大幅に下落する見通し。パネル寿命も25~30年程度とされ、各自治体は発電所の維持管理や更新を怠る事業者の増加を懸念する。高まる不安を払拭しようと政府は再エネ特措法を改正し、事業者に毎月売電収入の4~7%程度を10年にわたって強制的に積み立てさせる制度を22年に開始した。しかし、水準の算出根拠は解体事業者らへのアンケートを基とした平地での撤去・廃棄費。作業難易度が上がるため割高になるケースが多い傾斜地は考慮されていない。…日本経済新聞の調べでは傾斜地に立地する施設は土砂災害(特別)警戒区域など、災害リスクが高いエリアだけでも全体の18%に上る。急な傾斜地での作業は公共事業の予定価格算出に使う賃金水準でみると平地に比べ3割高い(山林砂防工と普通作業員の全国平均を比較)。太隊光開発大手リニューアブル・ジャパンの撤去工事費の試算でも3割程度上振れする。資源エネルギー庁新エネルギー課は『傾斜地では発電効率が高くなることで売電収入も上がり平地より積立額が多くなる場合もある』とするものの、日経が傾斜地の発電効率の高さについて尋ねたところ『データはなく検証はしていない』と回答した。」(『日本経済新聞』2024.02.07)
●「建設向けの木材などになる丸太の2023年の輸出量は159万5406立方メートルと22年を20.5%上回り、過去最高を更新した。前年を上回るのは2年ぶりで、これまで最高だった21年を超えた。中国向けの増加が寄与した。為替相場の円安進行が日本産の輸出の追い風となったほか、中国の需要家から見て他国産よりも割安感も出たとの見方が多い。日本は主にスギやヒノキの丸太を中国や韓国などに輸出する。仕向け先のうち中国が9割程度を占める。23年の中国への輸出量は141万6214立方メートルと22年比26.6%増えた。中国はオーストラリア(豪州)やニュージーランド(NZ)などからも丸太を輸入している。不動産不況などを受けて中国の建築や土木の市場は停滞しているが、工事に必要な量を輸入する中で相対的に日本産丸太の調達が進んでいるようだ。」(『日本経済新聞』2024.02.07)
●「住宅の柱や染(はり)などに使う輸入木材の在庫が減っている。東京地区の輸入木材在庫は直近ピークの2022年8月に比べて半減した。新型コロナウイルスの感染拡大時に増えた在庫の圧縮が進んだ。水準はコロナ前を大きく下回るが、不足感はなく、住宅需要の鈍さを映す。」(『日本経済新聞』2024.02.08)
●「環境省は7日、福島県大熊町の中間貯蔵施設内で実施している除去土壌の再生利用に関する実証現場を報道機関に公開した。福島第1原発事故で放射性物質に汚染された土壌を除染した上で、道路の盛り土として再生利用する初めての取り組み。除去土壌の上に汚染されていない土でふたをし、さらに左右からも覆って除去土壌が露出しないようにする。今後は放射線量などのモニタリングを行い、実用化に向けて検討する。実証用道路は前後のスロープ部分を除いた除去土壌の活用区間が延長50メートル、幅10.5メートル、高さ5メートルの規模。県内各地から運び込まれた除去土壌のうち安全に処理できる放射濃度の基準内(1キロ当たり800ベクレル以下)の2700立方メートルを使用した。実証用道路の脇には放射線のモニタリングポストが設置され、常時線量を計測している。高さ3.4メートルの除去土壌を路体盛り土として使用し、その上に1.6メートルの通常の土を路床盛り土として乗せている。除去土壌部分の両側には幅60センチの覆土で壁を作り除去土壌を完全に囲んだ。道路は大林組、熊谷組、大本組で構成する共同企業体が施工した。延長50メートルの区間は盛り土に除去土壌だけを使った区間と、除去土壌にスラグや石灰などを混ぜて品質調整した改良土の区間に分かれる。両区間で道路としての機能などを比較する。線量のモニタリングに加え、大型車を走行させて路面の沈下や変形といった構造物としての安定性も確認する。東日本大震災に伴う福島第1原発事故で甚大な被害を受けた福島県の復興に当たり、大量に発生した除去土壌を福島県外で最終処分する方法が課題となっている。除去土壌を一時保管する中間貯蔵施設に運び込まれた除去土壌のうち、約75%は盛り土材として活用できる濃度の低い土壌。盛り土への再生利用は最終処分に向けた手法の一つとして期待される。」(『建設工業新聞』2024.02.09)