情勢の特徴 - 2024年2月後半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「東京株式市場では22日、日経平均株価が前日比836円52銭(2.2%)高の3万9098円68銭で終え、34年ぶりに最高値を更新した。生成AI(人工知能)への期待が半導体関連にマネーを呼び込んだ。株高の底流には日本企業が守りから攻めの経営に転じ、海外投資家が評価する動きがある。株高の恩恵は家計に行き渡らず、賃上げを起点とした好循環実現に課題が残る。」(『日本経済新聞』2024.02.23)
●「都道府県の2024年度予算案が22日に出そろった。普通建設事業費などを含む投資的経費は29都道府県で23年度(当初予算ベース)を上回った。公共施設の長寿命化や、自然災害に備えたインフラの機能強化に取り組む自治体が目立つ。能登半島地震で深刻な被害を受けた地域を抱える石川県は、骨格予算ながら23年度比約4.5倍の金額を計上。インフラの再生や住民の生活再建などに取り組む。」(『建設工業新聞』2024.02.26)
●「日本商工会議所(日商、会頭・小林健三菱商事相談役)と東京商工会議所(東商、会頭・同)の中小企業に関する調査によると、建設業で『人手が不足している』と回答した企業は78.9%で対象業種中最も高かった。次いで運輸業が77.3%と高く、いずれも4月に適用が迫る時間外労働の上限規制に対する危機感の表れと言えそうだ。賃上げを予定している企業の割合は、建設業で63.4%に上り、3番目に高い水準となった。日商と東商は『中小企業の人手不足、賃金・最低賃金に関する調査』の結果をまとめた。調査を通じて実態を把握し、意見や要望活動に反映する。対象は中小企業6013社で、回答企業数は2988社(回答率49.7%)。回答企業のうち、17.3%に当たる516社が建設業だった。調査結果によると、人手が不足していると回答した企業は全業種平均で65.6%。建設業は平均を13%以上上回った。…2024年度の賃上げの予定については、『賃上げを実施予定』なのは全業種平均で61.3%となった。うち、60.3%が『業績の改善が見られないが賃上げを実施予定』と答えている。建設業では24.8%が『業績が好調・改善しているため賃上げを実施予定』、38.6%が『業績の改善が見られないが賃上げを実施予定』という結果になった。」(『建設工業新聞』2024.02.27)
●「厚生労働省が27日発表した2023年の出生数(外国人含む速報値)は75万8631人で、前年から5.1%減少した。減少ペースは想定より速く、この傾向が続くと35年にも50万人を割る。結婚適齢期の人口が急激に減少する『2030年の崖』を越えると、出生数の反転は難しくなる。」(『日本経済新聞』2024.02.28)
●「政府は27日、新しい資本主義実現会議を開き、新しい資本主義実行計画の改定に向けた議論を始めた。次回まで今後の経済の大きな方向性について意見を交わす。キックオフとなる今回は、物価上昇を上回る持続的な賃上げを定着させる方策などで意見を交わした。主な論点は、▽企業の付加価値向上と価格転嫁の在り方▽人手不足対応▽非ホワイトカラー職種への労働移動と当該分野の賃上げ実現の方向性▽シニア層への労働機会の提供▽三位一体の労働市場改革の実行――の五つを設定した。」(『建設通信新聞』2024.02.28)

行政・公共事業・民営化

●「国発注の東北復興工事で、競争入札や随意契約を実施せずに施工された工事が5件あることが分かった。別の既存工事の受注業者と増額契約を結び、工事を依頼して費用を紛れ込ませていた。5件の総額は35億円超。入札で受注業者を決める公共工事のルールを逸脱しており、専門家は契約の競争性確保を定める会計法などに抵触する可能性を指摘する。」(『日本経済新聞』2024.02.20)
●「自治体の2022年度の水道事業で、6割が採算割れだったことが分かった。料金収入が減る一方、電気代などが膨らみ、採算割れは21年度に比べ15ポイント増えた。財政難から老朽管の更新や震災対策は十分に進んでいない。能登半島地震では大規模な断水が起きた。リスクは各地で高まっている。水道事業は自治体(複数自治体でつくる一部事務組合など含む)が運営する。給水費用は水道料金収入で工面する『独立採算』を原則としている。各自治体の水道事業の決算から、給水費用を料金収入でどの程度まかなえているかを示す『料金回収率』を集計した。100%未満だと費用の方が大きく、採算が取れていないことになる。22年度は100%未満が829自治体と全体の58.1%に上った。21年度の43.4%から急増した。全国平均は98.4%と11年ぶりに100%を下回った。…財政難で水道供給は災害時の断水リスクが高まっている。全国の水道管のうち法定耐用年数の40年を超えた割合は23.8%と上昇が続き、耐震化率は4割にとどまる。1割の自治体では、配水場などから送る水の30%以上が、漏水などで収入に結びついていない。…水道事業の最終損益は赤字補填以外での財政支援もあり8割強の自治体が黒字を計上した。消火栓の設置など支援が妥当な費用もあるが、赤字補塡などに頼りすぎる運営は、持続的ではない。…料金収入だけで費用を補おうとすると水道料金が30年後に3倍になる地域もある。歳出の削減や事業の効率化も合わせて必要になる。」(『日本経済新聞』2024.02.20)
●「国の公共工事の費用対効果が、着工後に悪化する事例が相次いでいる。道路やダムなど約1200事業(2010~23年度)の5割で費用対効果指数が低下し、46事業(4%)で費用が効果を上回っていたことが分かった。費用を過少に設定したり、需要を過大に評価したりしていたケースがある。見積もりの精度を高めなければ、政策判断を誤る恐れがある。」(『日本経済新聞』2024.02.21)
●「国土交通省が今国会に提出予定の建設業法と公共工事入札契約適正化法(入契法)の一括改正案の概要が明らかになった。適正な労務費の確保と行き渡りに向けた法規制の導入が最大のポイント。中央建設業審議会(中建審)が『労務費に関する基準(標準労務費)』を勧告し、著しく低い労務費などによる見積もり・契約を禁止する規定を新設する。違反した場合、発注者は国交大臣などによる『勧告・公表』を可能とし、建設業者は注文者と受注者ともに現行規定に基づく『指導・監督』の対象とする。」(『建設工業新聞』2024.02.21)
●「自治体がインフラ維持で管理主体の垣根を越えた連携に乗り出している。国道や県道、市道の補修を一括して委託したり、道路と公園の保守点検をまとめて民間に発注したりする。個別対応からの移行で業務を効率化する。技術系職員の不足と老朽インフラ拡大の壁を乗り越える。…自治体の技術職の不足は全国共通の課題だ。国土交通省によると21年4月時点で土木技師と建設技師の合計が5人以下の市区町村は約5割に上る。一方で建設後50年以上経過する道路橋の割合が20年の約30%から40年には約75%に拡大するなどインフラの老朽化は加速する。2つの難題が、管理主体ごとに発注してきた従来手法の見直しを迫る。…国交省も自治体による包括民間委託を後押しする。23年12月には先進事例を築こうと11件のモデル地域を選定した。広島県は技術職がいない2町との間で、道路の維持管理で共同発注の仕組みをつくる。国はインフラ管理の仕組みを大きな損傷が発生してから直す『事後保全』から、不具合が生じる前に修復する『予防保全』への転換を目指している。事後保全だと48年度の全国の維持管理・更新費は最大で12兆3000億円に上るのに対し、予防保全を進めれば6兆5000億円に抑えられると試算する。自治体の技術職が不足する中で、予防保全に移行するには、効率的なインフラ管理の仕組みづくりが欠かせない。突破口の柱が包括民間委託で、先行して取り組んできた自治体では、事業者側の素早い対応が効果として見え始めている。」(『日本経済新聞』2024.02.26)
●「国土交通省は直轄土木工事の週休2日の『質の向上』に向けた2024年度の実施内容を決めた。時間外労働の罰則付き上限規制の適用を見据え、これまで工期全体(通期)で取り組んできた週休2日を、新たに月単位で求めることを原則化。経費補正の在り方を見直し、月単位の週休2日に対応した補正係数を新設し適用する。さらに踏み込んで土日休みの完全週休2日を促すため、先行的に土日休みを実施した企業には工事成績評定で加点。他産業に見劣りせず休日が取得できる現場の実現を目指す。」(『建設工業新聞』2024.02.29)

労働・福祉

●「日本経済新聞社は2023年10~11月に郵送で世論調査をした。働き方・社会保障に関する質問で何歳まで働くつもりか尋ねたところ、70歳以上の回答が39%で、18年の調査開始以来最も高かった。将来不安に感じることは7割が『生活資金など経済面』をあげた。何歳まで働くかを聞くと『70~74歳』が21%、『75歳以上』が18%。『75歳以上』に限っても18年調査よりも5ポイント高く、調査を始めてから最高を記録した。『60~64歳』は11%、『65~69歳』は27%だった。何歳まで働くつもりかの平均値は18年(66.6歳)から1.8歳上がり68.4歳となった。自分の将来のどのようなことに不安を感じるか複数回答で聞いた。『生活資金など経済面』が最多で70%に上った。18年から22年の調査は『健康』がトップで、入れ替わった。仕事を継続する選択にいたる背景の一つとみられる。将来の生活に必要なお金の問題に備えてどのような取り組みをしているかも複数回答で質問した。1位は『預貯金』で61%、『保険、個人年金への加入』33%、『投資信託や株式などリスク資産への投資』22%が続いた。『長く働くための技能向上』は14%にとどまった。『技能向上』は18年の調査開始以来横ばいで、働き続ける意向の人が多くなってもリスキリング(学び直し)の意欲はデータ上高まっていない。」(『日本経済新聞』2024.02.19)
●「国土交通省は16日、2024年度公共工事設計労務単価を発表した。全国・全職種の単純平均は前年度比5.9%の上昇となり、物価上昇率(消費者物価指数)の23年平均3.2%を上回った。単価算出手法を大幅に変更した13年度以降、12年連続の引き上げとなる。例年と同様に直轄工事で3月から前倒し適用する。設計労務単価の引き上げが技能者の賃上げにつながり、それによって翌年度の設計労務単価が引き上げられる好循環の実現に向け、国交省は建設業界にこれまで以上の賃上げを強く働き掛ける考えだ。」(『建設通信新聞』2024.02.19)
●「公共工事設計労務単価が12年連続で上昇する中、建設技能者の賃金は実際にどの程度伸びているのか――。国土交通省が、厚生労働省の『賃金構造基本統計調査』を基に2022年の年収額の平均値を算出したところ、非正規を除く全産業が494万円だったのに対し、建設業の『生産労働者』は417万円、建設業全体でも466万円と依然低いことが分かった。設計労務単価の上昇率と比べると賃金の直近の伸びも緩やかであり、元下・下下取引の中で賃金原資となる労務費の確実な行き渡りも必要だ。年収額は『所定内給与額』と『年間賞与その他特別給与額』を足し合わせ算出した。建設業の生産労働者は、建設業の▽建設・採掘従事者▽生産工程従事者▽輸送・機械運転従事者―を加重平均し賃金を推計。建設業全体は、それ以外の管理や事務、技術労働者の賃金を含めた上で、総務省の『労働力調査』に基づく労働者数で加重平均し推計した。賃金構造基本統計調査の公表ベースで建設業全体の年収額は22年に500万円で全産業を上回る。ただ同調査は10人以上の常用労働者を雇用する事業所が対象で、小規模事業者の従業員や一人親方など多くの技能者の賃金実態が反映されていない。国交省が労働力調査に基づく技能者の割合を加味し推計し直すと数十万円低い水準となった。建設業の生産労働者の年収額は12年から22年にかけ十数%上昇したが、その間に設計労務単価は50%以上伸びた。設計労務単価は公共工事に従事する技能者の賃金実態調査をベースにしており、民間工事の実情を十分に反映できていないとはいえ、最終的に技能者に行き渡る賃金をさらに引き上げなければ今後の単価上昇も望めなくなる。」(『建設工業新聞』2024.02.22)
●「厚生労働省が28日にまとめた2023年(1-12月)の労働災害発生状況(速報、2月7日時点)によると、労働中の新型コロナウイルス感染による労災を除き、建設業での死亡者数は、前年同期比(前年同時点比)22.8%滅(61人減)の212人と、3年ぶりに減少した。近年の確定値までの推移から、5月をめどにまとめる23年の建設業死亡者数の確定値は220人程度と推計される。22年の281人(確定値)を大きく下回り、過去最少だった20年確定値の256人も30人以上下回るとみられ、過去最少を更新する可能性が高い。」(『建設通信新聞』2024.02.29)
●「建設業に従事する外国人労働者数の増加率が8産業のなかで最も高いことが、厚生労働省が1月末に公表した『外国人雇用状況(2023年10月時点)』で浮き彫りになった。建設業の23年の外国人労働者総数は前年比24.1%増の14万4981人でトップ。ただ人数そのものは、55万人台の製造業、32万人余のサービス業、20万人台の卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス業に次ぐ5番目の水準。一方、外国人建設技能者が分類される『特定技能』と『技能実習』の在留資格に限定すれば、建設業の外国人労働者数は特定技能1万2333人、技能実習8万8830人の計10万1163人。さらに東京五輪工事特例として『特定活動』7651人のうち半数程度が見込まれることから、建設業の外国人労働者数の7割が建設技能者と見られる。」(『建設通信新聞』2024.02.29)

建設産業・経営

●「主要ゼネコン26社の2023年4~12月期決算が14日に出そろった。連結売上高は、再開発案件や大型生産施設など手持ち工事が順調に進捗(しんちょく)し24社が増収となった。本業のもうけを示す営業利益は15社で増益。ただ建設資材価格の高止まりに設備工事費の上昇が重なるなど、コスト面で『厳しい経営環境が続いている』(中堅ゼネコン担当者)。民間の設備投資が堅調に推移するが、各社は時間外労働の上限規制適用を目前に控え施工体制を考慮しつつ、採算重視の受注を徹底する。連結売上高は民間工事に加え、道路や河川、港湾、鉄道などのインフラ整備が順調に推移し増収につながった。鹿島や清水建設、長谷工コーポレーション、東亜建設工業など15社が過去最高を更新した。利益確保が厳しい中、営業利益は15社が前年同期を上回った。資材価格高騰や工事原価の上昇などが続くものの、原価低減策やDXによる生産性向上の成果も表れてきている。減益になった企業では『土木工事の進捗遅れ』『工事原価の増加』『建築工事での設備業者の不足』などを採算悪化の要因に挙げた。工事の採算性を示す単体の完成工事総利益(粗利益)率は公表している23社のうち10社が前年同期と比べ上昇した。2桁台を確保したのは鹿島、インフロニア・ホールディングス(前田建設)、戸田建設、奥村組など11社だった。業績の先行指標となる単体受注高は、再開発や工場、物流施設など豊富な建築需要を背景に15社が前年同期を上回った。防災・減災、国土強靭化に加え防衛関連への投資にも期待が高まっている。需要の先行きに不安感はないが、『建設資材価格の高止まりや労務需給のひっ迫が見込まれる。建設コストの上昇などが懸念される』(準大手ゼネコン)との声も漏れる。」(『建設工業新聞』2024.02.16)
●「全国鉄筋工事業協会(全鉄筋、岩田正吾会長)は建設キャリアアップシステム(CCUS)のレベル別年収を担保する標準的な施工単価や適正な一般管理費率などの議論を進めている。東京都鉄筋業協同組合(東鉄協、新妻尚祐理事長)でも同様な検討を進めており、これまでの試算では1トン当たり最低でも9万円以上の施工単価が必要という。1月に日本型枠工事業協会(日本型枠、三野輪賢二会長)が型枠工の標準単価(材工一式)を発表済み。今後、各建設専門工事業で適正な施工単価を巡る議論が活発化しそうだ。全鉄筋は現在、内部にワーキンググループ(WG)を設け、CCUSのレベル別の最低賃金をベースにした標準的な施工単価や、適正な現場経費・安全衛生経費、一般管理費率の議論濠進めている。鉄筋工事業は、元請企業から鉄筋を支給され、それを加工場で加工し、現湯で組み立てるのが一般的。このため、施工単価は加工と現場組み立ての二つになる。東鉄協の新妻理事長によると、標準的な施工単価はRC造8階建て集合住宅(鉄筋使用量約800トン)を想定して試算。歩掛かりは会員企業を対象にした就労調査結果の平均値を適用し、1人当たりの割り出し単価は本年度の公共工事設計労務単価(束京都)を使用した。労務費は加工が鉄筋1トン当たり1万0800円、組み立てが同4万4690円の合わせて同5万5490円。これにスペーサーなどの副資材費等(労務費の4%)2220円、現場経費・安全衛生経費(同18%)9990円、法定福利費(同15.6%)8660円を足した工事原価は同7万6360円となる。一般管理費は工事原価の20%とした場合1万5280円で、工事原価を合算すると同9万1640円となる。鉄筋の運搬費は別途必要で、この時点で9万円を超える数字となっている。…先月末に開かれた東鉄協の定例会で行われた労務報告では、1月時点の1トン当たりの請負単価(会員平均)が建築6万8010円、土木6万7833円。鉄筋工事の請負単価は徐々に上昇傾向にあるものの、需要と供給のバランスで激しく変動する。本来下げてはいけない鉄筋工の労務費も請負単価に連動して上下するケースもあり、それが担い手不足を招く原因の一つとも言われている。日本型枠に続き、全鉄筋がこうした標準的な施工単価や一般管理費率などの検討を進める背景には、慢性的な担い手不足を解消するため、鉄筋工の賃金アップなど処遇改善を確実に進めたいという思いがある。同時に中央建設業審議会(中建審)が今後作成する標準労務費に、自分たちが必要とする施工単価を参考にしてもらいたいという狙いもあるようだ。」(『建設工業新聞』2024.02.20)
●「国土交通省及び中小企業庁は、『令和5年度下請取引等実態調査』を実施し、その結果を1月31日に発表した。…今回の調査結果では、建設工事を下請負人に発注したことのある建設業者(7613業者)において、指導対象となる25調査項目に対し全て適正回答(適正な取引を行っていると回答)をした適正回答業者は570業者(適正回答率7.5%)となった。未だ多数の建設業者が適正な取引を行っていない状況は従来同様で、建設業の取引において重要な項目でも適正回答率は低い状況だった。25調査項目のうち契約方法では、建設工事の請負契約を締結する際には工事ごとに請負契約書を相互に交付しなければならない。また、注文書・請書による場合には基本契約約款を添付する等の一定の要件を満たすことが必要となる。調査結果では全体の適正回答率は63.2%(昨年度62.5%)で、大臣特定建設業者においては約9割が適正に契約締結をしている。しかし、知事一般建設業者に至っては約4割まで低下する状況。特に、知事一般建設業者においては、13.7%(昨年度14.9%)が『メモ又は口頭』による契約をしているなど、一定の要件を満たした書面による契約が徹底されていない状況だった。一方、『資材等価格の高騰による工期又は請負代金の額の変更』、『技能労働者への賃金支払状況』等においては良好な回答が得られた。元請負人の立場として下請負人から変更交渉があった際に、工期の変更を認めていると回答した建設業者は90.5%(昨年90.3%)、請負代金の額の変更を認めていると回答した建設業者は95.2%(昨年94.9%)。賃金水準を引き上げた、あるいは引き上げる予定があると回答した建設業者は89.6%(昨年84.2%)で、5.4ポイント増加した。」(『日本住宅新聞』2024.02.25)
●「日本建設業連合会(宮本洋一会長)は22日の理事会で、民間発注の建築工事を対象に、4週8閉所と週40時間稼働を原則とした初回見積書の提出に足並みをそろえる『適正工期確保宣言』の実施要領を決定した。これまでは会員各社で準備が整い次第、取り組みを開始するとしてきたが、4月から適用される時間外労働の罰則付き上限規制を目前に控え、全会員一丸での円滑で適切な取り組みの推進につなげるのが狙い。今後は半年ごとに、初回見積時の実施状況や契約、施工時への反映状況を段階的にフォローアップ調査する。」(『建設通信新聞』2024.02.26)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「国土交通省は、能登半島地震による建築物の構造被害の分析に着手した。日本建築学会と国交省が月内に開始する現地調査の結果を踏まえ、現行の耐震基準で建てられた建築物の被害の有無や、その原因を検証し、現行基準の妥当性などを検討する。今秋にも検討結果をまとめる。」(『建設通信新聞』2024.02.16)
●「所得の低い単身高齢者らも住宅を借りやすくなる仕組みが整備される。政府は借り手が家賃を滞納した場合に立て替える保証業者を認定する制度をつくる。今は保証を断られるケースが少なくなく、大家が貸し渋る要因となっていた。全国に430万戸ある賃貸空き家の活用を促す。」(『日本経済新聞』2024.02.21)
●「政府は27日、能登半島地震で被災した石川県能登地域6市町を対象とする新たな交付金『地域福祉推進支援臨時特例交付金』の方針を示した。住宅再建に向けて最大300万円を交付。必要な経費は国が5分の4、県が5分の1をそれぞれ負担する。県負担分のうち8割を特別交付税で措置するため、実質的な国の支援割合は96%となる。新交付金は、半壊以上の住宅被害を受けた世帯が対象。高齢者や障害者のいる世帯のほか、若者や子育て世代を含め資金の借り入れや返済が困難な世帯に、住宅再建200万円、自動車など家財購入100万円を支援する。」(『建設工業新聞』2024.02.28)
●「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)を巡り、会場建設費や運営費に対する注目度が日々高まっている。会場建設費は2度の増額を経て2350億円に膨らんでいる。経済産業省は1月末に『予算執行監視委員会』の初会合を開催。万博協会(十倉雅和会長)による予算の執行管理が適切に進むよう計を光らせる。万博の建設費は、誘致決定時点に1250億円だったが、デジタル対応や暑さ対策の強化などを主要因として20年12月に1850億円に引き上げられた。万博協会は昨年10月に資材価格や労務費の上昇などを要因とし、会場建設費が最大2350億円となると報告した。2度目の増額では、協会が日本建設業連合会(日建連)の統計を踏まえ、資材価格と労務費の1カ月当たりの平均上昇率を算定した。21年1月~23年3月の建設資材物価指数(東京)の推移を基に、資材費は建設全体(平均)で28%上昇していると指摘。足元の労務費は21年3月.以前と比べ10%増加しているとした。こうしたデータを基に、価格上昇が今後も継続すると仮定した場合、資材価格443億円、労務費84億円の計527億円の増額が必要になると判断した。加えて、災害対応に伴う予定外の工事発注や、想定を超える物価上昇などに対応するため、予備費を130億円確保する。一方、調達方法や会場デザイン、施工方法や仕様などを見直すことで、157億円を節減可能と試算。削減分と相殺して、全体で500億円の増額が必要とした。政府は増額を了承したが、再度の増額が発生しないよう、予算執行監視委員会を設置し、監督体制を強化することにした。」(『建設工業新聞』2024.02.29)

その他