情勢の特徴 - 2024年8月後半
●「国内景気が持ち直している。内閣府が15日発表した4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は物価変動の影響を除いた実質の季節調整値が前期比0.8%増、年率換算で3.1%増だった。雇用者報酬が前年比で3年ぶりにプラスに転じ、個人消費が改善した。先行きは賃上げ効果が広がり、緩やかに回復するとの見方が多い。リスクは米国と中国の景気減速だ。実質GDPは2四半期ぶりのプラス成長となった。名目GDPは年率7.4%増だった。実額は年換算で607兆円となり、初めて600兆円を突破した。…実質で個人消費は前期比1.0%増と5四半期ぶりのプラスとなった。」(『日本経済新聞』2024.08.16)
●「企業間の荷物輸送に使う貸し切り(チャーター)トラックの定期契約運賃が、主要区間のひとつである東京-名古屋間で足元8%上昇した。運転手の時間外労働規制が4月から強化された『物流2024年間題』を背景に、運転手確保のため運送会社が求める値上げを、物流コストを抑える意向が強かった荷主が受け入れ始めた。」(『日本経済新聞』2024.08.17)
●「『家計の円売り』が続いている。1~7月の国内の投資信託運用会社などによる海外投資は7.8兆円の買い越しと、2023年通年の1.7倍に達した。新NISA(少額投資非課税制度)を通じた外国の金融資産への投資が活発だ。足元では米株式相場の乱高下で海外株ファンドからは資金が流出しており、勢いが続くかはやや不透明となっている。」(『日本経済新聞』2024.08.17)
●「どこからこの満足度が出てきているんだろう」―。9日に公表された政府の生活満足度の調査結果が「調査開始以来で最も高い水準」となったことに、ネット上で疑問や批判が殺到している。内閣府の「満足度・生活の質に関する調査報告書2024」によると、「生活に満足している」と答えた人は10点満点中5.89で、前回調査(23年2月)の5.79から0.1ポイント上昇。「上昇幅も過去最大」「前回調査からすべての年齢階層で生活満足度が上昇した」という。…一方、「政治・行政・裁判所」への満足度は、22年調査の4.49をピークに下がり続け4.30に。自民党の裏金問題など、直近の政治不信が如実に表れている。(『しんぶん赤旗』2024.08.22より抜粋。)
●「国土交通省は27日、2025年度予算の概算要求を発表した。一般会計の国費総額は前年度予算比18.1%増の7兆0330億円。うち公共事業関係費は18.9%増の6兆2899億円を要求する。『防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策』の最終年度分を事項要求とし、総仕上げとなる予算獲得を目指す。資材価格の高騰などを踏まえ必要な事業量を確保する姿勢も強く打ち出す。要求額に足元の価格動向を織り込みつつ、予算編成過程で顕在化する影響も加味しながら財務省との調整に当たる方針だ。」(『建設工業新聞』2024.08.28)
●「2025年度予算の財務省への概算要求が、一般会計で総額117兆円を超えることが29日分かった。要求段階では過去最大で、4年連続で110兆円を上回る。『金利ある世界』や地政学リスク上昇を映し、国債の元利払いに充てる国債費や防衛費が膨らんだ。…国債費は日銀の利上げで膨らんだ。財務省は過去最大だった24年度予算比で7.0%増となる28兆9116億円と見積もった。うち利払い費は10兆9320億円と同12.8%膨らむ。利払い費を見積もる想定金利を2.1%と24年度予算から0.2%引き上げたからだ。防衛省は初めて8兆円台の防衛費を求める。24年度予算では7兆9干億円超だった。政府は防衛費増額に向け23~27年度の5年間の総額をおよそ43兆円と定めており、25年度は計画の3年目にあたる。」(『日本経済新聞』2024.08.30)
●「各府省庁が財務省に提出した2025年度予算の概算要求のうち、国土強靭化関係の防災・減災対策の計上額が明らかになった。総額は前年度予算比23.4%増の6兆4336億7800万円。うち公共事業関係費は20.4%増の4兆8543億400万円。国土強靭化の加速化・深化分と位置付ける『防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策』の最終年度分の予算は、編成過程で計上額を決める事項要求とした。」(『建設工業新聞』2024.08.30)
●「厚生労働省が30日発表した1~6月の人口動態統計(外国人を含む速報値)によると、出生数が前年同期比5.7%減の35万74人だった。3年連続で40万人を下回り、上半期として比較可能な1969年以降で最少を更新した。24年は年間の出生数が初めて70万人を割り込む可能性も出てきた。」(『日本経済新聞』2024.08.31)
●「国土交通省は、道路分野のカーボンニュートラル(CN)推進戦略の骨子案をまとめた。中間取りまとめ以降に打ち出した取り組みを踏まえて施策を再整理したほか、政府全体で掲げる目標と各施策の対応関係を明確化した。各施策の指標や工程表を定めた上で、2024年内に推進戦略を策定する。24年度内に改定する地球温暖化対策計画、エネルギー基本計画などに施策の反映を目指す。」(『建設通信新聞』2024.08.16)
●「国土交通省は直轄の維持・修繕工事で試行している多様な入札契約方式の効果を一段と高めるため、個別案件の目的や求める効果に応じて各方式を組み合わせて運用する方向性を示した。各地方整備局で試行実績がある八つの方式ごとに目的や効果を整理。有識者や建設業団体の意見も踏まえながら、各方式の最適な組み合わせ方を選定するためのフローチャートを固め、各地方整備局での試行に乗り出したい考えだ。」(『建設工業新聞』2024.08.23)
●「国土交通省は、資材価格高騰時の受発注者による請負代金変更協議を円滑化するために改正建設業法で新設したルールのうち、契約前の注文者への通知を建設業者に義務付けた資材価格高騰のリスク情報について、公表資料の提示をもって建設業者が資材価格高騰する見込みの根拠を注文者に示したと見なす考えだ。このルールが施行される12月ごろまでに、運用の留意点をガイドラインとしてまとめ、通知や協議の方法を受発注者に周知する。」(『建設通信新聞』2024.08.26)
●「国土交通省は26日、橋梁など道路構造物の2023年度の点検結果をまとめた『道路メンテナンス年報』を公表した。19~23年度の2巡目の点検の実施状況は、橋梁、トンネル、道路構造物のいずれもほぼ100%となり、計画通り点検が完了している。14~18年度の1巡目点検で修繕が必要とされた橋梁の修繕着手率は、国と高速道路会社が100%だった一方で、地方自治体は83%にとどまった。」(『建設工業新聞』2024.08.27)
●「国土交通省は27日に公表した2025年度の組織・定員要求で、防災・減災の推進に向けテックフォース(緊急災害対策派遣隊)などによる災害時の初動対応を強化するための体制拡充を求めた。能登半島地震の経験などを踏まえ災害対応力のさらなる強化を図る。既存の防災課を抱える水管理・国土保全局を中心に新たな組織体制を検討・調整し、課長級ポストの新設を目指す。道路交通の円滑化につながる体制強化として、道路局に鉄道や次世代型路面電車(LRT)など他の交通モードとの連携を推進する課長級ポストも要求した。水管理・国土保全局の上下水道部門では脱炭素化の推進に当たる室長級ポストの新設を目指す。…定員の新規増員要求数は1456人。合理化などに伴う減少数を差し引いて658人の純増を見込む。地方整備局を中心に防災・減災、国土強靭化の取り組みに当たる体制を強化。持続的な地域社会の形成や経済成長を支える基盤強化に対応する人員増も目指す。」(『建設工業新聞』2024.08.28)
●「建設産業で働く女性のさらなる活躍と定着促進に向け、国土交通省と建設業団体らが共同で策定する新たな実行計画の議論がキックオフした。現状の課題を踏まえ実行計画の内容を検討する会議体の初会合を21日に東京都内で開いた。各団体の代表者らは担い手確保・育成への危機感を共通して表明。女性だけでなく広く若者などの入職・定着につながるよう、より効果的な広報戦略や、働きやすい職場への改善が必要と訴える声が相次いだ。2025年1、2月ごろに計画案を詰める予定だ。」(『建設工業新聞』2024.08.22)
●「海外から日本にやってくる人材をいかに生かすか、政策議論が熱を帯びている。2024年度の経済財政白書では200万人を超すまでになった外国人労働者について初めて節を立てて分析し、成長に生かすための議題を探った。賃金について日本人と外国人を比べたところ、外国人の方が28%低かった。40~50歳代が多い日本人に対して、外国人は20歳代の若年層が多く勤続年数も短い。白書は年齢や学歴、勤め先の属性などを調整した上で賃金の差を分析したところ、日本人と外国人との間には依然として7%ほどの開きがあった。労働者個人や事業所などの要因では説明できない賃金差が存在した。賃金差を在留資格別に見ると、『永住者』や日本人の配偶者など『身分に基づく在留』ではわずかだが日本人を上回った。『高技能』では日本人に比べ、外国人の賃金が4%程度のマイナスだった。『特定技能』は日本人の賃金水準を約16%下回り、『技能実習』はその差が26%に広がった。大きな賃金差がみられた技能実習は制度の問題を背景として挙げた。原則として転籍が認められていないため、自社に人材をとどめるために高い賃金を支払うというメカニズムが働いていないと指摘した。転籍制限がない特定技能でも外国人の賃金は低かった。この背景について、白書は職場を変更した場合に前の勤務先で培った知識やスキルが評価されない『スキルの移転制約』が生じている可能性を指摘した。少子高齢化で日本の労働力が細るなか、海外人材の獲得は欠かせない。白書は『合理的に説明できない賃金差が残っているとすれば、(原因となる)慣習の改善が求められる』と強調した。」(『日本経済新聞』2024.08.23)
●「厚生労働省は2023年の雇用動向調査の結果をまとめた。建設業の入職者は27.8万人、離職者は28.1万人。このうち一般労働者は入職者が26.8万人、離職者が27.5万人、パートタイム労働者は入職者が1.0万人、離職者が0.5万人。全体の入職率は10.0%、離職率は10.1%で、一般労働者は入職率10.0%、離職率10.3%、パートタイム労働者は入職率9.7%、離職率5.6%となった。」(『建設工業新聞』2024.08.29)
●地域別最低賃金(時給)改定について29日、すべての都道府県の地方最低賃金審議会で答申が出そろった。全国加重平均51円増、現行の1004円から1055円となる。全国過半数の27県が目安に上積みし、最高額と最低額の地域間格差は8円縮小の212円。徳島は異例の34円を上積み。…最高額は東京の1163円。最下位は(秋田)の951円。中央最賃審議会が示した目安はA~Cランクの全地域で50円増とするものだったが、27県で1~34円の上積みを実施した。目安への上積みは2021年の7県、22年22道県、23年24県から3年連続増加している。最後に答申を出した徳島は、全徳島新聞労組をはじめストライキの活発化を反映した。岩手は9円の上積みで最下位を脱した。一方で、秋田が単独最下位になり、地域別制度の弊害が浮き彫りになった。1000円を超えたのは16都道府県にとどまる。(『しんぶん赤旗』2024.08.30より抜粋。)
●「全国建設業協会(今井雅則会長)がまとめた『2024年度生産性向上の取り組みに関するアンケート報告書』によると、施工現場の生産性を直接的に高めるICT施工は、約6割が『取り組んでいる』と回答した。ただ、国土交通省がi-Constructionを本格始動した16年度から既に8年余りが経過し、直轄でICT施工ステージⅡやi-Con2.0という次のフェーズへの移行が進む中、地域建設業ではいまだに、約4割が旧来型から抜け出せていないとも言える。アンケート結果からは、単に従来手法に固執しているわけではなく、やる気はあるが、発注者側の理解不足などで取り組めないといったジレンマが透ける。」(『建設通信新聞』2024.08.16)
●「主要ゼネコン26社の2024年4~6月期連結決算は、手持ちの大型工事が順調に進捗し17社が増収となった。本業のもうけを示す営業利益は黒字会社のうち13社が前年同期と比べ増加した。単体受注高は民間の大型案件に加え国内土木の官公庁案件を受注し、19社が前年同期を上回った。4月に時間外労働上限規制が適用されたが、サブコンを含め供給網の影響を期首予想に盛り込んでいたため業績修正した社はなし。想定の範囲内で工事消化と受注を積み上げている。決算は9日に出そろった。連結売上高を見ると増収の企業は手持ち工事を着実に消化。鹿島、大林組、大成建設、高松コンストラクショングループなどが同期決算として過去最高を記録した。減収となった東洋建設は『前年同期に計上した大型工事の反動減と手持ち工事の設計変更の獲得時期のずれ込み』を要因とした。営業増益となった企業は『国内の建築で利益率が改善した』(西松建設)という。『低採算案件が一巡し、採算性の良い案件に入れ替わっている』(大手ゼネコン)との声もある。…工事の採算性を示す単体の完成工事総利益(粗利益)率は公表した23社のうち、前年同期を上回ったのは9社にとどまった。『設計変更の獲得で増益を見込む』社もある一方、『サブコンのひっ迫状況は健在。価格上昇も続き、交渉は難航』(中堅ゼネコン)と利益確保に苦しむ状況がうかがえる。受注高は国土強靭化など官公庁案件に加え、民間の大型工事などを獲得。今後、インフラ整備に加え、防衛関連の建設工事が本格化し期待が高まる。『適正工期や安定した利益に期待できる官公庁案件を狙う』(準大手ゼネコン)と戦略を練る一方、『土木は競争が激しくなる』との見方もある。」(『建設工業新聞』2024.08.19)
●「日本アスファルト合材協会(今泉保彦会長)がまとめた2023年度のアスファルト合材統計年報によると、全国の製造数量は前年度比6.3%減の3636万8000トンとなった。3年連続の減少で、過去最少を更新した。これまでキープしてきた4000万トン台を初めて割り込んだ22年度(3880万トン)をさらに下回り、落ち込みに歯止めが掛からない。製造能力に基づく工場の稼働率は、前年度より2.1ポイント低下して35.1%にとどまり、こちらも過去最低を記録した。」(『建設通信新聞』2024.08.22)
●「全国の自治体が土砂災害リスクの点検を進めている。広島土砂災害後の10年で警戒区域は倍増し、約69万カ所にのぼる。2020年以降は高精度の測量データを活用し、詳細な危険箇所の抽出に努める。国は早期の区域指定完了を目指すが、人手・予算が限られる自治体からはさらに10年近くかかるとの声も漏れる。14年8月20日に広島市で起きた土砂災害は、丘陵地で開発された宅地の防災対策に課題を突きつけた。行政はあらかじめ指定した土砂災害警戒区域における安全確保を想定していた。だが広島では区域外で多数の土石流や地滑りが発生した。結果的に住民に危険が十分に周知されず、災害関連死などを含む77人の犠牲者を出した。国や自治体はその後、区域指定の拡充に動いた。24年6月末時点で全国の区域指定は約69万4千カ所に上る。広島土砂災害前の34万9干カ所(14年3月末時点)からほぼ倍増した。さらに詳細なリスクの把握も進む。国は20年、山間部などでの土砂災害回避に向け、精度の高い情報の収集を都道府県に求めた。航空機からレーザーを照射して立体的に地形を捉えたデータなどを活用し、危険箇所の確認を進めている。」(『日本経済新聞』2024.08.20)
●北陸新幹線の延伸計画(敦賀-新大阪間)について、国土交通省と鉄道・運輸機構は、敦賀から小浜(ともに福井県)、京都駅を経由して新大阪に至る「小浜・京都ルート」の詳細ルート案を与党整備委員会に提示した(7日)。建設費は最大で5兆3000億円と、当初(2016年)の2兆1000億円の2.5倍に膨らむと予測。費用対効果が見込めず、建設工事が長期化し、古都京都の自然破壊を招きかねない両ルート案には、異論が噴出している。今回のルート案は京都駅を経由して新大阪に至るもの。▽京都駅を東西に通り同駅地下に駅を設置する「東西案」▽同駅を南北に通り駅南側の地下に設ける「南北案」▽京都駅から西に5キロ離れたJR桂川駅付近の地下に設置する「桂川案」の三つ。建軽費は南北案が3.9兆円、東西案が3.7兆円、桂川案が3.4兆円。年2%の物価上昇を仮定にすると、南北案が5.2兆円、東西案が5.3兆円、桂川案は4.8兆円に跳ね上がる。工期は東西案が約28年、南北案が約20年、桂川案が約26年と、当初想定の15年から最大で2倍近く。仮に来年着工したとしても、完成は最長で2053年となる。(『しんぶん赤旗』2024.08.20より抜粋。)
●「東京電力ホールディングスは22日、同日朝から始めた福島第1原子力発電所2号機における溶融燃料(デブリ)の試験的取り出しの作業を午前中に中断した。装置の取り付け順番を誤った。初日からつまずいた格好だ。作業再開のめどは立っていない。…デブリの回収に使う装置は複数のパイプをつなげ、最大約22メートルまで伸びる釣りざお式になっている。先端に爪状の器具をつけ、原子炉の底部に向けて3~4メートルほどケーブルを垂らし、デブリを取り出す。22日は午前7時過ぎに準備作業を始めた。装置のパイプ部分を機械で押し込んだ後、さらに長さ1.5メートルの押し込みパイプを5本つなげて装置を原子炉まで押し進める予定だった。パイプ5本は配列の順番が決まっており、7月下旬に並べる作業を完了。8月22日にパイプを差し込もうとしたところ作業員が1本目に使うパイプが本来のものと違うことに気づいた。パイプには1~5の番号が書かれていた。午前8時53分に作業の中断を決めた。東電は原因や対策が明らかになるまで作業は中断する。回収の再開時期は未定だが『なるべく時間をかけずにやっていきたい』(東電担当者)とする。」(『日本経済新聞』2024.08.23)
●京都府の西脇隆俊知事が突和発表した、8000人規模の集客ができる「京都アリーナ(仮称)」を整備する計画に対し、地元の日向市(人口5万5891人・1日現在)で、撤回・再検討を求める世論が高まっている。「向日町競輪場再整備とアリーナ問題を考える会」は20日、意見交換会を開催し、撤回・再検討を求める著名運動を開始した。10月末までに1万筆を目標としている。(『しんぶん赤旗』2024.08.23より抜粋。)
●「国土交通省が老朽化したマンションへの対応策を強化する。建て替えを促すため。解体費用の一部をマンション管理組合に補助する新たな仕組みを2025年度にも創設したい考え。大規模修繕工事を実施したマンションの固定資産税を優遇する特例措置も期間の延長を視野に入れる。2025年度の予算概算要求と税制改正要望に関連事項を盛り込む方向で調整する。」(『建設工業新聞』2024.08.26)
●「国土技術政策総合研究所(国総研)は、空き家対策のコスト・効果の推計ツールを開発、公表した。空き家の管理不全を予防するための対策強化の一環。市町村の空き家対策で生じるコスト、所有者の管理・所有によるコストごとに、シナリオ別に比較できる推計手法など関連ツールを示すことで、より適切な対策や管理の検討・立案、実施を促す。推計ツールは、このほど刊行した国総研資料『空き家の管理不全化に対する予防的対策効果の定量化に関する研究』として公表した。共通編で定量化の考え方を整理した上で市町村編と所有者編に分け、対策コストや管理・所有コストとその効果の推計手法について説明。それぞれの調査データを活用し推計ツールを開発した。」(『建設工業新聞』2024.08.26)
●「国土交通省は2024年度にも建物が空き家かどうかを判定するシステムを開発する。自治体が持つ上水道の使用状況などの情報をもとに、空き家である確率をパーセントで表示する方向だ。使われていない物件を把握しやすくすることで、不動産取引を後押しする。新システムはパソコンの画面上に地図情報を表示し、建物にカーソルを合わせると空き家の確率を表示するような仕組みを想定する。上水道の利用状況や住民基本台帳、民間の地図情報など様々なデータを読み込み、機械学習によって空き家の可能性を推測する。主に自治体の利用を見込む。」(『日本経済新聞』2024.08.28)