情勢の特徴 - 2024年10月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「売り手が請求書などに消費税の税率ごとに区分した税額や事業者の登録番号を記載するインボイス(適格請求書)制度が始まって10月1日で1年がたつ。事業者の登録は一巡した一方、導入した中小企業を対象とした調査では8割超が事務負担の増加を訴えた。経理のデジタル化を通じた生産性の向上が重要になる。インボイス制度は2023年10月に始まった。19年10月に消費税率を上げた際、食品などに適用する軽減税率の8%と通常の10%の2種類に税率が分かれた。どの税率の取引かを正確に把握するため導入した。消費税の仕入れ税額控除には、仕入れ先からインボイスを発行してもらうことが原則、必要になった。国税庁によると、24年8月末までにインボイスを発行できるよう登録した事業者は458万に達した。23年10月末は407万だった。足元で新規登録は減っており、事業者の対応は一段落したとみられる。インボイスの普及が進む一方で、経理部門の事務負担が浮き彫りになってきた。日本商工会議所などが5~6月に会員企業に実施した調査では、制度を導入した2千超の事業者のうち82.2%が事務負担が増えたと回答した。インボイスを受領するとまず必要事項が抜け落ちていないか、発行事業者とひもづけられた登録番号に誤りがないかを確認する必要がある。企業からは『要件を満たさない請求書を発行する事業者が多い』『制度が複雑で分かりづらい』といった声が上がっている。」(『日本経済新聞』2024.10.01)
●「富裕層に対する課税のゆがみが国内外で課題になっている。石破茂首相は就任前、所得が特に多い層ほど税負担率が低くなる『1億円の壁』の是正を念頭に、金融所得課税の強化に言及したが、所信表明演説では触れなかった。世界各国でも『超富裕層』の低い税負担が問題視されている。首相は自民党総裁選に出馬表明した後の9月、金融所得課税の強化を『実行したい』と語った。その後に『個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)や新NISA(少額投資非課税制度)の税を強化することは毛頭考えていない』と述べ、貯蓄から投資への潮流は妨げない考えを示した。発言の背景には、年間所得が1億円を超えると所得税の負担率が下がる『1億円の壁』の問題がある。2022年分の申告納税者の所得でみると、所得が5000万円超~1億円以下の層の税負担率は26.3%なのに対し、所得が100億円を超える層では17.2%に下がる。ゆがみの一因は金融所得だ。所得が100億円に近づくほど、株式などの譲渡所得が所得に占める比率は高まる。給与などの所得にかかる税は累進課税だが、金融所得課税は一律20%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税を除く)で、高所得者ほど恩恵が大きい。」(『日本経済新聞』2024.10.07)
●「公正取引委員会(公取委)と中小企業庁が設置した企業取引研究会は7日、物流業界の多重下請構造の改善に向けて、下請法の運用方法を議論した。荷主と元請の運送会社の契約で、下請の運送会社への不当な荷役や荷待ちの規制を通じて、荷主と下請を下請法の適用対象に加える。これにより下請けへの不当行為を取り締まれるようにする方向で検討した。下請法は、元請と下請の運送会社間の取引を適用対象としている。荷主は消費者と運送会社の取引を仲介する役割とされ、下請の関係が認められていなかった。こうした状況を踏まえ、公取委は独占禁止法の物流特殊指定を制定。荷主側が元請の運送会社に対する不当な行為を下請法同様に禁止できるようにした。」(『建設工業新聞』2024.10.08)
●東京商工リサーチが8日発表した2024年度上半期(4~9月)の企業倒産件数(負債額1000万円以上)は、前年同期比17.8%増の5095件と3年連続で増加した。上半期として13年度(5505件)以来11年ぶりの高水準。円安による物価高や人件費の高騰が重しとなり、事業継続が困難となるケースが目立った。全体の倒産件数のうち、「物価高」を原因とした倒産は4.7%増の353件、「人手不足」関連の倒産は80.4%増の148件だった。コスト上昇に価格転嫁が追い付いておらず、商工リサーチは「中小企業は体力以上に背伸びした賃上げを強いられている」と分析している。(『しんぶん赤旗』2024.10.10より抜粋。)

行政・公共事業・民営化

●「自民党の石破茂総裁は1日、衆参両院本会議での首相指名選挙を経て、第102代首相に就任した。同日夜に組閣を終え、石破内閣を発足させた。首相就任後初の記者会見で9日に衆院を解散し、15日公示-27日投開票の日程で衆院選を実施すると表明した。就任から解散まで戦後最短の期間となる。…首相は自らの内閣を『納得と共感内閣』と名付け、『国民に納得し共感してもらえる政治をまっすぐに進める』と述べた。経済政策は岸田前内閣の方針を継承する。『賃上げと投資がけん引する成長型経済を実現するため、成長戦略を着実に引き継ぎ、デフレ脱却最優先の経済財政運営を行う』と語った。資産運用立国の政策も続け貯蓄から投資の流れを推進する。低所得者世帯向けの給付金を含めた物価高の緊急対策を提起し『早期に物価高で苦しむ方を支援するための経済対策の検討を指示する』と強調した。最低賃金では『2020年代に全国平均1500円を目指す』と主張した。岸田前政権が30年代半ばまでとした目標を前倒しする。金融政策を巡る日銀への姿勢を問われ『緊密な連携の下、金融緩和の基本的な基調は維持されるべく期待しながら見守っている』と話した。内閣の基本方針として①ルール②日本③国民④地方⑤若者・女性の機会――の5つを『守る』ことを掲げた。具体策として政治改革や防衛力の抜本強化、経済安全保障・サイバーセキュリティー対策などを挙げた。」(『日本経済新聞』2024.10.02)
●「国土交通省は、自動物流道路の事業モデルを検討するため、事業に関心のある法人を対象とした市場調査を実施する。民間主体の実施体制の構築に向けて、自動物流道路の建設・運営などに関する提案や意見を幅広に募集する。近く実施要領を公表し、11月まで意見書の提出を受け付ける予定だ。3日に『自動物流道路に関する検討会』の第6回を開き、市場調査の方針を示した。市場調査では、自動物流道路への関心や業務への提案、実施要領で示す業務以外に必要となる業務などについて意見を求める。市場調査に当たり、7月に公表した中間取りまとめを踏まえ、想定する事業概要を設定した。全体区間は東京~大阪間で、2030年代半ばまでの運用を目指す第1期区間は大都市近郊の渋滞発生区間とした。自動物流道路の荷物を搬出入する拠点は8カ所以上(各県1カ所以上)に設置する。輸送速度は時速30キロで、クリーンエネルギーの活用を考慮する。中間取りまとめでは、民間主体による事業モデルを想定しており、例えば複数企業によるSPC(特別目的会社)がインフラの建設や運営、輸送システムの整備などを担うことを見込んでいる。」(『建設通信新聞』2024.10.04)
●「国土交通省は2025年度、建設業界に存在し、その弊害が指摘されている重層下請け構造の実態調査に乗り出す。中央建設業審議会・社会資本整備審議会の基本問題小委員会が23年9月に公表した中間取りまとめで、重層下請け構造による効率性などへの影響が今後さらに検討すべき事項の一つに位置付けられたことを踏まえた対応。業界構造を適正化する政策の立案を視野に入れながら、実態調査で基礎データを収集する。25年度予算に調査経費を新規で要求している。」(『建設通信新聞』2024.10.07)
●「国土交通省は2025年度、改正建設業法に基づく労務費の基準(標準労務費)の職種別作成に向け、個人住宅建築など民間工事のみで発注が行われ、公的な歩掛かりが設定されていない工種とその工事を行う職種を調査・分析する。作成した標準労務費の改定に必要な事項も検討する。25年度予算の概算要求に必要経費を盛り込んでいる。」(『建設通信新聞』2024.10.08)
●「4月に始まった建設業への時間外労働の上限規制適用を踏まえ、国土交通省が2023年度に明示したポイントを参考に工事書類簡素化の手引きを策定・改定する動きが、都道府県や政令市をはじめとした地方自治体で広がりつつある。直轄工事より小規模な自治体発注工事でも、受注者の書類作成負担軽減が現場に配置されている技術者の時間外労働削減に向けた重要課題であるため、この動きはさらに拡大しそうだ。」(『建設通信新聞』2024.10.11)

労働・福祉

●「10月から、パート労働者の厚生年金の加入対象が拡大となる。これまでは従業員101人以上の企業に限られていたが、51人以上の企業も適用される。新たに20万人程度の労働者が対象となる。労働時間を伸ばすなど働き方を見直す従業員がいる一方、経営者の間には負担増への懸念もある。」(『日本経済新聞』2024.10.01)
●「建設業に時間外労働の罰則付き上限規制が適用され、1日で半年を迎える。日刊建設工業新聞社が建設関連各社に実施したアンケートによると、4~6月に上限規制を超過した非管理職は2023年度の割合から大幅に減少している。ただ上限内で収めるにはまだまだ開きがあり、24年度下半期は各社ともより難しいかじ取りを迫られそうだ。」(『建設工業新聞』2024.10.01)
●全労連や全労協など幅広い労働組合でつくる雇用共同アクションは3日、厚生労働省で会見を開き、労働基準法の適用除外拡大へ議論を進める有識者研究会に危機感を示し、「規制を緩めるのではなく、守られていない規制を守らせることが必要だ」として議論の方向転換を求めた。厚労省は今年1月に「労働基準関係法制研究会」を立ち上げ、昨年公表の「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書と「働き方改革」関連法に基づき労基法などの見直しを検討している。会見で伊藤圭一事務局長は、労働者が求めている夜勤規制や実労働時間管理の義務強化などは議題とせず、労働者保護規制のデロゲーション(適用除外)の容易化・拡大など経団連の提言に沿った議論がされているとして「誰のための労基法改正か」と批判した。「労働基準を職場に合わせて労使でカスタマイズ」など聞こえのいい表現でデロゲーション拡大が狙われ、労働者の意見は聞くだけにして同意権を剥奪するなど「経団連ですら言っていない議論に踏み込んでいる」と指摘した。労使協定などの重責を過半数代表者に担わせることについては、「ストライキ権を背景とした強い交渉力を持たない過半数代表者では労使対等な立場での交渉は困難だ」と述べ、労組への支援強化こそ必要だと強調。規制単位を事業場から企業・本社単位に緩和する議論を批判した。(『しんぶん赤旗』2024.10.04より抜粋。)
●「全国建設業協会(今井雅則会長)がまとめた『2024年度労働環境の整備に関するアンケート』結果(2367社回答)によると、建設キャリアアップシステム(CCUS)の事業者登録率は、前年度より6.3ポイント上昇して69.3%となり、全体の約7割に達した。雇用する技能労働者についても、『全員登録している』が11.2ポイント上昇して41.5%を占め、4割を超えた。一方、CCUSを『活用していない』との回答が7割近くに上り、登録は進んでいるものの、カードタッチによる就業履歴の蓄積にまで至っていない実態が浮き彫りになった。」(『建設通信新聞』2024.10.07)
●「勤労者退職金共済機構(勤退共、梅森徹理事長)の建設業退職金共済事業本部(建退共本部、大澤一夫本部長)は2025年秋ころに電子申請方式を大規模改修し、システムの利便性を高める。建設業退職金共済(建退共)の就労実績報告作成ツールを電子化し、元請と協力会社間で工事情報や就労実績情報の共有を可能にする。建設キャリアアップシステム(CCUS)との連携も強化し、被共済者に当たる技能者は11月リリース予定のCCUS専用スマートフォンアプリ『建キャリ』で自身の掛け金納付や退職金予定額を確認できるようになる。」(『建設工業新聞』2024.10.07)
●「厚生労働省が8日発表した8月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)によると、名目賃金から物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月から0.6%減少し、3カ月ぶりにマイナスに転じた。賞与による伸びの効果が前月より縮まったほか、物価の上昇幅が拡大したことが響いた。」(『日本経済新聞』2024.10.08)
●「政府は11日、2024年版の『過労死等防止対策白書』を閣議決定した。業種別の労働時間を調べたところ、『建設業』は8.7%が過労死ラインとされる1カ月当たりの残業時間80時間を上回っていたことが分かった。23年12月の業種別労働時間の状況を調べた。全国の就業者8764人のうち、建設業は641人だった。1週間当たりの実労働時間数を聞き、60時間以上と回答した割合が8.7%だった。週60時間労働すると、1カ月の残業時間は80時間に相当する。」(『建設通信新聞』2024.10.15)

建設産業・経営

●「群馬県建設業協会(青柳剛会長)は、建設キャリアアップシステム(CCUS)と建設業退職金共済(建退共)制度のさらなる連携強化を国土交通省などに求める。CCUSの就労履歴と建退共の就労実績、労務安全書類を電子化「通門管理機能」(現場へ入場する作業員の入退場履歴を管理できる機能)で連携。協調領域をDXして現場管理の効率化、省力化につなげるのが狙い。2日に行う関東地方整備局との意見交換会などで質疑テーマに挙げ、積極的に提言する。」(『建設工業新聞』2024.10.02)
●「全国建設業協会(今井雅則会長)は、働き方改革や賃上げなどの労働施策について、会員企業の実情や取り組み状況などを把握する『労働環境の整備に関するアンケート』の結果をまとめた。時間外労働規制の適用直前に当たる2023年度の週休日状況によると、建設現場で『4週8休』を実施した割合は、前年度より13.4ポイント上昇して43.3%となった。自治体発注を含む公共工事で週休2日制が普及拡大したことなどが要因とみられるが、依然として半数にも満たず、まだまだ道半ばの状況とも言える。一方、月当たり平均残業時間は、上限規制の原則ルールに抵触する46時間以上が、わずか数%に収まるなど良好な結果が得られた。」(『建設通信新聞』2024.10.03)
●「全国建設業協会(今井雅則会長)が、都道府県建設業協会の会員企業2367社から回答を得た『2024年度労働環境の整備に関するアンケート』の結果によると、直近1年間で下請けと契約する際の労務単価を引き上げた企業の割合は、前年度より3.8ポイント上昇して66.9%を占めた。このうち、下請け企業における技能労働者の賃上げの程度については、『5%以上引き上げた(引き上げる、以下同)』が11.1ポイント上昇の34.7%、『5%未満引き上げた』が4.9ポイント上昇の47.7%となった。業界全体での技能労働者の賃上げによる次年度の設計労務単価の継続的上昇という好循環に向け、契約時の労務単価をアップする企業が増加し、賃上げ率も高まっている。また、会員企業が直用する技能労働者については、『5%以上引き上げた』が4.1ポイント上昇の29.6%、『5%未満引き上げた』が1.0ポイント下降の55.4%だった。直用技能者の賃金形態は、月給制が52.7%、日給月給制が33.7%などとなっている。」(『建設通信新聞』2024.10.03)
●「建設物価調査会(白圡昌則理事長)は8日、土木工事費指数(基準年2015年)を試験的に公表する取り組みを始めた。一般管理費や利益を含まない工事原価の指数で、工事種類は9種類、地域区分は10都市に対応。15年1月以降の毎月と年平均で指数を公表しており、土木工事費の時点間比較や工事費動向の時系列的な観察が可能。25年4月には公表内容を拡充する。」(『建設通信新聞』2024.10.09)
●「政府調達の総合評価方式における賃上げ実施企業の加点措置を巡り、比較的体力のある大手企業からも見直しを求める声が高まっている。日本建設業連合会(宮本洋一会長)が、公共工事委員会企業評価部会に所属する18社にアンケートをしたところ、賃上げ加点措置の継続が『会社経営に影響する』と回答した企業が全体の94%を占め、その割合は前年度より5ポイント増加した。」(『建設通信新聞』2024.10.11)
●「建設経済研究所と経済調査会は11日、2025年度建設投資見通しの10月推計を発表した。2回目の推計となる今回は、物価変動を含む名目値で前年度見通しに比べて1.1%増の74兆8800億円、物価変動を含まない実質値で0.4%増の58兆5676億円と予想。政府、民間ともに堅調な投資が続くとみる。前回(8月推計)との比較では、名目値が1兆2900億円増、実質値が3263億円減となっている。名目値の分野別内訳は、国や地方自治体などの政府建設投資(政府建築補修投資含む)が0.8%増の26兆2800億円、民間建設投資が1.3%増の48兆6000億円。実質値は、政府建設投資を0.6%増の20兆7377億円、民間建設投資を0.2%増の37兆8299億円としている。政府建設投資は、8月推計から名目値で1100億円、実質値で6326億円それぞれ引き下げたものの、8月推計後に公表された25年度予算の概算要求などから、国、地方ともに前年度と同水準の予算規模が確保され、公共事業の堅調な投資は続くとみる。民間建設投資のうち民間住宅投資は、名目値で0.8%増の17兆1400億円、実質値で0.03%増の13兆4671億円。8月推計から名目値は2500億円増、実質値は430億円減とした。…民間建設投資のうち民間非住宅建設投資(土木を含む)は、日本銀行による9月の全国企業短期経済観測調査などから企業の設備投資意欲は堅調と考えられるとして、名目値で1.8%増の18兆0600億円、実質値で1.0%増の14兆0689億円を予想した。」(『建設通信新聞』2024.10.15)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「総務省がまとめた2023年住宅・土地統計調査によると、23年10月1日時点で国内の総住宅数は6504.7万戸となり、18年と比べ4.2%増加した。総世帯数は4.1%増の5621.5万世帯で、総住宅数、総世帯数ともに増加が続いている。1世帯当たりの住宅数は1.16戸で3年連続して同数で推移。空き家は6.0%増の900.2万戸で過去最高を更新した。空き家の増加数は51.3万戸。総住宅数に占める空き家の割合を示す空き家率は0.2ポイント上昇し、13.8%となった。空き家率は上昇が続き、1993年からの30年間で約2倍となった。空き家のうち、賃貸・売却用や別荘などの二次的住宅を除いた空き家は385.6万戸で、総住宅数に占める割合は5.9%。18年から36.9万戸増加した。空き家のうち、一戸建ては352.3万戸、共同住宅は502.9万戸。一戸建ての約8割は、賃貸・売却用や二次的住宅を除いた家で、共同住宅の空き家も約8割が賃貸用の家となっている。」(『建設工業新聞』2024.10.07)
●「東京、大阪、名古屋の三大都市圏にある『土砂災害警戒区域』が計1万1千カ所に上ることが日本経済新聞の調べで分かった。山間部だけでなく豪雨の頻発で都市部でも発生リスクが高まっており、備えが欠かせない。都道府県は土砂災害防止法に基づき、住民に被害が及ぶ可能性のある土砂災害警戒区域を指定。特にリスクの高い地域は、特別警戒区域として開発行為が許可制になるなど制限がかかる。三大都市圏の政令市と特別区の計約1万1千カ所が土砂災害警戒区域に指定されていた。東京23区でも港区や世田谷区など計1千カ所以上が存在し、うち約700カ所は特別警戒区域だ。郊外の宅地開発に加え、2000年代以降の国による指定推進により箇所数は増加している。」(『日本経済新聞』2024.10.08)
●「埼玉県や千葉県、神奈川県で中古マンションの価格下落が鮮明になっている。高騰が止まらない東京都心の物件とは対照的に周辺3県は前年同月比では10カ月連続でマイナスとなって、在庫物件も過去最多に積み上がった。都心の価格上昇に引っ張られて高額になりすぎたことに加えて、住宅ローン金利の上昇への警戒も重なって需要が鈍っている。不動産調査会社の東京カンテイ(東京・品川)によると、3県の中古マンションの平均希望売り出し価格は、季節的な要因を抑えた前年同月比でみると、2023年11月から直近データの24年8月までマイナスが続いている。専有面積70平方メートル換算で、8月は埼玉県が前年同月比3.2%安の2916万円、千葉県が3.4%安の2679万円、神奈川県も0.4%安の3646万円となった。各県の主要な駅周辺はまだ買い手がつきやすいが、離れると相場地合いは弱い。…東京都心でのマンション相場の高騰を背景に、周辺エリアの所有者も強気の値付けで売りに出したものの、好立地でないと簡単には買い手がつかない状況になっている。さらに新築物件が近くで供給されれば、中古マンションは魅力がかすむ。在庫として市場に滞留する物件は増加傾向だ。東日本不動産流通機構(同・千代田)のまとめによると、8月時点で埼玉県の在庫物件は5658戸、千葉県は4459戸、神奈川県は1万1620戸。3県合計は、前年同月比12%増の2万1737戸。データを公表している02年以降で、最多になっている。」(『日本経済新聞』2024.10.10)
●「国土交通省は9日、国土形成計画で打ち出す『地域生活圏』の形成促進に向けた施策を検討する『地域生活圏専門委員会』の初会合を東京都内で開いた。地域の暮らしに必要なサービスを持続的に提供可能な新たな圏域の形成に向け、地域経営を支える官民パートナーシップの創出などの観点から議論する。モデルケースとして香川県三豊市と鳥取県米子市・境港市の事例も紹介した。専門委は国土審議会(国土審、国交相の諮問機関)推進部会の下に設置。委員長は石田東生筑波大学名誉教授が務める。初会合の冒頭、黒田昌義国土政策局長は『国交省はハード・ソフト両面の施策を所掌しているが、所掌範囲を超えた総合的な観点での議論が必要だ』と活発な意見表明を呼び掛けた。国交省は地域生活圏の形成に向け▽官民の『主体の連携』▽分野を越えた『事業の連携』▽市町村の境界にとらわれない『地域の連携』―の三つに重点を置き、デジタルとリアルの融合による地域経営を推進する方針を示す。民間の力を引き出し『地域経営主体』をつくる発想を重要視する。」(『建設工業新聞』2024.10.10)

その他

●「ノルウェーのノーベル賞委員会は11日、2024年のノーベル平和賞を日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)に授与すると発表した。日本被団協は広島と長崎の被爆者の全国組織で、原爆投下の11年後の1956年に結成された。核兵器の非人道性を訴える草の根運動が評価された。日本の平和賞受賞は1974年の佐藤栄作元首相以来、50年ぶり。佐藤元首相は非核三原則の宣言や核拡散防止条約(NPT)に署名したことなどが評価された。ノーベル賞委員会のフリードネス委員長は日本被団協への授賞理由として『核兵器のない世界を実現するための努力』と『核兵器が二度と使われてはならないことを目撃証言を通じて示してきたこと』を挙げた。日本被団協は約70年にわたり、核兵器の廃絶を世界に訴えてきた。被爆体験の証言や原爆の写真展の開催など世界各地で地道な活動を継続。核兵器の開発や保有などを法的に禁止する核兵器禁止条約の交渉では、日本被団協が中心となり約300万人分の署名を集めて採択を後押しした。核兵器禁止条約は2021年1月に発効した。フリードネス氏は、被爆者の地道な努力によって核兵器の使用は道徳的に許されないとする『核のタブー』という国際規範が醸成されたと指摘した。『全ての被爆者に敬意を表したい』と語った。授賞発表を受け、日本被団協の箕牧智之代表委員は『引き続き核兵器廃絶、恒久平和の実現を世界の皆さんに訴えていきたい』と話した。『廃絶に一段と弾みがついた。口で訴えるだけでなく、大きな賞を頂くことで発言力も一段と上がる』とも強調した。」(『日本経済新聞』2024.10.12)