情勢の特徴 - 2025年4月後半
●「総務省が14日公表した2024年10月1日時点の人口推計によると、外国人を含む総人口は前年比55万人減少(0.44%減)し、1億2380万2000人だった。日本人の人口は89万8000人減り(0.74%減)、1億2029万6000人。総人口の減少は14年連続で、75歳以上が70万人増の約2077万人となり人口減少と高齢化が一段と進んでいる。日本人の減少は13年連続で、減少幅は比較できる1950年以降で最大だった。総人口は死亡数が出生数を上回る『自然減』が89万人で、減少は18年連続。男性は45万3000人、女性は43万7000人それぞれ減少。減少は男性が20年連続、女性が16年連続。総人口は男性が6023万3000人、女性が6356万9000人。65歳以上は1万7000人増加し3624万3000人となり、過去最高の29.3%を占める。75歳以上の割合も過去最高の16.8%となった。15歳未満は1383万人で過去最低の11.2%に減った。外国人は34万2000人増加し、3年連続で増えている。」(『建設工業新聞』2025.04.16)
●「総務省が18日発表した2024年度の消費者物価指数は、生鮮食品を除く総合が前年度比2.7%上昇した。3年連続で2%を超えた。生鮮を含む総合では3.0%上昇した。世界的なインフレは当初エネルギー価格に影響した。足元はコメやキャベツの値上がりが目立つ。生鮮除く総合指数について、3年以上の期間で上昇率が2%を上回るのはバブル景気の影響があった1989~92年度以来となる。全体を大きく押し上げたのが食料で、前年度に比べ5.0%上昇した。総合の上昇率3.0%に対する寄与度はプラス1.40ポイントで、1年間のインフレ率のほぼ半分が食料で説明できる。」(『日本経済新聞』2025.04.19)
●「東京証券取引所は、株式投資に必要な最低投資金額を10万円程度に引き下げるよう全上場企業に要請する。現在は上場規程で50万円未満を努力義務として定める。投資単位の大幅な引き下げで若年層も少額から日本株を購入できる環境を整え、国民資産の『貯蓄から投資へ』のシフトを後押しする。」(『日本経済新聞』2025.04.24)
●「財務省は2023年度の政府調達契約実績をまとめた。公共工事等(公共工事、公共工事関連の調査・設計業務など)は、3万1112件の4兆0256億円で、前年度に比べて件数で0.9%、金額で10.7%それぞれ増えた。物品役務等を加えた政府調達全体は、件数が2.0%増の14万8169件、金額が57.4%増の15兆0421億円だった。物品役務等で随意契約の金額が2倍超に膨らんだことにより、全体の金額が大幅に増えた。」(『建設通信新聞』2025.04.16)
●「政府は、官公需法に基づく2025年度の国などの契約の基本方針を固めた。国や独立行政法人などが中小企業・小規模事業者に発注する契約目標率は、前年度に引き続き61.0%とする。コスト増加分の価格交渉・転嫁に応じるよう、受注者から申し出がなくても国などから年に1回以上協議するなどと新たに記載する。また、ダンピング(過度な安値受注)排除に向け、低入札価格調査の際、実勢価格に沿った単価か、業務に必要な工数が適切に計上しているかを確認すると明記し、実効性を確保する。9兆7037億円の25年度官公需予算総額に占める中小企業・小規模事業者向け契約目標額は、過去最高の5兆9193億円となる。契約の基本方針は22日に閣議決定する予定だ。」(『建設通信新聞』2025.04.22)
●「政府は国主導でインフラの老朽化の対策に乗り出す。石破茂首相は22日に開いたデジタル行財政改革会議で上下水道などのインフラを広域で管理するよう関係閣僚に指示した。維持・管理にかかるコストの削減や人材の確保につなげる。デジタル技術の活用を支援し、事業の効率を高める。…インフラの整備と維持・管理には膨大な費用がかかる。多くの地方自治体は人口減少が進んで財政が厳しい。予算を潤沢に確保することはすでに難しくなっている。このままでは財政難とインフラの老朽化が同時に進行する。政府は4月、26~30年度に実行する国土強靭(きょうじん)化の次期5カ年計画の素案を公表した。事業規模は25年度までの現行の5カ年計画よりも約5兆円多い20兆円強に増やす。素案で示した324の施策のうち、ライフラインの強靭化や地域の防災力の強化など116は『特に推進が必要』だと強調した。」(『日本経済新聞』2025.04.23)
●「国土交通省は、施工時期の平準化について、地方自治体の実施状況を見える化した結果をまとめた。1.00に近いほど取り組みが進んでいることを示す指標の平準化率(「4-6月期の月平均工事稼働件数」を「年度の月平均工事稼働件数」で除した割合)は、市区町村の2023年度実績が全国平均0.60で、前年度に比べて0.02ポイント上がった。ブロック別では、低下した中国と横ばいの九州を除く8ブロックで上昇した。市区町村の平準化率が着実に改善している。」(『建設通信新聞』2025.04.25)
●「埼玉県八潮市の道路陥没事故を受け対策を議論している国土交通省の有識者検討会は、第2次提言を近くまとめる。24日に東京都内で第5回会合を開き、提言の骨子案を議論。事故原因が下水道管の破損と見られるため、下水道の現状に対する国民理解の醸成と、不確実性を前提にしたインフラマネジメント体制への転換を提案。社会的影響を考慮した点検の優先順位付け、管路の複線化や処理区の細分化など維持管理を容易にする施設構造への見直しなどを提言する。」(『建設工業新聞』2025.04.28)
●「国が推計する空き家の数が過大である可能性があることが分かった。最新データで所有者や用途が不明な物件は全国に約385.6万戸あるとされる。東京都世田谷区の独自調査では空き家の数は国の推計の4%弱だった。国の空き家対策は絞り込みが甘く、非効率になっている恐れがある。国の空き家統計は総務省が2024年9月に公表した5年に1度の住宅・土地統計調査が最新で、23年10月時点の推計値だ。全国20万区域を選んで各区域で17戸を無作為に抽出し、調査員が戸別訪問して調べる。この統計では広義の空き家が900.2万戸あり、総戸数の13.8%にのぼる。このうち賃貸物件の空きが443.6万戸、売却用が32.6万戸、別荘などが38.4万戸あり、残る385.6万戸を『その他』の空き家と推計した。所有者が分からなかったり、分かっても用途が明らかでなかったりする物件をさす。戸別訪問の際はまず調査員が空き家かどうかを目視などで判別する。これにより、国は広義の空き家900.2万戸やその他の空き家385.6万戸といった数を算出している。調査員は居住者がいた場合にアンケート用紙を渡し、自宅以外に所有する物件の有無やその状態を聞いている。市区町村によっては職員が現地調査をより厳密に実施しているところがあり、国の統計との差が明確になっている例がある。世田谷区では住宅・土地統計調査で23年10月に所有者や用途が不明な空き家が2万3840戸あると推計された。だが21年度の区の独自調査の結果は883棟だった。『空き家』の捉え方の違いが、推計のずれを招いている可能性がある。国の統計で3110戸の空き家があるとされた東京都西東京市は、市の調査では875棟(23年7月時点)だった。市は建物全体が空室の場合に空き家と判定しており、対策を講じる物件を絞り込んでいると説明する。国土交通省は『使用目的のない』空き家が1998年から2018年までに1.9倍に増え、さらに増加が見込まれるとの見解を示している。数値は所有者や用途が不明な『その他』の空き家をベースとしている。」(『日本経済新聞』2025.04.30)
●「建設業振興基金は、建設キャリアアップシステム(CCUS)の2024年度未登録・利用実績をまとめた。運用開始以降の累計で、技能者登録数は前年度比22万1702人増の162万6545人、事業者登録数(一人親方、非更新事業者数を除く)は1万9582者増の19万0405者となった。利用状況を示す就業履歴(カードタッチ)数は24年度で6009万8281回だった。3月に示した24年度見込みに比べて、技能者登録数と事業者登録数の24年度末累計は上回った一方、就業履歴数の24年度実績は下回った。」(『建設通信新聞』2025.04.16)
●「出入国在留管理庁は2024年末の在留外国人数をまとめた。前年に比べて10.5%増の376万8977人に上った。在留資格別は、特定技能が36.5%増の28万4466人で、うち建設分野が57.7%増の3万8578人となっている。特定技能全体の国籍・地域別は、ベトナムが依然として最も多いが、その割合は5割を切った。建設分野の特定技能外国人は、通算5年まで在留できる1号が57.0%増の3万8365人、在留期間の更新に上限がない2号が7.1倍の213人だった。」(『建設通信新聞』2025.04.16)
●「経済産業省は22日、国内投資の拡大と産業構造の転換を踏まえた2040年の将来見通しを産業構造審議会(産構審、経産相の諮問機関)の経済産業政策新機軸部会に示した。国内投資が約2倍の200兆円に拡大し、省力化サービス・設備の導入で労働生産性の向上と賃上げが進めば、1時間当たりの名目雇用者報酬(賃金)が引き上がると推定。建設業は21年ベースの約2500円が5000円超になるとした。総人口、生産年齢人口とも減少する中でも、国内投資が200兆円あり、資本・労働の質の向上と、AIなどの革新技術の効果を含む生産性の向上から、40年の国内総生産(GDP)は名目3.1%(実質1.7%)、賃金は名目3.3%(実質1.3%)の成長が実現できているとした。建設業などの『エッセンシャルサービス業』は、使いこなせる省力化のサービス・設備の余地が大きい『アドバンスト・エッセンシャルワーカー』であって、時間当たりの賃金の増加が見込めるという。賃金は名目雇用者報酬のため、建設業は一人親方は含まれない。将来見通しは、経済産業政策新機軸部会の会合に示された第4次中間整理案に盛り込まれた。同省が産業の将来見通しを出すのは、06年5月の『新経済成長戦略』以来で19年ぶり。将来見通しは、将来の需要予測などに生かすことを目的に検討された。」(『建設工業新聞』2025.04.23)
●「建設業従事者の退職金の引き上げに向けた具体的な検討が始まった。勤労者退職金共済機構(勤退共、梅森徹理事長)の建設業退職金共済事業本部(建退共本部、大澤一夫本部長)が事務局を務める有識者検討会議が25日、都内で初会合を開いた。建退共制度の中で、1人に複数の掛け金を納付できるようにする複数掛け金制度の導入などについて議論する。団体などの意見を取りまとめ、厚生労働省が検討を引き継ぐ。」(『建設工業新聞』2025.04.28)
●「政府は、改正入管法・育成就労法に基づく育成就労制度を2027年4月1日に施行する方針を固めた。外国人材が大都市圏へ過度に集中することを防ぐ観点から地方配慮施策を講じ、一定要件を満たす場合に認められる外国人本人の意向による転籍を含め、東京都など8都府県以外に所在する受け入れ機関がより多くの育成就労外国人を受け入れ可能にする。」(『建設通信新聞』2025.04.28)
●「需要の減少や安価な輸入品との競争激化で、鉄鋼製品が値下がりしている。主にビルの柱や梁(はり)に使うH形鋼の4月の流通価格は5カ月ぶりに下落した。製造業などに向けた鋼板も4~6月に値下がりする公算が大きい。生コンクリートや化学製品といった産業資材がコスト高の転嫁を進める中、鉄鋼の独歩安が目立つ。建設や製造、梱包などに使う主要な産業資材12品目について、4~6月の価格見通しを日本経済新聞がメーカーや商社に聞き取った。12品目中8品目で1~3月から価格が変わらない見通しで、値下がりするのはH形鋼と熱延鋼板のみとなった。…建築工事の停滞で鋼材の引き合いが弱く、流通事業者が値引き販売を迫られている。国土交通省の建築着工統計によると、鉄骨造の建物の着工床面積は2月に266万平方メートルと前年同月比10%減った。建材の溶接や設備の搬入など幅広い工程で人手が不足しており、工事が進まない。鉄鋼業界では人件費や輸送費など諸費用の上昇を受け、24年夏ごろまでは値上げの機運が強かった。足元では需要の低迷により、値下がりに歯止めがかからない状況だ。…一方、鉄鋼以外の業界ではコスト高を受けた値上げ交渉が進んでいる。4~6月中に上昇する見通しなのが生コンクリートの東京地区価格だ。主要材料のセメントは、太平洋セメントなどが4月出荷分から1トンあたり2000円以上の価格引き上げを表明。骨材(砂や砂利)も栃木県などの供給会社が生コンメーカーに対して値上げの受け入れを求めている。東京地区生コンクリート協同組合(東京・中央)は4月出荷分から1立方メートルあたり従来比3000円の値上げを表明し、需要家のゼネコンと交渉を進めている。『ミキサー車での輸送費も上がっている。週休2日制の実現など福利厚生の拡充にも充てたい』(森秀樹理事長)。満額が通れば販売価格は1立方メートルあたり2万4800円程度(14%高)となり、過去最高を更新する。」(『日本経済新聞』2025.04.17)
●「日本空調衛生工事業協会は16日、空調衛生工事業の協力会社を対象に初めて実施した調査結果を公表した。回答企業のうち、今年技能者の賃上げを行った企業は84%に達し、3分の1の企業で4週8休を導入していることが分かった。同日の理事会後に会見した藤澤一郎会長は『社会的な環境が整い、意識が浸透してきた結果だ。まだ道半ばであるが明らかに改善されている。肝心なことは継続していくことだ』と述べ、継続的な処遇改善の必要性を訴えた。」(『建設通信新聞』2025.04.17)
●「北海道、東日本、西日本の公共工事前払金保証事業会社3社は1~3月期の建設業景況調査の結果を公表した。地元建設業界の景気に関するBSI値(景況判断指数=「良い」と「悪い」の回答差)はマイナス9.5。前期(24年10~12月期)から1.0ポイント改善したが『悪い』傾向が続いている。マイナス16.0と地区別で最も悪かった東北をはじめ、全国で景況感は悪い傾向が出ている。受注総額のBSI値は2.0ポイント改善したものの、マイナス8.0で『減少』傾向のままとなっている。」(『建設工業新聞』2025.04.17)
●「東京都財務局は都発注工事(交通局、水道局、下水道局の発注工事を除く)の下請次数調査結果をまとめた。契約金額が一定以上の工事1008件のうち、土木工事で3次以上、建築・設備工事で4次以上の下請契約を結んでいる案件は148件だった。都財務局は『大規模工事は工種が多岐にわたり、施工数量も大きいことなどから下請次数は増加傾向』と分析している。調査対象は2024年7月1~31日に工事中で、契約金額が一定以上の案件。建設業法で作成を義務付けている『施工体系図』を基に施工体制を確認した。土木工事は3次下請が85件、4次が17件だった。建築工事は4次22件、5次4件、6次1件で、設備工事は4次17件、5次2件だった。」(『建設工業新聞』2025.04.17)
●「マンション大規模修繕工事での談合疑惑を巡り、公正取引委員会が23日、新たに工事会社数社に独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで立ち入り検査し、疑惑の対象が30社超に拡大した。公取委は談合には工事会社を選定する設計コンサルタントも関与し、各工事会社が専門知識に乏しい管理組合との取引で長年にわたって受注調整を繰り返したと見ている。談合疑惑を巡っては、公取委が3月4日に長谷工コーポレーション傘下の長谷工リフォーム(東京・港)など約20社に立ち入り検査した。その後の調査で、業界の中で受注調整が幅広く行われている疑いが浮上。追加の立ち入り検査を繰り返してきた。23日に新たに立ち入り検査に入ったのは、大京穴吹建設(高松市)のほか三井住友建設グループのSMCR(東京・中央)など数社。関東地方のマンション管理組合が発注した大規模修繕工事の見積もり合わせや入札で、事前に受注予定者を決定するなどしていた疑いが持たれている。…公取委が調査のターゲットにしているのは『設計監理方式』と呼ばれる発注方法だ。管理組合が選定した設計コンサルタントが修繕計画を作成し、工事の進捗を監視する。コンサルが工事会社の選定を任されているケースも珍しくない。国交省の調査によると、マンション修繕工事の発注方法の8割を占める。住民らでつくる管理組合は修繕工事のノウハウを持ち合わせていない場合が多い。本来であれば、コンサルに任せることでチェック機能が働くはずだが、実際にはコンサルがつながりの深い工事会社に便宜を図る慣習が続いてきたとされる。」(『日本経済新聞』2025.04.24)
●「建設大手などが加盟する日本建設業連合会(日建連、東京・中央)が25日発表した2024年度の国内建設受注額は前年度比5%増の18兆6333億円だった。資材価格などのコスト高が続き過去20年で最高だ。一方で新築着工面積は減少が止まらない。受発注者が工事費で折り合えずに計画が頓挫しており、需要の取りこぼしが深刻となる。加盟92社の受注額を集計した。民間からの受注額は10%増の13兆8977億円。このうち製造業が11%増の3兆1949億円、非製造業が9%増の10兆7028億円。官公庁からの受注は5%減の4兆6709億円だった。…一方で新築着工面積は減少が続く。国土交通省がまとめた建築着工統計では、24年通年の新築着工床面積は前年比8%減の1億200万平方メートルと、高度成長期の1966年以来の最低水準となった。足元でも減少傾向は変わっていない。受注額は伸びるものの、着工面積は減る。2つの事象から浮かぶのが、建設業者による機会ロスだ。発注者が依頼した工事費の見積もりが想定を上回り、工事契約が成立しにくくなっている。ゼネコンの下請けに入る設備工事会社も人手確保に苦しんでおり『設備工事の見積金額が想定より高いが、言い値を受け入れるしかない』(建設大手幹部)とこぼす。経済調査会(東京・港)が下請けの業種ごとに人手不足の状況を指数化した調査によると、設備工事では『やや逼迫』の目安となる4を上回る。鉄骨や内装が需給が落ち着く状態の3に近づいているのとは対照的だ。結果として建設計画の見送りが相次ぐ。…ゼネコン大手は失注を少しでも防ごうと、省人化や生産性向上に力を入れる。清水建設や竹中工務店は自動で移動する搬送ロボットを開発。夜間などに資機材を移動し、作業員が運ぶ手間を減らす。…それでも建設費高騰が収まらない限り、当面は受発注者の契約合意が難しい状況に変わりはない。取りこぼしが続けば、ゼネコン各社の業績に響く可能性がある。」(『日本経済新聞』2025.04.26)
●「日本建設業連合会(宮本洋一会長)は、近年の労務費や資材価格の上昇などを踏まえ、公共事業予算の増額による実質事業量の確保を訴える。また、1件当たりの工事価格の上昇が積み重なり、全体の予算制約が強まる中、当初計画からの工事数量減や工事打ち切りが増加していることが日建連の会員調査で判明。発注機関に対し、契約変更に必要な予算の確保や適切な予算コントロールを働き掛けていく。」(『建設通信新聞』2025.04.30)
●「東京都心で内装や機能性にこだわった『コンパクトオフィスビル』が増えている。都心15区で2022~24年に新規供給された中小型ビルのオフィス面積は19~21年に比べて5割増えた。将来有望なスタートアップを囲い込むほか、資材高や人手不足で大規模ビルの工期が見通しづらくなる中、短期間で集客して投資コストを回収できる新たな収益源に育てる狙いだ。オフィス仲介を手掛ける47(東京・渋谷)がもつ物件データを基に都心15区で新規供給されたオフィス面積を調べた。基準階面積が20~200坪(約66~660平方メートル)の中小ビルは22~24年の3年間で計約55万6000平方メートルと、19~21年に比べて5割増えていた。特に近年目立つのが、野村不動産の『PMO』や日鉄興和不動産の『BIZCORE』などのブランド名を冠したオフィスだ。大手デベロッパーが手掛けた中小ビルは増加傾向で、24年は21棟と10年前の3倍に増えた。…土地取得から完成まで10年以上かかることもある大型ビルに比べて、コンパクトオフィスビルは投資コスト回収までの期間が短い。PMOは例えば築40年以上の老朽化したビルを取得して約2年で新築ビルに建て直し、テナントを埋めてから数年以内に自社グループの不動産投資信託(REIT)や投資家などに売却する。人手不足や資材高で大型ビルの工期が見通しつらくなる中、不動産会社としても事業リスクを分散しやすくなる。」(『日本経済新聞』2025.04.18)
●「日本ツーバイフォー建築協会が公開している新設住宅着工戸数によると、2024年度のツーバイフォー(2×4)工法の新設住宅着工戸数が、15年度以降、初めてプレハブ住宅の着工戸数を上回る可能性が高くなった。中層の2×4木造共同住宅の増加が追い風となっているとみられる。日本ツーバイフォー建築協会の統計によると、24年4月から25年2月までの2×4工法の住宅着工戸数は前年同期比4.4%増の8万7666戸で、プレハブ住宅が8.0%減の8万5594戸となっている。プレハブは、24年4月から25年2月までの11カ月で、前年同月を上回った月は2カ月だけだったが、2×4は8カ月あった。2×4の3月の着工戸数が大きく落ち込まない限り、プレハブの着工戸数を上回る見通しだ。」(『建設通信新聞』2025.04.21)
●「国土交通省は、耐震改修促進法に基づく基本方針を見直す。2030年までに耐震性が不足する住宅をおおむね解消することは難しいと判断し、目標時期を後ろ倒しして35年までとする。18日に開いた社会資本整備審議会建築分科会と建築基準制度部会、建築環境部会の合同会議に報告した。基本方針は耐震化の目標や施策などを定めている。現行方針は21年に制定した。住宅の耐震化率は03年から5年ごとに3-5%の伸び率で推移してきたが、23年時点は約90%で30年目標の達成は難しいと判断した。共同住宅が約96%となった一方、戸建て住宅は約85%と低い傾向にある。このため、省エネ改修と合わせた耐震改修などを促していく。建築物に関する目標も見直す。現行では25年までに耐震性能不足の耐震診断義務付け対象建築物のおおむね解消を目指しているが、対象を不特定多数が利用する病院や店舗といった要緊急安全確認大規模建築物に重点化し、目標時期を30年までとする。」(『建設通信新聞』2025.04.21)