情勢の特徴 - 2025年9月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「内閣官房は8月29日、関係府省庁が2026年度予算の概算要求に盛り込んだ国土強靭化関係予算を発表した。総額は25年度当初予算比24.5%増の6兆6583億円。このうち公共事業関係費は21.7%増の4兆9094億円となる。伸び幅は概算要求基準で裁量的経費に認められている20%を上回っており、各府省庁が国土強靭化施策に要求額を重点化していることが分かる。」(『建設通信新聞』2025.09.01)
●「公正取引委員会は、下請法を改正し2026年1月1日に施行する『中小受託取引適正化法(取適法)』の運用基準を固めた。10月に公表する。取引先との協議に応じない一方的な代金決定など新たな禁止行為の解釈や想定違反事例を記載。協議の求めを拒否するだけでなく、無視したり、繰り返し先延ばしにしたりするケースも違反だと明確にする。手形払いの禁止と連動し、電子記録債権やファクタリングも支払い期日まで手数料を含む満額の現金化が困難な場合、支払い遅延に該当すると明記する。最終的な対価に着目した従来の買いたたき規定では、コスト上昇局面での利益圧迫が見過ごされる余地がある。取適法では交渉プロセスに着目した規定を新設。取引先からの協議の求めに応じなかったり、必要な説明・情報提供を行わなかったりして利益を不当に害する行為を禁止する。支払い条件を改善するため、ファクタリングの手数料や銀行振込手数料は発注側が負担すると明確にする。現状では受注側が負担する書面の合意があれば、手数料を差し引いた額の支払いを認めている。新たな運用基準では書面合意の有無にかかわらず、受注側に負担させるのは減額に該当すると明記する。」(『建設工業新聞』2025.09.11)
●総務省は14日、「敬老の日」に合わせ、65歳以上の高齢者の推計人口が15日時点で前年比5万人減の3619万人だったと発表した。2023年に初めて減少して以来2年ぶりに減ったが、総人口に占める割合は前年比0.1ポイント増の29.4%で、過去最高となった。…総人口に占める65歳以上の割合は年々高まっている。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、第2次ベビーブーム世代(1971~74年生まれ)が65歳以上となる2040年には34.8%に上る見通し。24年の65歳以上の就業者数は930万人で、21年連続で増加し過去最多。15歳以上の就業者全体に占める65歳以上の割合は0.2ポイント増の13.7%で、65歳以上の人口に占める就業者の割合は0.5ポイント増の25.7%だった。(『しんぶん赤旗』2025.09.15より抜粋。)

行政・公共事業・民営化

●「建設業許可・経営事項審査(経審)の電子申請システムが、9月1日から全国すべての許可行政庁で利用可能になる。…2023年1月の運用開始時点で電子化を見送った行政庁全てで受け付け体制が整ったことになる。申請する建設業者の手間が省けるなど電子化のメリットは大きいが、現状で電子化率は全国平均で1割に満たない。行政庁ごとの積極的な対応で利用が進んでいる地域も一部あり、これらをモデルケースに利用が進む可能性がある。」(『建設工業新聞』2025.09.01)
●「建設業政策の今後の方向性を話し合う国土交通省の有識者勉強会は、建設企業の在り方に焦点を当てた議論を始めた。企業特性や求められる役割が異なることから、大手建設業と地域建設業で回を分けて集中的に討議する。2日に開かれた第2回会合では大手建設業に主眼を置き、経営力強化の取り組みやDX(デジタルトランスフォーメーション)など多角的な視点から意見を交わした。6月に設置した『今後の建設業政策のあり方に関する勉強会』では、担い手確保といった喫緊の課題だけでなく、今後の建設業に必要な経営戦略を探り、産業として発展するための政策の方向性を定めていく。主な検討テーマとして『これからの建設業に求められる企業の在り方』など3点を設定しており、第2回会合から個別テーマの議論に着手した。」(『建設通信新聞』2025.09.03)
●「石破茂首相は、7日、首相官邸で緊急記者会見を開き『自民党総裁を辞する』と表明した。事実上の退陣勧告である総裁選の前倒し要求が広がる状況を受け、党内の分断を回避するため続投を断念した。自民党は近く後継を選ぶ総裁選の手続きに入る。首相はこのタイミングで辞任を決めた最大の理由として米国との関税交渉の合意を挙げた。トランプ米大統領が自動車関税の引き下げを含む大統領令に署名したことで『一つの区切りがついた』と説明した。」(『日本経済新聞』2025.09.08)
●「厚生労働省は8日、第1回『高年齢労働者の労働災害防止対策に関する検討会』を開き、高齢者の労働災害防止対策の在り方の検討を始めた。座長には産業医科大産業生態科学研究所人間工学研究室の榎原毅教授が就いた。初会合では12月末まで検討を重ね、指針を策定することを確認した。建設業も網羅した内容となる。今回は、局長通達であった既存の指針をベースに追加・修正する内容を今後検討し、それを指針と通達に分割した上で、法律に基づく指針へと格上げすることも決めた。」(『建設通信新聞』2025.09.09)
●「法務省は外国人との共生に向けて中長期の受け入れ施策の検討を進める。基本方針を決めるため出入国在留管理庁にプロジェクトチーム(PT)を立ち上げた。地域住民との摩擦を緩和する策に加え、受け入れ人数に一定の上限を設ける量的規制の是非を議論する。人口減少に伴う人手不足が各地で進み、外国人への労働依存は加速している。政府は専門的な技能をもつ外国人を積極的に受け入れる方針を示し、今後も在留外国人の増加を見込む。一方で、あつれきも一部で顕在化する。7月の参院選は外国人政策が争点の一つとなった。政府は2025年度、社会保険料の不払い対策や経営・管理ビザの要件厳格化などの方策を相次いで打ち出している。PTの発足は8月に鈴木馨祐法相が打ち出した。庁内の職員30人規模で構成する。地元住民らと共生できる環境の整備を目指す。鈴木氏は『ルールを守らない外国人には厳しく対処する』とも話す。法相の私的勉強会の8月の中間報告書をたたき台にする。検討にあたっては経済成長や産業政策、治安など7つの論点が必要だと整理した。勉強会は入官庁の幹部や専門家らで2月に発足した。報告書は従来の外国人政策を『戦略をたてた上での一貫した方針ではなく対症療法的だった』と振り返った。政府全体で中長期的な視点に立った外国人受け入れの基本的なあり方を検討する時期に来ていると指摘した。」(『日本経済新聞』2025.09.11)

労働・福祉

●2025年8月7日、「首都圏建設アスベスト訴訟」東京1陣・2陣原告団は、東京高裁にてアスベスト(石綿)建材メーカーと歴史的和解を勝ち取った。08年5月に東京1陣訴訟が提訴されてから17年。長く困難な闘いを経て、被告アスベスト建材メーカーから、謝罪と賠償金を勝ち取った。…この和解の成果は①被告建材メーカーとの闘いに大きな変化をもたらすものである。建材メーカーによる最高裁への再上告などの裁判引き延ばしに終止符を打たせ、全国で進められている31件(被災者総数1218人)の後続訴訟での和解、早期解決の道を大きく開くことが期待される②和解成立により建材メーカーが拠出する給付金法改正(裁判によらない全面救済)に大きな弾みをつける―こととなる。この和解により、被害者全面救済に向けて大きく前進した。(『全国商工新聞』2025.09.01より抜粋。)
●「厚生労働省は、2024年の『外国人雇用実態調査』の結果をまとめた。外国人労働者は182万4646人で、前年に比べて約22万人増加した。産業別に見ると、『製造業』が最も多い56万0950人(23年から5万人増)、次いで『サービス業(他に分類されないもの)』が32万1751人(約5万人増)、『卸売業・小売業』が19万3824人(約2万人増)、『建設業』が15万2411人(約3万人増)となっており、前年同様、上位4産業で全体の約3分の2を占めた。」(『建設通信新聞』2025.09.02)
●「厚生労働省が公表した2024年『雇用動向調査』の結果から、24年の建設業は23年の状況から一転、入職者数が3年ぶりに離職者数を上回ったことが分かった。建設業の場合、入職者数が離職者数を上回ったため『入職超過』となり、入職者数から離職者数を差し引いた入職超過数は4万3700人(23年は離職超過数2700人)だった。24年の建設業の内訳を見ると、入職者数は転職入職者も含め29万4000人。離職者数は25万0300人。入職率(1月1日現在の常用労働者数に対する入職者数の割合)は11.7%(前年比1.7ポイント増)、離職率は10.0%(0.1ポイント減)で、これらを差し引いた入職超過率は1.7ポイント(1.8ポイント増)となった。調査対象の16職種中、入職率は9番目に高く、離職率は6番目に低かった。入職超過率は、宿泊業・飲食サービス業の3.3ポイントに次いで、2番目に高かった。」(『建設通信新聞』2025.09.04)
●都道府県ごとに決める2025年度の最低賃金の全国加重平均が過去最高の時給1121円になる見通しとなった。現在の1055円から66円増え、過去最大の引き上げ額となる。人口が減少する各地域で人手を確保するための競争が生まれ、国の『目安』を上回るのは39道府県に上った。…今回の改定で初めて47都道府県全てで1000円を超える。東京の1226円が最も高く、高知、宮崎、沖縄の1023円が最も低い。最高額に対する最低額の割合は83.4%と11年連続で改善した。各都道府県で最低賃金を決めるのに先立ち、厚労省の中央最低賃金審議会が8月に目安を示している。地域によって上げ幅は63~64円、全国平均は1118円を想定していた。各地域で4日までに出そろった金額の平均は現在より6.3%増え、国の目安を上回った。最大の引き上げ幅となったのは熊本だ。国の目安の64円に18円を上乗せして82円だった。国の目安を上回る額は最低賃金を時給換算で示すようになった2002年度以降では24年度の徳島に次いで2番目に大きい。…政府は20年代中に全国平均1500円をめざしている。石破茂首相は5月、国の目安を上回った都道府県を補助金や交付金で支援すると表明した。各地の知事らも最低賃金の引き上げを促している。新たな最低賃金の発効日は例年の10月から遅らせる地域が相次いだ。秋田や群馬は26年3月を予定する。大幅引き上げ後、すぐに年末を迎えると、いわゆる『年収の壁』を意識した就業調整に対応できないためだ。最低賃金に近い時給で働く人は660万人ほどとみられる。中小・零細企業は人件費の急増で利益が圧迫される可能性がある。企業の新陳代謝が進む半面、優れた技術を持つ中小が人材採用で行き詰まるリスクもある。政府は生産性の向上や省力に役立つ設備投資を促進する補助金を拡充する方針だ。」(『日本経済新聞』2025.09.05)
●「2027年4月に開始する外国人材の『育成就労制度』の運用に向け、建設分野で独自に設定するルールに関する議論がまとまってきた。国土交通省が設置した有識者会議では、新たに認める転籍を制限する期間を2年にすることが、技能取得や安全衛生の観点から『妥当』『やむを得ない』との意見が出ている。…運用方針の論点の一つが、産業分野別に1~2年の範囲内で設定できる本人意向の転籍の制限期間だ。前回までの会合で、現実的に1年で転籍は難しいとの声が出ている。1年超の制限が課せば昇給などの待遇向上策が必要になる。現行の技能実習で受け入れ企業の優良認定の要件となっている昇給率を目安とするアイデアなどがあった。特定技能で在籍型出向を認めるかどうかは『法制上のハードルは高い』との指摘がある。建設キャリアアップシステム(CCUS)登録など建設分野で独自に設定する上乗せ措置を踏まえ、制度所管省庁に理解を得るべきだとの訴えもある。政府の外国人政策がにわかに注目を浴びる中、就労者の生活支援や地域共生も主要な論点だ。技能実習生などを多く受け入れてきた建設分野では優良事例の蓄積がある。国交省の『外国人材とつくる建設未来賞』の受賞企業など取り組みを水平展開する方策などが検討課題になる。」(『建設工業新聞』2025.09.05)
●「労働政策審議会(労政審、厚生労働相の諮問機関)の安全衛生分科会は5日、改正労働安全衛生法に基づいて整備される個人事業者の業務上災害報告の運用に関する改正省令案を了承した。一人親方など個人事業者が死亡または4日以上の休業となった場合、労働基準監督署に関係者が報告することを罰則なしの義務とする。改正省令は11月の公布、2027年1月1日の施行を目指す。」(『建設工業新聞』2025.09.08)
●「日本建設産業職員労働組合協議会(日建協、青山敏幸議長)は8日、6月に実施した『4週8閉所ステップアップ運動』の結果を発表した。月によって土日・祝日の数が異なる点を補正した4週8閉所指数は、前年同期より0.35ポイント上昇して4週『6.82閉所』となり、過去最高を更新した。土木で着々と閉所が進展するとともに、建築も時間外労働規制の適用を契機に改善が加速している。」(『建設通信新聞』2025.09.09)
●公務非正規女性全国ネットワーク(はむねっと)は9日、厚生労働省で会見し、公務で働く非正規職員の実態調査結果を発表した。6割は年収250万円未満で、4割で公募が続いているなど、依然として低賃金・雇用不安の実態が明らかになった。調査は5月19日~6月22日に実施し、国や地方自治体の非正規職員480人が回答。94%が女性で職種は学校司書や図書館職員、一般事務職員、保育士、教員、ハローワーク職員など。就業形態は地方自治体のパートタイム会計年度任用職員が70%で最多。国の期間業務職員は4%。…週あたりの労働時間は58%が30時間以上。年収は、「200万~250万円未満」が最多で19%。続いて「100万~150万円未満」と「250万~300万円未満」が16%。過去の調査も見てみても「200万~250万円未満」が最も多くなっている。…人事院が非正規公務員の「3年目公募」の取り扱いを撤廃したが、いまだに「公募は続いている」が37%。回答者の6割が問題だと感じることとして「雇用の不安定」「正規登用の道がない」をあげている。(『しんぶん赤旗』2025.09.10より抜粋。)
●「建設業振興基金(谷脇暁理事長)は12日から建設キャリアアップシステム(CCUS)に新たな機能を追加する。CCUSに登録された就労実績が建設業退職金共済制度(建退共)の電子申請専用サイトに自動で連携できるようになる。1号特定技能外国人が現場入場する際に提出が必要な届出書を出力できる機能も加わる。CCUSのデータを活用することで事務の負担を減らし作業の効率化に寄与する。」(『建設通信新聞』2025.09.12)
●「出入国在留管理庁の集計によると、外国人技能実習生の2024年の失踪者数は建設関係で3297人だった。過去2年(22年4717人、23年4593人)から1000人以上の減少となった。ただし全体の失踪者数に占める割合は50.6%で、依然として産業別で最多となっている。」(『建設工業新聞』2025.09.12)

建設産業・経営

●「国際建設技術協会(国建協、橋場克司理事長)は8月29日、2024年度の海外コンサルティング業務等受注実績調査結果を発表した。受注総額は前年度比13.5%減の806億円となり、2年連続で減少した。過去10年で最も低い。コロナ禍前の水準への回復が期待された、円借款が低調で、コロナ禍の影響がいまだ続いている。」(『建設通信新聞』2025.09.01)
●「竹中工務店の2025年12月期中間決算は、連結が増収増益、単体は減収増益となった。低採算工事の減少で連単ともに利益が改善した。受注高は、複数の大型案件を受注したことにより連単ともに2桁の増加となった。」(『建設通信新聞』2025.09.01)
●「全国建設業協会(今井雅則会長)は、10月に全国9地区で開く地域懇談会・ブロック会議を前に、47都道府県建設業協会と会員1891社から回答を得た2025年度『発注関係事務の運用状況等に関するアンケート』の結果をまとめた。会員企業分の集計によると、全体の半数近くに当たる48.1%が受注状況が『悪い・悪くなってきた』と回答した。前年度調査と比較し、8.5ポイント悪化した形だ。主な要因は『公共発注量の減少』が圧倒的に多く、資機材価格や労務費の上昇を背景とする工事規模(実質工事量)の縮小を危惧する声が高まっている。」(『建設通信新聞』2025.09.05)
●「全国建設業協会(今井雅則会長)が、会員1891社の回答を集計してまとめた『2025年度発注関係事務の運用状況等に関するアンケート報告書』によると、ワンデーレスポンスとウイークリースタンスの実施割合は、国土交通省でも7割前後にとどまり、市区町村に至っては3割前後しかないことが分かった。全建の担当者は『現場技術者の働き方に大きく影響する施策であり、国交省を含めて一層の推進を働き掛けたい』としている。」(『建設通信新聞』2025.09.08)
●「全国建設業協会(全建、今井雅則会長)がまとめた調査で、資材価格の高騰リスクを見積書段階で『おそれ情報』として通知している企業の割合が、7割を超えていることが分かった。契約後に労務費や資材価格が上昇しても、自治体や民間発注者と契約変更の協議が進まず、原価割れの契約を余儀なくされる例もある。スライド条項の適用率は、国発注で5割を超えるものの、民間工事で1割に満たず、制度の運用や書類負担も重しになっている。『発注関係事務の運用状況等に関するアンケート』を7月に実施し、会員1891社から回答を得た。契約締結後に労務費や資材価格が上昇した場合の契約変更協議の実施状況は、国土交通省で96.2%、都道府県・政令指定都市で89.5%が実施している。一方、市区町村では24.4%、民間発注者では34.1%で協議に応じてもらえていない。変更協議を申し出ても変更協議が行われなかった結果、国発注(国土交通省、農林水産省、防衛省)では1割程度が原価を下回った。都道府県・政令指定都市、市区町村、民間発注者では2割弱が原価を下回る契約になった。」(『建設工業新聞』2025.09.09)
●「帝国データバンク仙台支店は、2025年上半期の東北企業『倒産リスク』分析調査をまとめた。企業が1年以内に倒産する確率を10段階で表す指標『倒産予測値』を基に、6月時点で特にリスクが高い企業(グレート8~10)を『高リスク企業』と分類した結果、9707社が該当した。分析対象企業10万6785社のうち約9.1%に当たり、前年から横ばいとなった。業種別では『建設業』が2565社で最多だった。倒産件数が増加する中、倒産リスクを抱える企業が依然として多い実態が明らかになった。」(『建設工業新聞』2025.09.11)
●「ただ、仕事の報酬を払ってほしいだけ」「土地や家を手放した人や、子に大学を辞めてもらった業者もいる」――。大阪・関西万博の海外パビリオン建設で下請け中小事業者への代金未払いが相次ぎ、事業や生活が立ち行かなくなる被害が広がっている。国と府市、万博協会の責任が問われている。行政機関などに未払いの相談を寄せたのは、アンゴラ、インド、セルビア、タイ、中国、ドイツ、米国、ポーランド、マルタ、ルーマニアなど計11カ国の海外館建設に携わった各下請け事業者ら。会場でも目立つタイプA(各国が独自に建物をデザイン・建設する方式)、タイプX(協会が基礎部分を設けて参加国が内外装を手掛ける方式)といわれる47の海外館のおよそ4分の1を占めている。「被害者の会」が設立され、一部、訴訟にも発展。参加国が支払っても外資系の元請け企業や無許可営業の会社などで代金が止まり、現場の事業者に届かない構造が明らかになっている。…吉村洋文大阪府知事(万博協会副会長)は2年前、万博に不向きな夢洲(ゆめしま)での海外館の着工が大幅に遅れる中、地元中小企業などに協力を呼びかけ、その後は根拠もなく「開幕には必ず間に合わせる」などと宣言。業者が昼夜を問わない突貫工事で「命を削る思い」で完成させたのに、未払いが表面化すると「民民の話」「税で対応は難しい」などと救済措置を否定してきた。協会も「契約当事者でない」と責任を回避しようとしている。しかし、被害業者は「税による全額補てん」ではなく「今を乗り越える力を一時的に貸してほしいだけ」「府や協会のずさんな運営が原因で工期が圧縮され、現場が無法地帯となり、未払いが起きた。この状況を生み出したあなたたちも当事者だ」と訴えている。(『しんぶん赤旗(日曜版)』2025.09.14より抜粋。)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●「埼玉県八潮市で1月、県道が陥没しトラックが転落した事故を巡り、有識者による第三者委員会は4日、陥没について『硫化水素によって腐食した下水道管に起因するものと考えられる』とする中間報告を公表した。年内にも最終報告書を取りまとめる方針。中間報告によると、下水管は地下約10メートルに位置し、コンクリート製で内径は約4.7メートル。陥没前、劣化によって管に隙間ができ、上部の土砂が内部に流入したことで、地中に空洞ができていたと推測した。その上で、陥没に至った2つの有力なシナリオを提示。①地中の空洞が年単位の時間をかけ、路面近くまで拡大した②空洞で土圧のバランスが崩れ、腐食した管が崩壊し、さらに土砂が館内に流れ込んだ――と想定した。これまでの調査では、現場の下水管には約2メートルの高低差があり、水流がかくはんされる条件があったことが判明。中間報告は『硫化水素が放散しやすい構造だった』と指摘した。」(『日本経済新聞』2025.09.05)
●「マンション建築費の高騰が続いている。民間調査によると、東京の工事原価は8月に前年から5%上がり過去最高を更新した。主要な部材である鉄鋼製品が値下がりしているにもかかわらず建築費高に歯止めがかからない。主因は専門作業を担う職人の人件費上昇だ。『人手不足インフレ』が住宅価格を直撃している。建設物価調査会(東京・中央)が10日発表した8月の建築費指数(速報値、2015年=100)によると、鉄筋コンクリート(RC)造マンションの東京地区の指数は139.2と前月から0.1%上がった。上昇は9カ月連続で前年同月比の上昇率は5.1%に上る。『8月は軽油高で資材の運送費が値上がりしたほか、クレーン操縦者の人件費が上がったことが影響した』(調査担当者)という。同調査会は鋼材やコンクリートをはじめとする建設資材のほか、それらを組み立てる作業員の人件費なども含め項目ごとにコストをはじき、合計の工事原価を指数化して毎月公表している。マンションのほかオフィスビルや工場なども対象で、いずれの指数も最高値圏での高止まりが続く。」(『日本経済新聞』2025.09.11)

その他