情勢の特徴 - 2026年1月後半
●「与野党が衆院選の公約に掲げる食料品の消費税ゼロについて外食店から懸念の声が出ている。弁当などの中食が安くなる分、価格競争力の差が広がる。食材の仕入れコストの税額控除がなくなるため、消費税の納税額が増えて資金繰りが難しくなるおそれもある。減税の是非を判断するには、経営の厳しい中小の事業者への影響を慎重に見極める必要がある。酒類を除く食料品の消費税は10%でなく8%の軽減税率を適用している。自民党は2年間だけゼロにすることについて『実現に向けた検討を加速する』と公約に明記した。連立を組む日本維新の会も実施を訴える。立憲民主党と公明党が結成した新党『中道改革連合』は恒久的なゼロを掲げる。コンビニエンスストアの弁当やスーパーの総菜などの消費税がゼロになると、税率10%の外食はより割高に映るようになる。…同じ店舗で持ち帰り品と店内で食事する場合の税率差が拡大する問題もある。これまでマクドナルドやドトールコーヒーショップといった大手チェーンは分かりやすさを重視して、同一の税込み価格を採用してきた。差が10%に広がると、こうした戦略の見直しが必要になる可能性がある。…食料品の消費税ゼロは外食店の資金繰りに影響する懸念もある。現在は仕入れ時にかかった消費税分を納税額から差し引ける。食材に税がかからなくなると、この控除を受けられなくなる。その都度の仕入れコストが下がる半面、納税額は大幅に増える。外食店の負担額がトータルで変わるわけではない。それでも『一度に納付する消費税額が増えることで、資金繰りに苦慮する飲食店が増加する恐れがある』と税理士法人サステナブレインの岡本貴志税理士は指摘する。」(『日本経済新聞』2026.01.24)
●「1983年の創業以来ほとんど上がらなかった、自動車の事故車の板金塗装などの保険修理を行う『車体整備』の工賃が、昨年7月ごろから大幅に上昇。1時間当たり6500円が8500円へ、約2千円もアップした」―。こう喜ぶのは、岐阜・各務原民主商工会(民商)婦人部で、全商連婦人部協議会会長の塚田豊子さん(72)。各務原市内で、夫の義美さん(75)ら4人と「(有)ツカダ」を営んでいる。事故車の修理はもちろん、新車・中古車販売、車検や各種保険の取り扱いなど、自動車のことなら何でも対応している。車体整備の工賃単価の大幅上昇の背景には、事故車を修理する車体整備に携わる事業者約4千社が加盟する「日本自動車車体整備協同組合連合会(日車協連)」と損害保険大手4社との約30年ぶりの団体協約の締結がある。日車協連の小倉龍一会長は、…事故車の約7割が自動車保険を使って修理するが、1カ所当たりの工賃は保険会社が決めており、30年余り据え置かれてきたと告発。「私たちは現状を打開するため、公正取引委員会の力も借りて、2024年5月から大手損害保険会社4社との団体交渉に取り組んでいる。業界としては初の試みで、成功すれば画期的」と述べていた。昨年4月、業界トップの東京海上日動火災保険が、工賃の基準となる「指数対応単価」(1時間当たりの技術料)を、平均18.8%引き上げることで合意したのをはじめ、損保各社とも2024年度比で10%前後の引き上げを決定。同7月以降の入庫分から適用され「業界全体の底上げ」(日車協連)と言われた。業界誌「月刊ボデーショップレポート」の推測によると、10年前に全国平均6262円だった指数対応単価は段階的に上昇し、2025年度で「優に全国平均7500円は上回った」と予想している。…日車協連は、指数対応単価の上昇についで「30年間、ほとんど工賃が上がらなかったことを考えると、画期的」としている。前出の「ボデーショップレポート」は「長期にわたる価格の停滞は1994年10月に公正取引委員会から団体間での価格決定が独占禁止法違反の恐れがある」と、損保協会が「警告」を、日車協通が「注意」を受けたことに端を発すると指摘していた。日車協連が今回、公取委の協力も得て独占禁止法の適用が除外される団体協約を締結したことが、工賃単価の大幅上昇の突破口となった。(『全国商工新聞』2026.01.26より抜粋。)
●「国土交通省は『将来、固定資産税の減税を受けられる』とうたう新築マンションの分譲を可能にする。毎月の修繕積立金を当初から高めに設定し計画的に集めることなどを条件に自治体が対象物件を認定する。将来の積立金不足を防ぎ、マンションを長く適切に維持管理できるよう促す。既存物件向けに2022年に始まったマンション管理計画認定制度について、27年春にも新築物件を対象に加える。認定物件はマンション長寿命化促進税制の優遇を受けられる。詳細な認定基準案を詰めて、25年度内に国交省の検討会に示す。」(『日本経済新聞』2026.01.28)
●「不動産6090社の2024年7月期~25年6月期決算は、売上高が17兆3430億円(前期比7.9%増)だったことが東京商工リサーチの調査で分かった。純利益も1兆3063億円(同6.8%増)で、純利益率7.5%と高収益を持続。7年間では売上高、利益とも過去最高となり、4年連続で前期を上回った。地価上昇や資材などのコストアップ分の価格転嫁が進んでいる。増収は2748社、減収は2293社、横ばいが1049社だった。」(『建設工業新聞』2026.01.29)
●「国土交通省は、調査や設計などの直轄業務の履行期限を平準化する取り組みで、建設コンサルタンツ協会(建コン協、大本修会長)など関係団体と連携した対策の検討に乗り出す。翌年度への繰り越しや国庫債務負担行為の活用を推進し、これまで一定の成果を上げてきた。関係団体からは設計者などの働き方改革を背景に、より効果的な対策を求める声もある。受注者が把握した時間外労働の実態を踏まえ、バランスの取れた業務発注や履行期限設定の在り方を探る。」(『建設工業新聞』2026.01.16)
●「国土交通省は、公共発注者を対象とした業務の発注関係事務に関する2025年度調査の結果をまとめた。低入札価格調査制度や最低制限価格制度を導入している市区町村は前回と比べ増加したものの、依然として約4割が未導入だった。ダンピング(過度な安値受注)防止に向けて、国交省は未導入の団体に対して引き続き働き掛けていく。」(『建設通信新聞』2026.01.16)
●「国土交通省などの調査によると、市町村の発注担当職員の育成に向けた取り組みを実施している都道府県が44団体に上ることが分かった。公共工事の発注体制を持続させるため、入札契約適正化法の適正化指針では市町村職員の育成支援を国や都道府県の努力義務としている。市町村職員向けの講習会を開催したり、内部の研修に市町村職員を受け入れたりする取り組みが目立った。同法に基づき国交、総務、財務の3省で実施した公共発注者の入札契約手続きに関する実態調査で把握した。都道府県に対し管内市町村の発注担当職員の育成に関する取り組みを聞いたのは2025年度調査が初めて。都道府県が実施している取り組みを複数回答で聞いたところ、『市町村向け講習会の開催』が26団体、『内部向け研修への市町村職員の受け入れ』が31団体、『民間研修機関による研修の受講促進』が2団体だった。『支援措置を講じていない』は3団体となっている。」(『建設通信新聞』2026.01.20)
●「国土交通省は、直轄土木工事で11月から始めた労務費や賃金支払いを把握する試行工事について、現在までに150工事で実施していることを明らかにした。試行を続けながら実態把握の仕組みを見直し、将来的には事業者の選定に生かしたい考え。2025年度末に実施状況をまとめる。」(『建設通信新聞』2026.01.23)
●「国土交通省は23日、公共工事品質確保促進法(品確法)を踏まえた公共発注者の取り組みを見える化する『新全国統一指標』の最終年度となる2024年度実績を発表した。週休2日工事の公告ベースの実施率は39都道府県で目標の100%を達成。今後は29年度を目標時期とする『第3次全国統一目標』で実績ベースの達成状況を把握し、休日確保をさらに推し進める。」(『建設通信新聞』2026.01.26)
●「政府は、国土強靭化基本計画に基づく『2026年計画(年次計画)』の策定方針を決めた。南海トラフ地震などの被害想定地域における取り組みの進展などをまとめる。23日に関係省庁などの連絡会議を開いて方針を決定。地方自治体が実施する国土強靭化の取り組みを、交付金や補助金などで重点的に支援する方針も確認した。」(『建設工業新聞』2026.01.27)
●「建設技能人材機構(JAC、三野輪賢二理事長)は特定技能1号の外国人材向けに、日常生活で直面するトラブルに対応するサービスを受けられる事業を始めた。誤って他人の物を壊したりけがをさせたりして損害賠償責任を負担した時に補償を受けることが可能で、自宅の鍵の紛失や水回りのトラブルに24時間体制で対応してもらえるサービスも付く。いずれも受け入れ負担金を原資に、外国人材や受け入れ企業の追加負担なしで運営する。」(『建設工業新聞』2026.01.20)
●「経団連は20日、2026年の春季労使交渉(春闘)の基本指針を発表した。インフレが続くなか、物価上昇率を上回る賃金の伸びが『社会的に求められている』と明記した。基本給を底上げするベースアップ(ベア)実施の検討を『賃金交渉におけるスタンダード』として位置づけた。26年春の労使交渉を巡り経営側の考えをまとめた『経営労働政策特別委員会報告』を公表した。…経団連は賃上げについて23年を起点、24年は加速、25年を定着としてきた。26年の経労委報告では賃上げの力強いモメンタムの『さらなる定着』を掲げた。『社会的責務としてその先導役を果たすとの覚悟をもって今年の春闘に臨む』と記した。厚生労働省によると、25年11月の物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比2.8%減で、11カ月連続のマイナスにとどまる。現時点で所得の改善は不十分で、個人消費の伸び悩みなど様々な悪影響が出ている。政府・日銀にも協力を求めた。インフレが加速するほど実質賃金の前年比プラスの定着が難しくなる。『2%程度の適度な物価上昇の実現が不可欠』と指摘した。賃上げ手法はベアを柱に据えた。25年は『ベアを念頭に置いた検討が望まれる』としていた。26年はベア実施の検討が賃金交渉における『スタンダード』であると踏み込んだ。これまで『スタンダード』と表現したことはない。複数年にわたる賃金の底上げを目指す姿勢も示した。」(『日本経済新聞』2026.01.21)
●「一定の専門性をもつはずの『高度外国人材』の45%は、所定内給与が大卒初任給の平均(24万8000円)を下回ることが分かった。政府は『イノベーションをもたらす』として積極的に受け入れており来日が急増しているが、人手不足の現場で穴埋めとして働く実態が浮かぶ。制度の趣旨とずれが生じている。日本経済新聞は2024年の賃金構造基本統計調査のデータを使い、賃金分布を分析した。高度外国人材にあたる『専門的・技術的分野』の45%は所定内給与が24万円未満だった。国内全体で見れば『専門的・技術的職業』に従事する人で24万円未満なのは15%だった。政府は『経済社会の活性化に資する』として海外から高度人材を積極的に受け入れる一方、それ以外の外国人労働者には慎重姿勢をとる。就労資格で現場作業が許されるのは日本で技能を学ぶのを目的とする『技能実習』、人手不足対策として2019年にできた『特定技能』などに限定される。実態は異なる。外国人労働者の駆け込み寺として知られるNPO法人、日越ともいき支援会(東京・港)の吉水慈豊代表理事は『高度人材に認められていない飲食、宿泊、製造などの現場作業でトラブルに遭うケースが目立つ』と話す。SNSなどで寄せられた相談は25年1~10月に1100件以上あった。23年は通年で23人、24年は212件で急増する。…高度人材の来日は急増している。技人国は25年6月末時点で約45万8千人。前年末比9.4%増えた。規制が強まる技能実習が同1.6%減だったのと対照的だ。ベトナム人労働者に詳しい斉藤善久・神戸大准教授は『日本向けの高度人材ビジネスに参入する現地や日本側のブローカーが増えた。手数料さえ取れれば日本語ができない人も送り出すので、入国しても仕事ができず転職先も見つけられないケースが少なくない』と説明する。日本側の事情もある。入管実務に詳しい山脇康嗣弁護士は『技人国は技能実習や特定技能と比べて手続きが簡便なので望む企業が多い。入管申請を手掛ける行政書士や職業紹介事業者、派遣事業者が安易に勧めるケースもある』と説明する。」(『日本経済新聞』2026.01.25)
●「政府は23日、特定技能制度と育成就労制度の分野別運用方針を閣議決定した。2027年4月に始まる育成就労について、建設分野の28年度末までの受け入れ上限数は12万3500人とし、転籍制限期間は2年に設定した。特定技能の同年度末までの受け入れ上限数は7万6000人で、育成就労と合わせて19万9500人とした。同年度末時点の不足数の推計から、生産性向上の効果や国内人材確保を差し引いて算出した。建設分野の育成就労外国人の1年目から2年目の賃金は、建設業の前年の平均賃金上昇率以上に昇給させる必要がある。転籍制限期間を2年としたことに伴う待遇向上策として定めた。転籍に必要な日本語能力の水準はA1-A2相当の間のレベルとし、求める技能水準も主たる作業ごとに設定した。特定技能、育成就労ともに建設分野の上乗せ措置として、本人や受け入れ企業の建設キャリアアップシステムへの登録、月給制の給与支払いなどを求める。」(『建設通信新聞』2026.01.26)
●「日本建設産業職員労働組合協議会(日建協、青山敏幸議長)は28日、2025年11月に実施した『4週8閉所ステップアップ運動』の結果を発表した。月によって土日・祝日の数が異なる点を補正した4週8閉所指数は、前年同月より0.06ポイント上昇して4週『6.21閉所』となり、11月として過去最高を更新した。また、土木、建築を合わせた全体の平均閉所日数は、6月調査分も含めて過去最高となる9.32閉所の高水準を記録した。」(『建設通信新聞』2026.01.29)
●「日本建設産業職員労働組合協議会(日建協、青山敏幸議長)は28日、2026年の賃金交渉基本構想を公表した。月例賃金は生活基盤の賃金とし、引き続き賃金向上に取り組む。一時金は組合員の勤労意欲向上と豊かな生活水準の確保のため、昨年実績以上の水準を目指す。初任給は継続的な人材確保に向け、各加盟組合が目標を定めて取り組む。要求提出日は3月23日、指定回答日は4月6日に設定した。『建設産業は社会の基礎 賃上げは未来の基礎』をスローガンに掲げ、日建協と各加盟組合が連帯して賃金水準の維持・向上に取り組む。」(『建設工業新聞』2026.01.29)
●「大手・中堅の建設会社の約7割が2026年度内は大型工事を新規受注できないとみていることが日本経済新聞の調査で分かった。建設業界の深刻な人手不足が響く。4割弱は契約済みの工事で工期が遅れる可能性があると回答した。受注余力の縮小は民間の設備投資や公共投資を制約し、経済成長の足かせとなる。調査は国内の建築工事売上高(単体ベース)の上位71社を対象に実施した。25年12月中旬までに45社から回答を得た。受注高が会社が抱える案件の上位1割に入るものを『大型工事』と定義した。26年度中に新規に受注できると回答したのは全体の22%にとどまった。受注可能時期が27年度以降になると認識している企業は69%に上った。7%は30年度以降になる見通しを示した。すぐに大型案件を受注できない最大の理由として69%が人手不足を挙げた。建設業界は24年4月から時間外労働の規制が厳格化された。厚生労働省の11月の労働経済動向調査によると、労働者の『不足』から『過剰』を引いた過不足判断DIで建設業は63と全産業の中で高かった。」(『日本経済新聞』2026.01.17)
●「全国建設業協会(今井雅則会長)は、都道府県建設業協会の会員企業を対象に実施した『労務費等の適切な転嫁の実施状況』に関するフォローアップ調査結果をまとめた。会員企業が発注側となる委託先、受注側となる委託元との取引のいずれにおいても、価格転嫁協議の実施や単価変動分の取引価格への反映といった取り組みが着実に進展していることが分かった。」(『建設通信新聞』2026.01.20)
●「大和ハウス工業が物流施設などを改装して付加価値を高める『再生事業』に力を入れている。建築費の高騰や人手不足が続く中、既存の建物を活用することで新築と比べてコストや工期を抑えることができる。2030年にも売上高1兆円と、足元から倍増させる目標を掲げる。」(『日本経済新聞』2026.01.21)
●「大東建託の2025年4~12月期の連結営業利益は前年同期に比べて数%増え、1050億円前後になった公算が大きい。同期間として3年連続で増え、最高益だった17年4~12月期(1116億円)に次ぐ高い水準となる。住宅物件の開発などを手掛ける不動産開発事業などが好調だった。賃上げなどによる人件費の増加を吸収したとみられる。」(『日本経済新聞』2026.01.23)
●「日本電設工業協会(文挟誠一会長)は、会員企業を対象に実施した第7回働き方改革フォローアップ調査の結果(確報)をまとめた。繁忙期に生じた前工程の遅れにより、ほぼ半数以上の工事でしわ寄せが生じた割合は4割だった。しわ寄せを受けた場合に、ほぼ半数以上の工事で完成時期が延長されたのは1割にとどまった。『電気設備工事の工程が非常にタイトであることの裏付けが取れた』と受け止めている。」(『建設通信新聞』2026.01.26)
●「セメント協会がまとめた2025年通年の国内販売量は24年比6.5%減の3086万3989トンだった。7年連続で前年を下回った。働き方改革の影響などで、大都市圏の大規模工事を中心に工事現場の作業時間が減ったことが響いた。」(『日本経済新聞』2026.01.28)
●「大東建託の2026年3月期の連結営業利益は前期比14%増の1350億円程度となるもようだ。住宅物件などの開発を手掛ける不動産開発事業が好調だ。国内の不動産価格は上昇が続いており、事業環境が良好だ。30日に予定する25年4~12月期の決算発表にあわせて、26年3月期の会社計画を上方修正する公算が大きい。」(『日本経済新聞』2026.01.30)
●「国土交通省は16日、南海トラフ巨大地震対策計画を改定した。政府が2025年7月に改定した南海トラフ地震の防災対策推進基本計画を踏まえ、海岸堤防の整備や住宅・建築物の耐震化など直接死を減らす対策に重点を置いた。また、インフラの早期復旧のための体制強化といった災害関連死を防ぐ取り組みにも力を入れる。」(『建設通信新聞』2026.01.19)
●「マンション家賃を上げやすい定期借家と呼ぶ賃貸手法が都心で広がっている。東京23区は2025年に初めて1割に達し、23年の5.8%から大きく伸びた。貸し手にとって修繕費など管理コストの上昇を価格転嫁しやすい半面、家賃インフレに拍車がかかれば家計の重荷になる。定期借家は2年などと期間を限る賃貸手法で、住人は期間満了後に退去するか、新たな条件で再契約する必要がある。通常は借り手の同意なしに一方的に家賃を引き上げられないのに対し、定期借家なら家主が自由に価格を上げやすい。LIFULL(ライフル、東京・千代田)の住宅情報サイト『ライフルホームズ』に掲載された賃貸マンションに占める定期借家の比率をみると、25年の23区は10.0%だった。これまでは長く5%前後で推移していた。最も比率が高い渋谷区は18.9%で、24年の11.7%から大きく伸びた。23区のうち12区が1割を超え、港区や千代田区など交通の便がいい都心部の築浅物件を中心に伸びが目立つ。」(『日本経済新聞』2026.01.27)
●「不動産経済研究所が26日発表した首都圏新築マンションの2025年の平均価格は、前年より17%高い9182万円と過去最高を更新した。東京23区は旺盛な需要が続く一方、郊外は価格高騰から顧客が離れており、不動産大手が開発を見送るようになった。金利上昇も重なり、郊外の販売動向に変調が起きる可能性が出てきている。『売れ残りが出ており、値下げをしているケースもある』。不動産経済研究所の松田忠司上席主任研究員は同日、首都圏郊外にあるマンションの販売動向について、こう指摘した。東京23区は1億3613万円と22%高かった。首都圏の平均価格とともに、1973年の集計開始以来の最高値を更新した。神奈川県(7165万円)や埼玉県(6420万円)、千葉県(5842万円)と、いずれも上昇した。建築費の高騰に歯止めがかからないことが大きい。建設物価調査会(東京・中央)によると、東京地区の鉄筋コンクリート造マンションの建築費指数(15年=100)は25年12月分で142.2となり、過去最高の上げ幅を記録した。価格上昇が収まる気配は見当たらない。このため、投資目的ではなく、実際に住もうと考える実需層の購入マインドは冷えつつある。松田氏は『現状でも実需層にとってかろうじて購入できる価格帯だ』と指摘する。住宅ローン金利の上昇も打撃となる。…コスト高騰下において価格が下落局面に転じれば、開発主体である不動産デベロッパーの経営にも影響が及ぶ。業界では郊外における計画を見直す動きが出ている。…一方、都心部は富裕層や外国人といった投資目的の購入も目立ち、需給は当面引き締まる見通しだ。用地が少ないうえに、ホテルやオフィスなどの『競合』としのぎを削っているためだ。不動産経済研究所は26年の首都圏の供給戸数が2万3000戸と過去50年で最低の水準になると予測する。25年の予測値から12%減る計算となる。」(『日本経済新聞』2026.01.27)
●「2025年1月に埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故から28日で1年となった。上下水道の老朽化に起因するトラブルは全国各地で後を絶たず、点検頻度を高めるなどの再発防止策が検討されている。保守を担う人材をどう確保し、生活インフラを維持していくか。事業の広域連携など、国や自治体の手探りが続く。…事故は老朽化が進むインフラ対策の必要性を改めて浮き彫りにする契機となった。国土交通省は26年度当初予算案に上下水道や橋梁、トンネルなどの老朽化対策費用として8673億円を計上。25年7月の参院選で各党が重点課題に位置づけたほか、26年2月投開票の衆院選でも予防保全の徹底や対策のための財源確保を訴える主張が並ぶ。国交省によると、標準耐用年数50年を経過した下水道管路は22年度末時点で全体の約7%で、10年後には2割、20年後には4割まで高まる見通し。事故防止を見据え、同省は25年3月から設置後30年以上で直径2メートル以上の大型管路計約5000キロを対象とした全国調査に着手し、緊急度が高いと判定された管路から更新・修繕を進める。下水道法の改正も視野に、点検の頻度向上や手法の充実、劣化状況の『見える化』に向けた維持管理体制の改善案づくりも進む。柱の一つが、リスクが高い管路の点検頻度の見直しだ。下水道法施行令は陥没リスクの高い『硫化水素が滞留しやすい箇所』を対象に5年に1回以上の定期点検を求めるが、その他の管路は各自治体の裁量に委ねられてきた。事故を教訓に、今後は『地盤が脆弱な箇所』や『マンホールとの接続部など構造的に被害が拡大しやすい管路』といった事故時に社会的影響の大きい管路も新たに追加。こうした条件が重なる場所は点検頻度を『3年に1回以上』とすることを検討しており、ドローンを活用した視覚的な点検や打音調査など複数の手法も組み合わせる。診断基準の厳格化も欠かせない。現在は日本下水道協会(東京)の指針に基づく4段階の判定が行われているが、法的拘束力はなく、独自基準で運用する自治体もある。国交省は新たな診断基準を設けるなど、各自治体の管理水準の統一化も検討する。」(『日本経済新聞』2026.01.29)