情勢の特徴 - 2026年3月前半

経済・財政 行政・公共事業・民営化 労働・福祉 建設産業・経営 まちづくり・住宅・不動産・環境 その他

経済・財政

●「47都道府県の2026年度予算案が4日に出そろった。物価高などを背景に、一般会計は20都府県で過去最高を更新。一方、普通建設事業費を含む投資的経費(当初予算ベース、一部補正後)で前年度を上回った都道府県は、25年度の31から26に減った。南海トラフ地震などに備えた防災関連施策のほか、スポーツ・文化施設を核としたまちづくりへの注力も目立つ。建設産業の人材不足を受け、人材確保やイメージアップに取り組む都道府県も増えている。」(『建設工業新聞』2026.03.06)
●「衆院本会議は13日、与党の賛成多数により2026年度予算案を可決した。参院で16日から審議入りする。与党は25年度内の予算案の成立を目指すが、野党は審議時間が不十分などとして批判を強めていた。26年度予算案は一般会計の総額が122兆3092億円と25年度の当初予算をおよそ7兆円上回り、過去最高を更新した。中道改革連合と国民民主、参政、チームみらい、共産の野党5党は予算案に反対した。」(『日本経済新聞』2026.03.14)

行政・公共事業・民営化

●「国土交通省は直轄土木工事で2026年度から適用する新しい積算基準を公表した。受注企業の本社経費の実態を踏まえ、予定価格の算出に用いる一般管理費等率を引き上げる。週休2日は直轄現場で定着したとの判断から試行扱いの運用を終了し、労務費と共通仮設費、現場管理費の補正係数を完全に廃止する。夏場の猛暑対策として現場環境に応じて積み上げ計上できる金額の枠を増やし、細かに設ける休憩時間を考慮し歩掛かりも見直す。」(『建設工業新聞』2026.03.02)
●「国土交通省が2月27日に公表した2026年度の直轄土木工事・業務の積算基準によると、土木工事標準歩掛かりと施工パッケージ型積算関係の歩掛かりを計32工種で新規制定・改定する。時間外労働の上限規制への対応で生じている現場への移動時間や建設機械の回送時間の実態などを把握し、歩掛かり改定に反映する。市場単価方式を一部の工種で廃止し、鉄筋工は歩掛かりを新たに設けて積算する方法に移行する。」(『建設工業新聞』2026.03.02)
●「国土交通省は、解体工事の施工状況などについて実態を把握するための調査に乗り出す。解体工事での不適切施工が増えているとの声を踏まえ、許可業者や登録業者を対象に施工状況や事故状況などを確認する。安値受注により安全対策がおろそかになっているケースがないかなどを確認し、課題や必要な対策を検討する。」(『建設通信新聞』2026.03.04)
●「政府は6日、防災庁設置法案と設置に伴う関係法改正案を閣議決定した。特別国会に提出し、早期の成立を目指す。同庁は発災から復旧・復興までの一貫した政府の司令塔となり、大規模な災害が発生した場合は政府の企画立案、総合調整を担う。平時の『徹底した事前防災』も進める。自治体を除く関係行政機関に対する勧告権を持ち、省庁は働き掛けなどに対して尊重する義務が課される。」(『建設工業新聞』2026.03.09)
●「国土交通省は、3月下旬に下水道法などの改正案を特別国会に提出する。埼玉県八潮市の道路陥没事故を踏まえ、強靭で持続可能な下水道を実現するため、下水道管路の診断基準を法制化する。併せて政省令などで定める点検基準は、直径2メートル以上の大口径管路などに代表される重要管路の点検頻度を増やす。化学、力学、地盤の三つの要素で弱点が重なる箇所や硫化水素濃度が著しく高い箇所は3年に1回以上の点検とする。点検方法も従来の目視のほかに打音調査などの定量点検を加える。」(『建設通信新聞』2026.03.13)

労働・福祉

●茨城県は不法就労を通報した人に報奨金を支払う制度を、2026年度から実施しようとしている。こうした密告の推奨に、外国人への差別を助長し分断をあおるだけでなく、県内の農業の人手不足に拍車をかける懸念が広がっている。茨城県の26年度予算案に外国人材適正雇用促進事業の一つとして、この通報制度の創設が明記されている。不法就労は在留資格の失効や、資格で認められた範囲を超えて働く状態を指す。県内の不法就労外国人の数(出入国在留管理庁〈入管庁〉調べ)が全国最多となっていることを理由に挙げている。県担当者によると、一般市民から情報を受け付け、県が調査し違法だと判断した事業者を警察に連絡。警察が検挙した場合に、情報提供者に報奨金を支払う仕組みだ。報奨金は1万円で検討中だという。入管庁にも同様の制度があるが、都道府県としては初めて。県内外国人の福祉・教育の相談支援をするNPO法人「茨城NPOセンター・コモンズ」の横田能洋代表理事は、「通報が優先され、困っている外国人に必要な支援が届かなくなる可能性がある。県民が外国人を疑いの目で見るようになり、擁護する側とのいがみ合いも生まれる」と懸念する。(『しんぶん赤旗』2026.03.04より抜粋。)
●「連合が5日発表した労働組合の賃上げ要求の平均は5.94%だった。3年連続で5%を超え高水準で推移する。トランプ関税の影響が重い自動車業界でもすでに要求通りの満額回答が相次いでいる。2026年の春季労使交渉も賃上げの勢いが続きそうだ。連合が2日正午時点で2508組合の状況を集計した。賃上げ要求額は平均1万9506円と前年同期比で262円増えた。5.94%の要求は前年の6.09%をわずかに下回る。この時点では5年ぶりの低下となった。中小企業に限れば平均6.64%で前年を0.07ポイント上回った。基本給を底上げするベースアップ(ベア)に限ると2161組合が4.37%のベアを求めた。…中小企業の労組が強気の要求を出している背景にあるとみられるのが1月施行の中小受託取引適正化法(取適法)だ。発注企業が受注企業と協議せずに取引価格を一方的に決めることを禁止する規定がある。連合は春季交渉に間に合うよう早期の施行を求めてきた。連合は26年の賃上げ率を全体で5%以上にする目標を掲げる。達成すれば3年連続となる。3年連続の5%超えはバブル期の1989~91年以来35年ぶりとなる。」(『日本経済新聞』2026.03.06)
●「厚生労働省は5日、『働き方改革関連法施行後5年の総点検』の結果を公表した。労働者へのアンケートと、企業・労働者へのヒアリング調査の2本立てで結果をまとめている。…ヒアリング調査は6産業を中心とした327社と労働者97人に対して行い、労働時間に対する意識・意向を調べた。同法の適用まで5年の猶予期間が与えられた建設業は、最も多い74社が応じ、労働者も最多の22人が回答した。企業の調査結果からは、労働時間について『現状のままがいい』が201社、『減らしたい』が73社、『増やしたい』が53社で、増やしたいとする意見が最少だった。現状維持は、建設業でも最も多い回答となっている。…労働者へのアンケート結果も明らかになった。労働時間に対する認識は、『このままでよい』が最多の59.5%を占めたのに対し、『増やしたい』が最も少ない10.5%で、企業へのヒアリング調査と同様の傾向が見られた。時間外労働の上限規制を超えてまで働きたい意見は限定的で、増やすにしても上限規制の範囲内で増やすことを望む声が半分を占めている。」(『建設通信新聞』2026.03.06)
●「全国建設労働組合総連合東京都連合会(山本享執行委員長)は、2026年の要求賃金内容を決定した。建設労働者の目指すべき標準賃金を『日額3万6000円(8時間労働、建設キャリアアップシステム・レベル2)、年収880万円(諸経費・法定福利費は別枠)』とした上で、現実的な当面の要求として日額5000円以上の賃上げを求める。公共工事設計労務単価の引き上げや物価上昇を踏まえ、標準賃金は前年に比べて、日額を2000円、年収を40万円それぞれ引き上げた。全建総連東京都連の25年賃金調査(有効回答8940人)によると、日額賃金の平均は1万7566円(手取り・常用)、平均年収は496万4000円(同)だった。設計労務単価と比べると、依然として大きな開きがあり、求める水準とはほど遠い。」(『建設通信新聞』2026.03.06)
●「全建総連東京都連合会が組合員を対象に行った『2025年賃金アンケート』によると、建設技能者の平均賃金は1日当たり1万7566円、平均年収は496.4万円となった。賃金水準は13年以降上昇傾向にあるが、公共工事設計労務単価との乖離(かいり)は大きい。同連合会は、労務単価の引き上げなどが現場に十分浸透していないと見ている。」(『建設工業新聞』2026.03.09)

建設産業・経営

●「2026年度のセメント国内需要予測が公表され、8年連続で前年割れする見通しとなった。建設コストの増加や働き方改革による工事進捗(しんちょく)の遅れが影響していると見られる。セメントは生産時に大量の廃棄物を活用してつくられ、年間に約2000万トン、国内で排出される廃棄物の約1割を資源化している。このまま内需下落が続けば埋め立て廃棄物が増え、残余年数が危ぶまれる最終処分場を圧迫する懸念もある。」(『建設通信新聞』2026.03.02)
●「竹中工務店の2025年12月期決算は、連結が増収増益、単体は減収増益となった。不採算工事の消化と損益の回復、新規受注工事の採算性の改善が進み、利益が回復した。複数の大型工事の受注が集中し、連結の受注高は2兆円を超えた。売上高は連結が前期比0.9%増の1兆6147億円、単体が4.0%減の1兆1543億円だった。中核となる建設事業は、連結が0.3%減の1兆4453億円、単体が4.9%減の1兆1123億円となった。完成工事総利益(粗利)率は、手持ち工事の採算性が改善し、連結が2.7ポイント増の11.2%、単体が2.9ポイント増の10.5%だった。業績の先行指標となる受注高(建設事業)は、連結が53.9%増の2兆0655億円、単体が80.9%増の1兆8120億円となった。」(『建設通信新聞』2026.03.02)
●「公共土木工事を主体とする地域建設会社らが『直営施工』を推進する協議会を立ち上げる。山梨と長野、山口の3県をそれぞれ拠点とする3社が中心となり、エリアを超えて緩やかに連携。各地の現場で担い手不足や技術・技能の途絶懸念が強まる中、先々を見据えて元請の立場で『技能者を自社で雇用し、自社で育てる』直営施工体制を強化する。個社で培ってきた技能者育成のノウハウを持ち寄り、全国標準となる技能の研修・講習や検定制度の確立などを目指す。」(『建設工業新聞』2026.03.03)
●「日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)ICT推進部会の調査で、施工進捗や安全管理でIoTを使用しているゼネコンが多いことが分かった。現場内の環境や人、機材、車両などの位置をモニタリングしている事例も多く、モニタリングして得た情報を分析・判断し活用している。機器制御を自動化している例もあった。…IoTの活用目的として『施工管理・進捗管理』が15社で最多。次いで『安全管理』14社、『測量・検査』12社、『資材・工具の管理』10社、品質管理9社、環境管理8社となった。具体的な導入事例では、ネットワークカメラやサイネージに活用しており、16社全てで導入している。作業所の規模や工事条件に左右されにくい技術が標準化され、施工管理と進捗管理、安全管理に役立っている。特にネットワークカメラなどを活用した進捗管理で現場への移動時間が削減され、『現場の安全性向上』(14社)に効果を実感している企業が多く、『作業効率向上・省人化』(13社)につながっている。作業所職員が特別な教育を受けなくても使用できる点も導入の要因に上がる。他の導入事例では『山留め傾斜計』13社、『騒音・振動計』13社、『車両運行管理』11社、『バイタル』10社、『物の位置情報』10社、『気象計』8社、『コンクリート温度管理』8社などがあった。導入課題には、『運用・保守の負担』が14社、『初期導入コスト』が13社となり、上位を占めた。管理業務負担やコストが導入や全社展開の課題になっている。」(『建設工業新聞』2026.03.06)
●「不動産協会(不動協)の吉田淳一理事長は12日に都内で開いた理事会後に会見し、都市の国際競争力を高めるまちづくりを続けるため、工事費高騰や工期の長期化など都市再生の課題に取り組む考えを改めて表明した。日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)と積極的にコミュニケーションを取り、情報を共有する。日建連の同意が得られれば、できるだけ早く協議を始めたい考えだ。」(『建設工業新聞』2026.03.13)

まちづくり・住宅・不動産・環境

●原発事故は、家族も、暮らしも、生業も、地域のコミュニティーも、あらゆるものを破壊し、取り返しのつかない被害を与えている―これが、今も続く福島の実態だ。事故を起こした東京電力福島第1原発は、「廃炉作業の柱」とされる「溶け落ちた核燃料デブリの取り出し」が昨年、試験的に始まった。しかし、総量880トンにのぼるデブリの本格的な取り出しは、2037年度以降へと大幅に先送りされた。ALPS処理水の海洋放出は、昨年8月で2年が経過し、放出量が約11万立方メートルになったのに対し、同時期に発生した新たな汚染水が5万4千立方メートルとなり、実際に減少したのは放出量の半分にとどまっている。廃炉完了までに放出を終える保障はない。事故を起こした原発の廃炉の見通しは立っておらず、政府・東電の「2051年までに廃炉を完了する」という廃炉計画は、見直し・延長が避けられない。15年が経過する今でも、住民が自由に出入りすることができない「帰還困難区域」が七つの市町村に広く残され、避難指示が出された12市町村だけでも、5万4千人が故郷に戻れず、居住者数は事故前の約3割だ。地震・津波で亡くなられた方は1605人だが、避難する中で亡くなられた関連死は現在も増え続け、2350人になっている。避難指示が解除された自治体や故郷に戻った住民も、通院や買い物、仕事など、日々の生活において、さまざまな苦労が続いている。漁業の再建は、懸命な努力が進められているが、沿岸漁業の水揚げ量は事故前の27.8%だ。(『全国商工新聞』2026.03.09より抜粋。)
●「家賃高すぎ。何とかして」。暮らし続けられる住宅政策を求めるデモが14日に東京・新宿で行われる。「住まいの貧困に取り組むネットワーク」と首都圏青年ユニオンの主催。同ネットのメンバーで高崎経済大学の佐藤和宏准教授(住宅政策論)に聞いた。全国の都市で家賃の高騰が続いている。東京23区では、単身者向けが平均10万円を超え、家族向けは25万円を超えている。借地借家人組合には「暮らし続けられない」という悲鳴のような相談が全国から殺到している。可処分所得(自由に使える手取り収入)における家賃割合は年々上がっている。若者や低所得世帯ほど上がっている。…家賃や住宅価格の高騰の背景には何があるのか。…物価高に伴う資材費高騰が原因だ。何よりも、マンションを投資の対象としてきたことが値上げを引き起こしている。国や自治体は「民業を圧迫する」という理由で、住宅政策を縮小、撤退している。セーフティーネット(安全網)であるはずの公営住宅は圧倒的に足らず、本来入居できる人ですら高倍率で入れない。住まいの問題は自己責任で解決を図るものではない。国や自治体、つまり「政治」に働きかけることで実現できることがある。ドイツでは家賃高騰に業を煮やした市民の大規模なデモをきっかけに「家賃ブレーキ法」ができた。定められた上限額を超えた家賃の引き上げを禁止する法律だ。昨年、当選したニューヨークのマムダニ市長は「公営住宅の増設、家賃値上げの凍結」を掲げ、動きだしている。住宅費の高騰に対処することは政策的な課題だ。(『しんぶん赤旗』2026.03.12より抜粋。)
●「国土交通省が公表した令和7年度第3四半期(10~12月)の建築物リフォーム・リニューアル調査報告によると、全体の受注高は4兆503億円となり、前年同期比24.4%増と大きく伸びた。このうち住宅の受注高は1兆2251億円で、同比21.9%増となった。」(『日本住宅新聞』2026.03.15)

その他

●「米国とイスラエルは28日、イランを攻撃した。トランプ米大統領は『イランの核兵器取得を阻止する』と強調した。イラン国民に『政府を掌握せよ』と現体制の転覆を呼びかけた。イラン核問題は対話による解決が模索されていたが、中東の混乱が一気に拡大した。」(『日本経済新聞』2026.03.01)