情勢の特徴 - 2026年8月後半
●「内閣府が17日発表した4~6月期国内総生産(GDP)は足元の成長が1年続いた場合の年率換算で前期比名目4.8%増だった。実額は年換算で名目687兆7182億円と過去最高を更新した。企業の研究開発サービスの輸出などが成長を支えた。名目のプラス成長は9四半期連続だった。物価上昇や新型コロナウイルス禍からの経済正常化によって名目GDPは拡大基調が続く。700兆円の大台も視野に入る。4~6月期のけん引役となった1つは企業の研究開発サービスの輸出だった。財・サービスの輸出は前期比名目3.9%増、寄与度はプラス0.9ポイントと成長率を押し上げた。」(『日本経済新聞』2026.08.17)
●「賃上げが進む陰で中間層の購買力が落ち込んでいる。2025年の年収500万~600万円の世帯の実質の手取りはコロナ禍の前と比べ1割超減った。世帯によっては収入の増加で所得税率が上がる『隠れ増税』に直面する。税・社会保障制度の改革の遅れのツケを家計が払わされている構図も浮かぶ。総務省の家計調査をもとに勤労者のいる2人以上世帯の可処分所得の推移を分析した。物価変動の影響を考慮すると19年から25年にかけて平均2.0%減っていた。下落幅は年収200万円未満が21.7%、200万~250万円が19.3%と低所得層で大きかった。次いで落ち込みが目立ったのが中間層だ。500万~550万円で14.6%、550万~600万円で11.9%と1割を超えた。25年の国民生活基礎調査で世帯あたりの平均所得は575万円、平均人員は2人強だったことに照らせば、この数字が平均に近い家計の姿を示していると考えられる。この層の実質の消費支出はコロナ前と比べ1割前後減った。内訳には明確な傾向がある。食料に限ると0.3%減~0.7%増、光熱・水道も1.5~4.3%減と大きく落ち込んでいるわけではない。教養・娯楽サービスは12.6~23.1%の下落だった。より年収の多い600万~1200万円の層も軒並み2割前後減っていた。可処分所得が細る状況でも生活必需品は絶やせない。その分、旅行などの『不要不急』の支出を後回しにする家計防衛の様子がうかがえる。」(『日本経済新聞』2026.08.19)
●「国土交通省は27日、2027年度予算の概算要求を発表した。国費総額は一般会計が前年度当初予算比44.3%増の8兆7694億円。このうち公共事業関係費は44.9%増の7兆6760億円を要求する。概算要求のルールが例年と比べ大きく変わったことが増加の主因となる。第1次国土強靭化実施中期計画の必要経費は予算編成過程で検討する事項要求とした。」(『建設通信新聞』2026.08.28)
●「経済産業省は、第2回石油等の供給構造の強靭化ワーキンググループ(WG)を7日に開き、ナフサを含む石油の安定供給につなげるため、ホルムズ海峡を経由せずに原油・ナフサを輸入する場合に、輸送費用を支援する制度案を示した。2027年度中にナフサの国内精製分を含めた『原油輸入量の90日分』水準の備蓄を目指す案も示した。これらの内容は、8月末にも策定するエネルギー需給強靭化に向けた総合バッケージに反映させる方針だ。」(『建設通信新聞』2026.08.17)
●「国土交通省は、直轄土木工事で標準歩掛かりの適用範囲が明示されている工種を対象に、適用対象外となる小規模工事などで地方自治体がどう対応しているかを調査した。都道府県・政令市の回答では『工事ごとに見積もりを徴収』が8割近くを占める。『団体独自の歩掛かりを設定』は約1割だった。国交省は独自の歩掛かりを設定している好事例を収集し、自治体間での情報共有を促進していきたい考えだ。直轄土木工事の2026年度の積算基準で、工種ごとに標準歩掛かりが適用できる施工数量の下限値、想定する現場条件・施工方法などが詳細化されたことを踏まえた対応となる。直轄工事では適用対象から外れる場合、特別調査や見積もりを活用している。通常範囲を明示する工種は以前から一部あるが、26年度以降、明示する工種を順次増やしていく方針を示す。」(『建設工業新聞』2026.08.17)
●「国土交通省が都道府県を対象に行った調査によると、週休2日工事を1件でも実施している管内市区町村の割合について、2026年度に100%を見込む都道府県は27府県となった。未実施の市区町村に対する働き掛けなどで実施率は着実に高まっているものの、目標とする全市区町村での実施にはまだ届いていない。国交省は引き続き都道府県と連携し、市区町村の週休2日工事実施に向けた後押しを強めていく。」(『建設通信新聞』2026.08.18)
●「国土交通省は、2026年8月千葉豪雨で千葉県中央区村田町の国道16号のアンダーパスが冠水した事案を受けて、車両進入防止対策の強化に関するガイドラインを策定する。全国の国道を対象に実施した緊急点検結果や有識者による原因調査の結果を踏まえながら、警察などの関係機関と連携して予防的な事前通行規制の導入や通行規制基準の強化、遮断機設置などの方策について検討する。」(『建設通信新聞』2026.08.25)
●「都道府県のうち、工事だけでなく設計や調査、測量などの業務にスライド条項を既に導入しているのが4団体、導入を検討しているのが19団体に達することが、国土交通省の調査で分かった。政令市のうち10団体も検討段階にあり、地方自治体発注業務でもスライド請求できる環境は徐々に拡大するとみられる。中東情勢などを背景に物価変動の先行きが読みにくい状況下で、既存のスライド制度の手続き簡素化や運用改善、単価契約で採用した作業や材料ごとの単価の変更に柔軟に対応する団体も多い。」(『建設工業新聞』2026.08.26)
●「埼玉県がまとめた『県立工業高校生の進路動向』によると、2025年3月卒業生(就職希望者1159人)のうち建設業への就職は235人(20.3%)で約2割を占めた。製造業(529人、45.6%)に次いで多かった。調査対象は県立工高14校。一方、進学志向も高まっており建設業の入職促進でも新たな取り組みが始まっている。」(『建設工業新聞』2026.08.18)
●「厚生労働省は、建設労働者を融通する建設業務労働者就業機会確保事業についての指針を改正する。送り出された労働者(送出労働者)の賃金を送り出す事業主(送出事業主)が協定で定めるに当たって、経済や物価、賃金の動向を勘案しての決定が想定されることなどを追加する。受け入れる事業主(受入事業主)、送出労働者の指針も内容を改める。改正指針は10月1日の施行を予定している。受入事業主、送出事業主それぞれが講じる措置の指針と、送出労働者に対する不合理な待遇の禁止などに関する指針を改正する。働き方改革関連法の運用の見直しや関係規定の整備に伴い、指針の内容を見直す。6日までに労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会が指針の改正内容を持ち回りで審議し、了承した。厚労省は改正内容を反映した指針を9月中旬に公布することにしている。」(『建設工業新聞』2026.08.18)
●「厚生労働省は、9月1日から1カ月45時間以内への労働時間削減を求める一律の指導を見直す。労使の合意で月45時間を超える時間外労働が可能な企業にも労働時間削減を求めてきた。今後は、企業の健康確保措置の実施状況を重点的に確認し、不十分であれば指導する形に変更する。」(『建設通信新聞』2026.08.21)
●「国土交通省が建設企業を対象に行った調査によると、現場で働く技術者・技能者の休日取得について、『4週8休以上』との回答がともに約4割に上った。2021年度の調査開始以降、4週8休以上の回答が最多となったのは初めて。ただ、公共主体の企業が7割程度だったのに対し、民間主体の企業は2割程度にとどまり差が鮮明となっている。」(『建設通信新聞』2026.08.31)
●「上場ゼネコン大手4社(鹿島、大林組、大成建設、清水建設)の2026年4~6月期連結決算は、期初計画通りの滑り出しとなった。豊富な手持ち工事が売り上げを押し上げ、3社が前年同期比で増収。受注時の採算管理を徹底し、利益率も改善したことで全社が営業増益を確保した。各社は施工体制を維持しながら利益を確保し、27年3月期の業績目標達成を目指す。」(『建設工業新聞』2026.08.17)
●「主要ゼネコン25社の2026年4~6月期連結決算は、16社が増収、19社が営業増益となった。豊富な手持ち工事の消化と受注の積み上げに加え、受注時の採算管理の徹底が利益を押し上げた。国内建設需要の強さを映し、4~6月期として連結売上高が過去最高となった企業も10杜に上る。27年3月期の業績予想は22社が期初計画を据え置いた。一方、国際情勢や金利動向など先行きへの警戒感も強まっており、各社は施工体制の確保と採算重視の姿勢を崩していない。」(『建設工業新聞』2026.08.18)
●「東京地区生コンクリート協同組合(東京・中央、東京協組)は生コンの販売価格を2割程度引き上げる。セメントなど主要原料が値上がりすることが見込まれ、コストを転嫁する。再開発関連の堅調な需要を踏まえて採算改善に動く。」(『日本経済新聞』2026.08.22)
●「来年度の政府予算編成に向けた各府省庁の概算要求の公表が近づく中、長らく価格転嫁の実現に苦慮しているアスファルト合材業界が、予算規模の行方を注視している。東京地区では、生コンクリート業界などが足元での需要の下げ止まりなどを背景に、販売価格の値上げに動き出しているのに対し、アス合材業界は歯止めの掛からない需要減少という市場環境によって、値上げ交渉を行いづらい状況が続く。また、原材料費の高騰などによる価格改定について、発注者・注文者の理解を得ようにも、大口ベースで運賃込みになっている現在の公的な物価資料では、実態の正確な説明には不十分で、製品、運搬の単価分離による取引価格の『見える化』も喫緊の課題になっている。」(『建設通信新聞』2026.08.26)
●「パナソニックホームズ(大阪府豊中市)が施工現場で働く大工の自社育成に乗り出す。職人不足が深刻になることを見据え、外注に依存してきた施工価制を転換する。数億円を投じて自社の研修拠点を改修する。複雑な施工条件に対応できるスキルを持つ『多能工』の育成を進め、将来の施工力確保につなげる。…現在社員大工は不在だという。自社育成に乗り出す背景には、複雑な施工条件に対応する多能工の重要性が高まっていることがある。パナソニックホームズが狙いを定める大都市圏では多層階住宅の需要が大きく、狭小地や変形地なども多い。パナソニックホームズ建設は、2040年に需要に対して自社大工が150人ほど不足するとの試算をもとに採用を進める。工業高校の卒業生や経験者を毎年10人ずつ採用し、40年には100人体制を目指す。未経験者でも正社員として採用し、資格取得を含めて育成する。外部の施工会社の協力も得ながら需要に対応する。」(『日本経済新聞』2026.08.27)
●「中東情勢による建設資材の供給不安を受け、ゼネコン各社が対策を進めている。工程変更や代替品の導入のほか、従来の商習慣を見直し調達先を複数に増やすなど工夫は多岐にわたる。米国とイランの衝突が長引くなか、新常態へ対応を急ぐ。大林組などの共同企業体(JV)は仙台市役所本庁の建て替え工事で、1階のエントランスホールに使う断熱材のメーカーを切り替えた。『26年4月上旬、当初採用する予定だった断熱材を扱うメーカーから新規受注停止の通知を受けた』(大林組の片岡勝也所長)ためだ。…供給リスクの高い一部資材の手配時期を前倒しする動きも広がる。多くのゼネコンでは工事の進捗に合わせ必要な時斯に資材を手配していた。早い段階で数量や仕様を固定すると、工事の工程や設計に変更が生じた際、余計な資材の発生や再手配につながる恐れがあるためだ。だが、ある大手ゼネコン関係者は『従来は1カ月前に手配していた資材を2~3カ月前に手配するケースも出てきた』と話す。建設資材の調達は依然厳しい状況が続く。全国建設業協会(東京・中央)が7月に実施した調査によると、企業の6割超が接着剤、5割ほどが塩ビ管、断熱材などで入荷遅延が生じていると答えた。断熱材はメーカーが出荷を制限し納入するまで1カ月以上かかることもあったという。建設資材の入荷遅延について、6月より状況が『悪化した』『やや悪化した』と回答した企業は計12.3%、『変わらない』は69.2%。『やや改善した』は18.5%にとどまり、『改善した』は0%だった。これまでの商習慣の見直しも進む。ゼネコン各社はこれまで、品質や供給の安定性を重視し、実績のあるメーカーの製品を優先的に採用する傾向があった。西松建設は調達が難しい資材などについて同等の性能を持つ代替材料や代替工法をあらかじめ複数選定する対策を始めた。他社でも調達先を分散し、一部の供給網に支障が生じても工事への影響を抑えられる体制を整える動きが進む。」(『日本経済新聞』2026.08.31)
●「竹中工務店の2026年12月期中間決算は、連結・単体共に減収増益だった。売上高は連結で前年同期比3.2%減の7479億5600万円、単体は4.6%減の5322億2500万円となり、営業利益は連結で25.9%増の665億9000万円、単体は22.8%増の491億円だった。過年度に受注した不採算工事の消化が進み、利益改善が大きく進展した。」(『建設通信新聞』2026.08.31)
●「新潟県建設専門工事業団体連合会(新潟建専連)が、毎年行っている会員企業実態調査で、公共工事設計労務単価の毎年の上昇に連動して、賃金引き上げに踏み切る会員が3年連続で7割前後に達したことが分かった。2025年10月に実施した25年度会員企業実態調査では、『この1年間で賃金を引き上げたか』という質問に対して『引き上げた』と回答した割合は70.6%。24年度の調査から2.1ポイント下降したが、賃金を引き上げる企業の割合は7割を超えている。4年前の22年度調査では『引き上げた』と回答した割合は60.1%。23年度調査から賃金を引き上げる企業の割合が大きく上昇している。」(『建設工業新聞』2026.08.31)
●「記録的な豪雨に見舞われた千葉県内で、被害の復旧作業が本格化している。地域の建設会社などが道路や鉄道トンネルといった交通インフラの応急復旧に奔走している。建設関連団体も動き始めた。国土交通省関東地方整備局は、県内6自治体にリエゾン(現地情報連絡員)や排水ポンプ車を派遣。政府は13日に関係省庁災害対策会議を開き、赤間二郎防災担当相が避難情報に従い、身の安全を確保するよう呼びかけた。」(『建設工業新聞』2026.08.18)
●「政府は2026年熊本地震からの早期復旧・復興に向け、8月中にも支援パッケージをまとめる。18日に木村敬熊本県知事から緊急要望を受けた高市早苗首相が明らかにした。被災地のニーズを踏まえ、インフラの本格復旧、中小企業や小規模事業者への支援など生活となりわいの再建に取り組む。高市首相は『被災者への支援、生活再建、被災地の復旧に最大限取り組まなければならない』と力を込めた。被災した井戸の復旧や仮設住宅の建設など生活に密着したインフラについても取りこぼしがないように進める考えを示した。」(『建設通信新聞』2026.08.20)
●「東京電力福島第1原子力発電所事故で発生した処理水の海洋放出が始まってから24日で3年を迎えた。原子炉内のデブリ(溶融燃料)残存に伴う処理水の増加で貯蔵量は7%減にとどまる。2051年とする廃炉目標の実現は見通せない。東京電力ホールディングスによると、残存する処理水(処理中も含む)は6日時点で約124万トンと、3年で7%減にとどまる。この間におよそ17万トンを放出した一方で、雨水や地下水なとの流入で7万トンほどの処理水が新たに生じた。…政府と東電は51年までの廃炉完了を掲げる。東電は放出ペースの引き上げに向け、26年度から放出回数を年8回と1回増やした。放出量は年6万2400トンと前年度比13%増える見込みだ。処理水をためるタンクから放出前に放射性物質を測定するタンクに移し替える作業や測定を効率化する。海洋放出の進展に伴い放出開始時に1046基あったタンクのうち17基は解体を終えた。ほか4甚も解体作業が進む。空いたスペースはデブリ回収に必要な施設の用地に活用する計画だ。一方でデブリ取り出しが計画通りに進むかは不透明だ。東電は25年、3号機で37年度以降に大規模取り出しを開始するとの計画を公表した。筆頭株主の原子力損害賠償・廃炉等支援機構は工法のさらなる検討が必要としで精査を続ける。回収時期が遅れれば、その分汚染水の発生も続く。」(『日本経済新聞』2026.08.25)
●「改正石綿障害予防規則に基づき、1月1日以降に着工した建築物(工作物)から、石綿使用の有無について有資格者による事前調査が義務付けられた。原則、すべての解体・改修工事が事静調査の対象となり、労働基準監督署と自治体への結果報告も求められる。だが、調査の質や事前調査の実施状況などで課題も少なくない。建築物石綿含有建材調査者協会(貴田晶子代表理事)の外山尚紀事務局長に、事前調査の現状と課題を聞いた。外山氏は、建物の解体時に建築物石綿含有建材調査者の事前調査が義務化されたことに伴い、調査者の必要数が2022年4月の約2.5万人から26年2月には約27万人に急増したと指摘する。資格取得のための建築物石綿含有建材調査者講習は17年度まで、計11時間の座学を受け、修了試験に合格した後、2時間の実地研修を受けて報告書を提出する必要があった。さらに、口述試験にも合格する必要があった。18年度からは実地研修が省略され、座学だけで一般調査者の資格を取得できるようになった。外山氏は『有資格者による事前調査を義務付ける制度となり、有資格者を大幅に増やす必要があったことは理解できるが、事前調査の質を確保する上で課題を残した』と述べた。その上で、『座学講習だけで資格を取得した一般調査者が99%を占め、実地研修が必須となる特定調査者は少ない。石綿含有製品の種類は極めて多く、相当の能力が必要だ』と指摘し、調査者の質の向上を訴えた。」(『建設工業新聞』2026.08.26)
●「国土交通省は26日、2025年度までの点検・診断結果や措置状況などをまとめた『道路メンテナンス年報』の最新版を公表した。建設後50年以上を経過した構造物が増加している一方、措置が必要な橋梁やトンネルの数は減少し、予防保全型への移行が着実に進展している。ただ、それでも要措置の数は25年度末時点で、橋梁が約5万1000橋、トンネルが約3000カ所に上っている。」(『建設通信新聞』2026.08.27)