情勢の特徴 - 2026年9月前半
●「政府の2027年度予算の概算要求総額が一般会計で143兆円前後となることが31日、分かった。26年度要求の122.4兆円を大幅に上回る過去最大の規模となる。上限を設けない成長投資枠の新設に加え、補正予算も含めた一体予算としたことで要求額が急増した。」(『日本経済新聞』2026.09.01)
●「国土交通省は8月31日、2026年度の建設投資見通しを発表した。物価変動の影響を含む名目値は81兆4700億円で25年度見込みと比べ2.9%増加し、現行の算出方法となった15年度以降で初めて80兆円を超えた。実質値ベースは0.9%増の65兆4609億円となっている。建設投資額の名目値は23年度から70兆円を超えていたが、初めて80兆円台に乗った。ただ実質値とは乖離(かいり)があり、物価上昇の影響が名目値の膨張につながっている。」(『建設通信新聞』2026.09.01)
●「内閣官房は、11月の設置を予定する防災庁の2027年度予算概算要求を発表した。予算要求額は651億8400万円になった。前身となる内閣府防災担当の前年度予算額218億円の約3倍になる。予算要求の主要事項には大規模災害対策の推進をはじめ、防災技術の研究開発・実装に向けた施策などが盛り込まれた。防災庁は平時の事前防災から災害対応、復旧・復興までを一貫して担う司令塔の役割を持つ。甚大で広域的な被害を及ぼす恐れのある首都直下地震や南海トラフ地震、千島海溝地震などの備えとして、震度分布の推計や被害の想定、防災対策の検討などを実施するため2億7900万円を計上した。新規事項として、自治体が津波避難の手段などを検討する際、参考となるガイドラインの作成業務などを盛り込んだ。」(『建設工業新聞』2026.09.01)
●「日本企業の設備投資が力強さを欠いている。財務省が1日公表した法人企業統計によると、4~6月期の設備投資は前年同期比1.6%増にとどまった。経常利益は過去最高を更新したが、成長や分配にお金を使う動きは道半ばだ。金利上昇の悪影響を懸念する声も聞かれた。法人企業統計でみた設備投資額は昨年10~12月期に6.5%増と大きく伸びたが、今年1~3月期は横ばいにとどまった。4~6月期は反動増が期待されたが、結果は1.6%増と小幅な伸びだった。国内総生産(GDP)デフレ一ターでみると設備投資の価格は前年同期に比べ4~6月期は4.5%上昇した。インフレの伸びに実際の投資額が追いついていない可能性がある。」(『日本経済新聞』2026.09.02)
●「日本の長期金利が30年ぶりに3%の大台に上昇した。事業や投資先の選別という、金利が本来持つ機能が強まる可能性がある。野放図な上昇を防ぐうえで試されるのはインフレを制御し、財政を律しながら成長の種をまく政府・日銀の手腕だ。長期金利の指標である新発の10年物国債利回りは1日、3.005%をつけ1996年9月以来の高水準となった。『経済の体温計』といわれる長期金利の3%台への復帰は『失われた30年』から脱する1つの象徴になりうる。問題は日本経済がその水準にふさわしい力を取り戻したのかどうかだ。」(『日本経済新聞』2026.09.02)
●「日本で企業や飲食店などを経営してきた外国人の出国が急増していることが分かった。2026年の上半期は953人と前年同期の3.9倍だった。25年秋から出入国在留管理庁が在留審査を厳しくした影響とみられる。…入管庁は25年10月に省令を改正し、資格取得の要件を厳格にした。法人の資本金を従来の500万円から3000万円に引き上げたほか、3年以上の経営・管理経験か修士以上の学位取得、常勤職員の雇用、一定の日本語能力があることなどを義務付けた。同庁は28年10月までは新基準を満たさなくても在留期間の更新を認めるほか、それ以降も基準を満たす見通しが立っていれば許可ずる可能性があると説明する。一方、新基準とは別に経営実態などの審査が従来より厳しくなったとの声もある。厳格化の背景にあるのが経営・管理の在留者数の増加だ。25年末時点で4万6781人と5年前の1.7倍に増えた。入管庁は厳格化以降の5カ月間の申請件数がその直前の5カ月間と比べて約96%減少したと既に明らかにしている。東京商工リサーチによると、24年に日本国内で設立された法人14万3367社(個人事業主などは含まない)のうち資本金3000万円以上は1491社と1%にとどまる。」(『日本経済新聞』2026.09.03)
●「建設業の収益回復が全産業の収益増に寄与していることが、財務省が1日発表した『2025年度法人企業統計』で分かった。建設業は経常利益の項目で非製造業のうち『増益』への寄与が大きい業種の2番目に上げられた。1位はサービス業。建設業の営業利益、経常利益とも24、25年度と2年続けて前年度比で2桁増と収益の急回復が鮮明になっている。日本建設業連合会が公表した会員企業112社の『25年度決算状況』で浮き彫りになった利益改善を裏付けた格好。ただ資本金1億円以下の中小規模の元請企業や専門工事業からは、経営環境の厳しさを訴える声も根強い。」(『建設通信新聞』2026.09.03)
●「国土交通省は長期固定金利型の住宅ローン『フラット35』で中古住宅を購入する子育て世帯向けに金利を引き下げる。物価や住宅ローン金利が上昇するなか、手が届きやすく良質な中古住宅の流通を促す。…フラット35は住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して提供する。同制度には条件ごとにポイントを設定し、合計ポイントに応じて借り入れ当初の金利を下げる仕組みがある。1ポイント当たり年0.25%下げる。5年間の引き下げ幅は4ポイント分の1%が上限となり、余った分は次の5年間の金利引き下げに使える。現在は子どもの人数に応じてポイントを付与する『子育てプラス』や質の良い中古住宅を取得する場合に1ポイントになる『中古プラス』などがある。新しいメニューはこういった既存メニューとも組み合わせられるようにする方向で検討している。上限の1%は動かさない。」(『日本経済新聞』2026.09.10)
●税金や社会保険料の滞納を一因とした「税金滞納倒産」が、2026年8月に26件にのぼり、前年同月と比べ73.3%増となったことが、東京商工リサーチの調査(8日発表)でわかった。4月から5カ月連続で前年同月を上回った。1~8月の累計は181件(前年同期比58.7%増)に達し、8月時点で前年の年間160件を上回った。(『しんぶん赤旗』2026.09.11より抜粋。)
●「国土交通省は、建設業団体による担い手確保と生産性向上の取り組みを一体で支援する事業を2027年度に始める。政府が掲げる戦略17分野の投資を支える建設業の供給力を強化するのが狙い。特に技能者のリスキリングを重点的に進める方針で、職種ごとの教材やカリキュラム整備を支援し、計画的なスキルアップを促していく。」(『建設通信新聞』2026.09.01)
●「国土交通省は、災害発生時に建設機械の位置情報などを災害対応マネジメントに活用する取り組みを強化する。建機を保有する全国の建設会社の同意を得た上で、国などの行政機関がデータを収集・活用する試み。従来は災害発生後の運用に限っていたが、大型台風が襲来する前など甚大な被害が予測される段階からデータを収集できるよう運用を拡充した。」(『建設工業新聞』2026.09.02)
●「民間工事の発注者・注文者に工期中の猛暑日を『不稼働日』とするよう建設会社が申し入れた場合、約7割は契約や工期に反映されていることが国土交通省の調査で分かった。民間発注者の立場でも、猛暑日を考慮した工期設定で申し入れを受ければ適切に対応する姿勢が目立つ。ただ、実際に申し入れた経験がある建設会社は調査対象の4分の1程度にとどまる。現場状況を踏まえ必要であれば、まずは協議を申し入れることが重要だ。」(『建設工業新聞』2026.09.03)
●「国土交通省は豪雨災害対策をさらに強化する。被害を受けた際に代替・復旧が難しくなる重層河川の『急所施設』の機能喪失を防ぐ事業や、地域を支える産業施設の保全を含めた新しい土砂災害対策事業を創設する。下水道施設は、防災に役立つ点検・調査などの新技衛導入に取り組む民間事業者を支援する措置を講じる。二次災害の防止、事前防災・事前復興を考慮したまちづくりやテックフォース(緊急災害対策派遣隊)を巡る対応も一層進める。」(『建設工業新聞』2026.09.11)
●「政府は、2026年8月千葉豪雨を踏まえた内水氾濫対策検討会を設置し、11日に初会合を開いた。千葉豪雨で顕在化した課題を受けて、内水氾濫への治水・浸水対策や避難行動の支援策などを総合的に検討する。『次期出水期に間にあうタイミング』(内閣府担当者)での対策とりまとめを目指しており、冬ごろには方向性を提示する見通し。」(『建設通信新聞』2026.09.15)
●「建設技能者転職支援協会(大阪市淀川区、高谷匠代表)は、建設雇用改善法に基づく有料職業紹介事業を一日から始めた。全国の建設技能者、建設事業主を対象とし、とび工、鉄筋工、型枠工など14職種を扱う。求職者の利用は無料。8月20日付で実施計画の厚生労働大臣認定と、建設業務有料職業紹介事業の許可を取得した。とび工などの職人の有料職業紹介は職業安定法で原則禁止となっており、認定、許可された事業主団体が例外として実施できる。2005年に制度が創設され、許可されたのは同協会を含め4団体にとどまり、近畿の団体としての許可は初めてになるという。取り扱う職種は▽とび工▽土工▽鉄筋工▽型枠工▽左官工▽配管工▽電気工事士▽設備工事作業員▽塗装工▽防水工▽内装工▽大工▽解体工▽その他建設業務従事者。」(『建設工業新聞』2026.09.02)
●「日本建設産業職員労働組合協議会(日建協、青山敏幸議長)は2日、6月に実施した『4週8開所ステップアップ運動』の結果を発表した。月によって土日・祝日の数が異なる点を補正した4週8閉所指数は、前年同月より0.28ポイント上昇して4週『7.10閉所』となり、6月として過去最高を更新した。全土日祝日閉所に相当する8閉所以上は、全体の62.0%を占めた。発注者の理解も進み、受注時から4週8閉所を基本とする動きが定着してきている。」(『建設通信新聞』2026.09.03)
●「2026年度の最低賃金の全国加重平均が1177円になった。いまの1121円から56円上がる。過去最大の引き上げとなった25年度の66円から伸び幅は縮んだものの、国が示した目安の55円上げを上回った。3日に沖縄県が1086円と決め、47都道府県で出そろった。東京都の1280円が最も高く、宮崎県の1085円が最も低い。厚生労働省が同日、全国の集計結果を公表した。毎年度の最低賃金は国の審議会が目安を示し、その後に各都道府県の審議会で個別に引き上げ額を決める。国が7月に示した55円上げの目安は伸び率にすると4.9%となる。全国での決定を受け、上げ幅は5.0%となった。新しい最低賃金は10月中に適用するのが通例だった。25年度は大幅引き上げの代わりに、企業側の準備期間を考慮して遅らせる事例が相次いだ。秋田や福島など6県で年をまたいだ。今回は37都道府県が通例通りの10月発効とした。最も遅くても沖縄の12月2日となる。」(『日本経済新聞』2026.09.04)
●「物価変動の影響を除いた実質賃金が7カ月連続で前年同月を上回った。春季労使交渉による高水準の賃上げや夏のボーナス増で名目賃金が伸びた。秋以降は飲食料品の相次ぐ値上げや電気・ガス代の上昇が見込まれ、実質賃金は再びマイナスに転じる可能性がある。」(『日本経済新聞』2026.09.09)
●「インドネシアが特定技能を中心にした日本への労働者派遣を現在の22万人余りから60万人まで増やす。日本への外国人労働者送り出しで国別トップのべトナムに並ぶ目標を掲げる。実現に向け現地での日本語教育に力を入れる。60万人を送り出す目標は、7月に来日したインドネシアのアフリアンシャー・ヌール労働副大臣が日本経済新聞の取材に明らかにした。『ベトナムと並び、国別でトップを狙いたい』と述べた。日本で暮らすインドネシア人は2025年末現在で26万6069人と、国・地域別ではベトナムや中国などに続き6位だ。前年比33%増え、10年前の7倍強となった。厚生労働省によると25年10月時点で22万人以上が技能実習や特定技能など日本で働くことができる在留資格を持っている。有資格者は国・地域別5位で、主に製造や建設業、医療・福祉といった分野で活躍する。ヌール氏は『30年までに22万人強から40万人まで引き上げ、さらに60万人を目指す』と意欲をみせた。特に整備士などを含めた自動車関連や介護を重点分野に挙げた。『日本は安全な働き先で魅力的だ』とも語った。インドネシアが派遣に力を入れる職種は日本で人手不足が深刻だ。厚労省によると、25年度は自動車整備士は5.46倍、介護員は2.96倍と全体の1.2倍を上回る。日本企業が外国人労働者を採用する動きは強まっている。」(『日本経済新聞』2026.09.15)
●「神奈川県建設業協会(渡邉一郎会長)は8月28日、横浜市のローズホテル横浜で、神奈川県型枠工事業協同組合(吉田和彦理事長)と神奈川県鉄筋業協同組合(工藤桂一理事長)との意見交換会を開いた。鉄筋と型枠の両組合連名で、関東鉄筋工事業団体連合会と同会加盟9団体の共通要望書『「労務費に関する基準」に基づく施工単価採用のお願い』をまず建設業協会宛てに提出し、同協会を通じて発注者や大手ゼネコンなどに要望があった旨を伝えていくことを申し合わせた。」(『建設通信新聞』2026.09.01)
●「全国建設業協会(今井雅則会長)は3日、10月に全国9地区で開く地域懇談会・ブロック会議を前に、47都道府県建設業協会とその会員1877社から回答を得た『2026年度発注関係事務の運用状況等に関するアンケート』の結果を発表する。会員企業分の集計によると、前年度調査に引き続き、全体の半数近くが、受注状況が『悪い・悪くなってきた』と答えた。悪化傾向の主な要因は『公共発注量の減少』が突出しており、近年の資材価格や人件費の上昇を背景とする実質事業量の減少が、地域建設業の経営を直撃している。」(『建設通信新聞』2026.09.03)
●「大和ハウス工業は新築戸建て住宅の受注を絞り込む。東京や大阪など都市部に営業機能を集中し、23道県から撤退する。設計自由度が高い注文住宅の販売は5000万円以上に限る。国内住宅事業は資材や人件費の上昇で収益が圧迫されている。単価の引き上げで改善を急ぐ。」(『日本経済新聞』2026.09.04)
●「全国建設業協会(今井雅則会長)が、都道府県建設業協会の会員1877社の回答を集計してまとめた『2026年度発注関係事務の運用状況等に関するアンケート報告書』によると、予定価格(発注価格)に最新の労務単価、資材・機材の実勢価格が適切に反映されている割合は、国土交通省が92.1%、都道府県・政令市が83.8%と高水準に達している一方、市区町村は71.6%、民間発注者(PFI事業者を含む)は59.3%にとどまり、当初の価格設定に依然として課題があることが分かった。」(『建設通信新聞』2026.09.04)
●「帝国データバンク(東京都新宿区)はこのほど、2026年1~7月の『木造建築工事業』の倒産動向を公表した。負債1000万円以上の法的整理は159件となり、前年同期(132件)から27件増加、20.5%の伸びを示した。7カ月間の累計としては過去10年で最多となり、2012年(166件)以来の高水準のペースが続いている。負債総額は295億8400万円に達し、既に2020~2024年の各年の通年負債総額を上回った。…倒産増加の背景には、建築資材や人件費・外注費の上昇、住宅ローン金利の上昇による住宅購買意欲の低下がある。…さらに、建築基準法改正による『4号特例の締小』で建築確認申請が厳格化し、設計、申請手続きの所要時間が増加。慢性的な人手不足も重なり、着工遅れや工期延長などスケジュールの長期化が進んでいる。コスト増加分の請負単価への転嫁が進まず、資金繰りの悪化につながるケースも多い。」(『日本住宅新聞』2026.09.05)
●「全国建設業協会(今井雅則会長)が行った都道府県建設業協会の会員アンケートによると、2028年度も全体の8割を超える企業が、従業員の貨上げを実施したことが分かった。賃上げ率は『1.5-3%』が最多だった。一方、賃上げを未実施の企業が若干増加した。」(『建設通信新聞』2026.09.07)
●「労務費や資材価格の上昇分が適切に価格転嫁されず、原価を下回る赤字工事になったことがある割合が、地方自治体で全体の約4割、民間発注者で約5割に上ることが、全国建設業協会(今井雅則会長)の会員調査で分かった。国土交通省の発注工事でも、回答企業の約3割が、赤字が発生したケースがあると報告している。」(『建設通信新聞』2026.09.08)
●「国土交通省が民間発注者を対象に実施した調査によると、2024年12月以降に予定していた工事について、物価高などを理由に発注できなかった案件があったと回答した企業は約3割に上った。規模縮小や延期をしたとの回答も含めると全体の5割を占めた。発注見送りとなった工事は建築工事が特に多い。建設会社の早期確保や見積額の引き上げといった対策に乗り出す企業もいた。」(『建設通信新聞』2026.09.09)
●「価格高騰や入荷遅延、供給制限の状況は改善傾向にある。全国建設業協会(全建、今井雅則会長)が8月に実施した『中東情勢に伴う建設資材の需給に関する調査(8月期)』によると、価格高騰や入荷遅延などの状況が改善傾向にあり、『悪化している』割合が減少。接着剤や外装用塗料などで出荷制限の緩和や納期の改善が見られた。」(『建設工業新聞』2026.09.09)
●「群馬県建設業協会(青柳剛会長)は9日、イラン・中東情勢の建設業への影響についての会員アンケート結果(第3弾)を公表した。4月の初回調査や6月の第2回調査と比べると入荷状況は改善傾向にはあるものの、依然として価格面は厳しい状況にある。採算性の低下など5割の企業が工事に影響があると回答しており、今後も情勢を注視する必要があるとしている。」(『建設通信新聞』2026.09.10)
●「民間工事契約で物価高騰などに応じた契約変更条項を設ける動きが、改正建設業法の施行後も広がっていないことが、国土交通省の調査で分かった。請負代金や工期の『変更方法』を契約書の法定記載事項とする規定が2024年12月に施行したが、これ以降に請け負った工事で契約変更条項が『あった』と回答した建設会社の割合が1年前の前回調査を下回った。調査回答者のサンプルが異なるとはいえ、改正法の義務規定が民間発注者側にも十分に浸透していないと判断せざるを得ない状況だ。」(『建設工業新聞』2026.09.11)
●「全国建設業協会(全建、今井雅則会長)が会員企業を対象に実施した調査によると、現場従事者(技術者と技能者)の月平均残業時間が45時間以下に収まる割合は99.0%であることが分かった。『週休2日モデル工事』『経営トップによる声がけ』など労働時間短縮の取り組みが奏功した。現場技術者では『15時間以下』が2020年より15.3ポイント上昇しており改善が進んでいる。」(『建設工業新聞』2026.09.15)
●「国土交通省と国土技術政策総合研究所は、2026年熊本地震で発生した建築物の構造被害の原因分析を本格的に始めた。低層木造建築物や煙突、免震建築物、非構造部材の四つを主な調査対象に設定し、必要に応じてワーキンググループを設置して耐震補強の効果などを分析する方針だ。8月31日に有識者委員会の初会合を開き、今後の検討事項を確認しており、年度末までに検討結果を取りまとめ、講ずるべき対策の方向性を定めることにした。」(『建設通信新聞』2026.09.02)
●「日本建築学会は8日に開幕した大会(AIJ中国2026)で、最大震度7を観測した26年熊本地震の建築物調査報告会をオンラインで開いた。特徴的な建物被害など、これまでに得られた調査結果を構造別に発表。今後の地震対策を議論した。調査した免震建物は全て継続使用が可能な状態だったことも明らかにした。…免震構造では、熊本県内にある52棟のうち24棟を調査し、いずれも継続使用が可能な状態だった。吉敷祥一氏(東京科学大学)は『免震効果は発揮された』との見解を示した。一方、八代市の市庁舎は、免震部材の『積層ゴム支承』に破断を含む損傷が確認された。吉敷氏は『世界で初めての現象』と指摘し、原因を引き続き分析する考えを示した。木質構造は木造建物を中心に約900棟を調査。築45年を超え耐震性能が不足している建物で倒壊被害が多く見られた。建物全般では、震度7が観測された地域の全壊率が約10%に上った。汐満将史氏(山形大学)は、被害の傾向は前回の熊本地震とほぼ調和しているものの、一部は前回を下回ったと指摘。『要因は検証が必要だ』と述べた。」(『建設工業新聞』2026.09.09)
●「自治体が大雨対策の被害想定を見直している。8月の千葉豪雨では激しい雨が断続的に降り、ハザードマップの想定区域外で浸水が相次いだ。被害減少へ長時間の降雨を踏まえた対応が重要となり、国も豪雨対策の強化に乗り出す。13人が死亡した干葉豪雨の発生から13日で1カ月。都市部では排水が追いつかずにあふれる『内水氾濫』が広範囲で生じた。床上・床下浸水被害は計4000棟超に上り、駐車場や道路の冠水などで被災した車両は1万台を超える見通しだ。大雨による都市型水害のリスクが浮き彫りになり、被災自治体はハザードマップの見直しや前提条件の修正に動き始めている。…千葉豪雨で甚大な被害が出た要因の一つが1時間に30ミリを超える激しい雨が長時間降ったことだ。線状降水帯が発生し『経験したことのない大雨』(気象庁)が続いた。県内で8月13日夕から14日未明までに発表された記録的短時間大雨情報は計25回に上った。6人が死亡した千葉市では115ミリの1時間雨量だけでなく、3~72時間のすべての時間雨量で観測史上最大を記録。24時間雨量367ミリは平年8月の総降水量の3倍を超えた。市担当者は『想定を優に上回る雨量だった』と話す。内水氾濫用ハザードマップの作成にあたっては、多くの自治体が国土交通省のマニュアルに示された1時間の最大降雨量(関東地方は153ミリ)を『想定し得る最大規模の降雨』として前提にしている。河川があふれる洪水といった外水氾濫に比べ、都市部の内水氾濫は短時間の大雨で起きやすいためだ。だが1時間最大150ミリ級の想定で対策を講じても、60ミリ級が3時間続けば浸水状況は変わる可能性がある。県内自治体からは『1時間を超えた降雨シミュレーションも必要だが、どう条件を設定するか難しい』(市原市)との声も上がる。千葉豪雨後にも北陸や東海で記録的豪雨が相次ぎ、内閣府は11日に関係省庁を交えた対策検討会の初会合を開いた。今後被害想定の前提となる降雨量など条件の見直しについて議論する。国交省幹部は『どこまで想定するか悩ましいが、少なくとも1時間雨量だけを想定すればよい気象状況ではなくなってきた』と話す。検討会では雨水を流す下水道関連施設の整備の進め方も協議し、内水氾濫を防げない場合でも浸水の程度を減らすことを目指す。今年度内をめどに対策を取りまとめる。」(『日本経済新聞』2026.09.12)