提言・見解

小泉内閣の『特殊法人改革』についての見解

2001年8月20日
特定非営利活動法人 建設政策研究所 「緊急経済対策問題プロジェクト」

目次

  1. 「特殊法人等の事業見直し案」をどうみるか  
  2. 「事業見直し」における政府の狙いと問題点  
  3. 建設関連公団に見る戦略  
  4. 「事業見直し」に対する各省庁の主張と改革の方向  
  5. 特殊法人を真に改革する方向

1. 「特殊法人等の事業見直し案」をどうみるか

 政府・行政改革推進事務局は8月10日、特殊法人77、認可公益法人86組織の「特殊法人等の事業見直しの中間とりまとめ」(以下単に「事業見直し」と略称する)を公表した。「事業見直し」を纏めた政府の行政改革事務局とは内閣官房に置かれている。

 現在、小泉内閣における主要な「構造改革」政策は、「省」から独立に設置された経済財政諮問会議および規制改革を担当する内閣府と行政改革推進事務局がおかれて公務員制度改革、行政委託型公益法人改革、特殊法人改革、行政改革推進調整室という4室がおかれた内閣官房で立案されている。内閣府と内閣官房の4室が小泉政権の主要「改革」課題を担っている。内閣府と内閣官房にまたがる規制改革および行政改革の双方を担当するのが石原慎太郎の息子である石原伸晃行政改革担当大臣である。石原大臣はいわば首相直属のプロジェクト担当の最高責任者である。今度公表された特殊法人、認可公益法人にかんする「事業見直し」は、内閣が直ちに各省に対して2002年度予算編成方針に投影させる方針である。

 ところで政府特殊法人事業の法的根拠と事業の方針・計画は「事業見直し」が指摘しているように、「国が定めた各法人設置法や事業法であり、---個別事業の遂行や新規業務の追加等については国からの指示や国が定める計画にしたがって行われ」てきた。77の特殊法人、86の認可法人という多数の事業組織の設置はそれぞれ独自の設置目的や目的実現の機能を備えていた。しかし事業目的が達成されたり、設置目的や機能が今日の社会経済環境に適合しなくなったと見なされる組織が多くなってきた。2000年12月には「行政改革大綱」で「抜本的見直し」を決定した。法的には「特殊法人等改革基本法」成立を受け、「特殊法人改革推進本部」を設置した。これら方向で2002年度予算編成に当たって政府は特殊法人への約5兆3000億円の財政支出を約1兆円削減する方針を決めている。この中に国民への新たな「痛み」が埋め込まれている。

 小泉内閣は、かつての橋本内閣同じように経済「構造改革」と称して「金融機関の不良債権処理」、「郵政事業民営化」、「道路特定財源・地方交付税見直し」等、金融機関救済、増税と社会保障費等生活関連予算の抑制・削減の財政改革をはじめ、「首相公選」を突破口とする憲法改正への新たな取り組みなど、経済・政治の両面にわたり国民利益に逆らう「改革」、歴史の進行に逆行する靖国公式参拝など政治的挑発の姿勢を顕わにしている。こうした盛りだくさんの小泉「構造改革」の一環に「痛み」を伴う「特殊法人改革」とその「事業見直し」推進がある。この秋から年末にかけて「特殊法人改革」とその「事業見直し」は国民の重大な政治課題となり、また労働者・労働組合にとって新しい闘争課題となるであろう。

 今回の「特殊法人改革」である「事業見直し」は、政府特殊法人組織の廃止、運営における民営化を含む。それらが生み出す財政投融資の規模縮小は経済的にはデフレ効果、国民生活のセイフティ・ネットの劣化、雇用・失業問題の一層の深刻化等、多くの「痛み」を生むであろう。だが、それだけに止まらない問題を含んでいる。それは特殊法人改革が財投債発行という債権市場化に財源を求める等の「財政投融資改革」の中核に座っており、合わせて郵便事業、郵便貯金・簡易保険制度改悪および年金制度改悪総仕上げの「核」になっている。それはまた国民の預貯金、年金基金などの運用において公的機能、公的部門を縮小し、金融・保険機能を徹底的に民間市場に委ねる巨大な金融・保険市場再編への地均し作業として「財政投融資改革」が位置づけられている。その中心戦略に今回の「特殊法人改革」が位置づけられている。ここに小泉内閣の「特殊法人改革」の危険な「賭」が込められている。

2. 「事業見直し」における政府の狙いと問題点

 特殊法人の「事業見直し」は財政投融資制度と深く関連している。そもそも財政投融資改革はすでに中央省庁等改革基本法第20条に規定されており、その基本点は1.資金運用部への預託廃止、2.既往貸付の資金繰りに配慮しつつも市場原理に切り変える、この二点ある。この規定に沿い財政投融資改革では有利子資金である財政投融資資金は事業活動の縮小を決定している。しかし、今回の「事業見直し」は、「まずは各特殊法人当の事業について、廃止、整理縮小・合理化、民間・国その他の運営主体への移管等の具体的な見直しの結論を出来る限り早期に得るべく、各省庁等における積極的な対応を求め」、「必要な事業の見直しを進め、財政支出の大胆な削減の第一歩を踏み出すべき」だと述べている。その目的が財政削減に置かれている。小泉「構造改革」戦略は、特殊法人事業の見直しと財投資金運用改革である財政削減を特殊法人組織の改革で果たす戦略である。問題は多岐に渡るが、ここでは建設関連分野に絞って問題点を検討する。

  1. 政府の特殊法人・公益法人「事業見直し」の基本は、国民が信頼を寄せ、どこでも、誰でもサービスを享受できる「ユニバーサル・サービス」のネットワークを築いてきた郵便事業のうち、利潤が見込める小口郵便分野に民間企業の参入させ、収益事業を民間にも参入させ、さらに郵便貯金、簡易保険を民営化する。すなわち、郵便事業、郵貯・簡保を縮小する一方、郵便預金、簡易保険と年金基金をあわせた原資で運営されてきた財政投融資制度をその投融資先である政府特殊法人事業の廃止、縮小、民営化、あるいは財政投融資債権(財投債)を発行させて事業資金調達を「市場化」し、資金調達が出来なければ事業を縮小または廃止する。様々な特殊法人の事業領域で、多面的に大企業の活動を導入・拡大し、政府事業を廃止・縮小する「改革」である。つまり郵貯、簡保民営化をめざし、特殊法人改革をその基点に据える戦略である。
  2. 特殊法人改革はこれまでも繰り返し出されてきたが、「事業見直し」自体の内容はどこに位置しているであろうか。それを日本住宅公団に例に見ると以下のようである。すなわち、これまで日本住宅公団の再編の経過を振り返ると、まず「日本住宅公団」が「住宅・都市整備公団」に改組され、さらに「都市基盤整備公団」に変わった。ここには全国的視点での住宅政策を都市地域に限定的に移行させ、そのうえで住宅政策そのものを放棄し、最後に「都市基盤整備」という名目の事業に限定しようとしている。その狙いは、大都市地域における大手企業資産運用効率化のための事業用用地(工場、社宅など)買い上げ、さらに金融機関およびゼネコン・大手不動産会社救済のための不良資産(土地)買い上げを実施する機関に変貌させた。そのうえで今後縮小・廃止を見込んでいる。ここには1980年代以来追求されてきた臨調「行革」路線が目指した大企業向け市場創出、国民の生活基盤整備の縮小、特殊法人清算等を不良債権まみれの大企業救済策と合体させ、その最終仕上げの段階を迎えようとしている。
  3. 「事業見直し」が示している小泉「特殊法人改革」は、事業自体の基本問題にほとんど触れていない。多くの問題を含んでいることはすでに多くの私的があるにもかかわらず、「国土開発計画」(五全総)、「公共投資基本計画」、各種公共事業長期計画、地方財政計画などこれまで現行法での各種計画の事業内容およびこれらと関連する財投融資計画事業との関連での「事業見直し」等の根本問題にほとんど触れられていない。事業組織である特殊法人改革、組織いじりが先行している。本来、特殊法人は国の公共投資計画を実施する必要から国の主導で設置し、運営されてきた。この運営方式が高級官僚の天下り、ファミリー企業の形成、政官と業界ぐるみ癒着構造を生む舞台となった。それは特殊法人設置の理念や期待される政策効果を減殺し、緊急の改革を迫る要因の一つともなっていた。
    しかし今回の「事業見直し」は事業自体の見直しを行おうとしたわけではない。またこの「事業見直し」には日本の公共事業が直面している多くの問題にどのような小泉「構造改革」が行われるのかという政策は示されていない。政策の目的不在、目的との関連での手段の吟味がなされない。ただ事業縮小、「組織いじり」という矮小化された政策になっている。
  4. 特殊法人の真の改革とは、国民から見ていくつかのポイントがある。第一に45〜55兆円規模の事業資金のうち約50兆円(90%強)が郵貯、簡保、年金基金である。事業自体の吟味も必要であるが、事業資金である財政投融資資金はもとより国民資産であるばかりか、年金資金等は社会的財産等である以上、その有効活用とともに社会資産価値の維持・拡大を必須の要件とする資金である。第二に国民財産である郵貯・簡保・年金基金の運用には現在特殊法人が生んだ大きな「穴」(累積赤字、不良債権等)が生じ、国民資産が劣化してきた。その「穴埋め」なしに年金制度改革などの論議は出来なはずである。だが政府はその原状回復の政策論議を全くしていない。第三に財政投融資の事業内容が経済社会と対応せず、国民の住宅水準の向上、生活環境改善、災害対策、都市・農村の事業・生活環境整備が立ち後れ、大企業中心の産業優先政策が転換・改善されていない。第四に巨額の財投資金を投機化した金融市場に誘導するという金融機関の要求がある。これらが特殊法人改革論議における基本的課題である。これに加え、特殊法人への天下り、ファミリー企業形成、政官財癒着という「パラサイト化(寄生化)」がまとわりついている。ここに財政投融資、特殊法人組織に対し国民不信を増幅してきた。「事業見直し」はこうした根本問題に全く触れていない。

3. 建設関連公団に見る戦略

 建設関連公団(日本道路公団、本四架橋公団、水資源開発公団、日本下水道事業団、新東京国際空港公団、住宅金融公庫等)に対する「事業見直し」には、廃止、縮小、民営化・独立行政法人化等多岐を極めている。以下主要な「事業見直し」を見てみよう。

 「事業見直し」は、事業の類型に応じた処理を考慮している。以下はその概要である。

 まず、特殊法人の事業が公共建設建物の建設と運用を行う法人については、公共建物建設・管理に関して事業終了後、利用料等によって事業費を回収する事業領域がある。すなわち日本道路公団、首都・阪神高速道路公団、新東京・関西国際空港団、日本下水道事業団等は、1.また法人の採算性の現状、見通しおよびこれらの根拠について情報公開する、2.採算性の問題、採算性の見通しの不適切、採算確保の仕組みが不適切の場合は廃止または採算性確保のために事業の見直し等、を検討する。

 第二に、都市基盤整備公団、日本鉄道建設公団、本州四国連絡橋公団、地域振興整備公団のように、事業完了後、売却益等によって事業費を回収する特殊法人がある。これについては、1.法人の採算性の現状、見通し、資産状況を情報公開する、2.情況変化等により事業が進捗しない等の理由で採算性に問題がある場合廃止を含め採算性確保のため、事業の見直しを行う。

 第三に、官と民、国と地方の役割分担、国と特殊法人との役割分担、特殊法人間の複合事業の整理・合理化が必要となっている事業がある。これについては、1.国または官の関与が不必要な場合は、廃止、地方公共団体への移管もしくは民営化、2.国の実施が必要な場合は直轄事業への移行、3.特殊法人事業間の統合・調整、等である。

 以上がその概要である。ここで注目すべき点は1.事業採算の現状および将来見通しを最重要視し、2.それらを情報開示させ、3.これによって事業の存廃等、経営形態変化を考慮し、4.よって一連の施策に対する世論誘導を図る手法としている、等を指摘できる。このうち行政、特殊法人の事業の内容およびその効率を評価することは当然である。この当然のことをこれまで実行してこなかったばかりか、一般会計、特別会計、地方財政計画等との複雑怪奇な財務、会計処理システムを作り、国民監視が届かないようにしてしまった。したがって特殊法人会計をわかりやすくすること当然である。財政投融資を"ブラック・ボックス"のまま事業を執行し、巨額の不良債権を隠蔽し、しかも他の事業会計に「とばし」をしたりして累積した不良債権化した。が社会的資産運用の"ブラック・ホール"になりかねないといわれている。財政投融資は年金などの長期資金を多額に含んでいる。これら事業が不良債権を抱えると年金制度崩壊の一因となる。すでに戦前における軍費調達、大陸進出により国民財産を喰いつぶした経験を持つ以上、これを再度許してなならない。

 したがって単に採算に関する情報公開に止まらず、事業内容、経営責任、さらに監督官庁の監督責任等に関する情報にまで情報公開を押し進め、透明性を高め、国民の資産運用に「穴」を開示させなければならない。厳しい時代情況に適応できるよう特殊法人改革が必要であり、この実行が国民のセイフティネット維持・強化にとって喫緊の課題である。

 その点を踏まえると、「事業見直し」に関する情報開示に政府の腰が引けていれば、国民利益主体の特殊法人改革への展望は生まれない。今回の「事業見直し」における「情報開示」は、国民的視点から見れば腰が引け、改革を単に特殊法人組織の廃止、縮小、事業移管等を図る形式的な「事業収支」情報に限定されている。それでは情報開示が事業の廃止、縮小等を導く口実に利用される危険さえある。さらに事業採算の公開に関して、特殊法人の事業法組織を部門別に収益性の高い事業を切り離したり、不採算部門を切り離してユニバーサル・サービス的な事業打ち切りの理由にされるなどの畏れがある。

 また、採算性に問題がある場合にも、監督官庁である各省庁の事業計画の誤り、政治の介入など、特殊法人としては官僚と政権政党の支配によって歪められた例は枚挙にいとまがない。採算性を会計処理問題に限定せず、不採算に陥った原因にまでさかのぼって再検討する必要があろう。かつて国鉄の投資が、政治・官僚支配によって歪められた歴史を思い浮かべるべきであろう。

 とくに国民生活関連が深かった事業分野として、旧住宅公団は、「賃貸住宅の建設・管理は民間に委ねるなど業務形態を見直すこととし、新規の賃貸住宅の建設を行わない。また既存の賃貸住宅については、可能なものから順次、売却するなど業務形態を見直す」としている。都市基盤整備公団の一部業務を切り離し、売却・民営化する手法と組み合わせている。これはかねてから住宅管理の民営化を狙い、新規建設の中止、既存賃貸住宅の売却を進める路線であり、公的住宅供給の必要性や国民共有資産としての公的住宅を市場化に委ねる無謀な政策である。

 住宅金融公庫についても「利子補給を前提せず、融資は民間金融機関に委ねる」としている。住宅供給政策における重要な政策、なかでも公的住宅融資制度を廃止し、すべてを民間金融機関に委ねるということである。住宅金融公庫融資はただ資金融資制度問題ではない。同融資制度は住宅の質的規制手段なを含むなど多角的機能を有している。21世紀においては健康、安全に配慮した住宅の質的向上を唱う政策こそ重要である。むしろ公的融資制度を活用することが重要であろう。

 公的住宅供給という事業は、住宅供給・管理を市場経済に委ね、縮小する住宅建設を大手住宅産業の市場に純化する政策、公的住宅政策の放棄を狙っている。

4. 「事業見直し」に対する各省庁の主張と改革の方向

 内閣官房・行革推進事務局の「事業見直し」に、同じ政府部内である各省庁から全面的な反論が出されている。政府部内の論争を開示するかに見える。しかしこの仕掛けはパブリック・オピニオンを開くよりももっと「やらせ」である。元々特殊法人問題の基底には特殊法人の事業、組織運営自体から発する問題より監督省庁の責任を問うべき基本問題が根底にある。したがって、政府部内のやりとりはこれらを隠蔽する役割ともいえる。だが、ここにも「事業見直し」路線の問題点の一部が見える。いくつかの基本問題についてみてみよう。

 事業に関わる基本問題に関する反論を指摘しておこう。

  1. 都市基盤整備公団:国土政策、広域的視点から国として必要な事業を実施し、賃貸住宅はまちづくりを伴う事業に限る。
  2. 住宅金融公庫:補給金は高利子の時期に中堅勤労者が適切な負担で住宅を建築・取得するために必要不可欠である。貸付金の証券化についてその支援を検討するが現状では困難である。
  3. 日本道路公団:現行の整備区間は現行料金水準で償還可能であり、現行整備区間を超える区間は直轄事業の導入など整備手法の追加を含め、採算性を確保する方策を検討する。

 これらの「反論」には同意できる部分もあるとはいえ、基本的に既得権益を守る視点から提起され、「事業見直し」に沿っている内容も少なくない。とくに監督官庁としての責任、経営問題発生の原因分析、特殊法人経営責任の所在など国民生活、国民資産の保全、有効活用からの問題意識が乏しい。そもそも特殊法人設置目的、社会経済環境変化への適応、国民要求の公共事業計画への転換とそのなかでの特殊法人改革を論議すべきである。

5. 特殊法人を真に改革する方向

 特殊法人の事業、組織、管理・運営に関し、国民の多くが批判を持っていることはすでに指摘した。とくに政財官の癒着構造、高級官僚の天下り、ファミリー企業の育成、利益のかすめ取り等、多くの問題がある。しかし、基本的には国民生活を破壊しかねない事業、運営、無駄な事業が次々と建設されてきた事実。これらは長期に渡る政権党と高級官僚支配、これにまとわりついたゼネコン・ファミリー企業の構造を打破し、国民に必要な事業に転換することが必要である。

 こうした特殊法人経営改革が必要であるとの前提に立ち、特殊法人経営危機が生み出された監督官庁の怠慢と天下り高級官僚による経営(者)責任を追及をはじめ、特殊法人危機の原因を明らかにすることが特殊法人改革の前提作業である。

 国民生活は、「市場の失敗」(企業の経営失敗)、「政府の失敗」(政策による政府の失敗)という双方が生んだ「危機」に瀕している。危機は短期、長期危機にわたっており、特殊法人の不良債権、経営危機が国民出資の社会的資産を劣化させ、国民生活のセイフティ・ネットをすでに大きく破壊している。また、建設産業の不況によって地域経済、中小企業経営、労働者、年金生活者の営業と生活を危機に追い込んでいる。そこで当面以下を提起する。

  1. 特殊法人が実行している事業内容を国民生活失点で見直し、無駄な事業や法外な役職給与などの浪費を一掃し、国民生活関連以外の特殊法人組織を廃止する。国民生活、国民経済視点に立った「公共性」の再構築を図る。
  2. 特殊法人の経営組織を改革する。天下り官僚の「経営者支配」にピリオドを打ち、国民要求の経営情報を公開し、バランスシート、役員会議、監督官庁との折衝議事録等のすべてを開示する。
  3. 経営者および監査委員に財投原資の出資者である労働組合、国民代表を加える。その選出は労働組合、国民代表(NPO組織代表)等とする。この件について政府は選定の権限を有しないものとする。
  4. すべての特殊法人経営における経営者に国民、労働者代表の「社外重役」を選出する。
  5. 郵貯、簡保、年金基金の運用団体に関して、関係機関の代表を加え、過去のすべての財務諸表、資金循環表を作成し、欠損が生じた場合は期間限定なしの経営責任を問う規定を制定する。
  6. 特殊法人の民営化に関する事業計画書を開示させるとともに、その事業内容、事業形態、他の事業者への移管等に際し、原資出資者(預金者、保険加入者、年金権者の代表)の意向を聞くことなしに事業形態を変更できない規定を制定する。
  7. 郵貯、簡保および年金基金に関する出資者原資金額の保全立法を定める。また財政投融資会計における損失補填を国家予算上の優先支出費目とする。これら予算措置には獲得すると想定した運用益を「過去債務補填」財源とし、年金、退職金、医療基金の不足財源予算とするかまたは不足する場合は法人税率増をもって税源とする。
  8. 公共事業受注企業、関連企業は政治献金を禁ずるとともに放漫経営排除、受注者責任を踏まえ、特殊法人経営の損失補填のために受注額に応じた損失補填義務を負う。
  9. 公共事業の事業内容の構想、計画、実施等の決定に際し国民参加形態を押し広げ、決定まで現在の公共投資計画、公共事業長期計画を一時凍結する。