2002年5月22日
特定非営利活動法人 建設政策研究所
有事法制3法案が第154国会に提出され、審議が始まった。この法案は日本の進路に質的な転換をもたらすと同時に建設産業に関わる企業、労働者に重大な影響を及ぼすものである。しかし、この有事法制が建設業の経営や建設労働者の仕事、生活、ひいては日本の国土建設に具体的にどのような影響を及ぼすかについてはくわしく知らされていない。研究所は、緊急に有事法制3法案について建設分野から問題点を分析し、その危険なねらいを指摘し、世論を喚起するとともに、現在審議されている3法案の廃案を求めるものである。
有事法制3法案が第154国会に提出され、審議が始まった。この法案は日本の進路に質的な転換をもたらすと同時に建設産業に関わる企業、労働者に重大な影響を及ぼすものである。しかし、この有事法制が建設業の経営や建設労働者の仕事、生活、ひいては日本の国土建設に具体的にどのような影響を及ぼすかについてはくわしく知らされていない。研究所は、緊急に有事法制3法案について建設分野から問題点を分析し、その危険なねらいを指摘し、世論を喚起するとともに、現在審議されている3法案の廃案を求めるものである。
自民党政府は三矢作戦以来、長期にわたって有事法制の研究を行い、立法化をねらってきたが、世論のきびしい批判のなかで国会提出を果たせずにきた。ソ連崩壊後、アメリカの新世界戦略にそって日米共同軍事作戦がすすめられるように、「日米防衛協力のための新ガイドライン」を策定し、99年には周辺事態法を、2001年にはテロ対策法を成立させた。しかし周辺事態法の本格的な発動のためには国内法の整備が必要になり、今回、小泉内閣の手によって提出されるに至った。
有事法制の制定は、アメリカ政府が繰り返し要求していたものである。アメリカは「悪の枢軸」と名指しした国の存在する南西アジアと北東アジアを戦略的に重視し、必要とあれば国連が認めなくても米軍が「強制進入」作戦を行うと言明し、日本政府に対し、集団的自衛権の承認と強制動員の立法措置を迫っていた。
これを受けて、小泉首相は「備えあれば憂いなし」と有事法制の必要性を強調し、政府は最初、テロ対策、不審船対応を理由とした法制化の世論誘導を行っていた。しかし、提出された法案にはテロ、不審船対応条項はなく、しかも、当面日本が「武力攻撃」を受ける可能性もないと防衛庁長官が言明するなかでの法案提出は、@アメリカが「悪の枢軸」と名指しした国へ干渉戦争を行うために日本国民の強制動員体制を確立すること、A日本を「戦争する国家」へ変質させ、有事(戦時)の際の「基本法」を制定することを目的とするものである。
そして、今回の基本法の制定後、戒厳令や民間防衛組織の設立、アメリカ軍の日本での軍事行動の自由を保障する個別法整備を矢継ぎばやにすすめようとしている。しかも、有事体制は有事事態になってからでなく、平時から有事(戦時)態勢に向けて市民社会の有事(戦時)化をすすめて効力のあがるものである。当然のことながら日常的に国民管理、治安強化がすすめられる。
戦争は、アフガニスタンの例を見るまでもなく国土および国民の生命と生活の破壊を目的に行われるものである。今回の有事法制の立法化は平和目的を前提に建設・使用してきた空港、港湾、道路、官民の諸施設を戦争目的に大転換するものであり、日本の基本方針の転換を意味し、戦争放棄を定めた日本国憲法をじゅうりんして、第9条をはじめ、国民の基本的人権や自由、財産権、議会制民主主義、国民主権、地方自治などの民主主義諸原則をふみにじるものである。
今回上程された有事法制3法案は、武力攻撃事態法案、自衛隊法「改正」案、安全会議設置法「改正」案から成っている。武力攻撃事態法案は戦争(アメリカの干渉戦争を含む)を想定して国の諸機関と国民を動員する基本法で、自衛隊法「改正」案ではその具体的内容について補強しており、特に建設関係諸法の適用除外や建設業者、建設労働者の動員体制について具体的に定め、安全保障会議設置法「改正」案で、会議の構成に「国土交通大臣」を加えて、有事における建設・運輸分野の役割を体制的に強化することを定めている。
武力攻撃事態法案の特徴
建設分野の動員の法的根拠は自衛隊法の「改正」である。「改正」案によれば、有事事態(おそれ、予測段階も)には、多くの建設関連法の規定が適用除外になり、「国土建設・保全、公共の福祉の増進」の目的が放棄させられて、戦争目的のための防御施設(陣地)の構築がすすめられ、この業務に建設業者、建設労働者が真っ先に動員されることになることである。
有事事態には、強制的に病院、診療所などの施設、民間の土地、家屋、物資を提供させられる。収用される物資には食糧、医療品などとともに、土木建築資材、重機、クレーンなどの建設機械、ダンプなどのトラックが対象になる。業務従事命令は、医師、看護士、運転手などとともに、○土木技術者、建築技術者、建設機械技術者、○大工、左官、とび職、○土木業者、建築業者、およびこれらの者の従事者が対象になる。従来は対象者の範囲を定める政令は未制定であったが、「改正」法が成立すると政令に明記される。
このため、施設、土地、家屋、物資の所在する場所または取扱物資を保管する場所に立ち入り、検査(103条の13,14)することができる。この立ち入りを拒み、妨げ、忌避すると犯罪(20万円以下の罰金刑)になり、指定された物資の保管命令に反し、物資を隠匿、廃棄、搬出すると懲役を含む罰則が課せられる。他国への侵攻を行う米軍への非協力も犯罪となるのである。
1)自衛隊法「改正」案は、建設分野では次のような特徴がある。
2)建設関連諸法の適用除外は次のような内容である。
これまで自衛隊法の中の法律の適用除外は、航空法、労働組合法、船舶法、船舶職員法、電波法、航空法、道路運送法、道路運送車両法、ダンプ規制法、消防法など主として通信、運輸関係であった。
今回の「改正」では、日本国土を陣地(前進基地、兵站基地)とすることを想定して、防御施設の構築、つまり指揮所、大砲やミサイルの発射台、野戦病院、墓地、航空機の発着施設の建設のために別表のような建設関係諸法の適用除外が指定されている。その内容は「防御施設の構築その他の行為については(この法律は)適用しない」法律と「管理者に通知する」だけで防御施設の構築を強行できる法律とを分けて指定している。
「適用しない」法律は港湾法、土地収用法、森林法、土地区画整理法、都市公園法、首都圏近郊緑地保全法、近畿圏保全区域整備法、都市計画法である。これらは艦船の入港、物資の貯蔵などの港の使用、森林、都市近郊などでのミサイル基地、航空基地、演習場などの陣地の構築にあてるものと見られる。近畿圏では文化財の保存も無視される。
部隊の移動に敏速に対応するため、指揮所、野戦病院、保管施設などの建設などについては、消防法、建築基準法の許可などを適用除外にするとしている。
一方的に「通知する」ことによって適用除外する法律は、道路法、自然公園法、道路交通法、河川法、都市緑地保全法である。また、通知を受けて「管理上、保全上必要ある場合には意見を述べることができる」とする法律は、都市公園法、海岸法、自然公園法、河川法、都市緑地保全法である。これらは道路、河川、海岸、国立公園、都市公園などで適用除外のまま防御施設等の構築を図ることが国土の保全、秩序などに支障を及ぼす場所については「通知をして、専門的な立場から意見を聴取して」実施するためと見られる。
「公共の福祉」の名目で、国土、施設、財産が、戦争のために動員される
今回「改正」で「適用除外」にする法律の大部分が建設関連法である。日本の国土全体を対象に、手続きなしで防御施設(攻撃陣地、兵站基地も)を構築、使用できるようにしようとするものである。すでに、米軍によって、日本の主要34港、11空港の調査が終わっており、基地、空港、港をつなぐ(高規格)道路の建設が進んでいる。平和目的に造った施設、建造物が戦争目的に使用されることになると同時に、ムダな公共事業といわれる地方空港、「釣り堀」港も軍事目的への転用が可能になる。
これらの適用除外される法律は「国土の適正な使用、保全など公共の福祉の増進を図る」、また「国民の生命、財産の保護を図り、公共の福祉の増進に資する」ことを目的としてつくられた市民生活に欠かせない法制度であり、これらの目的を持った法律が、米軍の侵攻作戦、自衛隊の部隊展開のために踏みにじられることになる。政府は「公共の福祉のため」の有事法制だと言っているが、国民の生命、財産を守り、公共の福祉を増進させる法律を、戦争目的の「公共の福祉」で踏みにじることは許されない。
陣地の構築は、生活環境を悪化させ、自然の生態系を破壊する犯罪である
当然のことながら、軍隊の展開地域では指揮所、野戦病院の建設、攻撃及び防御用ミサイルや大砲基地建設、ヘリコプター、戦闘機の発着場、航空機用掩体、演習場建設など、ぼう大な面積を必要とする陣地が、森を切り開き、公園をつぶして構築される。また、演習による山野の破壊もすすむ。すでに沖縄、本土5箇所の演習場では、米軍による実弾演習で山野が禿げ土になっている。
「すぐれた自然の風景地を保護する森林の保護・培養、緑地の保全によって住民の健全な生活環境を確保するため」の森林法や緑地、公園関連法を適用除外とし、立ち木の伐採をはじめ広大な基地、演習場を構築することは、国民の生活環境を悪化させ、自然の生態系を破壊する犯罪行為である。
青紙「公用令書」一枚で、建設業者、建設労働者が動員される
これらの陣地、施設建設のために建設業者、建設労働者が大々的に動員される。立ち木の伐採、道路、橋の建設、家屋の収用、模様替え、解体などの業務に従事させるため、業者、個人に名指しで従事命令(徴用)が出される。すでに住民基本台帳(国民背番号制)によって本人の職歴、技能など2000項目に及ぶ情報がインプットされており、大工、とび職など建設労働者は名指しで従事命令が出される。建設業者に従事命令が出されると、下請け業者も公用令書なしで工事に駆り出され、建設業者や下請け業者に雇用されている労働者は業務命令で働かされることになる。
青紙「公用令書」一枚で、建設業者の経営を踏みにじり、ぼう大な建設労働者を戦争目的の工事に駆り立てる。まさに、基本的人権、営業の自由を侵害する法律である。
建設資材の在庫調査を拒否したり、押さえられた資材を使うと犯罪になる
建設業者に対し、土木、建築、設備用の建設資機材、重機、クレーンなどの建設機械の立ち入り調査が行われ、一方的に保管命令が出される。軍が必要とする物資は収用(徴発)が行われる。これらの物資の立ち入り調査への拒否は犯罪となる。指定を受けた建設資材などの物資の隠匿、搬出には懲役刑を含む罰則が課せられる。「戦争には反対」と拒否しても犯罪となり、処罰される。しかも、これらの資機材の内容は明示されず、法制化だけが進行している。戦前の国家総動員法でも物資名は明記されていた。まさに、憲法で保障された財産権の侵害である。
建設業者、労働者は、平時から常に戦争動員の危険にさらされる
武力攻撃の「おそれ」、「予測される事態」の段階から、これらの物資の収用、業務従事動員が発動される。特にアメリカはテロへの報復を「テロ戦争」とし、「悪の枢軸」論によって「常時戦時体制を組み」、武力攻撃以前でも「先制攻撃」を行うと明言している。これらの作戦計画は、アメリカが規定すれば「周辺事態」となり、有事法制が発動される。建設業者、建設労働者は、法案成立後から常に戦争動員の危険にさらされることになる。
建設活動は平和のために、豊かな生活のために
憲法を踏みにじった戦時態勢づくり、アメリカの干渉戦争への参戦のために、「国土の建設・保全、公共の福祉の増進」を目的とする諸法律を無視した国土・自然・環境破壊は国民の「安全・安心」に真っ向から挑戦するものである。平和でなければ良質な建造物の建設・保全はできない。このような有事法制3法案は廃案にし、憲法の精神に基づいた国土・社会建設をすすめるべきである。建設活動は戦争のためでなく、良質な建造物の建設を通じて豊かな生活を保障することにある。
別表
周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律
(平成11年5月28日法律第60号)
(目的)
第一条 この法律は、そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態(以下「周辺事態」という。)に対応して我が国が実施する措置、その実施の手続その他の必要な事項を定め、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(以下「日米安保条約」という。)の効果的な運用に寄与し、我が国の平和及び安全の確保に資することを目的とする。
自衛隊法抜粋(1954年6月9日法165号)
(防衛出動時における物資の収用等)
自衛隊法103条関係
1自衛隊が出動を命ぜられ、自衛隊の行動にかかる地域において自衛隊の任務遂行上必要があると認められる場合には、都道府県知事は病院、診療所その他政令で定める施設を管理し、土地、家屋若しくは物資を使用し、物資の生産、集荷、販売、配給、保管若しくは輸送を業とする者に対してその取り扱う物資の保管を命じ、またこれらの物資を収用することができる。
2自衛隊が出動を命ぜられた場合においては、自衛隊の行動にかかる地域以外の地域においても、都道府県知事は自衛隊の任務遂行上特に必要があると認められるときは、施設の管理、土地の使用若しくは物資の収用を行い、又は取り扱い物資の保管命令を発し、又当該地域内にある医療、土木建築工事又は輸送を業とする者に対して、当該地域内においてこれらの者が現に従事している医療、土木建築工事又は輸送の業務と同種の業務で長官又は政令で定める者が指定したものに従事することを命ずることができる。
3災害救助法関係
4第2項に規定する医療、土木建築工事又は輸送に従事する者の範囲は政令で定める。
5自衛隊が出動を命ぜられた場合における施設の管理、土地等の使用、物資の保管命令、物資の収用又は業務従事命令について必要な手続きは政令で定める。
12345の政令は未制定。
(適用除外)
新設105条関係
■消防法(115条の3)
目的「火災を予防し、警戒し及び鎮圧し、国民の生命、身体および財産を火災から保護するとともに、火災または地震等の災害に因る被害を軽減し、もって安寧秩序を保持し、社会公共の福祉の増進に資する」=火災の予防、警戒、消火、危険物の扱い、消防設備の設置、点検、管理。
適用除外の内容「応急措置として新築、増築、改築、移転、修繕、または模様替えを行った防火対象物には適用しない」が加わる。
■墓地、埋葬法(115条の4)
■医療法(115条の5)
■漁港、漁場整備法(115条の6)
■建築基準法(115条の7)
目的「建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資する」=建築基準、建築確認・検査、違反建築物の措置。
適用除外の内容「破損した建築物の応急修繕、応急仮説建築物の建築物については適用しない」「出動命令の解除があった後許可を得る」
■港湾法(115条の8)
目的「交通の発達および国土の適正な利用と均衡ある発展に資するため、港湾の秩序ある整備と適正な運営を図るとともに、航路を開発し、及び保全する」=港湾区域、施設管理、工事許可。
適用除外の内容「防御施設の構築その他の行為については適用しない」
■土地収用法(115条の9)
目的「公共の利益となる事業に必要な土地等の収用又は使用に関し、その要件、手続き及び効果並びにこれに伴う損失の補償等について規定し、公共の利益の増進と私有財産との調整を図り、国土の適正かつ合理的な利用に寄与する」=土地および権利の収用・使用事業、土石砂れきの収用。
適用除外の内容「防御施設の構築その他の行為については適用しない」
■森林法(115条の10)
目的「森林計画、保安林その他の森林に関する基本的事項を定めて、森林の保護培養と森林生産力の増進とを図り、もって国土の保全と国民経済の発展とに資する」=森林計画、伐採の届け出、開発行為の許可。
適用除外の内容「防御施設の構築その他の行為については適用しない」
■道路法(115条の11)
目的「道路網の整備を図るため道路に関して、路線の指定及び認定、管理、構造、保全、費用の負担区分等に関する事項を定め、もって交通に発達に寄与し、公共の福祉を増進する」=国道の維持・修繕・管理、道路の占有許可、通行の禁止・制限
適用除外の内容「破損し、決壊している道路を通行するために応急措置として行う道路工事については通知する」「防御施設の構築その他の行為については通知する」
■土地区画整理法(115条の12)
目的「都市区画整理事業に関し、その施行者、施行方法、費用の負担等必要な事項を規定することにより、健全な市街地の造成を図り、もって公共の福祉の増進に資する」
適用除外の内容「防御施設の構築その他の行為については適用しない」=土地区画整理事業、管理。
■都市公園法(115条の13)
目的「都市公園の設置及び管理に関する基準等を定めて、都市公園の健全な発達を図り、もって公共の福祉の増進に資する」=都市公園の設置・管理、施設の設置・管理。
適用除外の内容「管理上必要ある場合には意見を述べることができる」「防御施設の構築その他の行為については適用しない」
■海岸法(115条の14)
目的「津波、高潮、波浪その他海水又は地盤の変動による被害から海岸を防護し、もって国土の保全に資する」=海岸保全区域管理、占用、制限
適用除外の内容「保全上必要ある場合には意見を述べることができる」
■自然公園法(115条の15、国立公園、国定公園等)
目的「すぐれた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図り、もって国民の保健、休養および教化に資する」=公園の指定、公園事業、特別保護地区、現状回復命令。
適用除外の内容「自然公園保護上必要ある場合には意見を述べることができる」「防御施設の構築その他の行為については通知する」
■道路交通法(115条の16)
目的「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、および道路の交通に起因する障害の防止に資する」=交通規制、違法駐車
適用除外の内容「防御施設の構築その他の行為については通知する」
■河川法(115条の17)
目的「河川について洪水、高潮等による被害の発生が防止され、河川が適正に利用され、及び流水の正常な機能が維持されるようにこれを総合的に管理することにより、国土の保全と開発に寄与し、もって公共の安全を保持し、かつ、公共の福祉を増進する」=河川管理、河川工事
適用除外の内容「河川区域内の土地における土地の掘削、盛土または切土を除く工作物の新築等は通知する」「管理上必要ある場合には意見を述べることができる」
■首都圏近郊緑地保全法(115条の18)
目的「首都圏の近郊整備地帯において良好な自然な環境を有する緑地を保全することが、首都及び周辺の地域における現在及び将来の住民の健全な生活環境を確保するため、ひいては首都圏の秩序ある発展を図るために欠くことができない条件であることにかんがみ、その保全に関し必要な事項を定めることにより、近郊整備地帯の無秩序な市街地を防止し、もって首都圏の秩序ある発展に寄与する」=保全地域の指定、都市計画、行為の届け出。
適用除外の内容「防御施設の構築その他の行為については適用しない」
■近畿圏保全区域整備法(115条の19)
目的「近畿圏の建設及び秩序の発展に寄与するため、近郊緑地の保全その他の地域の整備に関し特別の措置を行い、近畿区域内の文化財の保存および緑地の保全、観光資源の保全若しくは開発に資する」=保全地域の指定、都市計画、行為の届け出。
適用除外の内容「防御施設の構築その他の行為については適用しない」
■都市計画法(115条の20)
目的「都市計画の内容及びその決定手続き、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もって国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与する」=都市計画、都市施設、開発許可
適用除外の内容「防御施設の構築その他の行為については適用しない」
■都市緑地保全法(115条の21)
目的「都市における緑地の保全および緑化の推進に関し必要な事項を定めることにより、良好な都市環境の整備を図り、もって健康で文化的な都市生活の確保に寄与する」=都市計画、行為の制限、現状回復命令、土地の買い入れ、緑化協定。
適用除外の内容「防御施設の構築その他の行為については通知する」「管理上必要ある場合には意見を述べることができる」
公用令書により業務従事命令を受ける対象者
(防衛庁有事法制検討「中間報告」・12業種・1981年)
○医師、歯科医師、薬剤師、診療X線技師
○看護婦、准看護婦、看護士、准看護士、保健婦
○土木技術者、建築技術者、建設機械技術者
○大工、左官、とび職
○土木業者、建築業者、およびこれらの者の従事者
○地方鉄道事業者およびその従事者
○軌道経営者およびその従事者
○自動車運送業者およびその従事者
○船舶運送業者およびその従事者
○航空運輸業者、航空機使用事業者およびその従事者
○港湾運送業者およびその従事者
○馬車、牛車を持って運送に従事する者
周辺事態法9条によって「協力が求められる」予想事項の一部
(内閣・防衛庁・外務省「周辺事態法の解説案」・1999年)
○空港、港湾施設の使用
○燃料貯蔵施設の新設
○指揮所、飛行機の掩体施設
○倉庫土地の貸与
○自治体の体育館、公民館、学校施設の貸与
○水道管敷設
北朝鮮有事を想定して米軍が要求した対日支援1059項目の一部
(衆議院特別委員会「統合幕僚会議内部資料」・1999年)
○海上自衛隊による掃海
○海上保安庁による水路の警備
○松山、大阪、名古屋、水島、福岡、神戸港の使用
○八戸、苫小牧、天顔、金武湾、那覇港の公共岸壁使用
○船舶修理・荷役人
○パイロット(水先案内)
○タグボート(曳き船)
○荷役作業や資器材を保管する保管する地域の確保
○宿泊・給食機能付き事務所の確保
○木材・梱包機器材などの提供
○成田、福岡、長崎、那覇空港使用と24時間通関態勢
○新千歳、関西、宮崎、福岡、鹿児島、那覇空港物資輸送の中継点としての使用と労務の提供
○警察・自衛隊による警備
○沖縄の海兵隊キャンプと岩国基地で、トラックとトレーラー計1370台、クレーンとフォークリフト計114台
○沖縄で865個、佐世保で240個、岩国で228個のコンテナとその輸送、沖縄地区の港湾で11トントラック96台
○神奈川、沖縄での大量の需要物資の輸送、NEO支援用の簡易寝台や毛布など3万セット。うち2.5万セットは嘉手納基地用
米軍に調査されていた日本の港湾施設
(「米海軍太平洋港湾記録」より・1997年「平和新聞」)
稚内、小樽、釧路、根室、苫小牧、函館、青森、大湊、八戸、仙台、新潟、横須賀、横浜、熱海、下田、沼津、名古屋、鳥羽、舞鶴、大阪、神戸、呉、江田島、岩国、松山、福岡(博多)、佐世保、長崎、別府、鹿児島、金武湾(レッドビーチ)、那覇、バックナー湾
調査項目―入港、水先、潅漑、燃料、重機取り扱い、給水、飛行場、補給、クラブ・バー、食堂、ホテル、ごみ・廃棄物処理、買い物、平和団体の動向など