2004年度 地域住宅産業プロジェクト研究報告 2004/12/11


          地域住宅産業プロジェクトの経過と出版企画について
                                                     地域住宅産業プロジェクト事務局

1.プロジェクトの課題、メンバー、スケジュールなど

 本年度の地域住宅産業プロジェクトは、昨年度半ばより開始した大手住宅メーカーの研究を引き続き深め、研究成果を取りまとめる目標で取り組んだ。
 構成メンバーは、責任者 坂庭国晴、助言者 蟹沢宏剛、事務局 今井 拓、メンバーは、荒井 春男、新井 英明、惠羅 さとみ、北島 翠、島村 賢一、澤田 高志、松浦 多喜二、三浦 祐成、和田 佳一である。
 プロジェクトの目的は、@ 大手住宅メーカーの経営、生産システム、労働実態の調査・研究を通じて大手住宅メーカーの住宅づくりの特徴を把握すること それとの関連で、A 政府の住宅産業政策の動向の分析やまた地域住宅産業への影響と展望を明らかにすること である。また、研究成果を書籍として出版することをめざしている。年度当初の課題とスケジュールは次の通りである。

(1)課題
 1)ハウスメーカーの成り立ちと歴史について
   (重点は住宅産業政策の展開と歴史的経過におく)
 2)ハウスメーカーの施工体制と下請・地域工務店との関連について
   (重点は施工体制の実態を把握し、その中での下請・地域工務店の関連と役割、問
    題点や課題を明かにすることにおく)
 3)ハウスメーカーの経営実態と企業戦略について
   (個別のハウスメーカーの企業・経営分析を行い、個別企業の特色、経営戦略の最
    近の特徴を把握し、明らかにする)
 4)ハウスメーカーの今日的な凋落とその要因について
   (昨年度の「ハウスメーカー研究概論―三浦氏のレクチャー」を一つの柱に、上記
    の1、2、3の調査・研究の成果も反映させ、深めていく)
 5)ハウスメーカーの(本質的)限界と地域住宅産業の展望について(提言)
   (上記1、2、3、4、および「ハウスメーカー研究概論」、1昨年度の研究報告書
    等を活用し、地域住宅産業の今後の展望を明かにしていく)
 6)「住宅新産業ビジョン」の分析と問題指摘、今後の対応について
   (今年6月の「住宅新産業ビジョン」(中間報告)の分析を行い、どのような問題点
    があるのか、またこうした「ビジョン」に今後どう対応していくのかを提起する)

(2)スケジュール
 上記「研究課題」の(1)、(2)を先行してすすめ(3月〜5月)、引き続き(3)、(4)および(6)の研究課題に取り組み(6月〜9月)、(5)をまとめとして(10月〜11月)仕上げていくスケジュールを予定する。

2.経過

 今年度は会議を9回開催した。それぞれのプロジェクト会議の議題と報告テーマなどは次のとおりである。

第1回プロジェクト会議 2月5日 上記 研究課題とすすめ方を確認
第2回プロジェクト会議 3月10日 荒井春男氏レクチャー「住宅産業政策の歴史的展開過程」
(大手住宅企業従事者ヒアリング 2件)
第3回プロジェクト会議 4月15日 @ 蟹沢宏剛氏資料紹介(澤田光英「わたしの住宅工業化、産業化源流物語」) A 大手住宅企業ヒアリング報告
(大手住宅企業従事者ヒアリング 2件)
第4回プロジェクト会議 5月20日 @ 島村氏文献内容紹介(上記澤田光英氏文献)、北島氏文献紹介(田邊平学氏の住宅不燃化論)、A 大手住宅企業ヒアリング報告 B グループ分け
(住宅企業戦略・動向について環境共生住宅施行管理・コンサル会社社長ヒアリング)
住宅産業史・生産システム調査グループ合同会議 6月16日 調査グループの課題と方向
住宅産業史調査グループ打ち合わせ 6月30日 @ 社史レポートの分担 A 居住者アンケート項目
第5回プロジェクト会議 7月14日 岩下繁昭氏レクチャー「部品化による生産システムの変容」
第6回プロジェクト会議 8月11日 @ 積水ハウス社史報告(島村氏)、旭化成社史報告(北島氏) A 居住者アンケート項目検討 B 書籍出版企画内容検討
第7回プロジェクト会議 @ 大和ハウス社史報告(坂庭)、住友林業社史報告(今井)、トヨタ・松下社史報告(惠羅氏) A 書籍の出版計画について B 居住者アンケート項目決定
第8回プロジェクト会議 @ 10月19日 全建総連東京都連 宮本英典氏レクチャー「住宅メーカーとの企業交渉の歴史と交渉内容」 A 出版企画構成、執筆分担、ページ数について
第9回プロジェクト会議 @ ハウスメーカー居住者アンケート回収分の内容について(坂庭) A 北島翠氏「ハウスメーカー誕生の歴史」の内容紹介 B 出版企画(内容、執筆分担、ページ数)

 プロジェクトでは、財務資料、社史の検討、下請業者の経営や労働実態に関する現場従事者のヒアリング、及び生産システム・経営戦略に関するヒアリング・レクチャーなどによって、大手ハウスメーカーの特徴と現状の把握をすすめた。調査・研究内容の一端は、建設政策98号の特集「大手ハウスメーカーの動向とあらたな住宅産業政策」に掲載されている。各論文の著者と表題は以下の通りである。

 坂庭 国晴「ハウスメーカーの動向と新たな住宅市場――旧耐震住宅の建替えをテコに」
 今井 拓 「ハウスメーカーの財務分析――積水ハウスとミサワホームを中心に」
 惠羅さとみ「ハウスメーカーと下請業者の関係の変化及び労働者への影響――近年の多様な請負形態の動向から――」
 北島 翠 「ハウスメーカー誕生の歴史――プレハブ生産化から在来木造への進出をねらう」

 ハウスメーカーについて市販されている文献は、就職先の選択や購入先の選択に対して情報を提供しようとするものがほとんどである。あるいはまた、それ以外のものとしては、ハウスメーカーのマーケティング戦略を分析したものなどが目立つ。それらと比較するとプロジェクトの調査・研究内容は次のような特徴がある。第1に、現場従事者ヒアリング、居住者アンケート、住宅コンサル会社ヒアリングなどによって、造り手、住み手、また経営側の三者のそれぞれの視角からハウスメーカーの家造りの実態に迫ろうとしている。第2には、主な大手ハウスメーカについて社史、史料、有価証券報告書を検討し、歴史的発展と財務実態・経営戦略の実体的変化の双方から、問題点を探ろうとしている。第3に、住み手と造り手の双方に問題を投げかけようとしている。
 

3.書籍『家は買うものか、造るものか』の出版企画

 現在、研究成果の書籍としての出版をめざして、内容・構成を深めつつ、分担にそって執筆をすすめつつある。未だ出版社の決定に至っていないが、4月頃出版のスケジュールを想定して作業をすすめている。内容としては、ハウスメーカーのポジティブな面とネガティブな面の両面を明かにしながら、「家は買う物なのか、造る物なのか」という家づくりへの基本的な視角を提起していく。内容構成、執筆担当者、字数は、つぎの通り。

(1)居住者・購買者から見た特徴             坂庭     5000字
 (2)施工業者・労働者から見た特徴           惠羅    15000字
 (3)財務・経営戦略から見た特徴          今井・辻村   40000字
 (4)ハウスメーカーの成り立ちから見た特徴      北島    20000字
 (5)住宅政策から見た特徴                 坂庭    13000字
 (6)家は買うものか創るものか               蟹沢     7000字
  補論 ドイツの住宅と社会生活              島村    10000字

 出版に向け、調査・研究面で残された課題としては、@ 各社毎の具体的な経営内容や戦略動向の分析を深めること、A 居住者アンケートの集約と分析、がある。それらを補いながら、執筆作業をすすめ、4月頃の出版をめざしていきたい。


部品化による生産システムの変容
ものつくり大学
建設技能工芸学科 教授
岩下 繁昭
1.部品化のあゆみ

 まず1960年代の部品開発の時代ですけど、住宅公団が発足したのが1955年、昭和30年です。さらに住宅公団がきっかけになっていわゆるダイニングキッチンは住宅公団からとよく言われています。狭いスペースをいかに使うかということですが。公団住宅だけでなく都営住宅も含めたいわゆる形成部品、公共住宅用規格部品(KJ)というのが1959年にスタートしました。その前までにもステンレス流し台とかありましたが(換気扇、スチールドア、小型洗面器、洗面化粧台など)登場してきたわけですね。これは集合住宅用ですけど、それ以外に戸建て用住宅用部品に影響し、この頃公営住宅公団あわせて10万戸以上作られているので、量産化のきっかけになっているわけですね。オリンピックの前ぐらいですとモノも手に入らないということで、公営住宅などでは東京都が部品・部材を支給するということもあったわけです。
 そして1961年にアルミサッシが始まりました。実際にはその前に三機工業が3Sサッシというスチールサッシを出したんですけど、これはかなり日本のアルミサッシを生むモジュールとか、バリエーションをスチールでやっています。既存住宅を含めたアルミ化率というのは同時日本サッシ協会の推定によると、1965年が11.3%、74年になりますと87.6%とすごい勢いで日本住宅がアルミに変わってしまったわけです。アルミサッシとステンレスの流し台、浴槽この3つがルーツになっています。アルミサッシが手掛かりとなって、ホームドア、雨戸、ひさしユニットなど一つのものがきっかけにそのまわりのものがどんどん商品化されてきたわけです。そしてお風呂も、最初はハーフユニットバスだったものがホーロー浴槽、ポリバス、キッチン設備まわりの部品も1965年には大体出回ってきました。ちなみにバスユニットとして商品化されたものとしては、東京オリンピック(1964年10月)の2ヶ月前に完成したホテル・ニューオータニに納入されたのが最初です。高度な木工機械を備えた規格建具メーカーの技術および設備が内装部品化の原動力となりました。1962年、中型PC量産公営住宅開発に合わせ、パネ協(日本住宅パネル工業協同組合)というのが発足しました。内装パネルです。パネ協も戸建て住宅の世界に入ろうとしたのですが目が出ませんでした。もともといわゆる規格ドアを作っていた人たちが始まりで、日本規格建具工業会の中から13社が集まってパネ協は設立されました。
 私も60年の終わりにこの業界に入りまして、70年代のユニット化に携わってきました。特に工業化を推進していく現場作業を工場に分担するということで、部品よりユニットにまとめてしまうことで、いろいろなユニットが開発されました。ルーツとしてはキッチンムーブネット(シンク・コンロ・収納棚などを一体化したもの)が、加山雄三のお父さんの経営する茅ヶ崎パシフィックホテルで菊竹清訓さんが導入したムーブネットが最初で、確か20年ぐらい前まではありましたが、いまはどうでしょうか?まあ、これは余談ですが1967年に発売されたキッチンパネルと合わせ、その後のキッチンユニットの原型になりました。しかしユニットで最後まで残ったのはバスユニットです。
 あとはインターウォール(収納間仕切り壁)もありますね。こういったものはすべてシステムまでいきますが、そのもとになったのはEPAの考えです。日本では日本生産性本部というものがかってありましたが、ヨーロッパにはEPAと言いましてEuropean Productivity Agencyヨーロッパ生産性本部をマーシャル・プランに基づいて、アメリカが1953年に作りまして、ヨーロッパの復興を始めたんです。EPAで考えたコンセプトというものが日本に入ってきたのは1965年以降ですが、工業化のバイブルとなり現在はなくなってしまいましたが「国際建築」という雑誌でも、当時翻訳されていました。我々の教材として使ってきましたね。
 1970年代になると多くのユニットが生まれてきました。一番極端な例として積水ハイムのルームユニットです。こういったことで工期の短縮とか現場工数の削減、何よりも必要職種の減少ということにつながりました。もう一つはユニットにしてしまいますと中は外とのインターフェイスが単純になりました。置けばいいということで複雑な部分は自分の会社の中で考えれば良いということもメリットとしてありました。カタログに載っているユニットの数はものすごく多い数で、コンピュータの情報の中で一品生産しているというのが実情です。共通部品を使って。ユニット化によって始めて出た部品となったものもあるわけです。製品単価が一桁上になる、大体モノのロットというのは生産コストではなくて流通ルートに載せるための費用で決まる場合が多く、単価が高いとロットは少なくてもよいわけです。
ユニット化によって初めて住宅部品となった部分も多い理由を次のようなことが考えられます。
@まとめることによる付加価値の増大(製品単価が上がるので量の確保が不要)
Aユニット内はクローズドシステムでよい(工夫が出来る)
B設計・発注の手間の減少
C現場での仕事がまとまる
などです。ただ、それでも今度は種類を求めるニーズが高くなり、ユニットではできないということでシステム化の時代となるわけです。オイルショックの後量から質へという流れになり、フレキシビリティーの工場とか多様なユーザーニーズの対応70年代の終わりに出てきました。ものプラス仕事、材工一式というシステムをサブシステムと言って、今でもそういいますが、トータルという住宅のシステムをいくつかのサブシステムとしてまとめる、内装システム、外装システムなどそういうものです。1974年ぐらいから1980年代にかけてシステム化ということで、われわれKEPという住宅公団のオープンビルディングのプロジェクトを1979年まで私も参加していましたが、住宅公団の研究費のかなりの部分を使わせてもらいました。
 ともかく住宅部品化の大きな流れとしては、1950年代の新建材の開発、60年代の部品化、70年代のユニット化、80年代のシステム化と変わってきたというわけです。

2.部品化などによる現場労働時間の短縮

 部品や建材を使って現場労働の時間がどれだけ短縮してきたか、ということですが1955年からの40年間で在来木造住宅の現場労働時間は、4分の1に減少しました。例えば100平米の家を考えた時に1955年昭和30年では、750人日かかっていたものが、60年には500人日、65年になると380人日、70年代には300人日を切ってしまい、現在では200人日を切ってしまいました。たくさんある在来工務店の世界の話ですが。ほか色々なデータ、建設省の総合政策局、昔の経済局のデータでもこういったことがうなずけます。最初の1955年から60年一気に250人日減ったのは、ラスボートなど新建材の寄与するところが大きい。プリント合板などもそれです。その次、60年から65年になりますとアルミサッシや部品が住宅に入ってきたことにより平米あたり1、2人日程減少しました。そして65年から75年東京オリンピック後にこの10年間は暮らしの洋風化に変わり、和室が減りました。真壁から大壁になりまして、極端な話柱なんか仕上げなくてもいい、というようなことです。いま、神奈川県など関東の南では和室は1室くらいないところもあります。我々のいる埼玉で大体2室ぐらい、非常に洋風化というのはかなり影響があります。そして75年以降はあまり減っていません。逆に手間をかけて質ということになり、いろいろな設備が入り、現場でつけるのに手間がかかるということです。
 90年から95年過去10年間は、ローコスト住宅が登場し工務店も勝負しなくてはなりませんから、アイフルホームなどのローコスト住宅などはアメリカ並みです。作り方が基本的に洋風です。そうすると工務店もついつい手間のかからないものになってしまう。それから乾燥材とプレカットの普及があげられます。ちなみに1988年の住団連のデータによると例えばプレハブの鉄骨ユニット0.621、木造ですと2人日/uです。

3.住宅コストに占める資材費と労務費

 1998年に住宅金融公庫からうちの会社が2年間にわたり委託研究したデータ、わりといいデータが集まりました。お客さんに対する見積り額、住宅の見積り額というのはお客さんが納得するような形で書いてあります。いろいろなところでお客さんが一番納得するような見積もりを作っています。これは参加する人の予算の公平な分配という目的もあるわけですね。ですから、実行予算が重要になってきます。一例として147.39uの標準的な住宅を見積もったデータがありますが、どんな工務店でも作ったことのあるようなモデルの見積もりです。工務店と工事店の資料がありますが、工事店では材料費の比率が当然左官屋さんと設備工事やさんでは違います。ここでは材料費が何パーセントかということで、工事店の粗利益は大体20%ということで80%を材料費と労務費で分けるということで、積み上げていくわけです。粗利益20%というのも説得力のある数字ですね。実情の利益は12%ぐらいですが。工務店経費が20%、工事店経費が16%、問屋・商社の経費が4%、物流経費が6%、労務費が24、74%、材料費が29.34%となっていますが、労務費をどんなに減らしても住宅が安くなるわけではなく問題は上のほうの経費を、見えない部分の経費をどうするのかということです。
 別の推計で労務費の比率を見てみますと、国土交通省総合政策局では産業連関表を作るために毎年着工統計用の原単位の調査を行なっていますが、木造住宅についてサンプルは少なくだいたい20程度になっています。当初は10u、最近では契約金額100万円を単位としています。これを換算しなおしますと、いわゆる住宅一軒作るための労務費ですが、今や20%ぐらいなんですね、在来の工務店が対象で。例えこれが半分になったところで住宅がその分安くなるわけではないんですね。
 そして賃金が安くなっていますが、労働生産性というのは本当にインチキでですね、結局は国際比較する場合にお金でしかないわけで、1990年の日本の建設の労働生産性といったら世界の倍ぐらいなんですね。工事単価が高かったから今や、坪100万したものが20数万円と4分の1ぐらいにマンションなんか下がってますから、労働生産性は日本の建設産業のここ10年間で4分の1ぐらいに落ちてきているわけですね。もちろんデータの上の話ですが。80年代以降は住宅のu単価の上昇で労務費の比率が減少し、労務費は20〜25%といったこところで多くの人が考えるよりはるかに少ないと思います。
 今後の住宅生産のイノベーションは最も多くを占める間接経費の削減にあるといえます。

4.住宅資材のサプライチェーン
 
<ハウスメーカーの部品調達>
 住宅資材がどのよのように流通してきているのか、この流通がどれだけ統合化されてきているのか。結果的には工務店の仕事が大きく変わってきています。工務店は資材を売る会社、販売でやっているような見方もできるほどです。10年位前までは多くのゼネコンは現場主導型で現場所長が全て権限を持っていましたが、現在は本社主導型が多くなっています。また大手住宅メーカーも、本社一括調達でしかも部品メーカーから直接購買が多くなっています。本社一括でない場合は、工場レベル、営業所レベル、施工協力店による現場レベルでの調達となります。直接購買は多くの場合60%程度、残りは問屋、建材店、工事店経由になっています。特に水道、電気、ガスなどです。
 それから積水ハウスの場合、アルミのインゴットを南アフリカから輸入してそれをサッシメーカーに渡してアルミサッシを作ってもらう、お金があるので相場を見ながら安く買えますね。今はアルミはロシアからも多いです。資材の持つ意味も商売の方法によって違ってきます。最終的に施工してお金をもらう、積水ハウス、大和ハウスなどは住宅を売ってお金をもうけていますが、ミサワホーム、ナショナル住宅などはディーラーに部材を売ることによって儲けているわけです。

<ハウスメーカーの資材配送システム>
@配送センターからの集中配送
当然部材を売って儲けているところは大きな配送センターを作ってそこで調達してということになります。資材配送システムとして配送センターの設置、ここに全ての資材を集め、邸別に資材を分類、現場の工程に合わせ3回から6回に分けて現場に配送する、4t車の積み替え風景なども最近みると思います。
A建材問屋を活用した集中配送
エスバイエルなどもそうですが、川崎にある日栄住宅資材の越谷の流通センターを使うなどしてきました。また最近サードパーティーというか日立物流とかを使うなど、大手流通業者の配送センターを利用して、ここに全ての資材を集め何便かに分けて現場に配送します。
B納材店を利用した分散配送
大手の納材店を利用して、配送センターを設けず既存の納材店を利用する、資材メーカーから現場への直接配送、あるいは全国各地の納材店から配送する。積水ハウスなどはこちらを使っていますね。工場から行くものは別ですが、場合によっては宅配便を使ってるわけですね。以外と宅配便というのは東京から地方に行く宅配便の方が多くて地方から東京に来るのは少ないんですね。部品、材料のある工場は田舎にあるんですね、宅配便の行きと帰りと考えると帰りはただ同然になってしまいますよね。

 
<工務店の部品調達>
 直接調達する資材で金額が高いのは木材ですが、2000万円の家で大体400万から500万の割合ですね。今プレカット工場が全国に800ヶ所で稼動し東京周辺では、木材住宅の80%程がプレカットによるといった状況になってきています。木材の流通も大きく変化してきています。われわれの大学の近くにプレカット工場が4つあります。このプレカットは木材の流通そのものに大きな変化を与えてきています。まず、戸建て住宅で使われる木材の70%以上がまや外材となっていますが、そして国産材は山の奥で運び出すだけでも大変、手間がかかる。普通の集約されて出来たものを分散して作るわけで、国産材のものは分散されたものを集約してまたそれを分散させていくと流通経費が大きくなります。産直住宅はこの一旦集約といった経路を取らず、分差から分散を結びつけたものになってきています。
 一方外材は、流通ロットが大きく、品質的にも安定していて、大手メーカーの需要にも応えられ、集約から分散といった流通経路で流通経費も少なくなっています。
 このプレカットというのは今後工務店でどうなるか、と影響がありますね。
 最近では埼玉県の中央住宅など茨城県茨城市に大きな工場を作ったり、中国の大連にCADセンターを作ってデータをつくる、このプレカットというのは一番手間がかかるのは、このプレカットのデータをどうやって作るかという問題がありまして、人海戦術です。あと有名なのは一条工務店でフィリピンにプレカット工場を作りました。フィリピンの教養ある労働者を雇って稼動しています。使っている木は日本のモノではないということです。それは乾燥材が普及したのでどこでも狂わないでやれる、これからまた変わっていくと思います。そうすると工務店といっても単に組立て屋さんになってしまいます。
 住宅の木工事部分の部材の80%程度は、プレカット工場への材木の流通ルートで行なっていますが、小割り材などの20%が製材工場に頼らざるを得ない現状になっています。プレカット工場が製材工場を、小割り材をやる、という話が出てきているわけですね。そうしないと自分のところの仕事が減っていくということで奪い合いになる。製材工場も木材店も材木屋も出る幕がなくなっていく分けですね。材木やさんにしても材木だけで商いしていることはなく、設備機器なども扱っています。それから地方に行くと材木問屋の半数以上は自ら住宅の建設をやっている、工務店の下請けをやっています。
次に設備機器を選ぶのに住まい手が参加するという、例えばTOTOのどんなものにするとか、他の産業にはないものなんですね。住まい手が部品メーカーまで指定する場合が多いのは、システムキッチン、浴槽、浴室ユニット、洗面化粧台、便座などであります。いわゆる部品メーカーがこういったオープンなものを使わないというのは、自分のところのものが売れない、手間がかかるのにそれをオリジナルで積水とかミサワとか各社自分のところでメーカーに作ってもらうんだけど、オリジナルにしてもらう。値段が分からないということが一つあります。相変わらずこういった部分もお客さんが選ぶという形ですね。大体資材の発注時期はシステムキッチン、浴室ユニットが納期の3週間前、それ以外は2週間前がリードタイムですね。これは工務店が決めたつもりでもメーカーでは決まっていないということがあります。
 しかしサッシなどは95%程が決まっていても残りは1週間前に決まるといったケースも多く、玄関ドア本体は決まっていても金物は数日前といったこともあり、工務店にとって2週間前での受注する側からすると数日前の確定ということも少なくありません。
また途中での設計変更などもありますが、プレハブメーカーは決定したら、いかに変更させないかということを考えているわけですね。住宅資材流通において工務店は小売業者として位置づけることができ、住宅購入者から見ると、工務店は設計・施工業者であり、住宅資材を販売することによって利益をえている小売業者といった感覚はありませんね。しかし、どのような資材を使うかというのは購買決定者であり、多くの場合仕入れ建材の15〜25%ほどのマージンをのせていて、カタログなどに記載された価格は、当然こうしたマージンを考慮したものとなっているわけです。一番競争の厳しい時など、半値8掛け5割引などという時代もあり、公正取引委員会に訴えてもいいぐらいの不当表示でした。

<住宅資材の流通ルート>
 大工・工務店への住宅資材の流通ルートは大きくは6つに分かれています。
@木建ルート
Aサッシルート
B鉄ニ(鉄鋼二次製品)ルート・鍋釜など
C管材ルート
D燃料ルート
E住設ルート
です。
まず、木建ルートはもともとの材木屋さんルートです。木建商社、たとえばジャパン建材などから材木問屋、建材・材木店、そして大型建材店、工務店と降りてくるわけです。そして、サッシルートは建具問屋、販売店、大工(工務店)、年間50棟になると販売店から販売店から大工さんへ、埼玉YKKなど直系のところ等が全部やってくれるわけですね。鉄ニルートの場合は、鉄鋼商社から二次問屋、工事店、工務店という流れです。管材ルート、もともと常滑など土管とか、二次問屋水道工事店、工務店。先ほどのサプライチェーンの統合化というところでまたここで競争するわけですね。もとのメーカーが統合されてしまうと下の方もいろいろな問題が出てきますね。そして、燃料ルート、燃料商社、燃料店、工務店の流れで、住設ルート、これは新しいルートで、メーカー、総合住設・ガス住設、住設店・ガスショップ、工務店これらの中でガスショップはかなりの数の東京ガスのエネスタですね。水周りを押さえていますね。リフォームやっても東京ガスのガス料金の中で10ヶ月払いで組み込むなど、強いですね。
 これはあくまでも商流でありまして、物流はメーカーから工事店あるいは現場へダイレクトという場合が多くなってきています。在庫機能をほとんど持っていない、置くところもないし。工場からダイレクトだと環境問題にも対応している。メインの管材ルート、住設ルート、木建ルートですが、松下電工の内装部材から洗面化粧台なども作っているのですが、ここに主は住設ルート、木建ルートのような形で商売をしていましてきています。その反対にあるのは管材ルート、住設ルートで主に管材ルートでやってきたのがTOTO、INAXです。その中間にあったのが日立化成、ノーリツで、管材ルート作るものがシステムキッチンとかで、さらにちょっと住設、木建ルートよりなのが、タカラスタンダード、サンウエーヴなどですね。こんなようなポジショニングでルート、メーカーで扱うものとしてきたわけですが、このところ一つはトステムとINAX、TOTOと松下電工の戦略的提携などとなってきますと、ルートなどにも影響しますしそうなると一番困るのが日立化成、ノーリツ、サンウエーヴなどが両側から攻められ、非常に大変だと思います。

<現場への住宅資材の配送>
 在来住宅の場合、一つの現場への資材の搬入回数は平均31回程になっていて、50回以上というのも20%ほどあります。全く新しい家を作るのではなくて建替えですとか、資材の搬入の問題があります。トラックからダイレクトに現場へと積み替えないので、トラックが荷下ろし場になっています。これに対して合理化された木造住宅では8回、プレハブ住宅などでは4回を目標としています。当然合理化、配送費設備費が少なくなる、そして物を運ぶということは誰かがそれを受け取らなくてはならないし、実際には現場のストックスペースの余裕のなさなどからこの倍かかったとしても、在来木造との差は大きい。
 例えばサッシで考えてみると、枠の取り付けに1回、障子の取り付けに1回、建物竣工時に網戸の取り付けに1回といった具合で、現場に最低3階資材を搬入しなければならないのが現状です。しかもそれは工務店の負担ではなく、建材店は販売店の負担となっており見えにくいコストになっています。先ほど材料費が30%前後となっていましたが、配送費は物流とか経費の方で見ていますが、合理化の余地はまだ十分ありますね。これら資材調達、流通をどうするかということですが、実際答えというのがなかなかない、少しは考えている程度で決定的なものはまだありません。
 

5.サプライチェーンの統合化・短縮化

(1)部品メーカーによるショールームでの販売促進機能の拡大
 80年代になってきますと、ショールームはモノが売られるという限りなくショップに近くなってきています。特にシステムキッチンなどはそこで相談して工務店や販売店がショールームに連れて行ってそこで決めるという形で、メーカーで決めた瞬間が商品から問屋を通って販売店を通って、工務店に進む。メーカーとしてみればその瞬間に工務店まで行っている、伝票が回った事と同じですから。販売店もお客さんを引っ張ってきてくれるということです。お客さんも見たら買いたくなる、ショップというのはとても都合がいいわけですね。それから、トステム、TOTOなど何十億とかけてやっています。結局カタログの写真を見ると、10万円のお風呂も20万円のお風呂も同じに見えてしまうんですよね。
大阪に永大産業が作ったショールームでは、エレベターを降りてこっち側は貧乏な人の行くところ、こっちがお金持ちの行くところと分けてあリますよ(笑)ショールームの役割はこの違いが誰の目にも分かるように展示されているわけです。部品のメーカーのショールームにお客さんをつれていけば、予算が2倍になるとなれば工務店も熱心に連れて行くことになります。というのも工務店のマージンは20%ほど出るので、100万円増えれば20万円は工務店のものになるわけですから。
 ショールームで一番注目されるのが、タカラスタンダードですね。僕が現役のころ1995年に全国に162ヶ所のショールームがありました。大体人口50万人の商圏に一ヶ所を目標としているということです。衆議院議員の小選挙区が200ぐらいですが、意外と選挙区割りと近いんですね。工務店のことを知りたいとか、元気な工務店を知りたいというとタカラのショールームが一番詳しいですね。大体新築戸建住宅3000戸に対して一ヶ所のショールームになっています。こうしたショールームが相手にしているのは地域のビルダー、工務店です。ここまでくると住宅部品の販売流通のかなりの部分を住宅部品メーカーが担うことになります。

(2)現場直送など物流システムの合理化
 梱包費の削減などがありますが、サンウエーヴなどのシステムキッチンの配送というのは、トラックの運転手1人で工場に入るそのときに必ず大工さんが一緒に運ぶ、そしてFAXで確認する。ルートはかなり短くなっています。
 これらは物流コストの削減だけではなく梱包も簡素化して現場で排出されるゴミをできるだけ減らすといったならいからもきています。
 一方工務店(住宅建設自営業者)向けの場合の物流ルートもきわめて短くなっています。発注後何日で納品できるかといった即納システムが、競争の一つになっており、納人に日数がかかったり、欠品があったりすると次回からは競合メーカーへ発注されるといったことにもなりかねない。そのため住宅部品メーカーは、独自の配送システムを構築しているところが多くなってきました。住宅建設低減のため住宅資材・部品の流通システムの合理化により、住宅資材購買コストの削減がいわれているが、すでに住宅資材の物流システムはかなり合理化されているといえます。一方の受発注情報の流れといった商流システムも、確かに何段階かになっているが、途中段階で介在する流通業者も流通システムに果たしている流通マージンも役割に応じて低いものになっている。こうした何段階の商流システムを変えないのは、関係する流通業者からの情報価値が流通マージンを超えているからで、切ろうと思えばいつでも切れる状況にありますが、まだまだ関係させておくメリットがあるのでそのままにしているだけということです。

(3)部品メーカー、流通業者による施工機能の拡充
 部品メーカーから流通業者に施工機能の拡充ができて、具体的にいうとクボタのコロニアル、松下のハイベストといった瓦、屋根を責任施工で専門工事を受けてしまう。そのためクボタは学校まで作ったり、業者の組織化を積極的に行ってきた。またヤマハなどは東日本の場合には運送会社がシステムキッチンの施工をする。組立ても工場でする。アート引越しセンターも関西にリフォーム会社を作りましてマンションリフォームをやっています。三井ホームなどもツーバイフォーのパネルの組立てを運送やさんがやっている。パネルを運んでくると一日2回は往復できませんので、朝現場が始まる前にやってきて、パネルをトラックからダイレクトに納入しますから、そうすると建て方が終わるまで一日仕事になります。そうするとトラックの運転手の空き時間ができますから、じゃあ俺もできないかということで、今三井ホームのパネルの半分ぐらいをトラックの運転手に組立てをやらせているということになってきています。大川の家具の運送屋さんが全部セールスドライバーが御用聞きする、大田区の給食会社の当を配る人が注文をとる、結果的には統合化されてしまう。これが住宅も同様なのではないでしょうか。大方の専門業者が出てきました。住宅の資材に関してもこのような背景から部品メーカーによる部品資材生産から流通、販売、施工にいたる垂直的インテグレーションは進んできました。

(4)住宅部品メーカーの製品多角化
 横の多角化、水平的な多角化が始まったのが、1980年に始まったんですね。例えば衛生陶器メーカーであったTOTOを見ると、1980年に石油及び給湯器に新規参入しました。1981年システムキッチンそれまでINAXと競り合っていたのに82年にタイル。83年ソーラー給湯システムです。毎年いろいろやりました。そうすると困るのは給湯はノーリツ、浴槽はTOTOという管材ルートだったのものが、TOTOがガス給湯器やりだしたからノーリツは困ってしまいます。全部ノーリツの商品を売っていたと所がTOTOになっちゃうんですよね。今度はアメリカンスタンダードと高級なものを輸入して最後は栃木のお風呂の工場かなんかを作ったり。このような競争が80年代に起ったわけです。食うか食われるか、ということですね。横でのせめぎあいがこの20年間あったわけですよね。そのメリットというのはお客さんとして空間としてコーディネイトされる、最近ではワンポイントショッピングが求められています。いろいろな所に行くのは面倒くさいから一ヶ所で済ませる、それから販売施工店にとっても取り扱い範囲が増えるわけですから、売上が期待できる。さらにこれに遅れると一歩先へ行ったところに特約店を食われてしまう。そういった大体日立化成とか小さなところでも全国に2500ぐらいの販工店がネットワーク化しているわけですね。今は@躯体グループ(プレカット軸組、パネル)A外装グループ(外壁・屋根・開口部・エクステリア)B内装グループ(収納・床・壁・天井・建具)C水周りグループ(浴室・サニタリー・キッチン)DHEグループ(冷暖房・照明・AV・セキュリティー)この5つの会社に行けば揃ってしまう、これもトステム、INAXで一ヶ所で揃ってしまいますね。僕の家も2社でできちゃってますね。松下電工とトステムだけでできてしまってますね、気持ち悪いんですけど(笑)

6.スーパーサブコン
 インテグレーションの一環にスーパーサブコンというのモノがあります。まず、トータルルーファー(総合屋根業者)がオランダにありまして、建築基準法で性能規格化したのが先進国の中で一番早くて1992年10月です。日本より8年前ですね。いわゆるISO9000にそったKOMO生産認証制度を生み出し、トータルな性能保証ですね。設計から施工まで全部やる、25の業者がISOの認定を受けています。ECの中では市場は自由ですから、ドンドンドイツなどに攻めていけるわけですね。建物を平面的なまとまり物理的な形、機能的なまとまりと生産的なまとまり、この3つのまとまりに平面を一つの切れ目にしちゃおう、というサブシステムです。先ほどの5つのまとまりというのはこういったサブシステム機能の一つでもあるのですが、あれは自然発生的にできたものですね。
 一方日本では、スーパーサブコン呼んでいますが、戸建て住宅の大型専門工事業者であるが、住宅生産組織が再編成される中で登場してきたものです。屋根工事、外装工事、木工事といた戸建て住宅の専門工事業者はそのほとんどが小規模な自営業で、中小工務店と同様に伝統的な地域分業生産のメンバーでありました。例えていうなら八百屋さんであったわけですが、これに対してスーパーサブコンはスーパーマーケットのようなものです。
産業が再編成される場合、これまでの仕事の切れ目やまとまりが効率化のために見直され、インテグレーション(統合化)と新たなまとまりの中での新たな専門化が行なわれます。スーパーサブコンの多くは住宅資材の流通と施工をまとめた垂直的統合化(バーチカル・インテグレーション)と、例えば屋根だけではなく外装工事まで行なうといった水平的統合化(ホリゾンタル・インテグレーション)が行なわれています。例えば積水ハウスの基礎工事をやっているのは業者ですが、積水ハウスは土台がありませんので、基礎が土台になっていますからすごく精度の良い基礎を作ります。工務店などを積水の基礎工事やさんなどに頼んだりしています。何も気にすることもない、手抜き工事の心配もない。
年間400棟の木工事を行なう鳥取のスーパーサブコンの場合、体力が必要な石膏ボードの運搬・施工は若者の専門チームを使い、大工技能者の高齢化に対応した効率化であります。大工さんは何が大変かというと石膏ボードが重たいことです。石膏ボードをやってた人たちがプレカットをやってもらう、などということが起ってきます。そうなった場合工務店の人は何をやるのか、大工さんは何をするのかというとフローリングをクレームがでないように貼るということになっちゃいますね。施工はアウトソーシング(業務の外部化)が出来ますので、例えば鳥取ミサワのバリバリの営業マン2人が辞めて、会社を作り営業・設計に特化した住宅会社というのが3つぐらいあります。
今一番日本で元気な住宅会社は飯田産業グループなどで関東地区ではトップなんですよ。株も公開していますが、株も半年で700%アップとすごい。売るのもアウトソーシング、町の不動産がやって仕入れも不動産がやる、作るのは当然プレカット。今から一週間ぐらい前に日経に「ついに積水ハウス・ミサワ・大和も建売に本格的に乗り出した。」しかも団地の建売ではない、20戸、30戸というミニ開発に乗り出してきている。そうしないと住宅は売れない。ニーズのビルダーはパワービルダーと同じ事をやっている。建売住宅は減っていません。住宅の需要が減っても。マンションとの戦いにも勝とうとしています。工務店が一番大変なのはパワービルダーに取られて仕事がない。特に地方に行けばいくほど住宅を作るのは次男、三男で長男は家に戻るから家はあるわけです。ですから意外と建売住宅が売れるわけです。土地の手当てまでしてあげないと家は売れませんから。

環境共生住宅施工管理及びコンサル会社 社長 ヒアリング記録

日時 2004年6月11日(金)15:00-17:00
場所 株式会社 イオリナ事務所(自由が丘)
ヒアリング対象者 村上泰司社長
建政研側 坂庭、今井、北島、和田

村上 会社は建設業ですが、設計も管理もやっています。年間3〜4棟ぐらい2億円ぐらい扱っています。御紹介のお客さんしか取りません。あと増改築、改装工事も2ヶ月に1回とか2回のレベルで受注しています。建築に関しては半年ぐらい打ち合わせをしないとやらない主義でやっています。どんどん受注してどんどん建てるというのは、前の会社でさんざんやりましたので、ああいうことはもうしません。もともと建設業ですが、環境共生住宅専門のコンサルタント業務をあわせて行なっています。関連する審議会なども多数あってその委員だけでもかなりの数を引きうけています。住団連――大手中心の業界団体ですが――の環境系の委員会にも出ています。大手ハウスメーカーの環境関係のコンサルタント業務、全県総連さんの環境対策の顧問もしています。

村上 ハウスメーカーは、下請の大工・工務店に一括発注で丸投げしていると思われている方もあると思いますが、実際には、ハウスメーかは、第1次工務店に木工事部分を発注しているので、電気・水道・屋根・外壁そういうところは分離発注しているわけです。15〜6年前には、どちらのメーカーさんも、そういう工種ごとの分離発注の体制を組んでいました。今は、完全に確立されています。一括発注しますと第1次工務店に利益を取られてしまうわけです。各工種の作業についてコストを下げられない。コストが下がらないということは利益が上がらないということです。コストを下げて利益を回復するには分離発注しかないだろう、ということではじめたわけです。それでも、大手ですからそれをしても、1次下請工務店が逃げない。それで分離発注を押し付けてやれた。それから材料について、屋根、外壁、水道、電気といったものの材料については、大手ハウスメーカーが支給をする、あるいは購入して売る――実際は二重帳簿のようになるわけですが――どちらかです。購入して売った方が売上高が増えるのでその方が良いという会社もあります。どちらかに分かれます。当然ながら材の購入についてはメーカー直で買いますので、中小工務店のレベルと比べますとかなり安くなります。一般的な建材・資材で言いますと50から55掛けぐらいになります。60を超えて買うことは無いと思います。カタログ価格に載っている価格(材料価格)で材工共で施工を引きうけても、利益がでます。手間代ぐらいは十分払って、利益もでます。それにプラス、カタログ価格に利益率をかければもっと儲かります。
 材料し入れは利益の出る部分です。目隠しの中ですから、お客さんにわかりませんから。松下のなんとかシステムキッチンはカタログ価格で300万円だと、それがし入れは100万円なわけですから、200万円まるまる利益になるわけです。お客さまに3割値引きします、と言っても利益がでるわけです。
 あと利益のでる部分は、下請工務店に発注する際に、作業を全部積算して、コンピュータで人工計算をして、0.1人工とか、0.2人工とかで発注をかけるのです。実際は、0.2人工なんて無いのです。午前中2時間やって、午後作業がない場合、それは本来1人工払わなければならない。それを0.2人工しか払わない。大手は、みんなこれをやっています。
 小さいところではこれはやれません。小さいところは請負発注をかけます。中ぐらいになると頭切り手間請け発注をかけます。だいたい一人工、16,000円ぐらいでしょうけれど。(わたしのところは2万5千円ぐらい払っています。棟数が少ないですから、それぐらいでないと請ける方がありがたみが無いので、きっちりお支払いして良い仕事をしてもらっています。)根拠がないようなもので、1000万円で請けたものを200万円の利益を引いて投げているだけです。
 ただ、住宅メーカーの場合は、それほど重層的になっていない。大手の場合は、1次下請がいれば、重層ですけれど今は分離は注していますので。重層があるのは木工事部分で、1次下請が請けてピンハネをして職方さんにそれ以上安く出す、というぐらいです。電気、水道、ガス、屋根あたりはみなさん小さな会社が多いですから、重層になり得ないです。これを飛ばすってことはないわけですから。
 基礎も直の下請がいます。ハウスメーカーさんの場合は、自分の基礎の仕様をもっていますから、深く考えないで打ちます。土質や地耐力なんて考えずに、ベタ基礎ならベタ基礎で打ちますから。最悪を標準にして造ってしまいます。そういう意味で基礎やさんも考えないでできる。難しい基礎をやっていない。枠も鋼製型枠でとりますし、鋼製型枠を会社で貸与します。基礎も人工だしみたいなことになっています。コンクリートも会社が支給します。請ける方からすると材からの抜きができない。安いところを探してきて利益をだせない。美味しいところがなくなるわけです。電気の配線なんかも全部ユニット化していますから。Fケーブルを引っ張りまわすなんてことはもうやりません。うちの会社も、電気配線のユニット化を指導しています。
 ユニットケーブルにすると30坪で5万円です。これは工場で全部ユニットを組んであとはぶら下げるだけです。材料代をくらべるとユニットケーブルの方が高いのですが、工賃が非常に安くなる。Fケーブルですと3人工かかる工事代金が1.5人工ぐらいになります。これが値段の差になってきます。大手はほぼやっています。今はユニットの給排水ですから。今まではビニール管だったりお湯であれば鋼管だったわけですが、これがカキオポリという素材に代わっています。漏水、さび水が出ないのとメンテナンスが楽になります。
 大手はもうほぼ全てユニット化に踏みきりました。中小工務店の方が、移行できずにいるという状況です。電気屋さんはその方が儲かりますし、工務店の側はユニットケーブルについてまだ良く知らない。そういう電気やさん、水道やさんをつかっている工務店はジリ貧になっていくわけです。
 ハウスメーカの現場はかなりすっきりしてきたという事が言えます。下請業者にとっても、安定的に発注がくる会社に入れば、それなりのメリットがあるとは思います。入らなければ仕事が取れない、という状況がありますから。
 電気工事で言えば、町場の工務店は2倍から2.5倍ぐらいです。大手のディベロッパーは100u(27.8坪)で22万円ぐらいですが、町場の工務店は30坪で40万円ぐらいでしょう。おそらく粗利は6割・7割ぐらい。下手したら40万円のうち利益は20万円です。そういう世界にいる電気屋さんはディベロッパーの仕事は請けられない。ディベロッパーの仕事を請けているところはそれでも利益を出しているわけです。これが積みあがって行くとコスト面で相当の開きが出ます。もちろん、工務店のみなさんが自分でやる部分とかは切り詰められているでしょうけれども。
 全建総連があれだけの組織を持っていながら、資材の協同購入をしない、というのは残念です。ユニット配線化をみんなにすすめない、とか…..。コストを下げる余地はまだまだあると思います。石膏ボードなんて大手は250円切ってますよ。工務店なら300円超えているでしょう。共同化すればコストは下げられます。ただし、相手はいくつ買ってくれるんですか、ときますから。
 工務店さんとは利益構造が違うのです。私なんか未だに、前いた会社の顔とかで、材料を安くしてもらったりとかあります。大手ハウスメーカーとほぼ一緒の掛け率で入って来るのです。だから売値が安くても良いんです。そうすると御紹介のお客さんに絶対やな思いはさせないのです。そこらへんは私どもの強みですけれども。工務店にはそういう強みが無い。伊藤忠商事だとかトステムだとかに騙されているわけです。自分たちの人工代を下げないとお客さんがつかない。だから一生懸命やっているわりに報われない。
 2万円が2万5千円になったって、1棟30坪を60日かけるとしてもコストは30万円です。資材や物流システムを合理化すればそれをはるかに超えてコストを抑えて利益を出すことができるのです。
 あと、町場工務店さんの弱みは、共同仕様をもたないことです。今度、住宅金融公庫の直接融資が廃止されていくと、公庫の施工基準書もなくなっていくでしょう。そうすると公庫の施工基準に則っている、ということも言えなくなります。どこで品質が担保されているのか、と聞かれたときに答えられない。全建総連の東京バージョンだとか関西バージョンだとか、標準仕様書を持たないといけないと思います。バージョンアップする部分はそれぞれの工務店が行なえば良い。労働基準法を守っている中より上の部分の標準仕様をもたないとダメです。発注する側の人間が高学歴ですし、競合するハウスメーカーはそういうことを教えて歩くのが好きですから勝てないです。いらないことばっかり教えますから。標準仕様書を見せられれば素人にはわかりませんけれど、仕様書が無ければ、単価のちょっとぐらいの差だと勝てないです。1割安は信頼に返られないです。
 大手のハウスメーカーには技術者の方がたくさんいますが、リストラで下位の会社に押し出されて来ています。積水ハウスでさえもリストラで職員はやめています。そういう技術者を全建総連が抱えていけば、いろいろな展開が考えられるのですけれど。
 例えば、ハウスメーカーでは、検査を自社で行なえる部門をつくているのです。細田、木下etc.そこにリストラした社員を送り出して、そこで検査をするのです。検査を通るに決まっているじゃないですか、自社の社員なんですから。工務店は、書類を役所にもっていったら、いろいろ書きなおすように言われて、設計事務書から委託料をたくさん取られる。ハウスメーカーは検査料からも2〜3割儲けます。

質問 リストラは、売上減に対応する戦略として追求されているのでしょうか。
村上 もちろんそうです。積水ハウスは55歳で希望退職を募っていますし、住林は4割減ぐらいでしょう。

質問 中小のハウスメーカーに流れていっているのでしょうか
村上 中堅までです。年間100棟ぐらい施工する規模です。中堅の会社が100棟を200棟にしようとか経営者の判断で人材を受けいれるわけです。給料は元の会社の6掛けから7掛けになります。

村上 大手ハウスメーかは難しいシステムをとっているかというととっていないのです。プレハブ化ということはありますけれども、あれは単に工場で作っているだけで、工場設備があってユニット化されているだけですから。現場施工の人工数を比べてもそんなに違いはありません。木質系ですと、全体が120人工かかるとすれば、積水ハウスが60人工でやるかというとそんなことはありません。118人工ぐらいです。調査をかけたことがありますが。工期だって、町場の大工さんが100日で積水ハウスが60日なんてことはありません。同じくらいかかるのです。積水ハイムが2週間でできるというのは嘘です全然できません。2週間では基礎だって固まらない、最低2カ月かかります。せいぜい、躯体部分をユニット化したぐらいのもので、木質の造作部分にしたって、プレカットにすれば工務店でもできるわけですから。自社でできなくてもプレカットを頼めば良い訳ですから。
 
村上 僕らが住団連の委託で調査した結果では、工期、工程人工数は各社でほとんど変りません。ようは躯体をユニット化しているだけで、基礎が一緒、建て方一緒、屋根一緒、内部造作、外部造作一緒ですから、一緒なんです。恐れるに足りないですよ。機械化して精度高い、と言われても、うちだってプレカットつかっているから精度高いって言えば良い。国産材も顧客が一部マニアックな方しか評価しないので、広がらないです。大手ハウスメーカーで(無垢の)国産材つかっているところなんて無いです。外材か新建材(集成材)です。

質問 大手ハウスメーカの住宅生産システムはほぼ完成されたものと考えて良いでしょうか。
村上 そう思います。大手ハウスメーカーは、工務店と比べて2倍くらいのスペック(仕様書)をもっています。そのままでは勝てないです。わたしらも、中にいましたからスペックをもっています。工務店には負けないです。スペックをもたなければいけないと思います。個々につくれなければ全建総連がつくっていけば良い。

村上 あと工務店さんの弱みは、腕が良いかどうか分からない。世間的な評価が無いですから。知っている人は知っているかもしれないけれど。それからセンスが無い。商品知識が無い。新商品を知らない。こうなると選ばれないです。そこを団体でカバーしないといけないわけです。

質問 住林などの現場従事者の方にヒアリングをしたときに、住林は拡販で客層が悪くなっている。低価格戦略をとっていて、資材、手間両方を省いている。資材の量も大きく減っていると聞いたのですが。
村上 10年ぐらい前、住林の受注が落ち込んだ時に低価格戦略をとって住林の落ち込みを救った、という経過があります。その時に、住友林業の木材を使わないぐらいのコストダウンを図ってしまった。本気で、むやみに。救われたけれど決して喜ばしいことではなかった。今、逆に触れていますけれど。大手ハウスメーカーは少しづつ顧客の振れから遅れたり、ずれて振れます。(資材の量が減っているというのは、積算がタイトになっていて、ぎりぎりの量しか資材を供給しないということはあると思います。昔は、1.1がけ酷い時には1.2掛けで余裕を見て発注をかけていたわけですが、今は、1.05とか、ぎりぎりになっています。ゴミ代を減らすためにもぎりぎりにしています。構造計算から何からコンピュータできちんと出していますから、柱を減らしたりとか、そういうことをしている訳ではないです。

質問 勝ち組、負け組をわけた要因は何でしょうか。
村上 一番はロイヤリティだと思います。顧客信頼性です。なぜロイヤリティが落ちたかという理由はいろいろありますが、ミサワだと借金が多すぎたとか、1回落ちると中々戻せない、品質が悪いとか、社員の質が悪いということではなくて、ロイヤルティが傷つくのが1番の原因だと思います。三菱みたいなものです。絶対買わないでしょう。住宅は一生もんだと思っていますから、選択から排除されてしまいますと業績が落ちてしまいます。ミサワホームのO型とかG型とか、積水のなんとか、とか新型の商品が売れているかというと売れてないです。あれは、プランが決まっていて仕様が決まっていていくらです。坪単価47万8千円です。安いと思って飛んでくると、敷地に入りませんから、変更すると70万円になるようにできているわけです。人寄せパンダです。ハウスメーカーに頼むなら、モデルプラン通り建てることです。一番安く物も良い、相手の利益率も低くなります。

質問 殖産住宅や安宅産業の破たんがありましたが。
村上 あれは、割賦販売によって、金融利益で食ってきた会社だった。割賦販売でやっている限り建築利益を必要としなかったので、材料に良いものを使えたのです。下請さんは。お客さんにも喜ばれたのです。それが金融公庫ができて、銀行ローンができて、融資ができるようになった。割賦販売が必要無くなったわけです。その時に、きちんと建築利益で食って行けるような構造に変えていればよかったのですが、それに失敗したのです。3社とも。

村上 住林さんはなぜ成功したかと言うと、新しく参入したので、過去のしがらみが無いんです。業者さんとのしがらみ、発注単価に対するしがらみ、材料の仕入れに対するしがらみも無いし、何も無い。いきなり自分たちでハウスメーカーをつくって、自分達で業者さんを選びました。自分達の単価で発注できた。建築利益で食える体質を作ったわけです。だから旧御三家は勝てなかった。(破たんの契機としては)信用それから株価があります。てきめんです。20年保証しても、20年あるのかお前の会社は、と言われたらお終いです。

質問 ミサワは負け組と言われていますが。
村上 ミサワは本業では負け組にはなってませんよね。創業社長の道楽で悪くなった。ホテル・リゾート、金貸し、ですから。でも本業は黒字です。僕らから見たらそんなに悪い会社じゃないです。お客さんがどう見るかは別ですけれど。三井ホームも勝ち組と言われていますがそうでもない。構造の強さを売りにする会社はそれだけではだめです。今は、町場の工務店だって、阪神大震災級の地震に対応できるようにしています。新耐震性基準をクリアしているわけですから。ダイワは中と半端な位置にあるのではないでしょうか。あそこはハウスが主流じゃないみたいな会社になってきていますし。周辺事業もうまくいっているようなんですが、住宅というイメージが薄れつつあります。周辺のサービス業でしょうか。

質問 ハウスメーカーはどのような生き残り戦略をとっていますか。

村上 耐震性というのはありますが、時代にあった商品群を持つということです。まず、安全性、免震構造持つ商品を揃えているかどうか、次に環境、快適性、それらの面で、品揃えで、他社に負けていないことを示さなければいけません。ISOでも、とって無い、と言ったらその時点でダメです。揃えていないといけません。競争にならないのです。

村上 地域工務店は、見積もりの精度を上げて、見積もりの根拠を示せなければなりません。見積もりの精度を上げて行くと見積もりは高くなるのです。値引きの単位も、細かくなります。池袋のCADセンターもバージョンアップして、設計と見積もりを出せるようにしたら良いです。設計と見積もりを同時に示して決めて行かないと何時までたっても、相談が先にすすまない。その内に他に取られてしまうのです。

村上 私どもは、住林だろうか積水だろうが、負けないです。なぜならばそんなものは全部できるから。CADもできるし、見積もりもできるし、他社の良いとこ悪いとこ知っているし。自社の良いとこ悪いところも知っているし。プレハブで問題なのは、あれは工業化認定とっていますから、間崩れできないのです。敷地に合わせてちょっと間崩れさせてやれ、なんて絶対描けないです図面が、プレハブでは。間崩れさせて、気に入った図面を引けば、取れるんですよ。あと構造上の問題だけ大丈夫です、と言いきれれば。絶対負けないです。間崩れさせたほうが絶対良いに決まっているのです。だって敷地に合っているんだから。その辺を踏まえてやれば勝てるんです簡単に。

質問 ハウスメーカーの弱点はなんでしょうか。
村上 経費がかかることですね。あと今は、展示場での決定率が落ちているでしょう。集客率も落ちている。飽きたんだと思います。お客さまが。最大なのは、家を建てる方が低年齢化してきた。1次取得者になってきた。建て替え需要に結びつかなくなってきた。建売やパワービルダーに移ってきた。土地30坪、建物25坪、1千戸超えているのが20社ぐらいあるでしょう。マンションに近い1戸建て、3千万円ぐらい。箱の中に一定の容積があって、私の部屋があって、システムキッチンポイのがあって、床がフローリングで、外壁がチャラチャラシクテ、それで満足なんです。あれだって品確法は通っているんですから。耐震性だってあります。施工は直でやっています。材支給、直発注で、大工は手間だけです。電気もガスも全部そうです。ハウスメーかと違うのは、工務店や電気屋さんも会社の体をなしているところに発注しますが、業許可を持っているところに発注します。パワービルダー系は大工さんに直なんです。大工さんは、業許可持っていないですから。電気屋も全部人工だしです。単価は大きく下がります。材料も一括発注で、しかも、お客さんは選択できないですから、ビルダ―の方で決められます。材料費も大量購入で安くなる。設計も簡単です。東西反転型みたいなものです彼らのは。間取り変えられないですよ、狭くて。バブル期の建売は億単位でした。大手が関与していた。パワービルダー、20棟、酷いときは2棟ぐらい。中に住んだら外は見えないですから。積水は地域ナンバー1ではないです。パワービルダーです。この傾向は、しばらく続くと思います。ハウスメーカーは、オーダー系で勝負しているわけですが、建売が強いですね。建て替え需要を掘り起こそうと顧客リストであたっていますが、クレームを掘り起こしにいっているようなもので、うまくはいかないです。家は、なんかしら不満がでるものです。クレーム産業ですから、何も知らないお客さんをつかむより、大変です。難しいと思います。あとはお客さんとどれだけ接していられるかですが、たくさん建てればそれは無理です。それから、新耐震基準以降の家は、しっかりできているので建て替える必要が中々出てこないでしょう。これもハウスメーカーにとっては問題です。

村上 リフォームは、各社で、専門のチームを持ってやっていますが、大成功したとうい話しは聞きません。そっくりさんは、成功していますが、あれも、自分のとこのツーバイフォーを建て替えているわけではないです。あそこは、最初から技術者が1人ついて面倒をみるシステムになっています。営業が1人でちゃらちゃら行ってやっているわけではありません。だから成功しているのではないですか。探客を会社がやって、あとは成約までまかせるというやり方です。ミッション制です。これはあまりまねができないかもしれません。

質問 売り建てという方式を見ますけれども。
村上 売り建ては、土地を青田で売るやり方です。プランの選択はできますが、設計も決まっている。建物価格まで含めて契約してしまいます。建築条件付の土地でも所有権移転したら、どこへ建てようが所有者の自由ですから。約束は反故できます。売り建ては平面図ぐらいは決まっています。4畳半を6畳にするぐらいの変更はききます。他は動かせない。大体の標準的な仕様、こんなものが入りますよ、というのも決まっています。それに要望があれば、マイナスはしませんけれどもプラス、プラスはしていくということです。

質問 ハウスメーカーの部品管理、修理などの対応が、部品の種類・量が大量のため限界にきている、という指摘がありますが。

村上 プレハブはそういうこともあるかと思います。毎年、構造も違っていますから、部品の保管基準なんてないわけで、住宅部品は寿命が長いので、プレハブは大変だと思います。木造軸組の場合は、何も無いわけで、アンカーボルトぐらいでしょう。あとの部品は、住設機器です。住設機器の部品は保証しませんから。住宅会社は。あと、ミサワサンもエスバイエルもこまらないでしょ。同じパネルです。ヘーベルハウスだって、ヘーベル版は一緒ですから。困らないでしょう。変った樋とか、オリジナル部品をつくると大変なことになります。アッセンブラーはオリジナル部品つくらない方が良いです。

質問 技術教育、技能教育などはどうしていますか。
村上 教育はどこの会社もしつこくやっています。安全から、施工管理の問題からやっています。訓練されていると思います。仕様書がありますから、これがあるということは、これでチェックするということです。現場管理は、金銭の支払いでかけてあります。支払いで品質を担保しています。大手ハウスメーカーの品質がまもられるのは、やり直しをかけても自分の腹が痛まないからです。下請さんが直すのです。仕様書通りにやって下さい、というだけです。



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