情勢の特徴 - 2025年10月前半
●「三井住友信託銀行は2026年度、子会社を通じて国内のインフラに特化したファンドをつくる。金額は1200億円を計画し、幅広いインフラが対象の総合型としては国内最大規模となる。老朽化が進む水道などの公共設備、データセンターに重点投資する。日本のインフラを巡っては運用額が数十兆円にのぼる外資ファンドが積極投資に動いている。三井住友信託は国内の企業年金や地方銀行、生命保険から資金を集める。国民生活に直結するインフラは経済安全保障の観点でも重要性が増す。日本勢によって維持や更新に必要な投資マネーを回す仕組みをめざす。三井住友信託が9割、マーキュリアホールディングス(HD)が1割をそれぞれ出資するジャパン・エクステンシブ・インフラストラクチャーがファンドを運営する。」(『日本経済新聞』2025.10.01)
●「東京商工リサーチが8日発表した2025年度上半期(4~9月)の企業倒産件数(負債額1000万円以上)は前年同期比2%増の5172件だった。上半期として12年ぶりの高水準となった。中小企業の人手不足がなお深刻で、倒産の増加につながっている。内訳をみると、小規模企業の倒産が目立った。従業員10人未満の倒産が4640件と全体の9割を占めた。負債総額は50%減の6927億円だった。人手不足を理由とした倒産は202件と過去最多を記録した。前年同期(151件)に比べて34%増えた。賃上げ圧力が続き、人件費を価格に反映しにくい中小企業の経営を圧迫している。帝国データバンクによると、企業がコスト上昇をどれほど販売価格に上乗せできたかを示す『価格転嫁率』は25年7月に39%に下がり、22年12月以来の4割割れとなった。なかでも人件費転嫁率は32%にとどまり、原材料費(48%)より転嫁しにくいことがわかった。業種別では円安進行で資材価格が高騰し、建設業の倒産が増えている。25年4~9月は1036件と前年同期比で7%増だった。東京商工リサーチの坂田芳博情報部課長は『中小企業は為替リスクを回避することが難しく、建設費用が想定より高いケースが増えている』と語る。これかちトランプ米政権による関税の影響で企業の負担がさらに重くなることも予想される。帝国データバンクの試算では25年下半期の倒産は5400件前後となる。上半期の件数と合計すると、25年度の倒産件数は12~13年ぶりの高い水準となる見込みだ。」(『日本経済新聞』2025.10.09)
●「建設経済研究所と経済調査会は10日、2026年度建設投資見通しの10月推計を発表した。投資総額は名目値が前年度見通しと比べて5.3%増の80兆7300億円、物価変動の影響を除いた実質値が3.2%増の60兆0432億円。前回の7月推計と比べ名目値は1兆5200億円、実質値は3702億円増加しており、政府、民間とも堅調な投資が続くとみている。」(『建設通信新聞』2025.10.14)
●「適正な労務費の確保と行き渡りに向けた新たな取引ルールなどを盛り込んだ改正建設業法・公共工事入札契約適正化法(入契法)が12月12日に全面施行される見通しとなった。施行前の同月初旬には中央建設業審議会(中建審)が『労務費に関する基準(標準労務費)』を勧告する予定。標準労務費をベースに著しく低い労務費の見積もり・契約を禁じるなど、改正法で規定した規制措置がすべて発効となる。国土交通省が改正法の一部規定の詳細を定める政令案を1日に公表し、改正法の施行日が明らかになった。標準労務費を著しく下回る額での受注者の見積もり提出と注文者の見積もり変更依頼を禁止。これまで注文者に対象を限っていた『不当に低い請負代金』と『著しく短い工期』の禁止を受注者に導入する措置も施行となり、価格と工期のダンピング規制を強化する。」(『建設工業新聞』2025.10.03)
●「国土交通省は、建設工事の請負契約で交わす注文書・請け書について、一定の要件を満たす場合に署名や記名押印を不要にできることを明確にした。6月に閣議決定した規制改革実行計画を受けて運用を見直した。基本契約書を締結した契約当事者が対等な関係にあり継続的な取引をしていれば、両者の合意の上で押印を免除できる。」(『建設通信新聞』2025.10.06)
●「国土交通省は6日、『今後の建設業政策のあり方に関する勉強会』の第3回会合を開き、これからの地域建設業の在り方を議論した。地域のインフラ整備や災害対応を担う地域建設業に焦点を当て、地域の守り手として持続するための方策を議論。会合には地域建設業の経営者が出席し、独自の先進的取り組みや地域建設業同士の資本提携といった事例を発表した。」(『建設通信新聞』2025.10.07)
●「国土交通省は、下水道管路の点検・調査・診断基準を抜本的に見直す方針を明らかにした。年内に示す中間整理に向け、議論のたたき台を有識者会議に示した。診断区分の見直し案では、現行の『緊急度』評価を廃止し、施設全体の状態を総合的に判断する『健全度』の導入が提案された。構造の健全性や、施設の状態にフォーカスした複合的な診断を行うことで、管路の老朽化による事故発生リスクを従来より正確に評価する。国交省は6日、埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受けて設置した『下水道管路マネジメントのための技術基準等検討会』の第2回会合を東京都内で開いた。…検討会では、下水道管路の全国特別重点調査結果や、埼玉県が設置する原因究明委員会の中間取りまとめなどを元に議論が進展した。出席した委員からは『硫化水素が発生しやすいかどうかでも点検基準を考える必要がある』『点検の基準を改めるとしても、過去の結果状況の照合を可能にする必要がある』などの意見が出た。議論のたたき台には、点検・調査が困難なケースの取り扱いの明確化や、点検・調査の高度化・高頻度化の必要性、診断の質向上に向けた自治体職員の研修拡充なども盛り込まれた。」(『建設工業新聞』2025.10.07)
●「東京都財務局は、2026年1月1日以降の公告案件から、設計等委託での総合評価方式を一部見直す。基準価格より低価格な『特別基準価格』を新たに設けるとともに価格点の算出方法を変更する。入札価格が基準価格を下回ると価格点が漸減し、特別基準価格を下回るとゼロ点になるよう改正する。入札額が基準価格を下回った場合のメリットを減じることで、さらなるダンピング(過度な安値受注)防止の徹底を図りたい考えだ。」(『建設通信新聞』2025.10.10)
●「建設業に時間外労働の上限規制が2024年4月から適用が始まり、同年12月までの9カ月間に上限規制に違反した建設業の事業場が85事業場あったことが分かった。85事業場は、都道府県労働局・労働基準監督署から是正勧告・監督指導を受けている。建設業への時間外労働上限規制が適用されてから法違反の事業場数が明らかになったのは今回が初めて。事業場の内訳は土木工事業が7事業場、建築工事業が38事業場、その他の建設業が40事業場。この上限規制違反は、労働基準法第36条6項の時間外・休日労働時間数が1カ月当たり100時間以上か、複数月(2-6カ月)平均で80時間超に該当する。建設業の事業場は9カ月間だが、建設業を含む全産業での労基法36条6項違反は24年(1-12月)の1年間で2156事業場だった。建設業とほかの産業とのカ月数は異なるものの、全産業の事業場に占める上限規制違反の建設業事業場の割合は3.9%となる。また、時間外・休日労働協定の『三六協定』で定める限度時間を超えて時間外労働を行わせていた労基法第32条の労働時間違反だった建設業の事業場は、24年の1年間で土木工事業348事業場、建築工事業703事業場、その他の建設業559事業場の計1610事業場だった。全産業での法違反は建設業を含め1万9848事業場で、8.1%が建設業の事業場となっている。この法違反事業場数には三六協定を結ばす時間外労働していた法違反も含んでいることから、三六協定での限度時間超の法違反事業場数は不明。」(『建設通信新聞』2025.10.07)
●「国土交通省は、2027年4月に始まる育成就労制度で受け入れ企業に課す分野別協議会の加入義務について、建設技能人材機構(JAC)の所属企業は免除する方向で調整している。JACと育成就労の分野別協議会の双方への加入は企業の負担が大きいとする指摘が出ていたことから、JACに所属していない企業にのみ加入を義務付ける考えだ。」(『建設通信新聞』2025.10.08)
●「建設産業労働組合懇話会(建設産労懇、会長・青山敏幸日本建設産業職員労働組合協議会議長)は7日、11月に一斉展開する『完全週休2日実現統一運動』の共同会見を都内で開いた。この統一運動は毎年6月と11月に展開しており、今回はキャッチフレーズに『週休2日はあたりまえ!休んでこそのモチベーションー!』を掲げて運動を展開する。会見で青山会長は、建設業にも時間外労働の上限規制が適用されてから1年半が経過した一方、『いまだ長時間労働を強いられている現状もあると聞く』と問題視。完全週休2日の実現は法規制への対応だけでなく、『担い手確保のためにも必ず達成しなければならない』と強調するとともに、『誰もがいつまでも働ける、誰からも誇りに思われる産業を目指して本運動に取り組む。建設産業で働く人が輝ける、そして次世代に選ばれる産業にしていくために、建設産業で働く全ての人と共に、より良い未来に向けて共に歩みたい』と語った。今回の運動では統一ポスターの職場への掲示や、発注者を含めた関係団体、企業への要請活動などを通じて、一人でも多くの組合員が完全週休2日を実現できるよう機運を醸成していく考えだ。」(『建設通信新聞』2025.10.08)
●「2025年の建設業は、産業別で唯一、2万円超えとなる賃金改定を実施したことが、14日に厚生労働省が公表した25年の『賃金引上げ等の実態に関する調査』の結果で明らかになった。1人平均賃金の改定額は、建設業が産業別で最高の2万0724円となり、24年から5441円の引き上げとなった。ただ、賃上げを実施した・引き上げる予定の建設業の割合は、24年から減少に転じた。」(『建設通信新聞』2025.10.15)
●「全国建設業協会(今井雅則会長)が、都道府県建設業協会の会員企業1933社から回答を得た『2025年度労働環境の整備に関するアンケート』によると、直近1年間で下請けと契約する際の労務単価を引き上げた企業の割合は、前年度より5.9ポイント上昇して72.8%を占めた。このうち、下請け企業における技能労働者の賃上げの程度は、『6%以上引き上げた(引き上げる、以下同)』が21.7%、『6%未満引き上げた』が63.7%となった。賃上げ傾向は継線しているものの、政府と仝建を含む建設業4団体が合意した今年の申し合わせ事項『技能労働者賃金のおおむね6%上昇』のハードルは高い。」(『建設通信新聞』2025.10.03)
●「全国建設業協会(今井雅則会長)が、都道府県建設業協会の会員企業を対象に実施した労働環境に関する調査結果によると、現場別の4週8休の取得割合は、地域建設業がメインとする公共土木は約7割となった。また、現場技術者の月当たり平均残業時間は、6割超が15時間以下となるなど、時間外労働規制への対応を巡って特に問題は見られなかった。アンケートには1933社が回答した。『目指せ!建設現場土日一斉閉所運動』は55.2%、『適正工期見積り運動』は34.9%が取り組んでいると答えた。週休日の状況は、今年から現場を細分化して調査した。4週8休の実施率は、公共土木が69.6%で、次いで公共建築が60.7%、民間土木が59.7%、民間建築が43.3%となり、官民で差が見られた。会社で定めた年間休日は、『101日以上115日以下』が45.9%、『116日以上』が34.8%を占めた。現場技術者の月当たり平均残業時間は、『15時間以下』が63.0%で最多となり、『16時間以上30時間以下』が26.3%、『31時間以上45時間以下』が9.5%。15時間以下は前年度より7.8ポイント上昇し、残業の減少傾向が鮮明になっている。46時間以上はわずか1%程度だった。」(『建設通信新聞』2025.10.06)
●全国商工団体連合会は9月10日、大阪・関西万博のパビリオン工事に関わる未払い問題で、経済産業省へのヒアリングを実施した。7月16、28日に続いて3回目。前回の要請後、未払い問題解決に向けた同省の取り組みを聞き取った。…省側は「未払い被害を受けている被害業者に会って話を聞いた。最上位元請けから下請け業者への支払いがされているか一つ一つ確認し、実態把握に努めている」とし、「重層下請け構造の下、支払いの有無や金額を巡って、それぞれの事業者間で認識が異なり、正確な把握が困難な状況だ」と説明した。全商連の中山眞常任理事は「政府の責任で、現場で働いた職人の賃金相当分だけでも何とか手当てできないか」とただすと、省側は「国交省の下で、建設業法に基づく元請け責任を果たさせることが必要だと感じる」と述べた。全商連は同日午後7時から、東京都の都市整備局への再要請に向けた対策会議を開催。「GL events Japan(GL社)」が最上位元請けとなっている工事での未払い被害事業者…などが参加し、この間の都市整備局の対応について被害事業者から報告があった。都市整備局は、被害事業者に仕事を直接発注した会社(H社)と話し合うよう勧め、H社に建設業許可を与えている県の建設業係は、紛争審査会の活用を持ち掛けた。H社はGL社から見れば3次下請け、被害事業者は4次下請けに当たる。建設業法は最上位元請けに厳しい管理責任を課しており、4次下請けに工事代金が支払われない場合、最上位元請けが対応する責任がある。全商連は被害事業者とともに、都市整備局が許認可権者としてGL社への行政指導を行うよう、再度要請することにしている。(『全国商工新聞』2025.10.06より抜粋。)
●「全国建設業協会(全建、今井雅則会長)の会員企業を対象に外国人労働者の雇用状況を調べると、11.9%が外国人技能実習生を雇用していることが分かった。特定技能1号・2号の活用意向は『活用している』と『活用したいと考えている』を合わせると21.6%となり『活用するつもりがない』が45.2%に上った。」(『建設工業新聞』2025.10.08)
●「帝国データバンクがまとめた2025年度上半期(4~9月)の全国企業倒産集計によると、建設業の倒産件数は前年同期比10.0%増の1013件で、上半期としては12年ぶりに1000件を超えた。業種別の倒産件数は職別工事業と総合工事業の増加率がともにふた桁に達した。負債総額は21.3%増の892億7700万円だった。」(『建設工業新聞』2025.10.09)
●「建設DXを進めるクラフトバンク(東京都中央区、韓英志代表取締役)が運営するクラフトバンク総研の調査によると、中小(社員数5~100人)の建設会社で賃上げを行っている企業ほど業績が伸びている傾向が現れた。『賃金が上がった』と回答した人の約8割が『残業時間が変わらない・減った』と答えており、基本給や賞与の増加による実質的な賃上げが進んでいると分析した。調査は中小建設業の人手不足や賃上げに関する実態を把握するのが目的に2023年度から実施している。今回(25年度)は8月18~26日にインターネット調査を実施。有効回答数は1659件(経営者601、職人541、事務員517)だった。『人手不足で仕事を断ることがある』と回答した企業は全体の68%に上った。人手不足に関する課題は『人材採用』が最も多く、次いで『人材育成』『離職防止』となった。人材採用では『応募がない』(33%)、『採用活動をしていない』(22%)といった回答が目立ち、特に小規模企業で採用活動の停滞が顕著だった。…24年調査と比較して『賃金が上がった』と回答した割合は32%と全体で増加。ただ売上高1億円未満の企業に所属する人では『賃金が上がった』との回答が18%にとどまり、賃上げの波が十分に届いていない。『賃金が上がった』企業では58%が『業績拡大』と回答。賃上げしている会社ほど業績が伸びている。業績は売上高規模に比例して拡大しているが、1億円未満の企業では縮小傾向が強い。小規模企業は業績面での厳しさが際立つ一方、デジタル化や新規営業に取り組む企業では改善の兆しも見られた。」(『建設工業新聞』2025.10.10)
●「東日本建設業保証がまとめた、前払金保証工事から見た東日本地区の2025年度上期(4-9月累計)の公共工事動向によると、件数は前年同期比0.9%減の7万3578件と微減だったものの、請負金額は15.5%増の6兆1258億円と、過去20年間で最高水準に達した。上期で6兆円を超えるのは00年度以来26年ぶり。ボリュームの大きい都道府県と市区町村の伸びが顕著で、大型の建築案件の多さなどがプラスに寄与している。」(『建設通信新聞』2025.10.14)
●「民間工事に焦点を当てて工期設定や休日取得の実態を1500社超の建設会社に聴取した国土交通省の調査で、現場従事者の平均的な休日取得状況を『4週8休』以上とする割合が直近で約3割に達した。技術者に対象を絞ると2022年度に11.7%、23年度は21.2%、24年度に28.6%と右肩上がりに改善。受注段階で4週8閉所首提案し、最終的に実現できた割合も上昇しており、民間発注者側の理解が徐々に浸透してきた可能性がある。24年度の『適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査』の結果を公表した。23年12月以降に請け負った民間工事の25年1月時点の実態についてl574社が回答した。」(『建設工業新聞』2025.10.15)
●「日本郵便は2026年度から家屋が破損するなど管理が不十分な空き家の持ち主の転居情報を自治体に提供する。住民票を移さずに引っ越した場合も行政が追跡できるようにし、倒壊などの危険性が増す前の対処につなげる。所有者不明の物件は全国に4万7000戸ある。郵便ネットワークを地域の安心・安全など住環境の向上に役立てる。自治体から要請があり、他の方法では転居先が分からないといった条件を満たせば、郵便物を転送するための転居届の情報を共有する。住民票や不動産登記などの変更手続きをしていなくても、生活に密接な郵便の転送手続きはしている場合がある。倒壊などのリスクがあるとして空き家対策特別措置法に基づく特定空き家に指定された物件について、先行して20年から情報共有を始めていた。自治体からの照会に無償で応じてきた。26年度から管理不全空き家も対象にする。耐震性などに関わる部材に破損や腐食があったり、窓ガラスが割れたままになっていたりする物件が当てはまる。1件1000円の手数料も導入する。管理不全の区分は23年の法改正で新設した。自治体は適切な管理や対処を指導・勧告できる。持ち主が応じなければ、固定資産税の軽減措置を受けられなくなる。人口減に伴って空き家は右肩上がりに増え、管理の行き届かない物件も多数ある。国土交通省によると、市区町村が把握した管理不全の空き家は全国におよそ50万戸あり、このうち約4万戸が特定空き家だった。管理不全以外の物件も含め所有者不明の空き家は4万7000戸ある。日本郵便が持つ転居情報を活用すれば持ち主を突き止め、対処を促せる可能性がある。郵便法は郵便物の内容だけでなく、差出人や受取人の住所といった情報も秘密として守るよう義務づけている。災害時や税の徴収に必要な場合など公的な必要性が高い場合は一部例外となる。 総務省の有識者会議で国交省、個人情報保護委員会なども交えて議論し、管理不全の空き家に関する転居情報は例外に含まれると判断した。倒壊などは近隣住民らの命にかかわるほか、衛生環境や景観の悪化によって周辺の資産価格にも影響するためだ。」(『日本経済新聞』2025.10.03)
●「国土交通省は、令和6年空き家所有者実態調査の調査結果を公表した。同調査は、空き家問題が社会問題化していることを受け、全国の空き家所有者の実態を把握し、住生活基本計画における施策検討の基礎資料を得ることを目的としている。調査については、令和5年住宅・土地統計調査(総務省)において『居住世帯のない住宅を所有している』と回答した世帯の中から無作為に抽出した世帯を対象としている。対象世帯数は1万3268世帯で、調査票配布数は1万2402、回収世帯数は6294世帯で、回収率は約51%である。空き家の取得方法について、約6割が相続されたものであり、その相続した空き家の7割超は1980年以前に建設された住宅との結果だった。また、約6割は所有者の死亡を契機に空き家となったことも分かった。…『使用目的のない空き家』の所有世帯において、直近1年間の利用状況の変化を見ると、約15%が除去や貸すなどして空き家を解消している。『貸家用』、『売却用』の空き家所有世帯に関しては、約3割が空き家を解消したとのことだ。今後の空き家の利用意向を見ると、『使用目的のない空き家』の所有世帯の約4割が、今後も空き家として所有する意向がある一方で、4割弱に除去または売却の意向があることも分かった。」(『日本住宅新聞』2025.10.05)
●「関東地方整備局と東日本、中日本高速道路会社の3者は、東京外かく環状道路(外環道)都内区間(関越~東名)の整備に伴う全体事業費の試算結果をまとめた。シールドトンネルの掘進中に東京都調布市で発生した陥没・空洞事故の対策費用などを合わせ、4050億円を追加。全体事業費は約2.7兆円になる見通し。追加事業費を公表したのは初めて。」(『建設工業新聞』2025.10.14)
●「国土交通省は住宅の維持管理の実態について『令和5年住生活総合調査』を実施し、結果を公表した。…『住宅・居住環境』に関する総合評価は、10年前と比較して概ね横ばいで推移とのことだ。『住宅』の不満率は引き続き低下した一方、『居住環境』の不満率は10年前と比べて横ばいだった。借家の『住宅』に関する不満率が31.8%と高い。また、ファミリー世帯の不満率は堅調に低下している一方、単独世帯、高齢者世帯の不満率は10年前と比べて横ばいまたは微増した。『住宅』に関して重要だと思う項目の不満率を見ると、64歳以下単独世帯の『上下階や隣戸、隣室からの騒音などに対する遮音性』、ファミリー世帯の『広さや間取り』、『防犯性』において持ち家と借家の不満率の差が大きい結果となった。一戸建の維持管理について『定期的に点検をしている』世帯は約2割だった。最も多かったのは『不具合が生じた際に修繕をしている』の76%だった。平成31年1月から令和5年12月調査時点までの住み替え等の状況は、約2割が住み替え、約2割がリフォームを実施。住み替えた世帯を見ると、借家に居住する64歳以下単独世帯、ファミリー世帯の住み替えが多く、特にファミリー世帯では『借家から持ち家』の割合が高かった。 最近の住み替え等の理由は、64歳以下単独世帯、ファミリー世帯では『自宅を所有するため』、『世帯からの独立』が多く、65歳以上の世帯では『高齢期の住みやすさ』、『立ち退き要求、契約期限切れのため』が多かった。」(『日本住宅新聞』2025.10.15)