定期総会議案書

第27回定期総会議案書
日時:2016年12月17日
場所:けんせつプラザ東京
1.2016年度研究所活動経過報告
1.2017年度研究所活動方針
1.2017年度理事会


建設産業をめぐる情勢


T.建設産業をめぐる動向

1.社会保険未加入対策の強化

 2017年度は、技能労働者の処遇向上、持続的な発展に必要な人材の確保、法定福利費を適正に負担する企業による公正で健全な競争環境の構築などを目標として進められてきた社会保険未加入対策の目標年次であることから、加入に向けて対策が強化されてきた。元請企業による加入指導の強化や公共工事における社会保険未加入企業の排除、建設業許可の取得・更新時の指導徹底などの対策が取られる一方で、標準見積書等の活用など、必要な法定福利費確保策が十分に浸透せず、一部では、社会保険加入に関する費用が下請事業者や労働者の負担となっている。また、法定福利費を請求できないという重層下請構造の実態を反映して、一人親方等の労災特別加入者数が増加している。2018年度以降は、上述の対策に加えて、未加入の建設業許可業者の「見える化」など、さらなる対策が進められる予定となっているが、社会保険加入促進などの担い手確保を推進するためには、再生産可能な産業構造と公正な取引関係の確立などが求められている。

2.建設投資が増加する中で、大手ゼネコンの利益が大幅に増加
 2016年度の公共事業関係費は総額5兆1,787億円(当初予算)と前年度に引き続き大型予算となった。三大環状道路整備や国際コンテナ戦略港湾など、国際競争力強化を目的とした大型事業が目立つが、その一方で、高度経済成長期を通じて整備してきたインフラ等の維持管理経費の抑制、削減が続いている。
 2016年度の建設投資は51兆7,700億円(前年度比1.6%増)と見通されているが、特に民間投資が前年度比2.2%増加して推移している。建設投資増加傾向の中で、大手ゼネコンの経営状況は、受注高こそ微減しているものの、安定した手持ち工事高のもとで、完成工事利益率を大幅に改善させている(主要22社、前年度比45.2%増)。この要因としては、公共工事設計労務単価の4年連続の引き上げや担い手3法の改正による発注価格の改善、過度な入札競争防止策が浸透してきたこと、さらに、労働需要のひっ迫などにより民間工事の選別受注などによる受注価格の上昇などが挙げられる。その結果、大手ゼネコン各社は、営業利益、経常利益、純利益いずれも増加して推移しており、配当金の増加や内部留保の積み上げとなって現れている。設計労務単価の引き上げや受発注価格の上昇を利益として吸収して利益を確保してきているが、産業を根底から支える建設労働者の賃金・労働条件を改善するための施策と労働組合運動の強化が求められている。

3.生産性向上に向けた動きとi-Construction

 国交省は、人口減少時代を迎える中、労働者が減少してもその減少を上回る生産性向上によって経済成長の実現が可能として、2017年を生産性革命元年と位置づけ、生産性向上に向けた取り組みを開始した。その切り口は、@「社会のベース」の生産性を高めるプロジェクト、A「産業別」の生産性を高めるプロジェクト、B「未来型」投資・新技術で生産性を高めるプロジェクトとなっている。具体的なプロジェクトとしては、@渋滞対策やコンパクト・プラス・ネットワーク化により密度の経済で生産性を向上させる、など、Ai-Constructionへの転換や物流生産性革命、トラック輸送の生産性向上、など、Bインフラの海外展開による新たな需要の創造・市場の開拓、などである。
 こうした国の動きを受け、日建連も産業構造、土木分野、建築分野から、生産性向上に向けての指針となる「生産性向上推進要綱」を発表している。
 また、一品受注生産、現地屋外生産、労働集約型産業である建設業について、@建設現場を最先端の向上へ、Aサプライチェーンマネジメントを導入、B建設現場における規制と既成概念の打破と改善を進める、という3つの視点でi-Constructionの取り組みを進めている。これらの施策は、賃金水準の向上や休日の拡大につながるなど、現場の働き方の改善につながると期待されているが、生産性向上が直結するのは受注単価の下落であり、生産性の向上がそのまま賃金、労働条件の改善につながる保証はない。


U.建設労働をめぐる動向


1.担い手確保に向けた取り組みが加速

 建設労働をめぐっては、担い手確保に向けた取り組みが加速した1年であった。建設業団体や行政、職業訓練校、教育機関等で組織し、2014年に設立された「建設産業担い手確保・育成コンソーシアム」では、担い手確保・育成のためのネットワーク構築や教育訓練等基盤の充実・強化などの対策が進められた。利根沼田テクノアカデミーや高松市の職人育成塾など、全国各地で育成に向けた取り組みが始まった他、女性限定で技能訓練を行う事業なども開設されている。

2.建設キャリアアップシステムの構築に向けた官民コンソーシアム
 2015年8月以降、技能労働者の処遇改善、専門工事業者の施工力や工事の品質の向上及び現場管理の効率化等を図るため、技能労働者の情報を業界統一のルールで登録・蓄積するシステムを行政、建設業関係団体等が一体となって構築することを目的として設立され、議論を進めてきた官民コンソーシアムが、2016年8月、「建設キャリアアップシステム基本計画書」を発表した。
 このシステムの実現により、技能労働者には、@技能や経験の適切な評価、A自身の経歴・資格等を簡易に証明、B雇用の安定化などの効果が、建設事業者には、@能力評価への活用、A現場管理の効率化、B社会保険の法定福利費などの証明などの効果が期待されるとしている。システムの開発や登録は今後進められる予定となっている。
 近年、建設労働者の担い手不足が業界全体の課題となっており、その改善に向けて様々な取り組みがなされている。しかし、現場を担う労働者の賃金は、この数年間で5%程度しか引き上げられておらず、こうしたシステムが有効に機能し、効果を発揮するためには、こうしたシステムなどを基にして、元請、専門工事業などの業界団体・企業と労働組合をはじめ、業界全体での賃金、労働条件改善の取り組みが必要である。


V.住宅政策、住宅産業をめぐる動向

1.新築需要の減少によるリフォーム市場整備
 住宅着工について、分譲マンションおよび戸建て、賃貸住宅等、新築市場は減少傾向が予測されている。人口減少が進み住宅ストック量が充足状態になることが大きな要因である。加えて、住宅取得者層の貧困化の拡大と深化による住宅需要の減少が新築市場の減少傾向に拍車をかけている。
 政府はこのような状況や耐震性能等住宅ストックの状況に着目し、既存住宅・リフォーム用の保険制度の整備や住宅リフォームの推進のための税制措置を含めた支援策等、中古市場の環境の整備、活性化を促す方向を打ち出している。

2.住宅メーカーの経営戦略

 また、住宅産業において大手ハウスメーカーは供給する住宅の付加価値対策や経営の多角化を進めている。例えば、地球温暖化対策の枠組みを定めた「パリ協定」では住宅など家庭部門において温暖化ガス39%減という目標を示したが、住宅メーカー各社は新築市場において、「ゼロエネルギー住宅」(ZEH)に注力している。また、住友不動産は防災上の課題が多く残る木造密集地域の敷地を統合し大型マンションを建設している。資本主導の住まい方やまちづくりが展開され始めている。さらに、インターネット通信販売の利用が急拡大してきた国内物流施設の開設が相次いでいるが、そこに商社や外資系企業やデベロッパーなどと肩を並べ大和ハウスが乗りだしている。


W.頻発する自然災害、インフラの事故と老朽化、リニア事業の推進

1.東日本大震災からの復旧復興と熊本地震の発生

 東日本大震災から6年目を迎えようとしている。しかし、いまだ避難生活を強いられている人は17万人にのぼり、供用期間原則2年とされているプレハブや木造の仮設住宅には現在も6万人が暮らしている。復旧復興の目途は到底立っていない状況にある。
 一方、熊本では4月16日から震度6、7クラスの地震が立て続けに2回発生した。住宅被害は全壊8,329棟の他、公共建物の被害も深刻であった。また、土砂災害は土石流等57件、地すべり10件、がけ崩れ123件が発生し、中でも阿蘇大橋の崩落のインパクトは強いものであった。熊本地震の発災以降も地震が頻発しており、南海トラフ巨大地震をはじめ予想される巨大地震への防災・減災のための備えは不可欠である。

2.インフラの事故と老朽化
 また、インフラの事故も深刻なものとなっている。福岡市の博多駅前では地下鉄延伸工事のトンネル掘削中、幅27m長さ30m深さ15mに及ぶ陥没事故が発生した。規模が大きかったためマスコミでは大きく取り上げられたが、下水管の老朽化が原因の道路陥没事故は全国で年間3,300件発生しており、対策が急がれている。

3.リニア新幹線建設事業の推進

 しかし、国土開発をめぐって、JR東海によりリニア新幹線建設事業が始められた。建設に要する費用の概算は9兆円を超え、3兆円は財政投融資である。リニア式の採用理由や安全面、採算性、環境アセスメントなど問題点や明らかになっていないことが山積しているにもかかわらず工事が進められている。


X.政治・経済をめぐる動向


1.アベノミクス第2ステージで国民の生活悪化に拍車

 2016年は、安倍政権による「1億総活躍社会」の実現に向けて、新3本の矢、「希望を生み出す強い経済」、「夢をつむぐ子育て支援」、「安心につながる社会保障」を目指した政策が進められてきた。「強い経済」を生み出すためには、消費と投資が活性化することが必要であるが、これまで、国内消費を重視した政策は前面に打ち出されてこなかった。「異次元の金融緩和」や、「機動的な財政出動」、「成長戦略」という3本の矢が生み出した恩恵を受けたのは、一部の富裕層と大企業に限られ、消費の増加には結びつかなかった。そのため、国内消費を拡大し、経済成長につなげるために、労働分配率の向上について触れざるを得なくなった。しかし、一方で「働き方」改革(流動的な労働市場創出に向けた動き)を進めており、矛盾した政策となっている。
 また、「夢をつむぐ子育て支援」では、結婚・子育ての希望実現の基盤となる若者の雇用安定・待遇改善や仕事と子育てを両立できる環境の整備などが支援策として挙げられているが、保育所の不足など、依然として課題が残ったままである。また、社会保障については、「介護離職ゼロ」に対する支援策に限定されており、年金制度改革法案(年金カット法案)の強行採決など、むしろ、社会保障は後退していると言わざるをえない状況である。

2.安全保障関連法が運用段階へ

 2015年9月19日、参院本会議採決されて成立した安全保障関連法が、いよいよ本格的に運用の段階に入った。南スーダンでのPKOにおいて、2016年12月12日に現地に到着した陸上自衛隊の第11次派遣部隊に、「駆けつけ警護」などの新たな任部が付与された。新たな任務は、武装勢力に襲われた国連職員の救助に向かう「駆けつけ警護」や宿営地が襲われた場合に防衛する「共同防護」などで、任務遂行に必要な武器使用の権限が拡げられている。
 安全保障関連法案については、多くの国民が反対する中で強行採決されており、平和主義、立憲主義を大きく毀損するものである。強行採決された安全保障関連法を根拠として、軍事国家化への道を進ませないために、国民全体での取り組みが今後とも注視される。




2016年度 研究所活動経過報告


T.この1年間の重点活動


 この一年、建設産業・労働と政治・経済の動向を踏まえて活動を進めてきた。以下に今年度の主要な活動について報告する。

 ○世田谷区から「世田谷区建設業実態・意向調査」を受託した。
 ○東京土建から委託を受けた「求人・応募・採用に関する調査」を実施し、報告書にまとめた。
 ○建設産業政策研究プロジェクトを立ち上げ、参加者の幅を広げて、建設産業に関わる様々なテーマについての研究会を開催した。
 ○研究委員会を公開研究会方式で開催した。
 ○建設首都圏共闘の韓国訪問に随行し、韓国建設産業の実態を把握するとともに、報告書作成に協力した。
  また、韓国からの視察団の質問等に対応し、日韓の交流を進めた。
 ○財政に関しては、新規委託調査の受託等に努め、支出を抑えた。
 ○関西支所では、「賃金・労働条件問題」をテーマに研究会(7回)を進めた。また、第15回地方議会議員研修会を開催し、
  全国から87人の参加を得た。北海道センターは、札幌、旭川を中心に、公契約条例制定に向けた取り組みの他、
  ワーキングプア研究会や自治体の臨時・非常勤職員などの調査研究活動を進めた


U.研究・調査活動


1.研究委員会

 
 今年度は下記の通り3回の委員会を開催し、議論、検討を行った。
   第1回 2016年3月24日(公開研究会) 参加者18名
        浅見和彦氏「オリンピック施設建設と労使関係を考える」
   第2回 2016年8月10日(公開研究会) 参加者22名
        植田浩史氏「中小企業振興と地域経済の創造〜宮城県南三陸町中小企業実態調査を参考に」
   第3回 2016年11月10日 参加者14名
        依田満博氏「『i-Construction』とは何か。建設産業・労働に与える影響を考える」

 今年度は、建設産業・労働をめぐる情勢、政策動向についての議論を深め、幅広い参加者によって議論を活発化させていくために、公開での研究会を2回開催した。公開研究会の開催により、多数の参加者を得ることができたものの、開催回数が一昨年の6回、昨年の4回から今年度は3回に減少しており、会員の課題や情勢に見合った議論を十分に取り上げることができず、一定の課題を残した。

2.建設政策基本問題研究会

 本研究会は、建設産業・労働政策など重要な基本的政策課題について討議し、研究所の基本的な考え方をまとめることを目的に設置されている。必要に応じて開催されることになっており、今年度は、開催しなかった。研究所として考え方をまとめることが求められるテーマの検討や整理に課題を残した。

3.研究プロジェクト
1)建設産業政策研究プロジェクト
 本プロジェクトでは、幅広い視点から、現在の建設産業の課題について議論を重ねてきた。具体的なテーマは下記の通りであり、研究所外部の人材を交え議論を進めた。本プロジェクトで取り上げるテーマが多岐に亘っていることから、1つの報告書としてはまとめるに至らなかった。
  第1回(2016年2月10日)「本プロジェクトの課題、テーマについて」
  第2回(2016年3月10日)「韓国の建設産業・建設労働」
  第3回(2016年4月22日)「長野県の『建設工事における適正な労働賃金の支払いを評価する総合評価方式』
                 の課題を中心に」
  第4回(2016年5月20日)「南京視察報告」
  第5回(2016年6月8日)「建設業における外国人労働者の受け入れについて―政策と実践をめぐる乖離と現実的課題」
  第6回(2016年7月13日)「公共施設の再編・地方創生政策と国-地方関係の変化」
  第7回(2016年9月20日)「i-Constructionについて」
  第8回(2016年10月27日)「生産性向上推進要綱―日本建設業連合会」
                  「国土交通省直轄工事における高度技術提案型総合評価方式について 
                  事例:小石原川ダム本体建設工事」
  第9回(2016年11月25日)「請負的就労者の権利確立に向けて」
2)その他のプロジェクト
 研究委員会や会員等からの要請があった場合、個別課題についての研究プロジェクトを設けることになっているが、今年度は新規プロジェクトを設けなかった。

4.他団体との共同研究会

全建総連東京都連との「オリンピック施設建設と労使・発注者・行政の連携に向けた共同研究会」
 2020年に開催が予定されている東京オリンピック・パラリンピック施設建設において、労災を減らし安全な現場運営を実施し、現場、産業のルールを確立することを視野に入れて共同研究会を実施した。具体的には、ロンドン大会の経験を参考にしつつ、労働組合代表がどのように参加し、将来ある建設産業の再生に向けてどのように関わっていくか等について、以下のように議論を進めた。
  第1回(2016年3月24日)浅見和彦氏
   「オリンピック施設建設と労使関係を考える−2012年ロンドン大会における労使・発注者・労働行政の連携−」
  第2回(2016年7月22日)宮本英典氏(全建総連東京都連)
   「東京オリンピック・パラリンピック関連施設の建設と組合運動について」
  第3回(2016年9月2日)清水謙一氏(全建総連)
   「五輪施設建設における連携−仕組みづくりに向けて」

5.受託調査活動
1)東京土建の求人情報の活用状況と労働市場・事業主層の求人マッチング状況調査
 東京土建より、「求人情報の活用状況と労働市場・事業主層の求人マッチング状況調査」を受託した。本調査は、無料職業紹介事業や労働者供給事業を実施するために必要な、労働者の適正な賃金水準、労働条件、ならびに技術・技能の評価(認定)基準を検討するための実態把握を目的としている。具体的には、事業所組合員の求人条件や求人方法、マッチングの実態などを把握するための調査で、事業所組合員に対するアンケート、ヒアリング等によって実施した。アンケート回答事業所の4分の3が求人しており、その9割弱で応募があり9割が採用に至っていることなどが明らかとなり、報告書にまとめ提出した。
2)世田谷区建設業実態・意向調査
 2016年7月、プロポーザルにより、「世田谷区建設業実態・意向調査」を受託した。本調査は、世田谷区内の建設業界における実態や課題、今後の方針等の現状を把握し、今後の効果的な産業振興施策の推進につなげるため、区内全建設関連事業所を対象としたアンケート調査を実施し、結果の集計及び分析、報告書作成を行うもの。「世田谷区建設業実態・意向調査」の受託は、自治体からの事業受託実績となることから、今後の自治体からの受託に向けての第一歩となることが期待される。
3)賃金・生活実態アンケート調査の集計と分析
 全建総連東京都連、神奈川県建設労連、埼玉土建、千葉土建の賃金アンケートの入力、集計作業の受託は今年で16年目となった。東京都連、埼玉土建からは分析作業も受託し、2016年の賃金実態の特徴及び経年変化について、分析を実施した。また2016年首都圏4組合トータルの集計と分析、各組合間の比較と特徴、時系列的変化の特徴等についての分析作業も行う予定である。

6.海外建設事情視察

 2016年度の活動方針では、過去のオリンピックにおける建設工事と労使関係について調査研究を行うこととし、全建総連東京都連との共同研究会を通じて、2020年東京大会に向けた建設工事と労使関係について議論を行った。


V.情報提供・収集


1.情報収集・提供活動

1)新聞切り抜きなどの情報提供活動
 東京土建、神奈川県連、神奈川土建、全商連、横浜建設、千葉土建に新聞切り抜き、月刊雑誌の主な記事、官庁・業界資料などをセットにして情報提供(紙ベース、クラウドサービスを活用した電子データ(PDF))を行った。2016年度の1年間、埼玉土建より前年度から継続して情報提供事業を受託した。
2)ウェブサイト
 最新の情報を掲載するよう心掛けてトップページの更新(「お知らせ」や「建設政策」最新号の紹介)は適宜行ったが、各種会合記録や調査研究成果の掲載、更新を確実に行えなかった。英語版のページは作成に至らなかった。


W.討論会・シンポジウム、議員研修会


1.討論会・シンポジウム、セミナーの開催

 今年度は、研究委員会を公開研究会として2回開催した。公開研究会はこれまで十分に取り上げてこなかったテーマであったことから、参加者からは概ね好評を得た。その他の課題に対して、討論会・シンポジウムなどの開催に至らず、課題が残った。
2.地方議会議員研修会の開催
 今年度、地方議会議員研修会を関西で1回(8月)開催した(京都府京都市、8月4日(木)〜5日(金)、参加者88名)。内容は、1日目は記念講演と特別報告・講義を、2日目は3講座に分かれて講師による講義および質疑応答であった。
 第14回の研修会(2015年10月)は、最も少ない参加者数であったため、東京での開催は検討を要するとしていたが、今年度の開催は見送った。関西で開催された第15回の研修会も関西での開催としては参加者数が少なかったことから、次回の開催については、東京、関西いずれも検討が必要となっている。


X.講師活動及び執筆活動、他団体との共同の活動

1.講師活動

 会員団体、会員外団体への学習会や講演会などでの講師活動を行った。講師は理事を中心に派遣した。主な派遣先は、東京土建支部書記長会議(1/26)、東京土建渋谷支部PAL総会(4/3)、全建総連関東地協企業交渉団会議(4/8)、新都政研究会(5/30)、神奈川土建労働学校(7/29)、千葉土建千葉支部幹部学校(8/28)、全建総連東京都連賃金活動者会議(8/31)、全建総連関東地協企業交渉団会議(10/5)など。

2.執筆活動
 専務理事が、『月刊民商』等に執筆した。単行本では『日本労働年鑑』(「建設産業」)に執筆を行った。

3.他団体との共同の取り組み
 賃金引き上げ建設労働者大集会(2016年2月10日)実行委員会へ参加した。


Y.第23回全国建設研究・交流集会への参加

 第23回全国建設研究・交流集会は、「いのちと安全をまもる地域建設産業の発展に向けて−震災からの復旧・復興を実現する担い手の確保・育成を」をテーマに、福島県いわき市で開催し、386名が参加した(2016年12月4〜5日)。1日目は記念講演と特別報告、2つの現地報告、2日目は4つの分科会と1つの講座、現地視察を行った。
 第23回集会において研究所は、副実行委員長団体、事務局長団体として参加し、企画立案、準備と当日の運営、会計、産業関係者への参加呼びかけなどを中心的に担った。


Z.「建設人・九条の会」の活動への協力

 昨年の安保法案成立後の緊迫した情勢の中、「建設人・九条の会」との一致点にもとづき、活動に協力を図った。


[.出版活動


1.「建設政策」誌

1)出版編集委員会
 出版編集委員会は、責任者:山田貴徳、副責任者:福富保名、編集長:市村昌利、編集委員:松広高幸、山本篤民、越智今日子、宮川裕二の体制で臨んだ。
 編集委員会では特集をはじめとして企画案について検討し、情勢や運動に見合った誌面づくりを目指した。また、実態を把握するための取材記事や現場からの報告を取り入れると同時に、考え方の基礎となる総論や個別の課題に対する諸見解等の執筆を依頼し、理論と実践の両面を掲載できるように心がけた。
2)各号の企画と誌面
 「建設政策」は隔月発行であり、今年度は165号から170号までの6号を発行した。毎号情勢を踏まえた特集を組むように心がけ、研究プロジェクトや共同研究会、研究委員会などの研究成果に基づいた記事の他、東日本大震災から5年経過した現状や都心の大型開発等の問題を取り上げた。今年度、シリーズ企画は設けなかった。
 特集を組むに当たっては、体制の不足等により、必ずしも情勢を明確に捉えた内容とすることができなかった側面があり、次年度以降の体制強化が課題となった。

2.「建設政策研究」誌

 第6号の刊行については経費確保が困難な状況にあり、運営会議、理事会で発行に向けての十分な検討を行わなかった。

3.第22回全国建設研究・交流集会報告書の作成

 2015年11月に行なった第22回全国建設研究・交流集会の報告書をCD形態で刊行した。頒布枚数563枚であった。


\.組織と財政基盤


1.研究所の組織体制と運営

1)組織運営
 理事会役員は27名、運営委員は12名。理事会の報告・議論は、@情勢についての議論、A検討事項、B確認事項で構成し、現在取り上げるべき課題や会員団体等の現状などについて討議する時間を増やした。また、『建設政策』についての意見を伺う機会とした。
 今年度理事会は6回開催した。理事会は、毎回半数程度の参加での開催となっており、出席理事の増加が課題となっている。効率的な運営を心がけ、必要な事項については理事会での議論を踏まえた決定等を行った。運営会議は開催に至らなかった。
 <理事会開催状況>
  第1回(2015年12月12日)
  第2回(2016年1月27日)
  第3回(2016年3月30日)
  第4回(2016年6月8日)
  第5回(2016年9月6日)
  第6回(2016年11月16日)
2)体制(役員、事務局、研究員)
 役員体制(理事長、副理事長、専務理事、理事、会計監査)を基本とし、運営面では大きな問題は生じなかったが、事務局業務の負担により調査・研究面への影響が深刻な状況となっている。より効率的な事務運営とともに、事務局体制の強化が課題となっているが、根本的な課題解決に向けた対策は定まっていない。
 研究員の補強については、今年度は確保に至らなかった。今後の研究所の発展の要となる若手中堅研究者や現場経験者の確保は引き続き課題となっている。


2.支所の活動

1)関西支所
 年間を通じた課題として「賃金・労働条件問題」、「業課モラルとルールの確立」を設定し、課題ごとにワーキングチームを編成した。「賃金・労働条件問題」については、武谷嘉之氏(関西支所主任研究員・奈良産業大学准教授)を講師として「江戸時代の職人組織」をテーマとしたオープン講座を開催するなど、7回の研究会を開催した。また、「防災まちづくり研究会」へ参加するなど共同の取り組みも進めた。第15回地方議会議員研修会を開催し、全国から87人の参加を得た。
2)北海道センター
 札幌、旭川を中心に公契約運動に資する調査研究活動を進めた。また、「旭川ワーキングプア研究会」の活動が本格化し、研究会への参加の他、公共工事現場調査報告書を作成した。公契約運動などを広げるため、道内のその他の地域でも調査研究活動に取り組み、「非正規公務労働問題研究会(主査:川村雅則)」で自治体の臨時・非常勤職員の実態調査を実施し、調査結果とまとめた。
3)九州支所設立に向けた取り組み
 建設政策研究所九州支所設立準備会は、国交労組九州建設支部と国交管ユニオンと共同で各自設定したテーマで研究活動を進め、報告会を開催した。また、熊本地震の調査を2回実施した。

3.会員の状況
1)団体会員
 今年度は、新規加入が3団体、退会4団体、合併による減3団体、個人会員に移行1団体だった。2016年10月末現在196団体である(前年度比5団体減)。特に、30口の大口会員が退会したことから、収入の減少につながっている。第27回総会での拡大目標5団体に対して、新規加入が3団体にとどまっている一方で、退会が計8団体となっており、団体会員数の減となった。
2)個人会員の拡大
 今年度は入会13人、退会18人、長期滞納者退会6名によって2016年10月末現在352人となった。会員構成の高齢化が進んでいることから、毎年一定の退会者が継続している。退会者数に対して入会者数を十分に確保できていない状況である。第27回総会での拡大目標12名の純増に対し、11名の純減となっている。
3)「建設政策」誌の定期購読部数の拡大
 今年度の購読部数は2016年10月末現在、23団体で40部、個人読者7人で7部、計47部で、2015年10月末に比べて4部増加した。第27回総会での拡大目標45部を達成した。

4.財政
1)会費の改訂
 第26回定期総会で確認した会費の改訂について周知を進めた。会員には概ね了承を頂いている。
2)財政運営
 収入2,984万3,730円、そのうち会費収入が1,626万3,500円(15年度1,548万6,000円、77万7,500円増)、非会費収入1,358万230円(15年度1,610万2,424円、252万2,194円減)となっている。非会費収入が会費収入を上回る状況が続いてきたが、会費改訂による会費収入の増加と受託調査事業等の減少により、逆転した。
 今年度当初予算では、約90万円の繰越金取り崩しを予定していたが、個人会費の納入率の上昇や集会報告集販売数の増加などにより収入を予算通り確保したのに対して、事務用品費や出版・書籍販売費の抑制の他、2016年度に予定していた非常勤研究員の勤務実績が予算を下回ったこと等により、支出を削減した。そのため、繰越金を取り崩すには至らなかったが、事務局員・研究員の待遇改善、若手研究者の確保に向けて、財政状況を根本的に改善することが必要となっている。




2017年度 研究所活動方針案


T.中期的な課題と活動方針


 設立の趣旨および定款に則って、研究所が中期的に取り組むべき課題は多岐に亘っている。建設産業をめぐる現状を踏まえ、当面、下記の中期的な課題に基づいて、調査・研究活動と体制、財政の強化を進めていく。また、情勢の変化に応じた課題については、随時取り上げることとする。

 研究所が中期的に取り組むべき課題
  1.建設労働者の賃金・労働条件の向上に向けて
    ・建設労働者の賃金と社会保険・労働保険料負担の実態と課題
    ・団体交渉機構づくりと労働協約締結に向けての課題
    ・公契約条例制定自治体拡大に向けての課題、公契約条例制定自治体の運用実態の把握、公契約法の検討
    ・建設技能労働者の働き方検討

  2.地域建設産業振興に向けて
    ・地方自治体の建設産業政策策定に向けて
    ・公共事業の入札・契約制度のあり方
    ・国・地方の財政政策の課題

  3.建設産業構造の改善に向けて
    ・重層下請構造の解消に向けた課題
    ・産業組織構造の検討

  4.安全な国土形成・利用に関する課題
    ・インフラの老朽化、公共施設統廃合に向けた課題
    ・災害に対する体制の強化に向けた課題

  5.住宅政策に関する課題
  6.体制と財政の強化
   団体会員、個人会員の拡大に取り組む。今後3年程度を目途に、団体会員は216団体程度(第6次中期計画の目標数)
   に、個人会員は現在の1割増の400人程度を目標に拡大に取り組む。
  7.その他



U.2017年度活動の重点方針

  2017年度の活動は、建設産業と政治・経済をめぐる情勢を踏まえ、下記の点に重点を置いて取り組む。
  ○調査・研究の重点
   ・社会保険未加入対策の最終年度と重なっていることから、政策によって賃金、労働条件、社会保険等にどのような影響
   が及んでいるのか、共同研究会などで調査を実施し、実態把握とともに改善策を検討する。
   ・建設産業は地域産業であるという基本的視点から、地域建設産業の再生、活性化に向けて、地方自治体の建設産業
   政策のあり方や方法等について、共同研究会等を通して検討する。
   ・幅広い参加者を募りながら、プロジェクトや研究会などを開催し、建設産業の抱える様々な課題について検討する。
   ・頻発する災害にたいして、安全で安心して住み続けられるための国土づくりや求められる政策等について検討する。
   ・研究所の提言「住民の生活と安全を支える地域建設産業の再生と持続的発展をめざして」の改訂、あるいは新規提言
   発行に向けて、建設産業情勢の実態と課題把握に努める。
  ○研究プロジェクトや調査報告書の成果などを活用した新企画提案で共同研究会や受託事業を確保するよう努める。
  ○若手中堅研究者の確保・育成に力を入れ、調査研究体制の充実を図るとともに、常勤体制の強化・拡充等、事務体制と財政の強化に努める。


V.研究・調査活動

1.研究委員会

 研究委員会は研究所の調査・研究活動の要であり、研究会や研究プロジェクト等と連動した研究所の考え方、政策提言を最終的に確認する場である。研究活動を会員とともに進め、研究テーマの多面的な検討と討論をより活発化させていくために、テーマに応じて会員や関係団体の取り組みや専門家に報告いただくよう努める。
 また、幅広いテーマを取り上げることを心がけ、広く参加者を募って公開研究会を開催する。
 研究所の認識を深め、会員、建設産業関係者・団体等に発信していくために下記のように進めていく。
  1)研究テーマは、重点方針に示したテーマの他、建設産業・労働、公共事業を取り巻く情勢や政策動向など、幅広く取り上げる。
  2)研究所の研究活動を会員とともに進めていくために、研究委員会・研究プロジェクトには幅広く会員(個人、団体)に
   参加してもらう。テーマに応じてそれぞれから取り組みや課題などを報告いただき、会員とともに多面的な検討と討論を行うようにする。
  3)研究委員会で議論を深めた成果を、政策提言の発表や出版物の発行に結び付けるように努める。また、それらの
   成果を、公開討論会やシンポジウムの開催、建設産業に関わる各種団体(業界、労働組合、行政等)に広く発信していく。
  4)研究所の認識を深めるために研究委員会は、研究プロジェクトや建設政策基本問題研究会と効果的に連携していく。

2.建設政策基本問題研究会

 2016年度に続き建設政策基本問題研究会を設置し、必要に応じて開催する。2016年度は開催に至らなかったが、建設産業や労働政策、現場の実態など重要な問題を取り上げて集中的に討議する場として活用する。会員の理解を深め、調査・研究の一助となるように、情勢に合わせて必要なテーマを取り上げて議論する。委員を中心に理事や関係者等に参加を呼び掛け、必要に応じて専門家などからの報告も依頼する。

3.研究プロジェクト

1)建設産業政策研究プロジェクト
 担い手3法の改正や公共工事設計労務単価の改正、日建連の長期ビジョン発表など、建設産業は大きな転換期にあることから、2016年度に設置した本プロジェクトを今年度も継続して開催する。適切な賃金・労働条件を確保し、地域建設産業の発展に求められる諸課題について、各分野からの参加を募って定期的に議論する。
2)その他のプロジェクト
 研究委員会や会員(団体・個人)等からの要請があった場合、個別課題についての研究プロジェクトを設ける。

4.労働組合等との共同研究会

1)共同研究会の開催に向けて
 2017年度は現時点で確定している共同研究会がないため、会員団体を中心に現在の課題等の解明に向けた共同研究会の開催に向けて働きかけを進める。(社会保険等の実態調査を進める共同研究会、または、地方自治体における地域建設産業政策のあり方、公契約条例制定自治体における運用の実態、重層下請構造の実態把握、災害対応・防災等、安全・安心な国土づくりに関する研究会、など)
2)その他の研究会
 年度途中において、個別に研究が必要とされるテーマが発生した場合は、臨機応変に共同研究会(または研究プロジェクト)を立ち上げる。

5.受託調査活動

1)賃金・生活実態アンケート調査の集計と分析
 これまでの賃金・生活実態アンケートの集計と分析の成果をふまえ、建設労働者の賃金政策により資するように集計と分析を行っていく。
 具体的な受託方針については、下記の通りである。
 @全建総連東京都連および埼玉土建、神奈川県連、千葉土建の2017年度の賃金実態調査の入力・集計・分析作業を受託できるように働きかける。
 A2017年度首都圏4組合の調査を比較、経年変化の分析作業を受託できるように働きかける。
 B全建総連傘下の首都圏以外の組合からも受託できるように働きかける。
2)自治体発注の調査等
 自治体発注公共工事分析及び政策づくりについて、議員等からの受託に向けて継続的に働きかけを行い、公共工事分析事業の受託を目指す。また、「世田谷区建設業実態・意向調査」の受託実績を元に他の自治体発注調査等についても、公告された調査事業などがあれば、プロポーザルなどの入札に積極的に参加していく。
3)新規の受託調査
 2017年度は前年度に続き受託調査事業が減少することになる。研究所は全建総連やその加盟組合、公務労組などをはじめとした建設労働組合の本部・支部などと懇談し、まず調査ニーズを把握することに努める。さらに、企画提案を検討し、受託事業の確保をめざす。

6.海外建設事情調査研究

 海外の建設産業・労働の動向について、研究テーマに応じて各国の先進事例等の文献研究をはじめ、調査、研究を進める。


W.情報提供・収集


1.情報提供活動

 新聞切り抜き、雑誌や資料の記事、情勢の特徴などをセットにした情報提供事業の活用団体・個人を増やすように努める。提供している団体のニーズを把握し、対応可能なものは検討を試みる。

2.ウェブサイト

 研究所からの行事のお知らせや調査研究活動の成果など最新の情報の掲載、更新を怠らずに行う。



X.討論会・シンポジウム、議員研修会

1.討論会・シンポジウム、セミナーの開催

 研究所が見解や政策提起を行った際、また、建設行政や建設産業にかかわる重要な課題が生じた場合は公開討論会等を開き、テーマに対する研究所の考えを広め、意見交換を通じて認識を深める。

2.地方議会議員研修会の開催

 参加者数が減少傾向にあることから、他の研修会等や動向を踏まえて開催を理事会等で検討する。
 開催に当たっては、魅力ある企画づくりを行うために、聞き取りやアンケートなどで地方議員のニーズを把握し、それを活かした講義テーマ・内容、講師陣を定めていく。また、テーマ別現場見学の研修会などの開催も検討する。



Y.講師活動及び執筆活動、他団体との共同の活動


1.講師活動

 研究所の研究・調査活動の成果を多くの団体に報告し、討論してもらうための講師活動を重視していく。相手からの依頼にとどまらず、研究・調査等の内容は積極的に報告の機会を作るように働きかけていく。また、労働組合などの会員団体をはじめとしたニーズの把握と企画提案の検討に努める。

2.執筆活動
 諸団体の機関誌や月刊誌などに積極的に執筆活動を行い、研究所の研究・調査活動の成果を広げていくことに努める。

3.他団体との共同研究など共同の取り組み

 共通するテーマにもとづく他団体との共同研究をはじめ、シンポジウム、学習会等を企画、提案していく。

Z.第24回全国建設研究・交流集会

 第23回全国建設研究・交流集会実行委員会の総括会議を通じて確認された第24回集会の方向性に沿って関わっていく。


[.「建設人・九条の会」の活動への協力
 駆けつけ警護など、自衛隊の海外での戦闘行為が現実味を帯びてきており、情勢が緊迫してきている。「建設人・九条の会」との一致点にもとづき、「建設人・九条の会」の活動に協力していく。


\.出版活動



1.「建設政策」誌
 編集会議に的確な企画を出せるよう以下のような取り組みを行っていく。
1)編集会議
 引き続き「建設政策」誌の編集方針の基本に沿って、誌面の改善、内容の充実に取り組んでいく。また、編集時期、発行時期に照らして出版編集委員会を開き、特集企画、その他のテーマ、内容等に関して検討を進めるようにする。
2)編集委員
 2017年度の出版編集委員は2016年度の体制を継続するが、体制強化に向けて適宜編集委員の充実を図る。また、建設産業に中心的な視点を置きつつも、幅広い誌面作りを提供できる体制の構築も併せて検討する。
3)企画・内容
 情勢の動向に合致した特集を組めるように努め、研究所の調査・研究成果も適宜発表していく。また、実態や現場の声などを伝えるための取材やインタビューも積極的に取り入れていく。同時に、求められる政策や運動を支える理論的な側面も重視し、研究者等の執筆記事を掲載する。
 企画については、より直近の問題や重要なテーマを取り上げ、実態や研究の現状を伝えられるよう、書き手の発掘や柔軟な取材活動で対応していく。また、重要なテーマについては、多面的に捉えられるよう、小特集などで対応していきたい。
また、継続的に取り上げることが必要な、または望ましい企画については、シリーズ化して深く掘り下げて掲載していく。

4)誌面レイアウト
 誌面レイアウトについては、図表や写真などを本文に合わせて挿入し、小見出しを設けるなど、読者が読みやすい誌面を作るための工夫に努める。また、より見やすい目次のレイアウトについても検討を進める。
5)読者からの意見・歳時記募集
 引き続き個人読者にアンケートを配布し、意見募集を行う。これまで寄せられた意見等に対して十分に対応できていなかった反省を踏まえ、寄せられた意見に対する対応を検討する。また、より多くの意見を集めるため、意見をお寄せいただいた会員の方に粗品等を進呈することを検討する。

2.「建設政策研究」誌

 第6号の刊行については経費確保が困難な状況にあり、「建設政策研究」の目的・意義と今後の方向性、第6号の刊行の可否について運営会議、理事会で確認するようにする。研究所の設立趣旨に基づいた研究活動を進め、所員の研究成果発表の場としても活用するため、刊行を検討したい。

3.第23回全国建設研究・交流集会報告集の作成

 第23回全国建設研究・交流集会実行委員会の総括会議で確認された方向性に沿って、第23回集会報告集の作成を進める。


].組織と財政基盤の確立



1.組織体制と運営

1)組織運営
 研究所活動を進めるにあたっては、調査研究面では研究委員会を研究所の政策提言等を確認する場とし、各プロジェクトや建設政策基本問題研究会、共同研究会等で個別の課題を取り上げる。また、運営面では理事会がその責務を担い、理事会での決定事項を実践するための機関である運営会議についてはその位置づけを改めて検討する。
 各組織の構成と機能、責任者とスタッフの役割(責務と権限)を明確にし、効率的な運営を図る。事務局は、会合の目的に沿って明確な議題を提出し、実りある討議と成果を得るように努める。
2)体制(役員、事務局、研究員)
 役員体制(理事長、副理事長、専務理事、理事、会計監査)は、現行を基本とする。事務局(専務理事1名、雑誌・調査研究2名、会計・庶務1名)は、前年度と同じ体制を基本とするが、運営に困難が生じていることから、増員に向けた取り組みを進める。
 非常勤研究員に関しては、現行3名体制だが、若手中堅研究者や現場経験の豊富な人材など幅広く人材の確保に努める。
 事務局員・研究員の確保については、理事会、運営会議等を中心に進める。

3)研究員、事務局員の待遇改善に向けて
 研究所の調査研究活動を行っていくためには、研究員・事務局員を確保していくことが重要であるが、近年の情勢に鑑みて、研究員・事務局員の待遇は十分とは言えない状況にある。研究員の確保、事務局体制の整備に向けて、待遇改善に向けた議論を進める。併せて、財政面の手当てについても検討を進める。


2.研究所支所

1)関西支所
 2017年度は、@運営体制・研究体制の充実、A建設という専門性を活かした研究の2つに重点を置いて取り組む。研究活動の課題としては、昨年に続き、「賃金・労働条件問題」、「業界モラルとルールの確立」を取り上げ、調査研究活動を進める。また、他団体との共同での取り組みや学習会等の開催などを推進する。
2)北海道センター
 これまで取り組んできた建設労働・産業問題、公契約の適正化を軸に、対象地域を拡大しつつ、調査研究活動を進める。公共工事現場調査の拡大や北海道の建設労働者の実態についての報告書作成などに努め、他団体との連携強化、研究体制の確立に向けて取り組む。
3)九州支所設立にむけて
 支所は、建設産業が政府行政の手によって厳しくされている状況公共事業のあるべき姿を内外に知らせるために、昨年の研究成果を踏まえ新たに現在の情勢を踏まえた研究課題を各自設定して来年3月に研究の報告ができることを目指す。同時に災害による被災地の現地調査を行う。これらの活動を踏まえて、九州支所設立の方向性と設立可能性を探る。

3.会員拡大

1)団体会員の拡大
 団体会員は2016年10月末現在196団体である。210団体を目標として、今年度は5団体の拡大に取り組む。
2)個人会員の拡大
 個人会員は2016年10月末現在352名である。入会者に対して退会者が上回る傾向が続いている。会員構成の高齢化により、今後も一定の退会者が継続すると考えられることから、積極的に個人会員の拡大に取り組む。3年程度で個人会員数400名を目標に、今年度は16名の純増を目指す。
3)「建設政策」誌の定期購読者の拡大
 会員以外の「建設政策」定期購読部数は2016年10月末現在47部である。購読部数の増加に取り組み、今年度は50部をめざす。

4.財政運営

 収入の増加をめざし、会員拡大の他、下記の点に精力的に取り組む。
  共同研究会や調査受託に向けて、団体の活動やニーズを把握した上で企画提案を行うなど、働きかけ等を強めていく。
  また、調査等の委託費用については、研究所の維持、所員の処遇改善を補完できる水準となるよう理解を求めていく。
  行政機関や民間機関等の委託調査研究や助成など、内容を把握し、可能な限り応募等を進めていく。
 財政力を高めるために、個々の活動上の収支バランスに問題がある場合は機関会議で検討し、早急に見直し、改善に取り組む。
 会計・税務処理は、引き続き公認会計士事務所の協力をあおぎ、3ヶ所(東京、関西、北海道)それぞれの適切な処理を通して研究所全体で適正な処理を行っていく。


2017年度理事一覧表

理事長  浅見 和彦
副理事長  安藤 高弘
副理事長  川村 雅則
副理事長  神田 豊和
副理事長  坂庭 国晴
副理事長  年森 隆広
副理事長  鈴木 浩
副理事長  中山 徹
副理事長  永山 利和
副理事長  松丸 和夫
専務理事  市村 昌利
理事  市川 隆夫
理事  越智 今日子
理事  蚊口 哲也
理事  中山 眞
理事  菊田 洋一
理事  後藤 英輝
理事  高橋 健二
理事  佐久間 弘雄
理事  佐藤 吉彦
理事  澤田 一洋
理事  清水 謙一
理事  仙田 正志
理事  中島 最郎
理事  廣瀬 肇
理事  古澤 一雄
理事  山本 篤民
会計監査  福富 保名  
        河和 宏