定期総会議案書

第28回定期総会議案書
日時:2017年12月9日
場所:埼玉土建一般労働組合 会議室
1.2017年度活動経過報告
1.2018年度活動方針
1.2018年度理事会


2017年度 活動経過報告


T.この1年間の重点活動

 この1年、建設産業・労働と政治・経済の動向を踏まえて活動を進めてきた。以下に今年度の主要な活動について報告する。

 ○建設産業労働政策委員会を設置し、労働政策についての議論を進め、パネルディスカッションを開催した。
 ○全国建設労働組合総連合から「生産性向上に関する調査」を受託し、調査、ヒアリングを開始した。
 ○東京土建一般労働組合から「2020年オリンピック・パラリンピック関連施設工事調査・データベース作成業務」を受託し、データベース
  を作成し提出した。
 ○東京土建一般労働組合・埼玉土建一般労働組合から「『一人親方』の就業実態と労働者供給事業の可能性についての調査」を受託し、
  アンケート票作成、入力、集計作業を進めた。
 ○東京土建一般労働組合から委託を受けた「組合所属事業所従業員アンケート分析調査」の報告書を提出した。
 ○生活関連公共事業推進連絡会議の「熊本地震」、「平成29年九州北部豪雨」災害の視察に同行し、視察・ヒアリング結果」をまとめた。
 ○事務局員・研究員の待遇改善に向けた議論を開始した。
 ○財政に関しては、新規委託調査の受託等に努め、支出を抑えた。
 ○関西支所では、建設労働者の働き方や賃金の仕組み(日給月払い)などの諸課題について討論を進め、現在、現場労働者の雇用に
  関わる経費の実態調査を実施している。また、「関西巨大プロジェクト見学会〜夢洲IRは関西の希望になるか〜」や「気象変動と豪雨災
  害シンポジウム」(国土問題研究会、大阪自治体問題研究所と共催)を開催した。第16回地方議員研究会には、全国から88名の参加を
  得た。北海道センターは、札幌、旭川を中心に、公契約条例制定に向けた取り組みを進め、旭川市の公契約条例制定に貢献した。
  また、ワーキングプアなどに関する調査・研究、学習会へ参加した。


U.研究・調査活動


1.共同研究会等

1)建設産業労働政策委員会
(1)委員会の設置の趣旨
 建設産業をめぐる情勢が大きく変化する中で、建設労働者の賃金引き上げ、労働条件の改善などをめざした取り組みが進められている。若干の成果が現れつつある一方で、賃金は依然として低い水準にとどまっており、週休2日の実現など多くの課題を残している。
ゼネコン団体である日建連が、建設労働者の賃金引き上げに向けて「労務賃金改善等推進要綱」を策定するなどの取り組みを進めているのに対し、建設労働運動においては、一致して進めることができる「建設産業労働政策」を策定できていない。そこで、首都圏の建設労働組合が一致して進めることのできる「建設産業労働政策」の策定をめざして、本委員会を設置し、議論、検討を行った。
(2)「建設産業労働政策」について
「建設産業労働政策」は、賃金、労働条件、労働安全衛生、労働環境、団体交渉などについて、建設労働運動がその年に実現を目指す内容を簡潔明瞭に宣言するものとして策定する。また、同時に組合員事業主の合意を得て、組合内部でも実現に努める自治的要求(自治的ルール)という性格も併せ持つものとなる。
(3)建設産業労働政策委員会の構成員(順不同)
建設政策研究所、全国建設労働組合総連合、東京土建一般労働組合、神奈川県建設労働組合連合会、神奈川土建一般労働組合、埼玉土建一般労働組合、千葉土建一般労働組合、横浜建設一般労働組合、生活関連公共事業推進連絡会議
<建設政策研究所からの参加者>
浅見和彦(理事長)、山本篤民(理事)、市村昌利(専務理事)、越智今日子(事務局理事)
(4)開催状況と主な内容
  第1回(2017年5月9日)「委員会設置の趣旨、委員、財政等の確認と到達点の確認、討論」
  第2回(2017年5月25日)「建設政策研究所の提言『建設労働者の賃金の抜本的改善のために―公正で魅力ある建設産業をめざして―』
                 についての確認と討論」
  第3回(2017年6月29日)「各組合からの報告、大手企業交渉総括報告、生公連提言、骨子案の検討」
  第4回(2017年7月31日)「建設産業労働政策原案の検討」
  第5回(2017年9月4日)「建設産業労働政策(案)の検討とパネルディスカッションに向けての課題整理、確認等」
  パネルディスカッション(2017年10月7日)
2)生活関連公共事業推進連絡会議との視察
(1)「平成28年熊本地震」
 @視察日程:2016年12月18日(日)〜19日(月)
 A参加者数:13名(うち研究所から1名)
 B視察箇所:阿蘇大橋付近、益城町内、仮設住宅団地等
 C懇談先:国土交通労働組合九州建設支部、益城町総務課・建設課
 D報告:生公連への報告書提出、『建設政策』171号に取材記事掲載
(2)「平成29年7月九州北部豪雨」
 @視察日程:2017年8月20日(日)〜21日(月)
 A参加者数:12名(うち研究所から1名)
 B視察箇所:朝倉市、日田市、東峰村の被災箇所
 C懇談先:東峰村澁谷村長、朝倉市、日田市、福岡県建設労働組合うきは支部
 D報告:生公連への報告書提出、『建設政策』176号に取材記事掲載
3)その他の共同研究会
 建設産業労働政策委員会の他には、他団体との共同研究会を実施しなかった。

2.受託調査活動等
1)世田谷区建設業実態・意向調査
 2016年7月、プロポーザルにより、「世田谷区建設業実態・意向調査」を受託した。調査対象事業所約1,900社に対し、アンケート調査票を送付した。回収数792(回収率42.3%)であった。集計、分析を行い、報告書を作成し、12月下旬に提出した。
2)全国建設労働組合総連合「生産性向上に関する調査」
(1)調査実施の趣旨
 本調査は、将来の担い手不足が懸念される中で、「生産性向上」が現在の施工力を保持するために産業を挙げて取り組む課題として位置づけられ、国土交通省や日本建設業連合会などの業界団体が「生産性向上」に向けた取り組みを始めたことを背景として設置された。その目的は、建設産業における生産性について、過去の資料、文献等から考え方をまとめるとともに、i-constructionなど具体的に進められている方策の実態把握とその検討、ならびに労働組合として生産性向上をどのように捉えるか、などの諸課題について調査、検討を行うことである。
(2)主な調査内容
 @生産性についての概念整理
 A国土交通省や日本建設業連合会など業界団体の動向把握
 B専門工事業団体等へのヒアリング
 C報告書の作成
(3)調査メンバー
  永山利和(副理事長)、市村昌利(専務理事)、越智今日子(事務局理事)
(4)調査の進捗状況
 2017年10月末時点で、@生産性についての概念整理、A国土交通省や日本建設業連合会などの業界団体の動向把握、B専門工事業団体等へのヒアリングを実施した。今後は、2、3件のヒアリングを実施し、報告書にまとめる予定である。
(5)会議等の開催状況等
 @事務局会議の開催状況と主な内容
  第1回(2017年4月6日)「調査内容、体制等についての検討」
  第2回(2017年5月30日)「調査の進め方と生産性概念についての検討」
  第3回(2017年6月13日)「生産性概念の整理と今後の進め方等の検討」
  第4回(2017年9月28日)「ヒアリング内容と報告書構成案の検討」
  第5回(2017年11月2日)「報告書構成案と草稿の検討、今後の進め方について」
 A全国建設労働組合総連合との検討会議開催状況と主な内容
  第1回(2017年4月21日)「全国建設労働組合総連合との調査内容についての打ち合わせ」
  第2回(2017年6月22日)「生産性概念と国土交通省の政策動向についての検討等」
(6)今後の予定
 残りのヒアリングを実施し、内容を検討した上で報告書にまとめ提出する。時期については、全国建設労働組合総連合と相談し、調整する。
3)東京土建一般労働組合「2020年オリンピック・パラリンピック関連施設工事調査・データベース作成業務」
 2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、競技施設や競技会場、オリンピック選手の宿泊施設やオリンピック報道施設等関連施設の建設計画および建設が東京都心および臨海部を中心に進められている。東京オリンピック・パラリンピックに直接関係する施設だけでも建設計画は数十にものぼるとされているが、その全容を掴む情報資料は作成されていない。そこで本調査では、情報資料作成を目的とし、第一に、東京オリンピック・パラリンピックに直接関係する施設の建設計画および建設について、第二に、これに関連して行われる大規模再開発等について調査を実施し、全体的に把握するためのデータベースを作成し、提出した。
4)東京土建一般労働組合「組合所属事業所従業員アンケート分析調査」
 本調査は、事業所従業員の現状、ならびに要求の把握、組合への帰属意識の醸成、分会レベルでのつながり等を広げることなどを目的として実施されたアンケート調査結果について、その情報を整理、分析することを目的としている。アンケートの作成、配布、回収は東京土建一般労働組合が実施し、研究所ではその集計、分析、報告書作成業務を受託し、報告書を提出した。
5)東京土建一般労働組合・埼玉土建一般労働組合「『一人親方』の就業実態と労働者供給事業の可能性についての調査」
(1)調査実施の趣旨
 賃金引き上げ、労働条件の向上に向けた取り組みの一つとして、労働者供給事業は大きな意義を持つものである。そこで、本調査では、一人親方労災の特別加入者を調査対象として、労働者供給事業への参加希望の状況に加えて、賃金の支払い形態や収入の水準、社会保険加入状況などに限定して、その就業実態の把握を目的として実施する。
(2)調査内容
 @アンケート票の作成
 A集計
 B分析
 C報告書作成
(3)調査体制
  島村賢一(明治学院大学非常勤講師)、市村昌利(専務理事)、越智今日子(事務局理事)、宮川裕二(研究員)、氏家正一(研究員)、
  松浦洋一郎(研究員)
(4)調査の進捗状況と今後の予定
  2017年11月:アンケートの回収、入力作業
  2017年12月:集計、中間報告(単純集計)
  2018年1月〜:分析、報告書作成
6)賃金・生活実態アンケート調査の集計と分析
 全建総連東京都連、神奈川県建設労連、埼玉土建、千葉土建の賃金アンケートの入力、集計作業の受託は今年で17年目となった。東京都連、埼玉土建からは分析作業も受託し、2017年の賃金実態の特徴及び経年変化について、分析を実施した。また2017年首都圏4組合トータルの集計と分析、各組合間の比較と特徴、時系列的変化の特徴等についての分析作業も行う予定である。
7)東京土建一般労働組合「新国立競技場建設現場の施工体制台帳のデータ作成」業務
 東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、新国立競技場の建設が進められており、その施工に関わる事業者数はかなりの数にのぼる。本業務は、東京土建一般労働組合が取得した施工体制台帳(紙ベース、2017年9月時点)から、事業所名、業種、下請次数など取得可能な全ての情報をデータとして作成し、提出した。
8)東京土建一般労働組合「報酬月額算定基礎届に基づく賃金実態調査」
 本調査は、「健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届」ならびにその「総括表」のデータ提供(数値データのみ)を受け、本データを活用してどのような分析が可能かを検討することであり、試験的に分析を試みた。2017年11月、報告書を作成し、提出した。

3.研究委員会
 今年度は下記の通り2回の委員会を開催し、議論、検討を行った。
  第1回 2017年5月22日 参加者12名
   松岡守雄氏「建設キャリアアップシステムの準備状況と全建総連の取り組みについて」
  第2回 2017年11月2日 参加者9名
   河和宏氏「『建設産業政策2017+10』の検討」

 今年度は、今後の建設産業に大きな影響を与えると考えられる、「建設キャリアアップシステム」と「建設産業政策2017+10」を取り上げ、研究委員で議論を深めた。テーマとの関係で公開研究会としなかったため、昨年度よりも参加者数は多少減少したものの、今後の調査・研究活動の方針に関連する議論を行うことができた。他方で、開催回数が一昨年の4回、昨年の3回から減少していること、公開研究会を開催できなかったことなどに課題を残した。

4.建設政策基本問題研究会
 本研究会は、建設産業・労働政策など重要な基本的政策課題について討議し、研究所の基本的な考え方をまとめることを目的に設置されている。必要に応じて開催されることになっており、今年度は、開催しなかった。研究所として考え方をまとめることが求められるテーマの検討や整理に課題を残した。

5.研究プロジェクト
1)建設産業政策研究プロジェクト
 本プロジェクトは、「適切な賃金・労働条件を確保し、地域建設産業の発展に求められる諸課題について、各分野からの参加を募って定期的に議論する」ことを目的として設置したが、プロジェクトの課題と課題に合わせた参加者を決定するに至らず、年度途中で中断することとなった。事務局の準備不足により、研究課題を設定し、参加者を確定した上でプロジェクトを開始できなかったことが中断の原因であり、次年度以降の開催に向けては、明確な課題を設定し、参加者を想定することが必要である。
 プロジェクトの開催状況
  第1回(2017年2月9日)「本プロジェクトの研究課題、テーマについて」
  第2回(2017年3月15日)「建設産業の労働協約について」
2)その他のプロジェクト
 研究委員会や会員等からの要請があった場合、個別課題についての研究プロジェクトを設けることになっているが、今年度は新規プロジェクトを設けなかった。

6.海外建設事情調査研究
 2017年度の活動方針では、海外の建設業・労働の動向について、研究テーマに応じて各国の先進事例等の文献研究等を行うとしていたが、具体的な研究テーマに基づいた文献研究等には至っていない。海外の動向把握等に十分に対応できておらず、課題を残した。


V.情報提供・収集


1.新聞切り抜きなどの情報提供活動

 東京土建一般労働組合、神奈川県建設労働組合連合会、神奈川土建一般労働組合、横浜建設一般労働組合、埼玉土建一般労働組合、千葉土建一般労働組合、全国商工団体連合会に新聞切り抜き、月刊雑誌の主な記事、官庁・業界資料などをセットにして情報提供(紙ベース、クラウドサービスを活用した電子データ(PDF))を行った。情報提供先の新規開拓には至っていない。

2.ウェブサイト
 最新の情報を掲載するよう心掛けてトップページの更新(「お知らせ」や「建設政策」最新号の紹介)は適宜行ったが、各種会合記録の掲載、更新を十分に行えなかった。英語版のページは作成に至らなかった。


W.討論会・シンポジウム、議員研修会


1.討論会・シンポジウム、セミナーの開催

 2017年度は、10月7日に建設産業労働政策委員会でパネルディスカッションを開催した。午前の部では、小倉範之氏(全国建設労働組合総連合技術対策部長・建設産業担い手確保・育成コンソーシアム プログラム教材等WG委員)から「職業能力基準の現状と課題等について」、ならびに年森隆広氏(東京土建一般労働組合書記次長)から「建設産業労働政策原案」についての講演を行った。
 午後の部では、浅見和彦氏(建設政策研究所理事長)と年森隆広氏をコーディネーターとして、7人のパネラーによるパネルディスカッションを開催した。会員団体の協力を得て参加者は72名で、活発な議論、意見交換を行うことができた。

2.地方議会議員研修会の開催

 今年度は、関西支所が1回(8月)開催した(大阪府大阪市、8月3日(木)〜4日(金)、参加者88名)。内容は、1日目は記念講演と特別報告・講義を、2日目は3講座に分かれて講師による講義および質疑応答であった。
 参加者数が減少傾向にあることから、東京での開催については他の動向等を踏まえて理事会等で検討することとしていたが、今年度は他の研修会等の参加状況が厳しいことから開催しなかった。


X.講師活動及び執筆活動、他団体との共同の活動

1.講師活動

 会員団体、会員外団体への学習会や講演会などでの講師活動を行った。講師は理事を中心に派遣した。
 神奈川土建一般労働組合の第20期労働学校(第3講)「建設産業をめぐる情勢と建設労働組合の産業分野の闘い」について、報告資料の作成と講師派遣を受託した。全20支部のうち、同日開催等で派遣できなかった4支部を除き16支部へ講師を派遣した。
 また、東京土建一般労働組合城北ブロック役員学習会(12/10)、全建総連東京都連合会賃金調査報告(2/6)、全国中小業者団体連絡会シンポジウム(2/22)、全建総連関東地協賃金調査報告(3/23)、世田谷区建設団体防災協議会報告(4/10)、東京土建一般労働組合世田谷支部報告(4/23)、東京土建一般労働組合PAL支部長会議報告(5/28)、第20回中小商工業全国交流・研究集会(9/3)などに講師を派遣した。

2.執筆活動
 専務理事が、『月刊民商』、『全国商工新聞』等に執筆した。単行本では『日本労働年鑑』(「建設産業」)に執筆を行った。

3.他団体との共同の取り組み
 賃金引き上げ建設労働者大集会(2017年2月14日)実行委員会へ参加した。


Y.第24回全国建設研究・交流集会への参加

 第24回全国建設研究・交流集会は、「いのちと安全をまもる地域建設産業の発展に向けて――適正な利益と適正な賃金・労働条件の実現を」をテーマに、福島県いわき市で開催し、340名が参加した(2017年11月26〜27日)。1日目は記念講演と特別報告、2つの現地報告、2日目は5つの分科会と1つの講座、現地視察を行った。
 第24回集会において研究所は、実行委員長団体、事務局長団体として参加し、企画立案、準備と当日の運営、会計、産業関係者への参加呼びかけなどを中心的に担った。


Z.「建設人・九条の会」の活動への協力

  一昨年の安保法案成立後の緊迫した情勢の中、「建設人・九条の会」との一致点にもとづき、活動に協力を図った。


[.出版活動


1.「建設政策」誌

1)出版編集委員会
 出版編集委員会は、責任者:山田貴徳(河和宏)、副責任者:福富保名、編集長:市村昌利、編集委員:松広高幸、山本篤民、越智今日子、宮川裕二の体制で臨んだ。
 編集委員会では特集をはじめとして企画案について検討し、情勢や運動に見合った誌面づくりを目指した。また、実態を把握するための取材記事や現場からの報告を取り入れると同時に、考え方の基礎となる総論や個別の課題に対する諸見解等の執筆を依頼し、理論と実践の両面を掲載できるように心がけた。
2)各号の企画と誌面
 「建設政策」は隔月発行であり、今年度は171号から176号までの6号を発行した。毎号情勢を踏まえた特集を組むように心がけ、特に、2017年度は東日本大震災から6年が経過し、熊本地震や九州北部豪雨災害など、自然災害と地域建設業、自治体に焦点をあてた記事を掲載した。また、今年度はシリーズ企画として、女性建設技能者のインタビューを開始し、176号までに4名の女性建設労働者を取り上げた。
 特集については、「建設キャリアアップシステムが賃金・労働条件の改善に資するために」(174号)、「建設産業への若手入職者獲得のヒントを現場から探る」(175号)など、担い手確保に向けた動きや現状、課題などを重点的に取り上げた。

2.「建設政策研究」誌

 第6号の刊行については経費確保が困難な状況にあり、運営会議、理事会で発行に向けての十分な検討を行わなかった。

3.第23回全国建設研究・交流集会報告書の作成

 2016年12月に行なった第23回全国建設研究・交流集会の報告書をCD形態で刊行した。頒布枚数579枚であった。


\.組織と財政基盤


1.研究所の組織体制と運営

1)組織運営
 理事会役員は27名、運営委員は11名。理事会の報告・議論は、@情勢についての議論、A検討事項、B確認事項で構成し、現在取り上げるべき課題や会員団体等の現状などについて討議する時間を確保し、併せて『建設政策』の企画・構成について検討する機会を設けた。
 今年度理事会は6回開催した。理事会は、毎回半数程度の参加での開催となっており、出席理事の増加が課題となっている。効率的な運営を心がけ、必要な事項については理事会での議論を踏まえた決定等を行った。運営会議は開催に至らなかった。

<理事会開催状況>
第1回(2016年12月17日)
第2回(2017年1月18日)
第3回(2017年4月13日)
第4回(2017年7月14日)
第5回(2017年9月28日)
第6回(2017年11月17日)
2)体制(役員、事務局、研究員)
 役員体制(理事長、副理事長、専務理事、理事、会計監査)を基本とし、運営面では大きな問題は生じなかったが、事務局業務の負担により調査・研究面への影響が深刻な状況となっている。より効率的な事務運営とともに、事務局体制の強化が課題となっているが、根本的な課題解決に向けた対策は定まっていない。
 今年度は、2名の非常勤研究員を確保したが、今後の研究所の発展の要となる若手中堅研究者や現場経験者の確保は引き続き課題となっている。
3)事務局員、研究員の待遇改善に向けて
 事務局員、研究員など、研究所が求める人材を確保していくためには待遇改善が不可欠の課題であるが、賃金水準等についての明確な規定がないことから、2018年度以降の待遇改善を図っていくための規程等について理事会で議論を進めた。

2.支所の活動
1)関西支所

 「賃金・労働条件(雇用と経費)」研究会を設け、建設労働者の働き方や賃金の仕組み(日給月払い)などの諸課題について討論を進め、現在、現場労働者の雇用に関わる経費の実態調査を実施している。また、「関西巨大プロジェクト見学会〜夢洲IRは関西の希望になるか〜」や「気象変動と豪雨災害シンポジウム」(国土問題研究会、大阪自治体問題研究所と共催)を開催した。第16回地方議員研究会には、全国から88名の参加を得た。
2)北海道センター
 「札幌市公契約条例の制定を求める会(代表 伊藤誠一弁護士)」に参加し、労働組合や弁護士(団体)との連携を図った。また、旭川では「旭川ワーキングプア研究会(代表 小林史人弁護士)」で様々な取り組みを進め、旭川市公契約条例(理念型)の制定に貢献した。その他、ワーキングプアや公契約条例などに関する調査・研究活動、学習会への参加や講演に取り組んだ。
3)九州支所設立に向けた取り組み
 建設政策研究所九州支所設立準備会は、毎月1回の定例会を開催し、労働組合、地域建設事業者、地方公共団体等を対象とした政策提言作成に向けて、資料収集と討論を進めた。

3.会員の状況
1)団体会員
 今年度は、新規加入が5団体、退会2団体だった。2017年10月末現在199団体である(前年度比3団体増)。また、団体会員は、5団体から口数の変更の申し出があり、差し引き14口減となっている。第28回総会での拡大目標5団体を達成し、退会が2団体となっていることから、団体会員数の増となった。
2)個人会員
 今年度は入会8人、退会23人、長期滞納者退会5名によって、2017年10月末現在の個人会員数は332人となった。会員構成の高齢化が進んでいることから、毎年一定の退会者が継続している。退会者数に対して入会者数を十分に確保できていない状況である。第28回総会での拡大目標16人の純増に対し、20人の純減となっている。
3)「建設政策」誌の定期購読部数
 今年度の購読部数は2017年10月末現在、24団体で41部、個人読者10人で10部、計51部で、2016年10月末に比べて4部増加した。第28回総会での拡大目標50部を達成した。

4.財政運営
 収入3,237万3,754円、そのうち会費収入が1,599万5,500円(16年度1,626万3,500円、26万8,000円減)、非会費収入1,637万8,254円(16年度1,358万230円、279万8,024円増)となっている。昨年度は会費の改訂により会費収入が増加したが、今年度は、団体口数の減少、個人会員数の大幅減少により、会費収入が減少している。
 今年度の当初予算では、約140万円の繰越金取り崩しを予定していた。支出については、非常勤研究員を確保したことにより支出増となったが、概ね予算通りに執行した。他方で、会員団体の協力により、調査研究収入を大きく増やして確保できたことから、繰越金の取り崩しには至っていない。現在、東京土建一般労働組合・埼玉土建一般労働組合の「『一人親方』の就業実態と労働者供給事業の可能性についての調査」を進めているが、中間金として事前にお支払いいただいているため、次期繰越金が160万円程度発生した。
 次年度以降は、事務局員・研究員の待遇改善を行うことから、根本的な財政状況の改善が課題となっている。



2018年度 活動方針

T.中期的な課題と活動方針


 設立の趣旨および定款に則って、研究所が中期的に取り組むべき課題は多岐に亘っている。建設産業をめぐる現状を踏まえ、当面、下記の中期的な課題に基づいて、調査・研究活動と体制、財政の強化を進めていく。また、情勢の変化に応じた課題については、随時取り上げることとする。

1.建設労働者の賃金・労働条件の向上に向けて
  ・建設キャリアアップシステムの運営実態把握
  ・団体交渉機構づくりと労働協約締結に向けての課題
  ・建設労働者の賃金と社会保険・労働保険料負担の実態と課題
  ・公契約条例制定自治体拡大、公契約条例の運用実態の把握、公契約法の検討
  ・建設技能労働者の働き方検討
2.地域建設産業振興に向けて
  ・地方自治体の建設業振興策、建設産業政策策定に向けて
  ・地域建設業の受注確保と安定雇用に向けた仕組み等の検討
  ・公共事業の入札・契約制度のあり方
  ・国・地方の財政政策の課題
3.建設市場の中期的動向の把握
  ・2020年以降の建設市場の動向把握
4.建設産業構造の改善に向けて
  ・重層下請構造の解消に向けた課題
  ・産業組織構造の検討
5.安全な国土形成・利用に関する課題
  ・頻発する自然災害に対への備えと体制強化に向けた課題
  ・インフラの老朽化、公共施設統廃合等に向けた課題
  ・都市形成に関わる課題
6.住宅政策に関する課題
  ・住宅政策の変化とその課題
7.体制と財政の強化
  ・事務局員、研究員の確保と待遇の改善
  ・財政基盤の確立
8.その他


U.2018年度活動の重点方針
 2018年度の活動は、建設産業と政治・経済をめぐる情勢を踏まえ、下記の点に重点を置いて取り組む。

○調査・研究の重点
 ・建設キャリアアップシステムの試験運用が始まることから、運用実態の把握に努める。
 ・建設産業は地域産業であるという基本的視点から、地域建設産業の再生、活性化に向けて、地方自治体の建設産業振興策のあり方や
 方法等について、共同研究会等を通して検討する。
 ・頻発する災害にたいして、安全で安心して住み続けられるための国土づくりや求められる政策等について検討する。
○研究プロジェクトや調査報告書の成果などを活用した新企画提案で共同研究会や受託事業を確保するよう努める。
○若手中堅研究者の確保・育成に力を入れ、調査研究体制の充実を図るとともに、常勤体制の強化・拡充等、事務体制と財政の強化に努める。


V.研究・調査活動
1.共同研究会
1)建設産業労働政策委員会
 2018年度も建設産業労働政策委員会を継続し、「建設産業労働政策」の策定を進める。
2)その他の研究会開催に向けて
 会員団体を中心に、共同研究会の開催に向けて働きかけを進める(テーマは、地方自治体における地域建設産業振興政策のあり方、公契約条例制定自治体における運用の実態、重層下請構造の実態把握、住宅政策の変化と仕事確保など)。

2.受託調査活動
1)賃金・生活実態アンケート調査の集計と分析
 これまでの賃金・生活実態アンケートの集計と分析の成果をふまえ、建設労働者の賃金政策により資するように集計と分析を行っていく。
 具体的な受託方針については、下記の通りである。
 @全建総連東京都連および埼玉土建、神奈川県連、千葉土建の2018年度の賃金実態調査の入力・集計・分析作業を受託できるように    働きかける。
 A2018年度首都圏4組合の調査を比較、経年変化の分析作業を受託できるように働きかける。
 B全建総連傘下の首都圏以外の組合からも受託できるように働きかける。
2)全国建設労働組合総連合「生産性向上に関する調査」
 生産性概念の整理や国、業界団体の動向、ヒアリング結果を踏まえて、生産性向上について検討し、報告書を作成して提出する。
3)東京土建一般労働組合・埼玉土建一般労働組合「『一人親方』の就業実態と労働者供給事業の可能性についての調査」
 アンケート結果の集計、分析等を実施し、報告書を作成して提出する。また、調査結果については、組合の許可を得て『建設政策』に掲載し成果を広める。
4)自治体発注の調査等
 「世田谷区建設業実態・意向調査」の受託実績を元に他の自治体発注調査等についても、公告された調査事業などがあれば、プロポーザルなどの入札に積極的に参加していく。
 また、自治体発注公共工事分析及び政策づくりについて、議員等からの受託に向けて働きかけを行い、公共工事分析事業の受託を目指す。
5)新規の受託調査
 全建総連やその加盟組合、公務労組などをはじめとした建設労働組合の本部・支部などと懇談し、まず調査ニーズを把握した上で、企画案を提示し受託事業の確保をめざす。

3.研究委員会

 研究委員会は研究所の調査・研究活動の要であり、研究会や研究プロジェクト等と連動した研究所の考え方、政策提言を最終的に確認する場である。研究活動を会員とともに進め、研究テーマの多面的な検討と討論をより活発化させていくために、テーマに応じて会員や関係団体の取り組みや専門家に報告いただくよう努める。
 また、幅広いテーマを取り上げることを心がけ、広く参加者を募って公開研究会を開催する。
 研究所の認識を深め、会員、建設産業関係者・団体等に発信していくために下記のように進めていく。
 1)研究テーマは、重点方針に示したテーマの他、建設産業・労働、公共事業を取り巻く情勢や政策動向など、幅広く取り上げる。
 2)研究所の研究活動を会員とともに進めていくために、幅広く会員(個人、団体)にも参加してもらえるよう、公開研究会の開催も
  検討する。テーマに応じてそれぞれから取り組みや課題などを報告いただき、会員とともに多面的な検討と討論を行うにする。
 3)研究委員会で議論を深めた成果を、政策提言の発表や出版物の発行に結び付けるように努める。また、それらの成果を、公開討論会  やシンポジウムの開催、建設産業に関わる各種団体(業界、労働組合、行政等)に広く発信していく。

4.建設政策基本問題研究会
 2017年度に続き建設政策基本問題研究会を設置する。本研究会は、定款上定めのある組織ではないことから、メンバーや開催回数等を固定せず、情勢に応じて議論が必要なテーマなどが生じた際に集中的に討議する場として活用する。

5.研究プロジェクト
1)プロジェクトの設置に向けて
 2017年度設置した「建設産業政策研究プロジェクト」は、研究テーマが明確でなかったために中断せざるを得なかったという反省点を踏まえ、次年度以降に取り上げるテーマについて検討する。
2)その他のプロジェクト
 研究委員会や会員(団体・個人)等からの要請があった場合、個別課題についての研究プロジェクトを設ける。

6.海外建設事情調査研究
 海外の建設産業・労働の動向について、研究テーマに応じて各国の先進事例等の文献研究をはじめ、調査、研究を進める。


W.情報提供・収集


1.情報提供活動

 新聞切り抜き、雑誌や資料の記事、情勢の特徴などをセットにした情報提供事業の活用団体・個人を増やすように努める。提供している団体のニーズを把握し、取扱い雑誌の増加など、対応可能なものは検討を試みる。

2.ウェブサイト
 研究所からの行事のお知らせや調査研究活動の成果など最新の情報の掲載、更新を怠らずに行う。


X.討論会・シンポジウム、議員研修会

1.討論会・シンポジウム、セミナーの開催

 研究所が見解や政策提起を行った際、また、建設行政や建設産業、建設労働にかかわる重要な課題が生じた場合は公開討論会等を開き、テーマに対する研究所の考えを広め、意見交換を通じて認識を深める。
 2017年度は、雑誌等で継続的に取り上げているテーマについては、シンポジウムやパネルディスカッションの開催を検討する。

2.地方議会議員研修会の開催

 参加者数が減少傾向にあることから、他の研修会等や動向を踏まえて開催を理事会等で検討する。
 開催に当たっては、魅力ある企画づくりを行うために、聞き取りやアンケートなどで地方議員のニーズを把握し、それを活かした講義テーマ・内容、講師陣を定めていく。また、テーマ別現場見学の研修会などの開催も検討する。


Y.講師活動及び執筆活動、他団体との共同の活動


1.講師活動

研究所の研究・調査活動の成果や問題意識等を広げ、多くの団体で討論してもらうための講師活動を重視していく。相手からの依頼にとどまらず、研究・調査等の内容は積極的に報告の機会を作るように働きかけていく。

2.執筆活動
諸団体の機関誌や月刊誌などに積極的に執筆活動を行い、研究所の研究・調査活動の成果を広げていくことに努める。

3.他団体との共同研究など共同の取り組み
共通するテーマにもとづく他団体との共同研究をはじめ、シンポジウム、学習会等を企画、提案していく。


Z.第25回全国建設研究・交流集会

 第24回全国建設研究・交流集会実行委員会の総括会議を通じて確認された第25回集会の方向性に沿って関わっていく。


[.「建設人・九条の会」の活動への協力
 「建設人・九条の会」との一致点にもとづき、活動に協力していく。


\.出版活動


1.「建設政策」誌
 情勢を的確に反映した記事を読者に提供できるよう、下記のように取り組む。
1)編集会議
 引き続き「建設政策」誌の編集方針の基本に沿って、誌面の改善、内容の充実に取り組んでいく。また、編集時期、発行時期に照らして出版編集委員会を開き、特集企画、その他のテーマ、内容等に関して検討を進めるようにする。
2)編集委員
 2018年度は、編集委員を増員する(2018年1月〜)。また、さらなる体制強化に向けて、適宜編集委員体制の充実を図っていく。
3)企画・内容
 情勢に合致した特集を組むように努め、研究所の調査・研究成果も適宜発表していく。また、実態や現場の声などを伝えるための取材やインタビューも積極的に取り入れていく。同時に、求められる政策や運動を支える理論的な側面も重視し、研究者等の執筆記事を掲載するように努める。
 企画については、より直近の問題や重要なテーマを取り上げ、実態や研究の現状を伝えられるよう、書き手の発掘や柔軟な取材活動で対応していく。また、重要なテーマについては、多面的に捉えられるよう、小特集などで対応していきたい。
 また、継続的に取り上げることが必要な、または望ましい企画については、シリーズ化して深く掘り下げて掲載していく。
4)誌面レイアウト
 誌面レイアウトについては、図表や写真などを本文に合わせて挿入し、小見出しを設けるなど、読者が読みやすい誌面を作るための工夫に努める。特に、取材記事やインタビュー記事については、より読みやすい誌面とするため、これまでよりも大きめの写真や図表などを掲載するようにする。また、より見やすい目次のレイアウトについても検討を進める。
5)読者からの意見・歳時記募集
 引き続き個人読者にアンケートを配布し、意見募集を行う。これまで寄せられた意見等に対して十分に対応できていなかった反省を踏まえ、寄せられた意見に対する対応を検討する。また、より多くの意見を集めるため、意見をお寄せいただいた会員の方に粗品等を進呈することを検討する。

2.「建設政策研究」誌

 第6号の刊行については経費確保が困難な状況にあるが、2019年度は研究所設立30周年でもあることから、その目的・意義に従って、かつ研究員の研究成果発表の場としても活用するため、刊行に向けた検討を進める。

3.第24回全国建設研究・交流集会報告集の作成

 第24回全国建設研究・交流集会実行委員会の総括会議で確認された方向性に沿って、第24回集会報告集の作成を進める。


].組織と財政基盤の確立

1.組織体制と運営
1)組織運営
 調査研究面では研究委員会を研究所の政策提言等を確認する場とし、各プロジェクトや建設政策基本問題研究会、共同研究会等で個別の課題を取り上げる。また、運営面では理事会がその責務を担う。定款上、「理事会での決定を実践するため」設置している運営会議については、その位置付けを改めて検討する。
 各組織の構成と機能、責任者とスタッフの役割(責務と権限)を明確にし、効率的な運営を図る。事務局は、会合の目的に沿って明確な議題を提出し、実りある討議と成果を得るように努める。
2)体制(役員、事務局、研究員)
 役員体制(理事長、副理事長、専務理事、理事、会計監査)は、現行を基本とする。事務局(専務理事1名、雑誌・調査研究2名、会計・庶務1名)は、前年度と同じ体制を基本とするが、運営に困難が生じていることから、増員に向けた取り組みを進める。
 理事については、自治体関係者が不在であることから、自治体の労働組合等からの増強を図るため、働きかけ等を進める
 非常勤研究員に関しては、現行2名体制だが、若手中堅研究者や現場経験の豊富な人材など幅広く人材の確保に努める。
 事務局員・研究員の確保については、理事会と新たに設置する委員会を中心に進める。
3)事務局員、研究員の待遇改善に向けて
 2017年度の理事会で事務局員、研究員の待遇について議論を進め、改善を図ることとした。理事会での決定事項に基づき、研究所の定期昇給の時期(4月)に合わせて、事務局員・研究員の待遇改善を進める。
4)人事、事務局員・研究員の待遇等ついての検討委員会設置
 2017年度、研究所の調査・研究、運営を支える人材を確保するため、事務局員、研究員の待遇改善に向けて理事会で議論を行った。当面の待遇改善だけではなく、今後、なるべく早期にしっかりとした体制を構築していくために、人事と事務局員、研究員の待遇を検討する委員会を設置する。
 委員の構成については理事会で検討して決定する。

2.研究所支所
1)関西支所
 2018年度は、運営・研究体制の充実、専門性を活かした研究や企画に取り組む。研究の面では、「賃金・労働条件問題」研究会を継続し、「雇用に伴う経費」の実態調査報告書をまとめる。また、今後の政策提言の策定に向けて、建設労働者の労働環境や要望などを把握するため、「建設労働問題基礎調査」(仮称)実施に向けて取り組む。
2)北海道センター
 20周年(2018年12月)に向けて、調査・研究成果の整理と更なる蓄積を目指す。具体的には、建設労働・産業、公契約条例・運動を軸として、研究と運動の連携や他団体との連携を図りながら調査研究活動を進める。また、調査研究体制の強化に向けて取り組む。
3)九州支所設立にむけて
 九州支所設立準備会では、政策提言の策定に向けて定例会を設け、議論を進めている。近年、九州地方では豪雨災害が相次いでおり、住民の命を守る治水、治山や国土利用のあり方など、広範な課題がある中で、当面検討を進める対象課題の設定と論点整理を進める。

3.会員拡大

1)団体会員の拡大
 団体会員は2017年10月末現在199団体である。210団体を目標として、今年度は5団体の拡大に取り組む。また、拡大の対象とする団体については、主に、全国の全建総連関係の組合を対象とするが、業界団体を対象とすることについても検討を進める。
2)個人会員の拡大
 個人会員は2017年10月末現在332名である。入会者に対して退会者が上回る傾向が続いている。会員構成の高齢化により、今後も一定の退会者が継続すると考えられることから、積極的に個人会員の拡大に取り組む。3年程度で個人会員数360名を目標に、今年度は10名の純増を目指す。
3)「建設政策」誌の定期購読者の拡大
 会員以外の「建設政策」定期購読部数は2017年10月末現在51部である。購読部数の増加に取り組み、今年度は55部を目指す。

4.財政運営

 収入の増加をめざし、会員拡大の他、下記の点に精力的に取り組む。
 共同研究会や調査受託に向けて、団体の活動やニーズを把握した上で企画提案を行うなど、働きかけ等を強めていく。また、調査等の委託費用については、研究所の維持、所員の処遇改善を補完できる水準となるよう理解を求めていく。
 行政機関や民間機関等の委託調査研究や助成など、内容を把握し、可能な限り応募等を進めていく。
財政力を高めるために、個々の活動上の収支バランスに問題がある場合は機関会議で検討し、早急に見直し、改善に取り組む。
 会計・税務処理は、引き続き公認会計士事務所の協力をあおぎ、3ヶ所(東京、関西、北海道)それぞれの適切な処理を通して研究所全体で適正な処理を行っていく。


2018年度理事一覧表

理事長 浅見 和彦
副理事長 安藤 高弘
副理事長 川村 雅則
副理事長 神田 豊和
副理事長 坂庭 国晴
副理事長 鈴木 浩
副理事長 年森 隆広
副理事長 中山 徹
副理事長 永山 利和
副理事長 松丸 和夫
専務理事 市村 昌利
理事 市川 隆夫
理事 井上 真一
理事 越智 今日子
理事 後藤 英輝
理事 佐藤 吉彦
理事 高橋 健二
理事 中島 最郎
理事 中山 眞
理事 野本 勝
理事 廣瀬 肇
理事 古澤 一雄
理事 松本 裕之
理事 山田 規世
理事 山本 篤民
会計監事 窪添 義幸
会計監事 福富 保名